ついに始動したアニメ『伝説の勇者の伝説』のポイントはスタッフ＆キャストの“情熱”――原作・鏡貴也氏＆イリス役・村田知沙さん対談

　7月1日のテレビ東京でのオンエアを皮切りに、各局で放送がスタートしたTVアニメ『伝説の勇者の伝説』。原作は鏡貴也氏によるライトノベル。2002年からこれまでに11巻が刊行された長大なシリーズを、今回鏡氏自身が企画から参加することで完全アニメ化。放送前に公開されたPV映像も、その完成度の高さでファンの間に話題騒然だ！

　今回、アニメイトTVでは『伝勇伝』の生みの親でもある鏡氏と、デビュー当初からの鏡氏ファンにして、今回イリス役に起用された村田知沙さんの対談をお届け。アニメ版『伝勇伝』を観るうえでのポイントを聞いちゃいました！

――村田さんは鏡さんのファンだったとか？

村田さん（以下村田）：最初に先生の作品を読んだのが中学3年のときなんです。

鏡氏（以下鏡）：僕のデビュー作の『武官弁護士エル・ウィン』を読んでくれたそうなんです。僕がファンタジア長編小説大賞に入選して、1月にデビューして、2月にはファンレターが来ました。最初の5通のファンレターのうちの1人だったんです。その頃僕は、1人に1回は必ず返事を出していて、だから家のパソコンには、まだそのときのテキストファイルがあるんですよ。

――そのころ村田さんは中学3年生だったんですよね。もう声優になろうと思っていたんですか？

村田：声優になりたいというのは思っていて、家で先生の作品で練習してたんですけど、まさか練習していた作品に実際に出演できるとは思わなかったです。

――『伝勇伝』で練習してたんですか？

村田：そうです！

――じゃあオーディションも完璧にこなせますよね？まさになるべくしてなったみたいな

村田：オーディションはフェリス役で受けたんですけど、フェリスは私には難しい役だなと思いました。オーディション用のテープを作っていく中で、部分的に自分の得意なラインで演じたら、イリス役をいただくことができました。とあるセリフを、フェリスだとこう言うけど、私の得意ラインだとこう言います…とか相談しながら作って、もともとイリスラインで決まればいいですねとマネージャーさんと話しながら作ったので、本当に驚きました。

鏡：今年の年賀状に「フェリスは落ちた」って書いてあって（笑）。

――そういう過程が全部原作者の方に流れるっていう（笑）

鏡：いえ、それではじめて村田さんがオーディションを受けていたことを知ったんです。過去のファンレターを調べて「そういえば10年前のファンレターに同じ名前がある！　そうかあの子か！」みたいな（笑）。それで「声優さんになってたんですね。いつかどこかでお会いできるかもしれませんね」という感じでお返事をしたんです。

――じゃあそれまで鏡さんは村田さんが声優さんになっていたことは知らずに……

鏡：会うのも今日が3回目なんです。アフレコで2回お会いして今日が3回目で。

――知らずに今年の初めに年賀状をもらって知ったと

鏡：「オーディション受けられただけでうれしかったです」って書いてあって、「ああ、落ちたのか～」っていう。

村田：（笑）

――その後イリス役に決定したことは、いつ聞かれたんですか？

鏡：シナリオ打ち合わせのときに「こういうことがあったんだよ」っていう話をスタッフの方としていたんですが、そのときに監督はもうイリス役にキャスティングすることを決めていて、その後キャスト表をいただいて決まったことを知ったんです。

――村田さんはイリス役に決まったときの心境はどうでしたか？

村田：マネージャーから電話がきて「イリスって役に決まったんだけど、どんな役か知ってる？」って聞かれて、「もちろん知ってます！」って（笑）。「ほんとですか？」って思わず聞き返してしまいました。まさか決まると思ってなかったので。

――鏡さんにはなんてお伝えしたんですか？

村田：またファンレターを書いたんです。「決まりました」って（笑）。

――アニメ本編の話になりますが、これまで11巻発刊されている原作を、2クールかけてアニメ化するということで、すごいボリュームですよね

鏡：企画の一番最初の段階から参加しているんですけど、本当に素晴らしい出来になっていると思います。参加しているメンバーがみんなすごい情熱で。

――最初から参加されているということですが、アニメ版でのテーマみたいなものはあるのでしょうか？

鏡：一緒に企画を立ち上げたティー・オー・エンタテインメントのプロデューサーの方が、「伝勇伝は世に届けないといけない作品だから、“まんまやろうぜ”」とずっとおっしゃって（笑）。だから原作通りという感じですね。

――アニメにするにあたって「原作のこの部分をより広げよう」だとか、アレンジした部分などは？

鏡：とにかく主人公3人（ライナ、シオン、フェリス）の関係。この3人の人間関係がきちんと描ければ物語もちゃんと描けるなということで、それ以外を少し薄めたりしてはいます。原作は登場人物も多いので、サブキャラのストーリーが長かったりするんです。その部分を少し減らしたりしています。結構無理なくまとまって感じです。シリーズ構成（吉村清子）さんが僕より『伝勇伝』に詳しいんで（笑）。

――原作者じゃないですか（笑）

鏡：そうなんですけど熱狂的に読みこんでくれていて。企画プロデューサーが僕の知らないところで、シリーズ構成のオーディションをしたらしくて（笑）。情熱の度合いが一番熱かったってことで決まったそうで。監督（川崎逸朗）さんもすごい情熱で、3話の戦闘シーンなんかほんとにハンパないすごさなんですよ。
『伝勇伝』って、キャラクターが大変な状況を乗り越えていくことに読者の方も共感して、“僕もいじめられているけど学校に行こう”とか思ってくれているのですが、“世界がひどい状況で、つらくても立ち上がらなければいけない”という話なんで、そうなるきっかけのできごとで、かなりすごいんですよ。

――そのなかでイリスっていうのは、どういった立ち位置のキャラクターになるんでしょうか？

村田：キャラクターたちが2つのグループにわかれるなかで、その橋渡し的な存在です。物語がシリアスな方向に向かう中で、イリスが出てくる事によってそのシーンが明るくなったり雰囲気をぶち壊したりだとか、“太陽”みたいな役割をしています。

――“明るさ担当”みたいな

村田：そうですね。

鏡：イリスだけはずっと明るい（笑）。

――演技するうえでもそこは意識してますか？

村田：そうですね。他のキャラに引っ張られないようにしています。イリスは常に“楽しい！”って気持ちでいたいなと。

鏡：空気読まないキャラクターですから（笑）。

――完成したアニメの映像を観たご感想は？

鏡：今までもいろんなところで話してるんですが、僕は“アニメにむくわれた作家”だと思います。こんなにアニメにむくわれた作家をみたことがないですね。アニメで悩んじゃう作家さんが多いんですけど、信じられないぐらい出来がいいんです。PVも公開されたときファンの方が感動して泣いたほどですし。僕がずっとアニメの出来をほめてたんですけど、ほめすぎて信じてもらえてなくて（笑）。

――そんな情熱に支えられた『伝勇伝』ですが、改めてアニメイトTV読者に向けて、観どころなどをお願いします

村田：内容が進むにつれていろいろなキャラクターが出てきて、一度去ったキャラクターが戻ってきたりとか出入りも激しいです。またキャラクターごとに持っている“正義”の行く末にも注目していただきつつ、自分のお気に入りのキャラをみつけてもらって、楽しんでいただけたらと思います。

鏡：特に3話目がすごいです。3話は戦闘シーンもそうですが、キャラクターの背負ってる“重荷”がすごいんです。

――そんななかでイリスが明るさを添えると

鏡：お姉さん（フェリス）もがんばって明るさを添えるんですけど、シオンとライナの関係性っていうのがやっぱり大きくて。人間関係がすごく重要な話なんです。

――じゃあ人間関係に注目して本編を楽しみます！

＜取材・文：だーくまたお＞

＜放送情報＞
テレビ東京：7月1日より毎週木曜日　深夜 26時15分～
テレビ大阪：7月2日より毎週金曜日　深夜 27時05分～
テレビ愛知：7月7日より毎週水曜日　深夜 26時58分～
※局の都合により、放送日、放送時間の変更の可能性もございます

AT-Xにて
7月12日より毎週月曜日　8時30分／20時30分～
7月15日より毎週木曜日　14時30分／26時30分～
※放送日時は変更になる場合がございます、予めご了承ください

＜STAFF＞
原作 ： 鏡貴也
キャラクター原案 ： とよた瑣織
監督 ： 川崎逸朗
シリーズ構成 ： 吉村清子 ※吉村の「吉」は機種依存文字のため代替文字を使用しています。
キャラクターデザイン ： 島沢ノリコ
美術設定 ： 青木智由紀
色彩設計 ： 川上善美
音響監督 ： 岩浪美和
アニメーション制作 ： ZEXCS
製作 ： 伝勇伝製作委員会

＜CAST＞
ライナ・リュート：福山潤
フェリス・エリス：高垣彩陽
シオン・アスタール：小野大輔
キファ・ノールズ：大浦冬華
イリス・エリス：村田知沙
ルシル・エリス：杉田智和
ミルク・カラード：藤田咲
ミラン・フロワード：諏訪部順一
クラウ・クロム：伊丸岡篤
ルーク・スタッカート：日野聡
カルネ・カイウェル：沢城みゆき
リーレ・リンクル：岡本信彦
ラッヘル・ミラー：増谷康紀
エスリナ・フォークル：竹達彩奈
ノア・エン：高橋美佳子

>>アニメ『伝説の勇者の伝説』公式サイト