数々の日本のアニメのルーツがここに！『エンダーのゲーム』佐藤聡美さんインタビュー！

2014年1月１8日（土）より全国公開となる、オースン・スコット・カード原作、ギャヴィン・フッドが監督を務める映画『エンダーのゲーム』。異星生命体フォーミックの侵略を受けた未来の地球において、世界を救う宿命をもって生まれた少年・エンダーの成長と苦悩を描いた大作SF映画で、日本のアニメや漫画に多大な影響を与えたと言われている作品だ。

日本語吹き替え版をアニメファンにも馴染みの深い豪華キャスト陣が担当することも話題になった本作だが、今回はその中で、エンダーの頼もしい仲間である天才少女　ペトラ・アーカニアン役を担当する声優の佐藤聡美さんのインタビューをお届けする。

■ 初吹き替え！　アニメのアフレコでは感じたことのない達成感

――最初に、演じられるペトラという役について教えてください。

佐藤聡美さん（以下、佐藤）：ペトラは、主人公のエンダーと同じスクールに通っている先輩です。
チームの紅一点で射撃の名手でもあり、性格も基本的にはクールですが面倒見のいい姉御肌という頼もしい人物です。

――初の洋画吹き替えということですが、ペトラ役を演じられる前に、準備などされましたか？

佐藤：自宅にある洋画を吹き替えで観て、「こういう時そんな声が出るんだ」「そういう演技をするんだ」と、他の役者さんの演技からイメージを膨らませたりしていました。アニメと違い、吹き替えは実在する人間に芝居を合わせていく作業なので、その違いをどうしようかと考えたりしましたね。

――実際に演じ終えてみての感想などはありますか？

佐藤：ペトラというのは、凄く凜として、守られる側より守る側にいる女の子なんですけど、どんな状況に陥っても仲間のことを大切に思う気持ちが本当に強いんだなというのを、マイクの前に立っていて改めて感じました。
ペトラは、強いだけじゃなく、心の変化も色々あって、演じる前は「完璧に近い女の子」というイメージだったのですが、演じた後の今では、「等身大の女の子の部分もある、いろんな表情をみせてくれる子」という感じです。

実は、台本をいただいた時私はエンダーに感情移入していたんです。
そのためか、エンダーに優しくしてあげたいという気持ちが声に乗ってしまい、「もっと厳しくしていいですよ」とアドバイスをいただいたりすることもありました（笑）。


また、演出で深い所まで導いていただいたこともあって、アニメーションのアフレコでは感じたことのない達成感のようなものを感じることができました。

技術不足の面や反省点もたくさん見つかったのですが、元々洋画は挑戦したいと思っていたジャンルでもあったので、チャンスがあれば、またやってみたいという想いが強くなりました。


――確かに、佐藤さんの演じるペトラは、「姉のような立場」でありながら「年相応の幼さ」もありつつ、「凜とした芯の強さが伝わってくる」ようでした。

佐藤：ありがとうございます！　向こうでペトラを演じてらっしゃる女優さんはまだ10代の女の子で、基本的には「格好いい」「大人っぽい女性」のイメージで演じているのですが、子供と大人の中間というか、所々に残っている年相応のあどけなさや可愛らしさというのは、私の中でもとても大事にしてあげたいと思っていた部分です。ほぼ初めての吹き替えは難しかったのですが、周囲の方々の導きもあり、なんとかあの形にもっていくことができました。

●ペトラ・アーカニアン
（ヘイリー・スタインフェルド／CV：佐藤聡美）
エンダーが最初に配属されたサラマンダー隊の唯一の女性隊員。隊きっての射撃の名手で、狙いは決してはずさない冷静さと勝気な面を持つが、上級生としてエンダーに射撃テクニックの手ほどきをするなど、面倒見の良い一面もある。艦隊シミュレーション演習では、エンダーから戦闘の要である分子分離装置の操作をまかされる。

■ ペトラのひと言に、女の私でも「キュン」ときちゃう

――映画をご覧になられて、どんな感想を抱かれましたか？

佐藤：月並な感想になってしまいますが、とにかく「スゴイ」と思いましたね。チェックの際に映像を観させていただいたのですが、まず音響のすばらしさに驚かされました。映像のクオリティも素晴らしいですし、映画館で観たら更に「スゴイ」んだろうなと思うと、ワクワクしてきます。

バトルシーンなどで、エンダーやペトラが操作する端末であるとか近未来的な演出も凄く細かい部分まで作り込まれていて。私自身SF要素のある作品が好きなので、「この作品に関われるんだ……」と思うと嬉しくて、観ている間ずっとドキドキしっぱなしでしたね。

――映画の作中で、思い出深いシーンなどがありましたら教えてください。

佐藤：一番好きなのは、エンダー達の助っ人として颯爽と登場するシーンですね。その際にある台詞を口にするのですが、こんなこと言われたら女の私でもキュンときちゃうくらい頼もしくて。あの位の年の子供達って、頼もしくなろうとしても無理をして背伸びしたりという面が見えてしまうと思うんですが、ペトラの場合は自分の芯の部分からある自信というのが凄く溢れていて、凄く格好良いんです。是非みて頂きたいシーンです。

■ 新旧の名作に影響を与えたことを想像するとワクワクします

――本作のような「大作」の映画に関わることになり、どんなお気持ちでしたか？

佐藤：私は洋画の経験がほとんどなく、メインをやるのが初めてだったので、「私でいいのかな？」というのが正直な感想でした。アニメと外画の吹き替えというのはいろいろ勝手が違うので、色々な不安はありました。

けど、選んでいただいたからにはそれに答えたいという想いは強かったし、気持ちやスタッフさんとのコミュニケーションでカバーしながら、たくさんの方々と一緒にペトラという女の子を作りあげていければいいな、と前向きに考えながら演じさせていただきました。

――最後に、アニメイトTVの読者の方々に向けた、本作の見所などをお願いします。

佐藤：最初に『エンダーのゲーム』のお話をいただいた時、現在第一線で活躍されているクリエイターさんにすごく刺激を与えた、私達が夢中になっているアニメのルーツにあたるような作品だとお聞きして、これは凄いと思ったんです。

私自身、よくお世話になっている監督さんの演出や台詞回しが好きで、御飯をご一緒する時なんかに、よくどういう作品をご覧になられていたのかお聞きするんですが、そうしたら「あのシーンは○○という作品に影響を受けてオマージュしてるんだけど、なかなか気づいてもらえなくて」みたいなお答えをいただいて。
私自身のその作品への見方が変わり、より好きになったということがあったんですね。
ただ好きっていうだけじゃなくて、その作品を作った人が影響を受けた作品や、ルーツを知るっていうのは凄く大事なことで、より楽しめるようになると思うんです。

もしかしたら、『エンダーのゲーム』を見てくれた若い方が、「こういう作品を作りたい」と影響を受けて、また凄い作品が生まれるきっかけになるかもしれないと想像すると、本当にワクワクしますね。是非たくさんの方に見ていただきたい作品です。

＜公開情報＞
2014年1月18日（土）全国公開

◆日本のアニメに影響を与えた伝説のストーリー
エンダー・ウィッギンは禁断の“サード（第三子）”として生まれたために、友達もいない孤独な少年時代を過ごしていた。
だが、彼はエンダー（終わらせる者）という名の通り、宇宙戦争を終わらせ地球を滅亡から救う使命を背負っていたのだ。
敵は、独自に進化し圧倒的な軍事力を誇る昆虫型生命体フォーミック。
その第二次侵攻に備え、世界中から選抜された少年戦士たちと共に防衛軍ベースキャンプのバトルスクールに送られた
エンダーは、過酷な訓練によって宇宙で戦うためのあらゆる術を叩き込まれる。たとえ敵であろうと、多くの生命を奪う戦争は許されるのか？…エンダーは強い疑問を抱き苦悩しながらも、驚くべき速さで戦士として頭角を現し、少年戦士たちの指揮官となる。いつ開戦するかもわからない焦燥感と、絶望的なまでの孤独や重圧と戦うエンダーに、最終戦争の時が迫る。
そこには純粋な彼の心を破壊しかねない、衝撃のエンディングが待ち受けていた…。



＜STAFF＆CAST＞
監督：ギャヴィン・フッド／脚本：ギャヴィン・フッド／原作：「エンダーのゲーム」オースン・スコット・カード著
出演：エイサ・バターフィールド　ヘイリー・スタインフェルド ベン・キングズレー　ヴィオラ・デイヴィス with アビゲイル・ブレスリン and ハリソン・フォード
原題：Ender’s Game
配給：ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

◆主な吹替キャスト一覧
エンダー／逢坂良太
ペトラ／佐藤聡美
ヴァレンタイン／白石涼子
ビーン／沢城みゆき
アーライ／桑島法子
ボンソー／内山昂輝
メイザー／麦人
グラッフ／磯部 勉
アンダースン／斉藤貴美子
ダップ／乃村健次
テレサ／田中敦子
シャムラジナガル／大友龍三郎
ジョン／志村知幸
ピーター／阪口周平
ディンク･ミーカー／木村　昴
バーナード／田谷 隼

>>映画『エンダーのゲーム』公式サイト