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『ピアノの森』EDテーマ「帰る場所があるということ」悠木碧さんインタビュー

『ピアノの森』EDテーマ「帰る場所があるということ」悠木碧さんインタビュー|ファンのみんなの帰れる場所になるように

2018年4月より放送がスタートしたTVアニメ『ピアノの森』。劇中のピアノ演奏に名だたるピアニストを起用するなど、音楽面でも聞き逃せない作品に仕上がっています。

そのうちのひとつ、エンディングテーマ「帰る場所があるということ」を担当しているのが声優の悠木碧さんです。今回、アニメイトタイムズでは、悠木さんのロングインタビューをお届け。

コロムビアに移籍して2枚目となるシングル。彼女はどのような想いを込めて作品に取り組んだのでしょうか? そこにはゆとりができた今だからこそ見つけられた、大切な宝物がありました。

そんなにゾーンに入らないでくれ、私……!

――以前、インタビューさせていただいたとき(※1)もそうですが、悠木さんのTwitterはいつも見ていて楽しそうなので、見ているこちらも幸せな気持ちになりますね。

悠木碧さん(以下、悠木):意味分からないですよね(笑)。たくさん取り上げていただいて、ありがとうございます!

※1:以前、インタビューさせていただいたとき
『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』のOPテーマ「永遠ラビリンス」について悠木碧さんにインタビューを行いました。今回の曲と比べると、ギャップがおもしろいかも?

↓記事はこちらから!
●悠木碧さんのレーベル移籍初となるシングル「永遠ラビリンス」リリースインタビュー

――『トランスフォーマー』にもハマっている(※2)とか……!

悠木:あのツイートのおかげで、謎に『トランスフォーマー』のチームまでその情報が伝わってしまいまして(笑)。私だけがすごい得をして、本当にありがとうございます! そんなくだらないことをネタにしていただいて、ありがとうございました(笑)。

※2:『トランスフォーマー』にもハマっている
悠木さんは、昨年公開された映画『トランスフォーマー 最後の騎士王』にハマったそうで、その愛をTwitterでも存分に披露しています!

↓記事はこちらから!
●悠木碧さん、バンブルビーの母になる「ビー、私がママだよ…。」

――いえいえ。楽しそうでなによりです! では、本題に。今回はコロムビアから早くも2枚目のシングルということですけども。今のお気持ちはどうでしょう?

悠木:1枚目の「永遠ラビリンス」のときは、みんながどういう風に反応してくれるのかなっていう気持ちが一番大きくて。

ビクビクドキドキみたいな気持ちもけっこうあったんですけど、返ってきたお客さんの反応がすごく温かかったんです。それで一段落できたというか。

「永遠ラビリンス」って、今までとは全然違う方向に打った球だったはずなんです。なんだけど、今までのお客さんも応援してくれたんです。「碧ちゃんがやりたいこと何でも応援するよ」という声をかけてくれて。

その過程で、「私が歌うことをこんなに求めてくれるんだ」というのを感じたのが「永遠ラビリンス」でした。そこからの2枚目なので、ちょっとずつ自分の好きなものが復活してきたんです。

色んな人から意見をもらったら、「こういうものを作りたい」「ああいうものを作りたい」っていう想いがより湧いてきました。1枚目でお客さん達からもらったレスポンスのおかげで、さらに詰め込めた一枚になったんじゃないかなと思っています。

シングルなので、アルバムほど詰め込むことはできないんですけど、想いは込められたかなって思います。

私の中で、アルバムはレイヤーを重ねて一枚の絵を作るというイメージで、シングルはもうちょっと油絵やアナログで1枚で描いたみたいなイメージなんです。

なのでいろいろなところに、「ここにこの色が合うかしら?」と思いながら一筆で描いていくみたいな。そういう作り方が、さらににできたんじゃないかなと思います。

――以前のインタビューでも仰っていましたが、自分の中の世界ではなく、外から入ってきた世界を描けるようになったからこそ、今回のシングルになっているのではないのかなと。

悠木:そうですね。それこそ今の新しいチームで自分のやりたいことがあったり、お客さんに聴きたいと思ってもらうことだったり、アニメタイアップでやって欲しいと言われていることがあったり……。

「永遠ラビリンス」の時は、私の中でやりたいものというのを一回置いといて、いろんな人の意見を吸収して作りたいと思いました。そういう活動をこれからしていこうというのはブレてなくて。

今は、そのバランスがもっと整えられてきた感じですかね。お客さんからのフィードバック、音楽チームからの「こんなことができるよ」というアプローチ、それによって私は「じゃあこの中ならこういうことをやってみたい」が出てきているんです。

私の好きな物をがっちり盛り込みながら、作品にも添えられたかなという感じです。

実は、私も自分のやりたいことに欲が出てきて(笑)。ちょっと欲張ったかなという気もしているんですが、そういう意味でも「帰る場所があるということ」は、お気に入りの作品になったかなと思います。

――逆に自由度が広がったんですね。

悠木:その中でも、アニメチームに100%応える、できる範囲で答えるというのをやりたいと思っていたんです。お互いが歩み寄りながら、縛りがある中でどれだけ遊べるか。

声優って多分、その表現にすごく特化していると思うんです。

アフレコでは、画があって、セリフがあって、マイクは4本しかなくて。無いものの中で想像して演じるという、けっこうな縛りの中で芝居をするんです。

今回の「帰る場所があるということ」は、原作が『ピアノの森』で、エンディングテーマで、楽曲は明るく終わって欲しいという要望もありました。

これをきっちりこなすだけではなくて、この中でどうやって私が表現していこうかなを楽しめるようになったんです。その中の“悠木碧らしさ”みたいな。

その縛りの中で楽しむというのが今年の私の目標だったりするんですよ。そんなことを考えながら作っていました。

――悠木さんならではの遊びの部分もあったり?

悠木:『ピアノの森』って、誰でも共感できる人間の柔らかい部分がすごく詰まった作品なんです。私も『ピアノの森』のそこがすごく良いと思って楽曲を作っていきました。

だから、そんなに遊ぶ必要がなく、「そうそう、この中に綺麗に収まるよね」というのはすごくあったんです。

歌を歌ってお客さんに発信するのは、すごく能動的な事なんですけど、「帰る場所があるということ」は、聴いた人を受け止める曲になりたいと思いました。この曲がみんなの帰る場所になるというか、みんながリセットされるような曲になるというか。

遊びというところなら、個人的にも歌詞が好きすぎて、入り込みすぎちゃうところがけっこうありました。そこが遊びにつながったかなと思いますね。

――入り込みすぎるとは?

悠木:これは何度話しても「本当に幽霊はいるんですよ!」みたいなモヤっとした話になるんですけど(笑)。

スポーツ選手が“ゾーンに入る”って言うじゃないですか。役者も同じゾーンに入ることがあるんです。

私の場合はゾーンに入りやすいのはお芝居をしているとき。文字とか音楽とかにのせられて引き込まれると、ギュンッ! と集中するんです。

ゾーンに入ったときって、すごく訴えが強くなるんです。でも、この曲はみんなを受け止める曲にしたかったから、「そんなにゾーンに入らないでくれ、私……!」と思ってはいるものの、入ってしまって……。

感じたものとか言いたいことが生まれちゃうんですよ。それだけこの楽曲に引き付ける力があったんだと思います。意図せずじゃないんだけど、私の本当の気持ちというか、頭で理解してない本当の気持ちが出てきちゃっていました。

だからこそ、私の心の柔らかいところが、ちゃんと乗っかったんじゃないかなと思います。そこが、いわゆる縛られた中での遊びになったんじゃないかなという気がしています。

……すみません、すごく概念的な話で。

――いえいえ。ゾーンに入るというのは役者ならではの感覚なので、面白いお話です。

悠木:この話すると、本当にみんなに「意識高いね〜」みたいなことを言われるんですけど、「違うんだよ! ほんとになるじゃん!」みたいな(笑)。あるんですよ!

――僕たちも集中しすぎて、「こんなに時間が経ってしまった!」ということがあるので、わかるような気がします。

悠木:「なんか今日はめっちゃ筆が乗る!」みたいなことですよね。多分みんなあると思うんですよ。入り込みすぎて音が聴こえなくなるみたいなときがありますよね。

海の深いところに入っちゃったみたいなやつがくると、だいたい良い仕事ができているみたいな(笑)。

――わかります。それを抑えながらというのは難しい作業だったと思いますが。

悠木:難しかったです。「みんなを受け止めたい!」という強い感情になっちゃいまして……(笑)。

でも、それは違う。押しつけですから(笑)。

なんとなくのイメージですけど、この曲は、男の人にも、女の人にも、大人にも、子どもにも聴こえないと良いなと思ったんです。この曲の主人公がどんな人なのかが、聴いた人によって違う。幼く歌うことも、大人に歌うこともなく、もっとそういうものを超越したところの立ち位置の設定で歌えたら良いなと。

私は声優としてお芝居しているので、どうしても主人公を想定しながら曲を歌うことがすごく多いんですけど、この曲はあえて主人公をぼかすことで、より多くの人の帰る場所になるんじゃないかなって。

聴いた人全てをちゃんと受け止めて「おかえり」って言ってあげたら良いなと思ったんです。

なんて心の清らかな人たちが応援してくれているんだろう

――『ピアノの森』の作品のイメージは、どんなところを汲み取ったんでしょうか?

悠木:『ピアノの森』は、キャラクターたちがそれぞれにいろいろな表現をしていく作品なんです。キャラクターたちも心の拠り所にしているものがあって、全員に表現をする理由がちゃんとあるんです。

そこにいる人の原点があり、そして、そこにきちんと帰って来られる人は良いものを生み出すことが、ちゃんと描かれている作品なんです。私もそういうところはぼかさずに表現しました。

強い言葉じゃなくて、柔らかくて温かくて優しい音楽で、それを表現したい人の気持ちは、すごく温かいなと思って歌いました。

――楽曲からもそのイメージは伝わってきました。

悠木:特に私は、丸山誉子を演じさせていただいているのとは関係なく、原作を読んでいても誉子のシーンでいちいち泣いちゃうんです(笑)。私が誉子を演じると思って読んでなかったはずなのに、どうやら彼女が私の中でシンクロ率が高いらしくて。

『ピアノの森』は、どのキャラクターが自分に近いかによって泣けるポイントが変わってくると思うんですよ。だから『ピアノの森』を読んだいろんな人と、いっぱいしゃべりたいなってすごい思いました。

修平(雨宮修平)とパパの話も超良いんだよな(笑)。

――僕はラストシーンで号泣でした(笑)。

悠木:あー! あれはみんな泣く(笑)。

――(笑)。そんな作品への想いを込めつつ、なぜ「帰る場所があるということ」というタイトルになったんでしょうか?

悠木:……キマッテタ(笑)。

――なんと(笑)。

悠木:実は、最初に作曲で上がってきたときに、このタイトルが付いていたんです。でも(仮)って付いてなかったから、これでいきたいんだろうなって思ったんです。しかも、これ以上にないくらいにピッタリだったんです。

あと、このタイトルになって、すごく嬉しかったことがあったんです。

楽曲の前にタイトルだけ先行公開されていて、それを見たみなさんからTwitterでコメントをいただいたんです。私は一度突然ソロを辞めて、ファンクラブを閉鎖し、1回自由になって……(笑)。そして突然「もう1回始めます」って始めたわけです。みなさんもすごい戸惑ったと思うんです。

そんな私に「僕らはどうやって悠木さんを応援して行こうかという、べースがなくなって寂しかったところに、「帰る場所があるということ」という曲を歌ってくれることがすごい嬉しい」っていうコメントをくれて。

なんて心の清らかな人たちが応援してくれているんだろうと思いました。感動しました。

だから今回の曲は、そんなファンの帰る場所にもなったらいいのかなと思っています。もらったコメントでの後付けですけどね(笑)。私が歌ったりすることで、誰かの居場所になってたというのが、それだけでも超嬉しいです。

だから、このタイトルはいろいろな人の想いがこもっているんだろうなと思いました。とても良い名前を付けてもらったなってすごく思います。

――今の悠木さんの気持ちにも合っていたんですね。

悠木:私自身はそこを帰る場所だと思っていたわけではなかったんですが、でも言われてみれば、そうだなっていう気持ちにはすごくなりました。意識してないくらい、たぶんみんなは私のいろんなことを受け止めてくれてたんだなとも思います。

私は自分のソロのイベントを“ホーム”という呼び方をするんですけど、そここそが帰る場所だと思っていました。だけど、みなさんがそれを作ってくれているものだから、それがみなさんにとっての“ホーム”だとは思ってなかったんですよ。

私のファンクラブのTシャツを着て、私が1回だけしかやっていないコンサートのペンライトを持って、それを堂々とできる場というのは、みなさんにとってもホームだったんです。

それを気づかせてくれたみなさん、すごく優しいですよね。ありがとうって思いました。

私にとってそういう存在って、二次元にはいるのかもしれないけど(笑)、肌で感じることがなかったんです。なんかハッとさせられましたね。

――でも、それがプレッシャーになることはない感じですね。

悠木:心地よいです。私は超共依存タイプなので、求められないと頑張れないタイプなんです。だから推しキャラにすぐ貢いじゃうのは、そういうことです(笑)。

だからみんなに「もっとやってよ」と言われて「しょうがないなあ」というのが好きなんです。全然もっと頼ってくれたまえ、とも思います(笑)。

――タイトルが「帰る場所があるということ」なので、悠木さんの帰る場所があって良かったなと思ったエピソードを聞いてみたいなとも思っていました。

悠木:何だろう、だいたい帰りたいからなぁ(笑)。

――(笑)。帰ってゲームできて良かったみたいなレベルでも大丈夫です。

悠木:それは毎日思いますね(笑)。そうだなぁ。

たまに「自由にやってください」と縛りがなく思いっきり好きに暴れて芝居をしたりすると、自分の中の芝居値みたいなのがリセットされる感覚があるんです。

“やりきりゲージ”みたいなもので、それをマイナスまで使い切ると、また新しく充電できるです。ちょっとずつ貯めてきたものをドカンと使い切ると、すっごく気持ちよく次の日が迎えられるみたいなことがあったりするんです(笑)。すごい抽象的な話で文字にしにくいと思うんですけど(笑)。

あとは、仲の良い女の子の友だちに仕事の相談をして、「もう無理!」「もうやだ!」って言ったら、その子がかけてくれた言葉がめっちゃ優しくて。

それだけで、「私はこの子にこの言葉をかけてもらうために、今までこの悩みを抱えていたのでは?」と思えるくらい、すごく前向きになれたことがあったんです。

だから友だちと遊んでリセットするとか、人の意見を取り入れるとかは、自分をちゃんと見返すことに繋がるんだなと思ったりして、嬉しかったんですよね。帰る場所と言ってしまうと、「なんだよ照れくさいやい」みたいなところはあるんですが(笑)。

たまに友だちと遊んだりすると、「みんな優しい、良かった」って、帰る場所があって良かったなって思いますね(笑)。私は、外に行く仕事ばっかりだから、そこがすごく楽しいから、それを嫌いにならないように、ちゃんとどこかで帰ってくるというのはすごく重要ですね。

好きなことを仕事にしてると、それを嫌いになった時のことが怖くてしょうがないんです。それを好きでいるために、上手にバランスをとって、ちゃんと1回お家に帰るのが重要なんだなと思いました。

このポジション、過ごしやすいじゃん

――今回はさらに歌い方がガラッと変わった気がします。

悠木:今までの私の曲は、どっちかというと、「こういう世界観を感じなさい!」という感じでした。私の提示から始まって、それを受け入れてくれる人がいるかいないかは関係ないという提示の仕方がけっこう多かったんです。

でも今回は「聴いてどう思った?」って聞きに行けるような感じになったら良いなと思ったんです。

みんなが疲れてお家に帰りたいなと思ったときに聴いて欲しい(笑)。月曜日の朝とかに(笑)。あとは家に帰ってきたときのホッと感みたいなのが、こもっていたら良いなと思いながら歌わせてもらっています。

特定の主人公を想定させないけど、温かい何かがそこにはいるっていう表現になれば良いなと。今までそういう受動的な表現をしてこなかったんです。行動する理由は受動的なのに、表現方法は能動的(笑)。

だから、「ゾーンに入っちゃいけない」というのはあったんです。

――「こういうこともできるんだな」と発見はありましたか?

悠木:女の子ってみんな母性がある生き物だって、世の男の子はみんな思ってるふしがあるんですけど、私は割りとそれが枯渇しているタイプで(笑)。

でも、この曲を歌ってみたら、母性って言えるのか分からないんだけど、私にも人の話を聴くことでホッとすることがあるなと再確認して。それって受け止めることで元気をもらうことだなと思ったんです。

そういう意味では、新しい自分の一面に気づいたような気もしないでもないというか……。「このポジション、過ごしやすいじゃん」って、ちょっと思いました。

ハッピーなこともアンハッピーなこともハッピーに歌う、ハッピーに受け止めるみたいな。今私がそういうハッピー期間なのもあるのかもしれないけど(笑)。

意外と私は、アンハッピーな曲多いですからね(笑)。なので、今まで史上最高に平和な曲なんじゃないかと(笑)。何もないことの幸せみたいなことが、ちょっと気付けたような気がしますね。

――なるほど。また前回のインタビューの引用になるんですが、「新しいことを始めるのは、やっぱり気持ち良いですね」と仰っていました。これからも様々なチャレンジがあるんですか?

悠木:「また自由にアルバムが作りたいです」っていうのは、コロムビアさんに言い続けています。大変好意的に「作りましょう」と言っていただいているので、いつになるか分からないし、どんなテーマになるのかもまだ全然決まってないけど、でも生きてるうちには出ると思います(笑)。

――こういうのをやりたいみたいなヒントはあるんですか?

悠木:私が声優の活動をしていて、一番みなさんに褒めてもらえることが多いのが、「いろんな声が出ますね」っていう技術的なところなんです。それって鍛錬と努力の結果なので、すごく嬉しいです。

なるほど、じゃあ私が今まで考えてきた“声優が歌う意味”というのに、これはかなり近い答えがあるのではなかろうか……と思うんです。

だから、いろいろな主人公で、今まで以上にレパートリーを持たせて歌ってみたいなとはぼんやり思っています。

何曲になるか分からないんですけど、まるで10人が別の人のように聴こえるような楽曲になったら良いな、みたいなことは考えています。まあまだ予定は未定なので、変わるかもしれないんですけど(笑)。

――面白いですね。1枚のアルバムで群像劇を見ているみたいな。

悠木:そうですそうです! 私はありがたいことに、いろいろな役をやらせていただく機会が多いんです。声優さんの良いところのひとつに、1クールにいろいろな人生を覗き見れることがあるなと思っていて。

それをアルバムで表現できたら面白いんじゃないかなと。それこそ、レイヤーで重ねないとできない1枚なんです。

まだ予定は未定ではあるんですが、楽しみにしていただけると嬉しいです。

立派な家ネコになりました(笑)

――今回は歌詞も素晴らしいなと思いました。悠木さんお気に入りのポイントは?

悠木:「「ただいま」の数と「おかえり」の数はおなじじゃなきゃだめなんだ」っていう歌詞ですね。これは天才だなと思いました。

これを最初に読んだ時に、「なるほど~!」って(笑)。みんながなるほどって思う歌詞だと思うし、私もすごく思いました。

ここに集約され過ぎていて、何故これが良いかという説明ができないくらいに、この3行に意味がある(笑)。ここかなり私も共感ポイントが高くて……良かった(笑)。

――思わず語彙力が少なくなっちゃうレベルの好きだということですね(笑)。

悠木:そうなんですよ(笑)。これ以上の表現ができないですよ。歌詞のレベルが高すぎて! これ以上にホッとする言葉は無いないですよね。

「ただいま」って帰ってきた時に「おかえり」って返ってきた時のホッと感みたいなのは、すごく良いなって思っちゃいました。

作詞してくださったhisakuniさんが、ご実家に帰られた時にこの歌詞を考えていたそうなんです。実家だから「ただいま」って言うのが習慣になっていたそうなんですけど、「おかえり」って返ってきた時に「めっちゃ良い」って思ったそうで(笑)。

その話をレコーディングの時に話して下さったんです。私も「そうだよなぁ」と思って。

この曲がみんなのおかえり代わりになったら良いんじゃないかなと思ったりしております。なので、一人暮らしの方必聴でございますよ!(笑)

――(笑)。hisakuniさんとはその他に何か?

悠木:かなり最近お世話になることが多くて、プチミレ(petit milady)でもお世話になっています。あとは、2曲目の方もhisakuniさんが作詞をしてくださっています。

一生懸命、私がどういうものが好きとか何を訴えたいかというのを聴いてくださるんです。その中でそうとう遊んでくださるので、そういう意味でアーティストとプロがちゃんと併用できている方で、安心感があります。腕を信頼しております。もちろんチームのみなさんも!

――楽しそうですね。

悠木:楽しいです。一度、私のやりたいことを全部ちゃんと聞いてから、できることとできないことを提示してくださるんです。

こんなに恵まれたことはないなと本当に思うんです。前向きな気持ちで「次は何作ろうかな?」って考えられるのが、安心感があるなって感じます。

後ろがしっかりしてるから、安心してものづくりだけに集中できる状況で、やりたいことがちゃんと考えられるんです。すごく暖かいマンションで、ご飯とかちゃんと出してもらっている状態みたいな感じ(笑)。

「じゃあこれも好きだし、これも好きだし、これもやりたい」と話ができる感じがすごい幸せ。すごく甘やかしてもらってます……(笑)。

――楽しく仕事ができている感じがしていいですね(笑)。

悠木:本当にありがたい。こんな路頭に迷っていた私を拾っていただいて、こんなに暖かく育ててもらえて(笑)。立派な家ネコになりました(笑)。

――きっとその気持ちは曲に出てきて、みなさんに伝わると思います。

悠木:というか、そうじゃなかったら私は多分歌えなかったと思うんですよね。この気持ちにはなれなかったと思う。今回の曲なんて、このゆとりがないと歌えない曲だったと思います。

今だからこそ受け止める曲を歌おうなんて思ったんだと思う。

――なるほど……! では、最後に読者のみなさんに一言お願いします。

悠木:いろんな新しいことに気付かせてもらって、だからこそ帰るべき温かい大事な場所に気づける、そんな1曲になったのではないかなと思います。私も気づかせていただいた一作になっております。

ちなみに2曲目の方は全然違う楽曲になっております。2曲連続で聴いても全然飽きない構成になっておりますので、ぜひぜひ!

そしてどちらも『ピアノの森』のテイストを孕んだ曲になっておりますので、アニメと合わせて楽しんでいただけたら良いなと思います。よろしくお願いします。

――ありがとうございました!

[インタビュー/石橋悠]

 

1989年(平成元年)生まれ、福岡県出身。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者兼ナイスガイ。アニメイトタイムズで連載中の『BL塾』の書籍版をライターの阿部裕華さんと執筆など、ジャンルを問わずに活躍中。座右の銘は「明日死ぬか、100年後に死ぬか」。好きな言葉は「俺の意見より嫁の機嫌」。

この記事をかいた人

石橋悠
1989年福岡県生まれ。アニメとゲームと某王国とHip Hopと自炊を愛するアニメイトタイムズの中堅編集者。

担当記事

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CD情報

4月25日(水)発売 悠木碧/「帰る場所があるということ」 
※TVアニメ『ピアノの森』エンディングテーマ
【CD+DVD】COZC-1432~3(1800円+税) 【CD only】COCC-17448(1200円+税)

【CD収録内容】
1.帰る場所があるということ
2.ビロードの幕
3.帰る場所があるということ(Instrumental)
4.ビロードの幕(Instrumental)

【DVD収録内容】
帰る場所があるということ Music Video
帰る場所があるということ Music Video Making

悠木碧 日本コロムビア公式HP
悠木碧 音楽STAFF公式Twitter(@staff_aoi​)

作品情報

TVアニメ『ピアノの森』

NHK総合テレビにて2018年4月8日(日)24:10~放送開始予定
※関西地方は同日24時50分からとなります
※放送日時は変更になる場合があります

【イントロダクション】
森に捨てられたピアノをおもちゃ代りにして育った主人公の一ノ瀬海が、かつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平などとの出会いの中でピアノの才能を開花させていき、やがてショパン・コンクールで世界に挑む姿を描く、感動のストーリー。

【STAFF】
原作:一色まこと(講談社『モーニング』所載)
監督:中谷 学(「マダガスカル3」CGスーパーバイザー)
シリーズディレクター:鈴木龍太郎(「スナックワールド」絵コンテ)
シリーズ構成:伊丹あき(「惡の華」)・あべ美佳(「団地ともお」)
キャラクターデザイン・総作画監督:木野下澄江(「ガーリッシュ ナンバー」)
美術監督:栫ヒロツグ(「“栄光なき天才たち”からの物語」「ラクエンロジック」)
色彩設計:吉村智恵(「放課後のプレアデス」)
撮影監督:臼田 睦(「ソード・アート・オンライン」)
編集:三嶋章紀(「四月は君の嘘」)
音響監督:長崎行男(「宝石の国」「聖☆おにいさん」)
音楽:富貴晴美(大河ドラマ「西郷どん」、映画「関ケ原」)
アニメーション制作:ガイナックススタジオ(「想いのかけら」)
製作:ピアノの森アニメパートナーズ

【エンディングテーマ】
悠木 碧 「帰る場所があるということ」 

【CAST】(フルキャスト)
一ノ瀬 海:斉藤壮馬
阿字野壮介:諏訪部順一
雨宮修平:花江夏樹

パン・ウェイ:中村悠一
レフ・シマノフスキ:KENN
丸山誉子:悠木 碧
ソフィ・オルメッソン:伊瀬茉莉也
カロル・アダムスキ:小西克幸
平田光生:豊永利行

佐賀武士:遊佐浩二
司馬高太郎:家中 宏

一ノ瀬海(小学生):白石涼子
雨宮修平(小学生):大地 葉
雨宮奈美恵:三宅麻理恵
亜理沙:広橋 涼 
金平大学(キンピラ):くまいもとこ

一ノ瀬怜子:坂本真綾
雨宮洋一郎:田中秀幸
J=J・セロー:島田 敏

【メインピアニスト】
反田恭平(阿字野壮介)
髙木竜馬(雨宮修平)
牛牛 (パン・ウェイ)
シモン・ネーリング (レフ・シマノフスキ)
ジュリエット・ジョルノー (ソフィ・オルメッソン)

小学生時代(一ノ瀬 海、雨宮修平、丸山誉子)
上原心音 
大山桃暖 
佐原冠
馬場彩乃 

TVアニメ『ピアノの森』公式サイト
TVアニメ『ピアノの森』公式Twitter(@piano_anime_tv)
TVアニメ『ピアノの森』公式Facebook

(C)一色まこと・講談社/ピアノの森アニメパートナーズ
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