『キャプテン・アース』監督・五十嵐卓哉さん×シリーズ構成・榎戸洋司さんの公式インタビューが到着【前編】
5月17(土)に第7話が放送になる、オリジナルアニメーション『キャプテン・アース』。それに先駆け本作の監督を務める五十嵐卓哉さんと、シリーズ構成の榎戸洋司さんの前後編に及ぶ公式インタビュー原稿が到着!
前編となる今回は、第6話まで放送されての手応えや、お気に入りのシーン、ダイチというキャラクターを作り上げていくうえで苦労したことなどについて語った内容となっている。
――現在、第6話まで放映は進んでいるわけですが、手応えはいかがですか?
五十嵐卓哉さん(以下、五十嵐):僕はコンテ――映像のもとになる設計図のようなモノを描くわけですが、それがフィルムとして完成するまでの間に、どんどんパワーアップしていく感じを、制作中もずっと感じていたんです。
参加してくれたスタッフのモチベーションが、フィルムにしっかりと定着しているというか。しかもその手応えがまた、次のエピソードを動かす原動力になる。そういう印象を強く受けていて……。ただ放送が始まると本当にあっという間ですね。最近はずっとドキドキしていて、動悸が止まらないです(笑)。
――監督的に、一番力の入ったシーンというと、やはり第1話の打ち上げのシーンでしょうか。
五十嵐:そうですね。企画の立ち上げのときに榎戸さんと話していたのは、地球から打ち上げられたロボットが、合体すると同時にどんどん解き放たれていく。そういうイメージが最初にあったんです。
しかもそのイメージが、『キャプテン・アース』の序盤のストーリーの流れと重なるような印象があったんですね。ダイチたちがだんだんと集まってチームを結成することになる流れが、アースエンジンが合体する様子とどこかリンクしている。「そういう構成になるといいね」という話を、榎戸さんとはしていました。
榎戸洋司さん(以下、榎戸):監督の話にもでてきた通り、今回の企画はまさにアースエンジンの合体シーンから始まったんですけども、僕が個人的に気に入ってるのは第4話、クレープ屋さんのトレーラーからマシングッドフェロー天狼星が出てくる場面なんです。最初、監督は「難しいよ」とおっしゃっていたんですけども、無理を言ってやってもらったんですよね。
――モコがガシンとレバーを引くと、クレープ屋のトレーラーから人型ロボットが出てくるという……。
五十嵐:なんとなく勢いみたいなものなんですかね(笑)。ガチャンと行くと何かが起こる、みたいな。
榎戸:南の島を舞台に戦闘をやるとなったら、やっぱりトロピカルな意匠のクレープ屋さんのトレーラーからロボットが出てきてほしいな、という(笑)。
よく見てもらうと、天狼星のコクピットは、モコが第1話でアブリアクションするために乗り込んだコックピットと同じタイプのものです。カラーリングは異なりますが、どちらもマシングッドフェローです。アバターには、一機ずつ、個体識別機能を備えた専用機があるんです。
――ひとまず序盤では、ダイチがキャプテンになるまでが描かれることになるかと思うのですが、彼のキャラクターを作り上げていくなかで、ご苦労されたところはどこでしょうか?
五十嵐:僕のアニメ人生――といっても、それほど長いわけじゃないんですが、そのなかでもダイチのような男の子を主人公に据えたことがなかったんです。
これまでの僕の作品の主人公というのは、どちらかといえばグイグイ引っ張っていくようなタイプが多かった。でもダイチは何か特別な能力を持っているわけではなくて、ライブラスターが撃てたという以外は、ごく普通の男の子だと思うんです。しかもそういう彼のパーソナリティに反応して、周囲の人々が変化していく。そういう意味では「大変」というより、むしろ「新鮮」な感じを受けたんですね。
榎戸:彼のいいところって「直観に従って、とりあえず動く」ってところだと思うんです。深いレベルでバカじゃないというか。それは西久保に関しても言えることなんですけど、ダイチはなんとなく「種子島に行かなきゃ」と思う。後付けでいろいろ動機は説明できるんだけど、そういうふうに最初に「なんとなく思う」というところが結構、重要かなという気がしていて。現実にこうして生活しているなかでも、直観的に「こういう仕事がやりたい」と思うことが大事というか……。大切であってほしいな、と。
五十嵐:言い方を変えると「偶然」ということだと思うんですけど。ダイチは、偶然から行動を起こすんですけど、それは後から考えると実は、すごく意味があったりする。「僕はこのために、これをやったんだ」と。そういうふうに自分で思えるところが、ダイチのいいところなのかなと思うんですよね。
偶然をポジティブに必然だととらえる事ができる力……榎戸さんが言う「深いレベルでバカではない」というのは、そういうところかなと思っていて。ある意味、ちょっと楽観的なところがあって、しかもそういうダイチの姿を見て、周りの人たちが救われるところがある。
――ダイチとテッペイの関係に、そこは顕著ですよね。
五十嵐:そうですね。ハナもそうだろうし、アカリもおそらくそう。そこがチームとしての「まとまり」になってるんだろうな、と。
榎戸:アカリはすごくスキルの高い女の子で、たぶん種子島に来るまでは友達がいなかったんじゃないかと思うんです。友達を作ろうと思えば作れたんだけど、彼女が「友達になりたい」と思うような人間が周りにはいなかったんじゃないかな。「相手のレベルに合わせるなんて面倒なことをやってらんないよ」みたいな……。
でも、ダイチやテッペイ、ハナを見たときに――コイツらの無茶苦茶さ加減は、もしかしたら自分といい塩梅なんじゃないかと思って、すごく嬉しかったんだとと思うんですよ。しかも、ダイチにはハナやテッペイのことを本気で心配して落ち込むくらい、友達思いなところがある。
[後篇に続く]
5月16(金)0:00掲載予定
【放送情報】
MBS:2014年4月5日より毎週(土)25:58~
TOKYO MX:2014年4月6日より毎週(日)23:30~
テレビ愛知:2014年4月6日より毎週(日)25:35~(初回 25:05~)
MBC:2014年4月9日より毎週(水)25:35~
BS11:2014年4月6日より毎週(日)27:00~
※放送日時は都合により変更となる場合がございます。
【スタッフ】
原作:BONES
監督:五十嵐卓哉
シリーズ構成:榎戸洋司
キャラクター原案:三巷文
キャラクターデザイン・総作画監督:石野聡
エンジンシリーズデザイン・メインデザインワークス:コヤマシゲト
マシングッドフェローデザイン・メカニックデザイン:柳瀬敬之
メカニックデザイン:荒牧伸志・高倉武史
キルトガングデザイン:浅井真紀・吉岡毅
コンセプトデザイン:okama
グラフィックデザイン:草野剛
デザインワークス:齋藤将嗣
特技監督:村木靖
美術監督:矢中勝・衛藤功二
美術デザイン:高橋武之
色彩設計:中山しほ子
撮影監督:神林剛
CGI監督:太田光希
監督補佐:浅井義之
編集:西山 茂
音響監督:若林和弘
音響効果:倉橋静男
音楽:MONACA・神前暁
オープニングテーマ:flumpool
エンディングテーマ:HANA star. 茅野愛衣
【キャスト】
真夏ダイチ:入野自由
嵐テッペイ:神谷浩史
夢塔ハナ:茅野愛衣
夜祭アカリ:日高里菜
西久保ツトム:小山力也
アマラ:鈴村健一
モコ:坂本真綾
セツナ:工藤晴香
ジン:内山昂輝
アイ:山本希望
リン:潘めぐみ
バク:豊永利行
【イントロダクション】
満天の星に埋め尽くされた夏の夜空、宇宙ロケットの発射台がひと際大きくそびえ立つ種子島。その空に浮かぶ「丸い虹」を見たことをきっかけに、ザワつく胸騒ぎに突き動かされて、17歳の少年・真夏ダイチは、この南の島を訪れた。
そこで彼を待っていたのは、驚くべき出会い。“アースエンジン”と呼ばれる白く輝く巨大ロボット、そして“アースエンジン”を通して、顔をあわせる仲間たち――
地下深くで眠り続けていた小麦色の肌の少女・夢塔ハナ。“魔法少女”を自称する天才ハッカー・夜祭アカリ。そして、静かな物腰のなかにどこか狂気を秘めた17歳のデザイナーズチャイルド・嵐テッペイ……。
遠宇宙から地球への侵攻を企む謎の知的生命体・キルトガングに立ち向かうため、チームを結成することになる4人。そしてダイチは、彼らとの絆を通して、自らの“キャプテン”としての才能を開花させていく。
ときに寄り添い、またときにはぶつかりあいながら綴られる、少年少女たちの“ひと夏の想い”。決して忘れられないその想いが、美しい夜空に今、軌跡を描く。
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