声優
映画『ザ・マミー』森川智之×山路和弘が語る作品の注目ポイント

『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』森川智之さん&山路和弘さん対談――ファンサービスからなるトム・クルーズの遊び心と、ラッセル・クロウの名優たる地の演技とは

『魔人ドラキュラ』(1931年公開)や『フランケンシュタイン』(1931年公開)などユニバーサル・スタジオが手がけたモンスター映画を、次世代向けにリメイク・シリーズ化することを発表し、世界中で大きな話題を呼んでいる「ダーク・ユニバース」シリーズ。そのシリーズ第一弾作品に選ばれた『ミイラ再生』(1932年公開)が、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』として生まれ変わり、2017年7月28日(金)より公開されます。

 日本語吹替えキャストに、森川智之さん、沢城みゆきさん、山路和弘さん、中村悠一さん、高岡瓶々さん、鈴木達央さんの出演する本作。この度、日本語吹き替えを担当した、ニック(トム・クルーズ)役・森川智之さん、ジキル博士(ラッセル・クロウ)役・山路和弘さんにインタビューを実施! 作品や吹き替えを担当した俳優陣の印象、さらに本作の見どころまでたっぷりとお伺いしました。

 

ラッセルの名優たる地の演技と、ファンサービスからなるトムの遊び心
――お二人は映画をご覧になっていると思いますが、ご覧になった感想を教えてください。

森川智之さん(以下、森川):そうですね、全てが網羅されているエンターテイメントであり、しかもトム・クルーズが主演ということで、この夏はこれを観ればもういいんじゃない?というぐらいの、この夏ぴったりのザ・エンターテイメントです。なおかつ、MX4D、4DXなどもあると思うのですが、これは劇場に足を運んで観なくてはいけない映画なのだととても強く感じました。演じていて楽しかったですし、結構ギャグテイスト満載なところがあって、面白かったです。こんなにふんだんにギャグテイストが散りばめている作品に出演するのはトムとしては、未だかつてないのではないのかというぐらいです。『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』以来じゃないですかね?

山路和弘さん(以下、山路):映画館で観てこそ面白いと思える映画でしたね。あと冒険活劇として、あまりベタベタしていない。砂漠だけに。

森川:おお、凄い!

山路:あれ、余計なこと言った?

森川:キレてますね!キレッキレですね!

山路:まぁ、そんな感じが凄くしましたね。ラッセル・クロウは、楽しそうだった。

森川:楽しく取っ組みあっていましたよね!水を得た魚のようにラッセルが暴れまくっていました。

――トム・クルーズもラッセル・クロウも今までの映画の中のイメージとは少し違うと思います。トムはチャラく、ラッセル・クロウも今回はいつもニヤニヤしながら演技をしていると思うのですが、お二人は演じられる際にどのように変化をつけましたか?

山路:俺は、同じだよ。あの人(ラッセル・クロウ)は色々やるから。あんまりパターンが決まっていないというか、割とあの人はそのまま地でやるので、そんなに変える部分はなかったです。それがあの人の良さというか、そこがあの人の名優たる所以だと思うんだけど。ただ、ジキルとハイドの変え方がちょっと自分で笑ってはにかみながら楽しんでいるって感じに凄く見えたので、こっちもそんなに頑張って変えるということはしないほうが良いなと思って演じましたね。

森川:やっぱりトムのイメージって皆さんそれぞれに強くあると言いますか、正統派の2枚目のハリウッドスターは誰だと言えば、トム・クルーズってなると思うんです。そこが多分、今回はトムが映画館に足を運んでくれる観客に向けて、ちょっと違うよと見せたいというか遊び心が出ているんじゃないかと思ったんです。台詞の言い回しにしても今回吹き替えていて、ちょっといつもと違うテンポ感だったり、素っ頓狂な声を出したりするんですよ。

だから、これは相当楽しく撮影したのかなというのが垣間見えて、僕自身も凄く良い意味で楽に演じられましたね。いつもだといわゆる“トム・クルーズ作品”といった感じのものが多いので、やっぱり役の作り方も寄せていかなければという部分もあるのですが、今回に関してはアクションだったりとかも大きく演じていたりするので、逆に僕自身に委ねられている部分もあるのかなと思いながら演じました。


森川さん&山路さんが抱いた冒険心と「ダーク・ユニバース」への期待

――今回それぞれトム・クルーズとラッセル・クロウの吹き替えのオファーをいただいたときの感想を教えてください。

山路:ラッセル・クロウを演じるのは久しぶりだったんですが、あの人(ラッセル・クロウ)が真面目な役を演じる作品だったりすると僕のところにオファーがこなかったりするんですよ(笑)。ちょっとアクション系の、どっちかっていうとおっちゃん系の役のときに来るというか。だから、今回はどんな役なのかなとか楽しみでしたね。

森川:またかっこいいトムが見られるのかなと思って、ネットで調べたらちょっと違うぞ!と。新境地をまた開拓しようとしているのか、凄いなと思いました。連絡が来た時には、一体どんなトムが見られるのか、早く見たいなと思いましたし楽しみでした。それに、「ダーク・ユニバース」というハリウッドの歴史に新たに刻まれる、ユニバーサル・スタジオのモンスター映画のシリーズ化の第一弾作品であり、なおかつ『ミイラ再生』のリブートですから、そこもとても楽しみでした。

――トム・クルーズ演じるニックは凄く怖い物知らずな部分がありますが、お二人は冒険心が強いですか?

森川:冒険って凄く良い言葉じゃないですか。やっぱり小説とか映画とかドラマとかと違って、実際の生活の中で、「さぁ冒険に行くぞ!」という人ってなかなかいないと思うんですけど、今いる生活の中から全然違うところに飛び出したいっていう気持ちってみんな持っているじゃないですか。でも、そんな気持ちをずっと持っているからこそ、こういう作品を観ると、冒険っていいなって思います。

山路:実際やるとね、危ない人になっちゃうからね。

森川:迷惑な話ですよね。「山路さん連絡取れないんだけど……」「冒険の旅に出たらしいよ!」ってね。「連絡つかないよ」「もう携帯も持ってないらしいよ」「いつ帰ってくるのかもわからないらしいよ」ってなっちゃうとね。

山路:冒険なんかしていられないよね。

森川:でも冒険とまではいかないけど、何も計画なく旅に出かけたりとか、世界一周してみたいなとかそうゆうのは常にありますけど、なかなかね。

――米ユニバーサル・ピクチャーズが立ち上げた映画シリーズ「ダーク・ユニバース」に期待することは何ですか?

山路:個人的にドラキュラが凄く好きなんです。だからいつやるんだろうって楽しみですね。子供の時に観た、遊園地にあるスリラーハウスでドラキュラのときだけ子供心にドキドキした覚えがあって。女の人の首と肩にグッと噛みつく動作がたまらなくて、未だにゾクっとするんですよね。

森川:僕は透明人間に子供の頃に凄くドキドキしました。子供の感覚で、なんか悪いことできるな、イタズラできるなと(笑)。透明人間になるとまず裸にならなくちゃいけないんだとか。

山路:そうそう。途中で能力が切れたらどうしようって思ったりね。

森川:思いますよね。

山路:でも、ジョニー・デップが透明人間を演じるって、あれ自分が選んだんだろうね。

森川:でしょうね。一番最初に選んじゃったんじゃないですか。「この3つの中どれが良いですか?」「俺これ!」って。

山路:半魚人もあるじゃん、あれを選んで欲しかったな。

森川:半魚人はハリウッド的に、顔が変わっちゃうから。

山路:そっか!なら下だけ半魚人に。

森川:続くのであれば、豪華俳優陣の夢の共演が見られたりするかもしれないわけなので、楽しみですよね。


森川さんイチオシ! 男性・女性目線から見たトムの魅力とは?

――本作品で森川さんはラッセル・クロウ演じるヘンリー・ジキルに対して、山路さんはトム・クルーズ演じるニックについてどのような印象がありましたか。お互いのそれぞれの印象を教えてください。

森川:作品を台本と照らし合わせながら見ていて、一番最初に思ったのは、「うわ!ジキル博士って普通に名乗った!」と思いました。

山路:ちょっとあれ面白かったよね。

森川:面白いというか、あそこのシーンだけは本当にジキル博士の独壇場になるのでそれが凄い見応えがありました。

山路:トムが主役なわけだけど、あのシーンは、トムがラッセル・クロウに譲っていたよね。

森川:僕から見てジキル博士って、どうゆうふうに内面と戦うのだろう、現代版ジキル博士ってなんだろうっていう興味が凄く湧きます。これから観る人はその辺を意識してみてほしいなと思います。

山路:最初、今回トムはずるい狐みたいな役をやっているんだなと思って観ていたんだけど、やっぱり徐々に骨太の男を出してくるじゃない?そういう持っていき方の上手さという面で、キャラクターではなく、トム自身をみちゃったかな。

――最初の飛行機で落ちてくるシーンとか本当にどうやって撮ったんだろうって思いますよね。

山路:あれ、凄いよね。あのシーン、大好きです。

森川:実際あの状態で撮影しているんですもんね?

スタッフ:そうです。ZERO Gという無重力用の機体を使って。

山路:俺、絶対CG入っていると思ってた。

森川:いや、トムといえば自分でやる、飛行機と車は鉄板です。あのシーンは、劇場で観たらみんなね、多分踏ん張りますよ。手すりをこう握りますよ。そのぐらい迫力あります。そして、その次のシーンでは、ニックは死体袋の中に入っていましたからね。しかも全裸で。上半身だけとかちょっとはあるんですけどね。今回は机で隠していましたからね。あっ、とか言って後ずさっている。トムの全裸で後ずさる姿は見られないですよ。貴重ですね。ブリーフ姿で踊っている『卒業白書』以上のものを感じましたね。

――どうやったらこんなにたくさんの方の声を演じ分けられるのですか? 秘訣があれば教えてください。

森川:出来上がったものがあるので、僕らはそれらを見てこんな感じなのかなと役作りをしています。多分画がなかったら同じになっちゃいます。映像があることによって掻き立てられるわけです。骨格とか人によって違いますし。

山路:確かに我々は顔を見ながらやるから自然に声が微妙に変わっていくね。

森川:僕らは意図的に変えているわけではありませんが、変わっているんでしょうね。

山路:意図的にこの声だって変えてやっているわけではなくて、その役になりきって映像を見ながらやるから、そのときのシチュエーションでその声が出ているのであって。だからよく「あの時の台詞言ってくださいよ」と言われるのが僕ら一番困るんです(笑)。やっぱり映像や絵がないと、難しいと思うんですよね。

――男性目線で本作品の注目してほしい部分とか、トム・クルーズの全裸の肉体美ではないですが、女性目線でキュンとくるポイントがあったら教えてください。

森川:男性目線といったら、やっぱりアクションが凄い!銃撃戦はあるわ、肉弾戦はあるわ、人間以外の様々なものと戦うわ、カーアクションや飛行機のシーンでの無重力アクションもあったりと、もうとにかく凄い!シーンごとに息つく暇もなく飽きさせないスピーディーな展開も、男性にとっては面白い、飽きさせないポイントではないかと思いますね。

トムが演じるキャラクターって、結構手の届かない感じの設定が多いですが、今回演じているニックって軍人ではありながらチャラかったり、色々設定はあるけれど、本当に等身大の普通の男であってスーパーマンではないので、感情移入して観られるんじゃないかなと思いますね。

女性目線からとしては、5000年の封印から蘇ったミイラのアマネットさんは、特に今の日本人の女性からしたら、多分凄くドンピシャな感じのキャラクターですよね。ジェニーは本当にいわゆるヒロインというか、綺麗な方なんですけど、なんか二人とも凄く素敵な女優さんなので、その2人の演技とか表情とかも楽しめるポイントかと思います。あと、ジェニーとニックとの出会いから、関係性が徐々に変わっていくところを注目してほしいですね。何しろ、今回トム・クルーズがいきなりひっぱたかれますから。

山路:あそこのシーン俺好きなの。気の強い女性って好き。あそこでもう、あっ、となるんだけど、そのあとジェニーの目がハートになる展開になるじゃない?あれがね、俺ちょっとやられるんだよね。

森川:よくあるじゃないですか、出会いは最悪、みたいなね。

山路:私は是非、あそこの展開を男性目線のポイントとしてあげたいですね。

森川:言い訳をするトムがまた面白いんですよね。

――ありがとうございました!

 

作品情報
■『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』
7月28日(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー

配給:東宝東和

[スタッフ]
監督:アレックス・カーツマン
プロデューサー:アレックス・カーツマン、クリス・モーガン、ショーン・ダニエル
エグゼクティブプロデューサー:サラ・ブラッドショウ
脚本:ジョン・スぺイツ、クリストファー・マッカリー

[出演]
トム・クルーズ、ソフィア・ブテラ、アナベル・ウォーリス、ジェイク・ジョンソン、コートニー・B・ヴァンス/ラッセル・クロウ

>>公式サイト
>>公式Twitter(@TheMummy_JP)
>>公式Facebook
(C) Universal Pictures
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