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『FGO』ボードゲーム発表会レポート&プレイインプレッション

『FGO』ボードゲーム発表会レポート&プレイインプレッション|ファンならより親しみやすい新感覚ボードゲーム!

歴代『Fate』シリーズに登場した数多の英霊が共演する、iOS/Android向けアプリ『Fate/Grand Order』(以下、FGO)。その『FGO』をボードゲーム化した『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』のゲームルール発表会が、2018年6月13日に実施されました。

『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』は、ミニフィギュアとコマンドカードを用いて楽しめる英霊召喚ボードゲーム。純粋なボードゲームとしてはもちろんのこと、コレクションフィギュアとしても楽しめるという、『FGO』ファンにとっては一粒で2度美味しいアイテムです。

2018年8月に発売される第一弾としては、アルトリア・ペンドラゴン、ギルガメッシュ、スカサハ、女王メイヴ、マーリン、“山の翁”、クー・フーリン[オルタ]、マシュ・キリエライト、9月の第二弾としては、ジャンヌ・ダルク、カルナ、エウリュアレ、ジル・ド・レェ、アステリオスらがそれぞれラインナップされています。

価格は一体につき1200円(税込)。ミニフィギュア1騎がランダムで封入され、それに対応した5枚のコマンドカードとステータスカード、それぞれのサーヴァントがもつ3種のスキルカード内の1枚が同梱されます。

価格は一体につき1200円(税込)。ミニフィギュア1騎がランダムで封入され、それに対応した5枚のコマンドカードとステータスカード、それぞれのサーヴァントがもつ3種のスキルカード内の1枚が同梱されます。

『FGO Duel』には、アプリではできない禁断のエッセンスが含まれている!?

今回実施された発表会には、『FGO』プロジェクト・クリエイティブプロデューサーの塩川洋介さん、ディライトワークスと共に『FGO Duel』を制作した、ワンドローの木皿儀隼一代表と、小宮山佳太さんらが登壇し、『FGO Duel』開発の経緯やこだわりのポイントが語られました。

一見ボードゲームは接点がないように見える『FGO』ですが、15枚のコマンドカードデッキをやり来りする基本設計は実はボードゲーム的なシステムともいえ、以前からそのエッセンスが入っていると感じながらゲームを作っていたと語る塩川さん。

また、デジタルゲームではできない現実でのマスター体験として、『FGO』のゲーム内で登場するバトルキャラが現実でも手に入るようになれば、マスターの皆も喜んでくれるのではないかと考え、ただのボードゲームを作るのではなくコレクションフィギュアとしての側面も持たせるというアイディアを思いついたのだそうです。

また塩川さんは、「ゲームはそこまで興味がないけど『FGO』のフィギュアが欲しい」「純粋な『FGO』のファン」に加えて、「『FGO』をまったく知らない」という純粋なボードゲームファンでも楽しめるという3つの軸を元に企画を進めていたことも明かし、その上でオリジナリティの高いゲームを多数制作してきたアナログゲームの専門家として、ワンドローの協力を仰ぐことに決めたのだとか。(塩川さんにとっての2017年のベストゲームは、ワンドローが開発した『文絵のために』なのだそう)

木皿儀代表は「とんでもないビッグタイトルなので、これは頑張らないといけないなと。まず塩川さん達が作った原型のゲームを元に、我々がブラッシュアップをかけていくような形で進行しました」と、企画が立ち上がった当初を振り返りつつ、「ボードゲームとしての面白さを担保することを第一に、相手が何のカードをもっているか推理し、自分が何をもっているかを隠す心理戦の要素、駒(サーヴァント)をどのように動かすかという戦略部分を融合させたゲーム性を目指しました」と語ります。

一方、ワンドロー内でもっともコアな『FGO』ファンとして製作の中核を任せられたという小宮山さんは「キャラクター一人一人にすごくファンがいる作品なので、シンプルなゲーム性の中でもキャラクター性をどこまで再現できるかというのに気を使いました」と、『FGO』を題材したゲームならではのこだわりのポイントを挙げ、そのために『FGO』内でのサーヴァントのステータス的なイメージや役割(クイックカードが優秀なクリティカルアタッカー、バスター強化スキルが強力など)をリスト化した上でディライトワークスと何度も打ち合わせを重ねていたのだとか。

ただし完全再現にこだわりすぎると、ルールが複雑化してしまうため、ライトなユーザーにも遊んでもらえるよう、ゲームとしてあまりハードルが高くなりすぎない設計を心がけたそうです。

また塩川さんは、注目して欲しいポイントとして「『FGO』には対人戦はありませんが、実際にやってみたらどうなるか。ある意味禁断のエッセンスが含まれているので、マスター同士でサーヴァントを編成しあって戦う、アナログゲームならではの部分を楽しんでいただければ」とメッセージを送っていました。

会場では、塩川さんと小宮山さんがメディアへの説明を兼ねたデモプレイで対戦。積極的に攻撃を仕掛ける塩川さんがゲームを優勢に進め、小宮山さんも土壇場で粘りを見せるも、結果的には塩川さんが見事な勝利を収めていました。

会場では、塩川さんと小宮山さんがメディアへの説明を兼ねたデモプレイで対戦。積極的に攻撃を仕掛ける塩川さんがゲームを優勢に進め、小宮山さんも土壇場で粘りを見せるも、結果的には塩川さんが見事な勝利を収めていました。

『FGO Duel』のルールを紹介

とはいえ、これを読んだだけでは本作が具体的にどんなゲームなのかは分からないと思いますので、ここからは、『FGO Duel』の具体的なルールについて説明していきましょう。

まず2人のプレイヤーはそれぞれ3体ずつのサーヴァントと、サーヴァントごとに設定された合計15枚(5枚×3)のコマンドカードにより構成されるデッキを場に置き、デッキから手札となる5枚のコマンドカードを引きます。サーヴァントは3×3の9マスのバトルフィールドに配置され、1ターンに1枚まで手札からカードをトラッシュ(捨場)に送ることで、そのカードの絵柄と同じサーヴァントを移動させられます。

サーヴァント同士が同じマスに到達した場合は戦闘が発生。アプリ版『FGO』と同様に、5枚の手札の中から3枚のバトルカードを消費する形で攻撃が行われ、カードに描かれたパワーの最大値の合計値の高い方がその戦闘に勝利します。攻撃を仕掛けた側のパワーが大きい場合は、防御側のサーヴァントは消滅、防御側が勝利、もしくは引き分けの場合は移動は行われず、両方のサーヴァントがその場へと残されます。

相手のサーヴァント3体をすべて消滅させるか、バトルフィールドの最奥部にある相手のマスターエリアまで自陣営のサーヴァントを到達させられれば、そのプレイヤーの勝利です。

アプリ版ともっとも異なるのは、攻撃を行う側のサーヴァントのカードである必要はないことと、サーヴァント自体にはパラメーターは設定されていないこと。例えばアルトリアを移動させて攻撃を加える場合、マシュのカードを消費しても攻撃させることができ、消費するカードが同じなら、マシュとアルトリアのどちらが攻撃をしても最終的なパワーは変わりません。

この時に重要になるのがアプリ版でもおなじみの、同一の種類のカードを消費することで発動する「チェイン」で、ブレイブチェインだけは、その戦闘に直接参加しているサーヴァントでなければ発動できないという制約があります。(アルトリアでブレイブチェインを狙うなら、攻撃を行うサーヴァントはアルトリアである必要があります)

バスターチェイン(攻撃に使う3枚のカードが全てバスター):そのターンのパワーを+3
アーツチェイン(攻撃に使う3枚のカードが全てアーツ):次とそのターンの攻撃のパワー+3
クイックチェイン(攻撃に使う3枚のカードが全てクイック):次のターンの攻撃のパワー+7
ブレイブチェイン(攻撃に使う3枚のカードが全て同一のサーヴァントかつ、そのサーヴァントがその戦闘に参加している):そのターンの攻撃に、3枚の中でもっとも小さいパワーのカードと同じパワーを加算

本作では、少しゲームに慣れてきた人向けの上級ルールも設けられています。とはいってもそこまで複雑なものではなく、サーヴァントが1枚ずつ所持するスキルカードがターンの開始時に使用可能となるのが通常ルールとの違いです。

スキルカードには、そのサーヴァントが存在している限り永続的に効果を発揮し続けるタイプ(味方全体のパワーを+1するアルトリアの「カリスマ」など)と、使い捨てで瞬間的な効果を得るタイプ(トラッシュのクイックカード一枚を手札に加える、ギルガメッシュの「コレクターEX」など)の2種類が存在。

基本的に後者の方が効果は大きいですが、スキルの発動にはNPの消費が必要で、その時にプレイヤーが所持しているNPはスキルを使用したタイミングでトラッシュに存在するアーツカードの枚数で決まります。要するに、それまでに何回アーツカードによる攻撃を行っていたかということですが、このあたりは『FGO』をプレイしている方には、すぐにピンと来るのではないかと思います。

ゲーム全体の流れをまとめると、

①スタートフェイズ:スキルカードを使用(上級ルールのみ)
②アクションフェイズ:サーヴァントの移動、攻撃を行う
③チャージフェイズ:手札が5枚に戻るまで、山札からコマンドカードを補充。山札がなくなった場合は、トラッシュからカードを一枚選んでゲームから除外する
④エンドフェイズ:ターンを終了し、相手のスタートフェイズに

この4つのフェイズを2人のプレイヤーが交互に行うことになります。一見複雑に見えるかもしれませんが、③④のフェイズはカードを引いてターンを終了するだけ、スタートフェイズもスキルカードを使用するかどうかを決めるだけなので、実質プレイヤーが何かしらの行動を行うのはアクションフェイズだけなので、実際にはかなりシンプルなルールです。

一度遊べばほとんどのプレイヤーが大まかなルールを把握できる作りになっています。(唯一複雑なのがチェインとスキル効果周りのルールなので、『FGO』のプレイヤーであればほぼ苦労することはないと思います)

実際にプレイをしてみた感想は……?

筆者も体験会の後に実際にプレイをしたのですが、シンプルなルールながらかなり奥深い、頭を使うゲームだという印象を受けました。

基本的に、攻撃側はバトルに負けてもサーヴァントが消滅するリスクがないので、積極的に攻撃を仕掛けていく方が有利なのですが、攻撃を仕掛けるには必ず移動をする必要があります。説明した通り、この移動のためにはカードを1枚捨てなければならないのですが、この1枚の消費がかなり重いんです。

相手のパワーを確実に上回るには、いかにチェインを組めるかがポイントになるのですが、例えばマシュでブレイブチェインを決めようと思った場合、5枚の中からマシュのカードが4枚必要ですが、当然ながらこの条件を満たせるタイミングというのはなかなかありません。

せっかく手札にアーツやクイックカードが3枚揃ってチェインを組めると思っても、その内の一枚を移動に使ってしまうとカードが足りなくなったり、思うようにチェインが組めないことが多々あります。

そんな時に筆者なりのコツとして重要になってくると感じたのが、防御時の行動です。攻撃を受ける側は移動の必要がなく、5枚の手札が全て揃っている状態で攻撃を受けられるため、チェインを組める確率が圧倒的に高いです。

ここで発動しておいたアーツかクイックチェインの効果は、次のターンの自分の行動にも適応されます。もし移動にカードを消費し、チェインを組めない状態になった時でも、その前のターンに発動させておいたチェインの補正が加わることで、サーヴァントを倒しやすくなるのです。

今回筆者が使用したのは、スカサハ、山の翁、マシュという、クイックとバスターカードに偏ったカード編成だったので、クイックチェインを防御側の時に発動させておき、次のターンでクイックチェインのボーナスの+7を加えて、攻め込んできたサーヴァントを確実に倒すという作戦を決めることに成功していました。 

ただ、チェインを優先するあまりパワーの合計値を低くしてしまうと、防御に失敗してサーヴァントが倒されることリスクが高まってしまうのが難しいところですが……。捨て札から相手がどのくらいの攻撃を仕掛けてくる可能性が高いかを推理し(最高の数値である「5」のパワーのカードは、デッキの中でも限られた枚数しか編成できません)、防御にはどのくらいの数値が必要になるかを読み合う駆け引きもかなり楽しかったです。

なお今回の対戦では、中央に布陣していた敵側のアルトリアを倒し、こちらの“山の翁”が相手側のマスターエリアに侵入して、筆者が無事勝利を収めました。マスターエリアの侵入にも、移動用にマスターエリアの手前にいるサーヴァントのカードが一枚は必要なので、最後まで油断できません。サーヴァントが倒されても、山札の中のコマンドカードはそのままなので、サーヴァントの頭数が減る終盤にいくに連れ、移動ができない可能性が高くなっていくのです。

またアプリ版『FGO』のシステムや、サーヴァントの特徴がしっかりと反映されているのも、『FGO』ファンとっては魅力的なポイントだと思います。

例えば3騎のサーヴァントは好きに編成できるわけではなく、コストの上限が設けられており、コマンドカードの数値が高い高レアリティのサーヴァントほど、必要コストも高くなっていくのですが、マシュのコストは0。『FGO』でも、コスト編成に困ったらとりあえずマシュを入れておくというプレイヤーは多いと思いますが、本作でもその便利さは健在。防御時のパワーを常に+1するスキル「今は脆き雪花の壁」など、コスト0とは思えない優秀な性能をもっているのもアプリと同様です。

マシュ以外にも、マーリンはバスターカードを大幅に強化するスキルもっていたり、ジャンヌは敵の攻撃から生き残ることに特化していたり、小宮山さんがこだわりのポイントとしてあげていた『FGO』でのサーヴァントに対するイメージがしっかりと再現されているので、ファンであれば思わずニヤリとさせられます。

さらにゲームに慣れてくると、「今捨場と手札にバスターカードが出てないから、ここで手札を消費しておけば次のターンでチェインが組める」手札と捨場から逆算して、山札にどのカードが残っているのかがある程度予想できるようにもなってきます。

実は、このサーヴァントが5枚ずつのコマンドカードをもち、合計15枚のデッキをループさせているというのはアプリ版の『FGO』にも共通したルールなので、このテクニックはほぼそのまま流用可能です。そのため、本作をプレイすることで自然と『FGO』そのもののプレイも上手くなっていくという、一石二鳥な作りとなっています。

ミニフィギュアのクオリティも高く、ゲーム中のバトルキャラがかなり忠実に再現されています。価格も1200円とお手頃なので、コレクションアイテムとして揃えるのも大いにアリ。

フィギュア自体にはパラメーターの記載などはなく、ゲーム内の駒以上の役割はないので、極論カードさえあればゲームは成り立つのですが、現実世界でこのフィギュアを操作して戦うというのが、サーヴァント達を従えて戦うマスターの気分を味わわせるような作りになっています。

アナログゲームはプレイヤーの頭数を揃えることが一番大変だったりしますが、本作は一回の対戦の時間も短く(早ければ10~15分、接戦で長期化すると30分程度)、人数も2人いれば始められるので、アナログゲームとしての敷居はかなり低く、ボードゲーム初心者が初めて体験するタイトルとしてもうってつけです。

ただ、ここまで読んでいただけた方はすでにお気づきかもしれませんが、本作にはサーヴァントの特徴を語る上で欠かせない「宝具」に関するシステムが存在していません。これについては、制作陣も判断を迷ったそうなのですが、いきなり複雑すぎるシステムにしてはボードゲーム初心者がプレイするのが難しくなるため、今後『FGO Duel』が多くのユーザーに受け入れられた場合、アップデートのような形で追加で宝具を実装する……といったような構想も考えられているようです。

そんな今後の展開も期待させてくれる、『FGO』ファンもアナログゲームもファンも大満足の出来である『Fate/Grand Order Duel -collection figure-』。特に『FGO』を知っていれば、より一層親しみやすく、遊びやすいゲームとなっていますし、純粋なボードゲームとしても本当に良くできていると思います。

2018年7月15日(日)には、一般ユーザーが参加可能な「最速先行体験会」が、秋葉原UDXにて開催予定ですので(体験会の参加には事前抽選が必要)、公式サイトを確認の上、デジタルゲームとは一味違う聖杯戦争を、是非とも体験してみてください。

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