絶賛放送中のCGアニメ『なりヒロwww』は「哲学」がテーマ!?　菅原そうた監督インタビュー

現在放送中のCGテレビアニメ『なりヒロwww』。本作は劇場版『gdgd妖精s』の同時上映作品として「序章パート」が公開され、現在は本編が毎週TOKYO MXやAT-X、ニコニ動画などで放送中。

今回は監督の菅原そうたさんに、『なりヒロwww』の魅力や制作のきっかけなどを伺ってきました。サービス精神旺盛な菅原そうた監督の、おもしろインタビューをどうぞ!!

▲菅原そうた監督

――『なりヒロwww』はどのようなアニメでしょうか？

菅原そうたさん：前面には出しませんけど「哲学ヒロインアニメ」なんです。3人のキャラの名前の由来が、プラトンとアリストテレスとソクラテス……ってゆうね……。それをバレないようにしました。臭すぎないように表現しないと嫌われちゃうから（笑）。

　
――監督は哲学がお好きなのですか？

菅原そうたさん：オレ、実は哲学が大好きで、哲学マニアなんですよ（笑）。
哲学っていうと西洋のギリシア哲学とかその後のキリスト教と歴史的にくっついてきたジャンルの哲学が有名でそういうものが哲学と思われがちですが、日本人が仏教思想の哲学だと思っていた「無我」とか「空」の話が　じつは宗教家ではない仏教以前のヤージュニャヴァルキャらの哲人が発明した話だったりとか、ガウタマ・シッダールタの悟ったといわれている無我の境地、宇宙と一体という「究極の悟り」＜梵我一如＞っていうもの自体がヤージュニャヴァルキャの発明した定義だったり、ちょうど「アップルコンピューター」で例えると「発明家のスティーブ・ウォズニアック」と「皆がわかる簡単な言葉で世間にわかりやすくプレゼンするスティーブ・ジョブズ」の関係みたいだったのかなと（笑）。いろいろな時代のいろいろな方向のものを、広く浅く意訳しながら読み漁っています（笑）。

――この作品を企画したきっかけは？

菅原そうたさん：自分の好きな「哲学」とヒロインモノの融合をやってみようとなりまして1話ごとに哲学者を紹介できたらいいな～って思ってたんです。だから最初、プロットに哲学者の名前を書いていったら、プロデューサーから「こんな堅苦しいのはダメです！　エンターテイメントしてください!!」って怒られちゃった（笑）。いまになって考えたら、あのときは哲学が好きすぎて盲目になっちゃってましたね。それで、哲学者の名前を出さずに、「会話」の中に哲学的な要素を混ぜ込んでゆくような感じにしました。



――なるほど。それで『なりヒロwww』が作られたのですね。

菅原そうたさん：萌えだけではなく、裏テーマとして1話では　ソクラテスの＜善＞に触れて、「正義は今の社会みたいに人間主導で詭弁でもなんでも信じてる人の数で決まるか　それとも絶対的な真の正義はあるものなのか？」を挙げ、2話では　プラトンの＜洞窟の比喩＞に触れ、　「この現実は虚構で本物はイデア界にある」といった内容を織り込んでいます。脚本上は設定からそれずに哲学要素だけ相談を入れてもらっています。毎回一人ずつ、哲学要素をハンバーグの中にさりげなく刻んだ人参を混ぜて、気がつかないうちに美味しく食べさせる「健康を考えたお母さんの手料理」のパターンのような感じですね。

　
――哲学に興味がない人でも、見て楽しめる作品になったということですね。

菅原そうたさん：3人のキャラクターがヒロインとして怪人と戦うんですけど、その怪人も3姉妹の会話ともリンクしていたり…。たとえば「時間とはなんだろう」という会話をしていたらリモコン怪人が出てきて、3人のキャラクターの時間を操っちゃう。「ヘッヘッヘッ！　時間が止まったぜぇ～どうしてやろうか！」みたいなアタマを空っぽにして面白く見れる『gdgd妖精s』の“メンタルとタイムのルーム”みたいな展開になるんです（笑）。

一同：（爆笑）

菅原そうたさん：でも3話目あたりから意識的な脱線を入れて、ギャクアニメとしてのエンターテイメント成分を高めていく方向になります。哲学要素の布石は2話迄で打つことができたと思うので。

　
――『gdgd妖精s』の後の作品なので、アドリブを期待しているファンも多いと思いますが？

菅原そうたさん：『gdgd妖精s』がアドリブ満載なので『なりヒロwww』までそうしちゃうと、なんというか……。作品の設定に沿った形で見せていきたいと思います。放送も始まったので言いますと、例えば「ヒロインへの変身時、名乗りのアドリブ」や「必殺技のムチャ振り回答アドリブ」、　「決めポーズアドリブ」あたりはキャストさんたちの個性的なアドリブで展開されていますし、今後もアドリブの絡め方については是非注目して欲しいですね。アドリブポイントもプロデューサーと相談しながら出来上がっています。ただ！これは声優さんの適応力の素晴らしさに尽きるのですが、スタッフ側のムチャ振りにキレイに応えてくださりあたかも脚本のように見えてしまっている部分もありますね。（特に2話のソクラ「必殺技のムチャ振り回答アドリブ」等は完璧すぎです！）「決めポーズ」に関しましては録音ブース内で、「決めワード」を叫びながら、声優さんがその場でアドリブして考えたポーズを構えてもらったものをアニメ内で再現しています。以上のアドリブ部分については「敢えて」のご説明になります。（笑）。ぜひ！なりゆきで上手に出来過ぎた結果www…のアドリブポイントだと思ってご鑑賞ください（笑）。

――今回のキャストはどうやって選定したのですか？

菅原そうたさん：3姉妹ではありつつもキャラクターとしてはそれぞれ違う個性があるので、それに適う3キャストが集まりました。長女・ソクラの田村睦心さん、次女・プラトの巽悠衣子さん、三女・アリスの内田真礼さんという3人が、これからどんなノリを見せてくれるかが楽しみです。また敵側の統括と部下もいるのですが、この2人のハーモニーにも期待です。

――お話はシリアスなんですね。

菅原そうたさん：最終的にそうなるかどうかはまだ脚本が決まっていないので何とも。3姉妹のヒロインとしての成長、何が目的か分からないけどしつこく付きまとうブラックinc.…という形は続きます。

――収録でおもしろかったエピソードはありますか？

菅原そうたさん：敵役のキャラで「BL作品」に出てきそうな甘い声のイケメンの声優さん（鈴木裕斗さん）をキャスティングしたのですが、アニメのなかでも「BL」って名前にしちゃったんですよ（笑）。前任の敵役が「DT」っていう名前だったから2文字のアルファベットっで良いの無いかなと（笑）。鈴木さん本人は超かっこよくて実際人気のある声優さんなんだけど、すんなり「BL」という名前を受け入れてくれて…感謝です！（笑）

一同：（爆笑）

▲BL（CV:鈴木裕斗）

菅原そうたさん：あと田村さんがそのまんま“ソクラ”キャラっぽい面があって、収録が終わってもアニメキャラみたいな人だったのが面白かったですね。

OP曲の収録時、田村さんが綺麗な女の子の声で歌っていたところを本来のカッコ良い声を活かして「キャラ声のままでロックな感じでお願いします!」とお伝えしたらガツンと期待以上の声が出てきたのでシビレましたね。

――制作は順調でしょうか?

菅原そうたさん：去年から取り掛かっていた劇場版『gdgd妖精 s』に力を入れすぎてしまって、『なりヒロwww』を1週で1話仕上げるスケジュールは人生最大のピンチです。(笑)

制作スケジュールがキツキツで、途中から音声だけの番組になるかもしれない(笑)。

だけど音声はおもしろいですよ～。

番組で入りきらないアドリブなどはもちろんDVDになったら映像はつけます。

――テレビ放送なのにダメじゃないですか(笑)。

一同:(爆笑)
　
　
◆作品情報

＜CAST＞
梵（そよぎ）ソクラ：田村睦心
梵（そよぎ）プラト：巽悠衣子
梵（そよぎ）アリス：内田真礼
キャッツオ統括：西村太佑
DT：落合弘治
BL：鈴木裕斗
怪人：西村太佑

＜STAFF＞
企画：別所敬司　福原和晃　古川陽子　尾山仁康　岩崎拓矢
原案・監督・キャラクターデザイン：菅原そうた
脚本：ますもとたくや
プロデューサー：別所敬司　福原和晃　鎗水善史　北澤晋一郎　高瀬裕章
音響監督：久保宗一郎
音楽制作：Hifumi,inc.
オープニングテーマ：「なりゆきだってオーライwww」
作詞／オノダヒロユキ
作曲・編曲／fu_mou
歌／なりヒロ3姉妹 [田村睦心・巽悠衣子・内田真礼]
エンディングテーマ：「にじいろフィロソフィー」
作詞・作曲・編曲／PandaBoY
歌／虹のコンキスタドール
制作：ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ　ファンカンパニー
アニメーション協力：6次元アニメーション　　　　　
製作：ストロベリー・ミーツ ピクチュアズ　ファンカンパニー　ポニーキャニオン
TOKYO MX　MEME TOKYO

■テレビ放送、配信情報
・TOKYO MX毎週月曜25:05～25:20
・AT-X毎週金曜22:45～23:00（毎週金曜更新）

ニコニコ動画「なりヒロwww」チャンネル
YouTube「なりヒロwww」公式チャンネル
にて毎週水曜15時に更新
ドコモアニメストア
隔週水曜12時に更新

>>アニメ公式サイト
>>公式ツイッター