S.S.D.S.第20回診察会「初夏のウインク祭り（オペラグラス推奨）」で13号医局医師のウインク診察に患者の血圧も上昇!?／イベントレポート

　GW最終日となる5月7日（日）、東京・メルパルクホールにて『S.S.D.S.第20回診察会「初夏のウインク祭り（オペラグラス推奨）」』が開催されました。
　速水奨さんが自ら原作・シナリオを手掛けるステージドラマ＆トークライブイベントで、今回で20回目。これまで数多くの声優たちが「13号医局医師」の仲間入りをしてきましたが、今回は速水奨さん、堀内賢雄さん、松本保典さん、関俊彦さん、森川智之さん、高橋直純さん、増田俊樹さん、佐藤拓也さん、西山宏太朗さんというベテラン・若手取り揃えた強力な布陣となりました。

　ステージドラマパートでは、速水さんが生み出す『S.S.D.S.～Super Stylish Doctors Story～』ワールドでベテラン勢が縦横無尽の芝居を魅せ、若手がアクションも交えて体当たりで来る、そんな声優たちの「全力」に惹き込まれます。一転して外来患者（観客）からのお悩み相談に、医師として処方箋を出す質問コーナーでは、アドリブ、ムチャ振り、なんでもアリ！
　とりわけ大先輩からいつ振られるかわからない若手たちが、プレッシャーの中できっちり仕事をこなす姿には、この１ステージで役者としてのレベルアップすら感じるほどでした。

いきなりハードなステージドラマ！　新人研修医はダークサイドのスパイ!?
　開演を待つ場内に流れるアナウンスは、すべて病院の院内放送風。しかもミニドラマで諸注意やイベントグッズ紹介を行うものまであり、開演前から外来患者こと観客の心をくすぐります。

　『S.S.D.S.』はJOY三郎記念聖ラフォーレ病院の13号医局を舞台に、世界最高水準のAIであるDr.HAYAMI（速水奨さん）、吸血鬼の血液内科医ブラディ・トランシルヴァニア伯爵（堀内賢雄さん）など、只者ではない医師たちが繰り広げる騒動を描く作品です。
　今回はドラマタイトルが「物部絵美史の野望」とあり、『S.S.D.S.』初参加の西山宏太朗さん演じる新人研修医・物部絵美史が物語の中心となります。

　夜の部では、最初に昼の部のダイジェストが演じられ、実はダークサイドのスパイらしい物部絵美史が、若手医師の新田龍之介（増田俊樹さん）と時岡新太郎（佐藤拓也さん）の頭にダークチップを埋め込み、ダークサイドに寝返らせるというハードな展開からスタートします。

　一方、呑気に山でオリエンテーリングに興じる医師たちでしたが、こちらもすでに絵美史の幻術にかけられており、バウム・クーテヘン教授（関俊彦さん）はAI機能停止、小児科医・沢登達哉（松本保典さん）は幼児退行に追い込まれてしまいます。
　その際、幼児芝居をたっぷり見せるはめになった松本さんが、舞台からハケる間際に「来るんじゃなかった～！」と絶叫！　役者陣が隙あらば入れてくるアドリブに、客席も笑いが絶えません。

　さらに、お調子者のミヒャエル・シューマイヤー（森川智之さん）の余計なひと言により、Dr.HAYAMIが秘匿する超先端医療テクノロジーの存在が絵美史に露見。幻術には耐性があったDr.HAYAMIも、飲み物に仕込まれていたナノボットによってポンコツにされてしまいます。
　邪魔な13号医局医師たちを排除した絵美史は、ついに「時の道」への扉も見つけ――といったところでステージドラマ前編は終了します。

　
ウインクに名刺交換、ラジオ体操など、独自路線のバラエティ感も「S.S.D.S.」の魅力！
　ハードなステージドラマから一転。賑やかに始まるバラエティコーナーでは、「初夏のウインク祭り（オペラグラス推奨）」のタイトル通り、まずはキャスト陣によるウインクの大サービスが振り撒かれます。
　今回はイベントグッズにもオペラグラスが用意されており、観客はウインクや投げキッスにオペラグラスで食い入り、黄色い声を響かせます。

　病院歌「白亜の迷宮」を会場全員で歌った後は、恒例の名刺交換タイム。医師たちが客席を回り、観客と名刺交換するという大人気コーナーです。
　最初にお手本役として、ブラディ先生とバウム教授が指名されたのですが、猫のケンカのような威嚇に始まり、英語で挑発、謎言語での会話、猫だまし、うっちゃり、最後はバウム教授の脳天チョップでブラディ先生がノックアウトされるという、ひとかけらも役に立たないお手本を披露。しかも観客の大爆笑の中、Dr.HAYAMIの「交換してない」というツッコミを受けて、2人が至って普通に名刺交換を始める姿に役者陣もたまらず爆笑します。

　客席に名刺交換に来た医師たちと間近で触れ合い、全員一緒にラジオ体操で身体をリフレッシュした後は、佳境を迎えるステージドラマ後編へ。

　
13号医局の逆襲！　絵美史の秘密と事件の意外な真相とは!?
　「時の道」の発見に沸く絵美史たち。そんな彼らの前に、京都の老舗和菓子屋主人で沢登達哉の祖父・餅太郎（松本保典さん）が現れます。餅太郎は絵美史の野望を止め、13号医局のピンチを救うべく、特製栗ようかんを使って説得を試みるも、絵美史の幻術であえなく退場させられます。

　任務完了にほっとする絵美史。そこに続々と現れる、13号医局の医師たち。戸惑う絵美史に、すべては「絵美史の歓迎会」のためにやられたふりをしていただけだと明かします。
　そもそも彼を13号医局にスパイとして送り込んだ命令自体が、実は絵美史の父親だったダークサイド総統からの、我が子を預けるための偽装だったことまで発覚。晴れて新人研修医となった絵美史を酒宴で歓迎し、これまで新人研修医扱いだった龍之介が今回の活躍で特別ワクチン外来科に配属が決まったことも発表され、13号医局の笑い声でめでたしめでたしとなりました。

ムチャ振りから生まれる名演技！　診察コーナーでは役者陣の地力が試される!?
　ステージドラマの後は、外来患者の悩みに医師たちが処方箋を考える診察コーナー。
　答える「担当医」が誰になるかは、患者から指名されている場合もあれば、誰かから突然振られることもあり、全員気が抜けない独特の緊張感の中で進みます。

　「好きな女性の抱きしめ方」という質問に対しては、Dr.HAYAMIが絵美史、龍之介、時岡の若手3人を担当医に指名。女性役と男性役を持ち回り、実演することになります。
　1番手は男性役が龍之介、女性役が絵美史。絵美史の前で龍之介が膝をつき、お腹に顔を埋めて抱きしめるスタイルに客席は大興奮！
　2番手は男性役が時岡、女性役が龍之介。椅子に座るいい女をパントマイムで表現する龍之介に、会場がどよめきます。そして大人の男と女の、これから始まる夜の時間といった会話と、決めのセリフと共に時岡が後ろから抱きしめに行ったことで、会場も大盛り上がりに！

　最後は男性役が絵美史、女性役が時岡。ここでなんと時岡が、戦前の肝っ玉母さんのような縫い物のパントマイムで爆笑を巻き起こします。これにどう絡むか注目された絵美史ですが、低い体勢から滑り込んで時岡の膝枕に収まった華麗な動きに、観客は拍手喝采！　さらにそこから時岡の膝に絵美史が座る二人羽織り形態に移行し、庶民夫婦の夕飯時を演じ切った2人には、惜しみない称賛が贈られました。

　話の途中で何かを思い出したら、話題がどんどん逸れていくのも本コーナーの特徴。特に呑みの席での面白エピソードには事欠きません。
　「忘れ物の多さが悩み」という質問から、酔った堀内さんが関さんの忘れ物を取りにいこうとしてゴールデン街で迷子になった話、酔った堀内さんが森川さんの靴を履いて帰ってしまった話などが次々と語られます。

　しかも靴の話に関しては、当人たちによる再現芝居まで行われました。堀内さんが酔って帰る様子を再現した芝居のクオリティの高さと内容の面白さには、会場中が笑いっぱなしに。そして下駄箱で靴が間違えられたことに気付いて焦る様子を、森川さんが脱いだ靴を使って再現した芝居も、実際の状況がありありと浮かぶほど。
　さらには森川さんが靴を履き直す様子が、なぜかシンデレラのガラスの靴の場面になり、王子様の速水さんがシンデレラの森川さんを迎えに来るハッピーエンドまでが、その場のアドリブで演じられます。この名優たちの悪ノリも、本イベントの大きな魅力です。

　今回のパンフレット撮影時に西山さんがベルトを忘れてしまい、速水さんが身に着けていたベルトを引き抜き、貸してくれた逸話も紹介されました。その際、ベルトの穴が同じだったことも西山さんを感動させたそうです。
　しかも、そのベルトをしたまま西山さんが帰宅してしまい、途中で気付いて血の気が引いたことや、その時のベルトを速水さんが今日も使ってくれていたことが嬉しいと語ります。そんな西山さんに対し、速水さんが「だって君の温もりがあるんだもん」と甘い声で返したため、観客も西山さんも撃沈されていました。