斉藤壮馬さん3rdシングル「デート」発売記念ロングインタビュー【前編】|曲が生まれる瞬間や制作の裏側を深掘り!!
2017年6月にソロアーティストデビューした斉藤壮馬さんが1周年を迎え、6月20日( 水)にリリースされた、3rdシングル「デート」。
2ndシングルでは初めて作詞を担当し、今作では表題曲「デート」を含め、カップリング曲「レミニセンス」「C」と、収録曲すべての作詞・作曲に挑戦しています。そんな斉藤さんに、前後編の2回に渡ってロングインタビューを敢行!
前編となる今回は、表題曲「デート」制作の裏側やMVについて、斉藤さんの音楽のルーツもおうかがいしました。
目次
- 過去のバンド経験を活かした全曲、作詞・作曲に挑戦!
- このタイミングだからこそ生まれた楽曲たち
- シティポップやファンクなど、多彩な音楽要素を含んだサウンドの表題曲
- 学生時代の懐かしさやリアリティのあるシチュエーションは、実体験?
- 斉藤壮馬として、今まで積み重ねてきたものの集大成に
- MVは謎のシュールな表現がいっぱいで“ヤバい”!?
- リリース情報
過去のバンド経験を活かした全曲、作詞・作曲に挑戦!
――前作の2ndシングルリリース後の反響はいかがでしたか?
斉藤壮馬さん(以下、斉藤):ダブルAサイドシングルで、「ヒカリ断ツ雨」は『活劇 刀剣乱舞』のオープニングテーマだったこともあり、たくさんの反響の声をいただきました。
また、1stシングル「フィッシュストーリー」とリリース日が近かったこともあって、歌を本格的に始めたんだと知ってくださった方も多くて、ありがたかったです。
――3rdシングルのリリースが決まった時、どんなイメージで制作されたのでしょうか?
斉藤:1stと2ndは今思っていることとか、やりたいことをやってみましたという感じでしたが、並行して制作するタイトな状況だったこともあり、しばらくインプットする期間がほしいなと。
そして年末に差し掛かる頃、次どうしようかという打ち合わせがあって。2ndのカップリング曲「スプートニク」で作詞を担当させていただきましたが、元々、趣味でバンドをやっていたし、作詞・作曲をやりたいなと思っていたんです。
そのタイミングでプロデューサーからも「作詞・作曲してみませんか?」というご提案をいただいて、これは渡りに船だと。その時に「文学ギターロックはどうですか?」というアイデアもいただきました。
今回からメインプロデューサーが変わりましたが、僕と年齢も近く、音楽の趣味も似ている方で。でも、僕自身はバンドサウンドをやろうとはあまり考えていなくて。
それは、声優・斉藤壮馬として歌う歌は別にあるんじゃないかと思って、もう少しポップ寄りの方向性で行こうと思っていたところに提案していただいたので、これは面白いことができそうだと。
その時に、2曲目に入っている「レミニセンス」の原型となる、過去に書いた「雨」という曲を聴いていただいたら「これで行きましょう」と。これを表題曲にバンドをテーマにして作り始めました。
――過去にバンド活動の経験があったり、作詞・作曲もされていたり、音楽への造詣も深そうですね。ちなみに斉藤さんにとってのルーツミュージックは?
斉藤:子供の頃は父が運転する車の中で、ビートルズ、ユーミンさん、スピッツさん、カーペンターズあたりを聴いていました。そのあと、ポルノグラフィティさんとBUMP OF CHICKEN さんにはまり、中学生くらいから洋楽を聴き始めました。
最初に友人にもらったMD には、U2、ローリング・ストーンズ、エマーソン・レイク・アンド・パーマー、イエス、キング・クリムゾン、マリリン・マンソン、筋肉少女帯さんなんかが入っていましたね。
そのあとはロックンロールリバイバルだったので、リバティーンズなどなど、語り始めたら時間が足りないのでこのへんで(笑)。
このタイミングだからこそ生まれた楽曲たち
――今回、作詞と作曲どちらから先に着手されたのでしょうか?
斉藤:昔は完全に詞から書いていました。といっても、中学生くらいのときの話ですが。バンドをやっているときは曲からが多かったかな。
最近はどちらから、というようなセオリーはないですね。全部同時のこともあるし、タイトルから決まることもあります。『デート』はほぼ全部同じでしたね。
アニメの収録の直前に降ってきて、アフレコが終わって帰宅して、1 時間くらいでほとんど完成しました。メロディを聴くと歌詞の世界観が思い浮かぶタイプなので、先にまず全体の方向性というか、カラーを決めてしまうことが多いです。
最近までは、曲を書くときも論理とか倫理にかなり固執していたのですが、例えば日本語としては破格(な表現)でも音が気持ちいいとか、そういう三次元の論理にとらわれずに曲が書けるようになった今のタイミングで生まれたのが、この3 曲といえるかもしれません。
――それぞれの曲はどれくらいの期間で書き上げたのでしょうか?
斉藤:「デート」に関してはアレンジャーさんとも相談しながら作りました。
「レミニセンス」は20 歳くらいのときに作った曲で、構成自体はほぼそのままですね。でも、歌詞はほとんど書き直したかな。前はもっと繊細な曲でした。一人称も僕だったので。
「C」 はたぶん、実際には3 日間くらいでしょうか。ほかの世に出ていない曲を書いて息抜きをしつつ、細かいところを調整していきました。
余談ですが、ギターの弦が切れまくったり、オーディオインターフェースがマイクを認識しなかったり、プロデューサーさんを自宅に招いてふたりで飲みながら即興で作曲をしたりと、面白いことのたくさんあった制作期間でした(笑)。
――1stシングルはデビュー曲、2ndはアニメタイアップだったので、今回は自由に作れたのでは?
斉藤:ここまでの3枚で共通しているのが、1stの「フィッシュストーリー」、2ndの「夜明けはまだ」、そして今回の「デート」と1曲目は間口が広いポップチューンで。
2曲目は「影踏み」、「ヒカリ断ツ雨」、今回の「レミニセンス」と、エモいバンド曲になっていて。3曲目は静かな「スタンドアローン」、エレクトロニカな「スプートニク」と遊びがある曲が来て。
構成は同じ感じだけど、自分で3曲、作詞作曲してセルフプロデュースに近い形でやらせていただいたので、自由度は上がっていると思います。
シティポップやファンクなど、多彩な音楽要素を含んだサウンドの表題曲
――4月22日に早くも先行試聴会が行われましたが、皆さんの反応はいかがでしたか?
斉藤:皆さんが喜んだり、楽しんだりしてくださっている様子が見られてうれしかったです。
ただ、表題曲の「デート」は曲名から想起される甘い100%のポップスではないので、「これはいったいどんな曲なの?」という反応も多かった気がします。
歌詞もサウンドも1回聴いただけで分かるという曲にはしていないので、戸惑いつつも受け入れようとしてくれて、斉藤壮馬っぽいなと言ってくださる方が多かったのが、一番うれしかったです。
1枚目も2枚目も「こういう曲なので、こんなふうに聴いてください」と提示したくはなくて、僕なりにこういう想いで歌っていますというものはあるけど、それを押し付けずに好きに聴いていただけたらいいなと思っているので。
――「デート」は聴きやすいけど、実は密度が濃いんですよね。
斉藤:表題曲なのでリズムが強くて、キャッチーな曲がいいなと思っていて。作詞作曲をすることが決まってから3カ月くらいJポップやJロックを聴きまくって、そこから刺激を受けたエッセンスも反映させているので、昔、バンドをやっていた時では書けないような曲かなと。
また、遊びをたくさん入れたいなと思って、真剣に「デートしてください」というよりはデートじゃなくても構わなくて。
歌の中での「ぼく」と「きみ」の人生が一瞬交差して、その後は交わっていくのか分からないけど、「この夜は楽しいね」という「まじめに不真面目」みたいなところで楽しさが出ればいいなって。聴く人によって様々な受け取り方ができると思います。
――サウンドはポップでダンサブルなのに加えて、ギターなフレーズなどループする感じはファンクっぽいし、オケのシンセは西海岸サウンドの要素も感じて。
斉藤:シティポップスにバンド要素を加えた感じでしょうか。16ビートもファンクも好きで、「夜明けはまだ」もそういうリズムが強い曲でした。
「デート」は最初、もう少しゆっくりしたリズム感で、歌詞にもある“スキップして”いるような。プロデューサーとアレンジャーのSakuさんと何度も打ち合わせしたり、デモを制作していくなかで、もっとリズムが強いほうがウキウキ感が出るなと。
だからポップスとして聴きやすいし、口ずさんだりしやすいけど、ファンクの要素がいっぱい入っていたり、音楽ファンの方にも楽しんでいただける作りになっていると思います。