自分自身を物語の主人公だと思って生きています――映画『スパイダーマン:ホームカミング』ピーター・パーカー役 榎木淳弥さんにインタビュー!
15歳の高校生スパイダーマンとアイアンマンとの競演で話題のスパイダーマン新シリーズ『スパイダーマン:ホームカミング』。2017年8月11日(祝・金)に日本公開を迎え、初日から3日間の累計成績は累計動員506,929人、累計興行収入775,325,400円と大ヒットを記録中です。
今回アニメイトタイムズでは主人公であるスパイダーマン/ピーター・パーカーの日本語吹替版を担当した榎木淳弥さんにインタビューを実施。再スタートした新たなスパイダーマンを演じる心構えなどを語っていただきました!
――今回、スパイダーマン/ピーター・パーカーの吹替え役に決まったときの心境をお聞かせください。
榎木淳弥さん(以下、榎木):まさか自分がスパイダーマンの吹替版の担当をさせてもらえるとは思っていませんでした。オーディションを受けさせていただいたんですが、正直、記念受験的なものだと思っていて、“貴重な経験をさせてもらえたな”くらいの気持ちでいたんです。ですので、いざ決まったときは嬉しさ半分、プレッシャー半分という感じでした。
――周りの反応はいかがでしたか?
榎木:『スパイダーマン:ホームカミング』のキャストが発表されてから、学生時代の友人たちから “ニュース見たよ”という反応をたくさんもらいました。それで改めて“凄く大きな作品に関わらせていただくんだな”ということを自覚しました。
――完成した本作をご覧になった感想をお聞かせください。
榎木:自分の芝居を振り返ってのあら探しというか、反省点を探してしまいがちで素直に楽しめないことが多いんです。ただそれでもこの作品を通して観たときは、素直に“楽しかった!”と感じることができました。これって凄いことだと思っていて、僕がそういう気持ちでいたのに純粋に楽しめたのだから、相当面白い映画になっていると思っています。
――過去に公開された『スパイダーマン』は、あえてどれもご覧になっていないんですよね?
榎木:そうなんですよ。僕はこの、トム・ホランドさんの演じているスパイダーマンのイメージをこれからも大切にしたいと思っていて、今までのイメージにはなるべく囚われないようにしたいんです。
――そんなトム・ホランドさんの演じるピーター・パーカーをご覧になってどう思いましたか?
榎木:まるでアメコミからそのまま飛び出してきたような感じですよね。天真爛漫で、動きもどこか跳ぶようにコミカルで。僕は『スパイダーマン』シリーズ全部は、きちんと観たことがないですけど、イメージしていたスパイダーマンに凄くマッチしていると感じました。
――吹替にあたっての苦労や、気をつけた点はありますか?
榎木:15歳の高校生らしくすることです。なんというかあの時期の慣性って独特のものがあると思うんです。だから僕がただ感情だけを乗せて演じてしまうと、それは15歳の芝居にはならないのかなって思ったんです。技術的な部分ではなくて、リアルな高校生が喋っているような新鮮さを表現できたらなと、そう思いながら収録に臨ませていただきました。
――特にこのシーンは上手くいった、というところはありますか?
榎木:凄く細かいところなのですが、気に入ったシーンがあって。閉じ込められたみんなを助けるために塔から飛び降りるシーンで“ああ、これ死ぬな”というセリフがあるのですが、若者がなにも考えないでふと口にしてしまったように気持ちを乗せることができたんですよ。本当に細かい部分なので、多分観ている人は全然気にしないと思うんですけどね(笑)。
――その他に榎木さんが“ここはぜひ見てほしい”というシーンはありますか?
榎木:前半のスパイダーマンになっているシーンは、注目して観てもらいたなと思っています。ピーターが自分をヒーローだと自覚する前で、本当にただ楽しくてヒーローをしている。そういう軽さは上手く表現できたと思っています。
――普段の高校生活のピーターと、ヒーロー活動中のスパイダーマンとで役作りを変えた部分はありますか?
榎木:ピーターは学校だとあまり目立つタイプではないと思うんですよ。そんなに自分を出すタイプじゃないというか。ただスパイダーマンになっているときは、自分の中の部分を全部さらけ出すことができている。マスクを被っているのもあるとおもうのですが、気持ちが大きくなって、より少年らしさが出ている感じなんでしょうね。その落差を感じられるように意識して演じてみました。
――男性目線で、ここはグッと来る、という場面があったらお聞かせください。
榎木:僕自信が感応したのが、ピーターが瓦礫から立ち上がって、スパイダーマンとしてヒーローの自覚を持つシーンです。やっぱり男としては、自分に打ち勝つ、とう部分は熱くなりますよね。
バトルシーンでも、今回はいろんな機能のついたスーツを駆使して戦うんです。電気ショックとか、そういった機能を使い分けるのに軽妙さが出ていて面白いなと思いました。今までにない斬新な戦い方だなって。
――女性にオススメのポイントなどもあればぜひ教えてください。
榎木:ピーターがリズをデートに誘うシーンがあるんですね。それが成功したときピーターは気取ってあまり喜びを全面に出さないんですが、リズがいなくなってからニコッと笑うんです。そういう素直じゃない仕草とかは、可愛いなと思っていただけるんじゃないでしょうか。
――吹替全般においての心構えだったり、気をつけていることはありますか?
榎木:まだ、吹替の経験は浅いので、あまりわかったようなことも言えないんですけど、自分としては、基本的にもとの俳優さんに寄り添ったお芝居をしないといけないと思っています。そうしないと画からも外れてしまいますし、向こうの意図を汲み取らないと失礼ですから。ただ、やっぱり芝居をやっている以上、その表現を超えたいなという気持ちもありまして。本当に一箇所でも、よりいい芝居よりもいい表現ができたらなというのは、いつも思って演じています。
――今回手応えはありましたか?
榎木:それは観てくださった方に決めていただけたら嬉しいです(笑)。
――ピーターはトニー・スタークたちアベンジャーズに憧れている設定ですが、榎木さんご自身が憧れているヒーローはいるんでしょうか?
榎木:実は、あまり小さい頃にヒーロー作品にハマったりしなかったんです。ただ、常に自分自身を物語の主人公だと思って生きているので。辛いことがあっても、これはストーリーなんだと思って、ここから盛り上がってくるから頑張ろうと考えたり、反対に良いことがあっても、ここで油断したらダメだと考えるようにしたり。
――では榎木さんの考えるヒーローは自分だと
榎木:そうですね。はい、そういうことになるかと(笑)。
一同: (笑)
――素晴らしい格言をありがとうございます(笑)。それでは最後に、映画の公開を楽しみにされている方へメッセージをお願いします。
榎木:今までの映画を観てきた方も、この『スパイダーマン:ホームカミング』でまた新しい『スパイダーマン』が始まったんだと思ってもらえるでしょうし、初めて観てくださる方にも、“スパイダーマンってこんなに面白いんだ”と感じてもらえる作品になっています。年齢問わず、多くの方に楽しんで観ていただける映画になっているので、みなさんぜひ劇場でご覧になってください!
[文/原直輝]
作品情報
『スパイダーマン:ホームカミング」絶賛公開中!
【スタッフ】
監督:ジョン・ワッツ
【出演】
トム・ホランド、ロバート・ダウニー・Jr.、マイケル・キートン、マリサ・トメイ、ジョン・ファヴロー、ゼンデイヤ、トニー・レヴォロリ、ローラ・ハリアー、ジェイコブ・バタロン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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