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『魔法少女サイト』山崎はるかが考える「雫芽さりな」に対する想い

【連載】TVアニメ『魔法少女サイト』山崎はるかさん(雫芽さりな役)インタビュー|「最終回は、たぶん、みんなの予想のつかないことが起こります」

第11話が放送され、ついに残すは最終回のみとなったテレビアニメ『魔法少女サイト』。魔法少女vs魔法少女サイト管理人との対決の中、力尽き倒れた奴村露乃が新たな管理人候補に指名されるという展開に、最終回の放送を待ちきれない人も多いはず。

そして、アニメイトタイムズの『魔法少女サイト』キャストインタビュー連載も残すはあと2回! この第7回では、魔法少女の雫芽さりなを演じるとともに、エンディングテーマ『ゼンゼントモダチ』を歌っている山崎はるかさんが登場。

主人公の朝霧彩をいじめるクラスメートとして登場し、後に、同じ魔法少女として共に戦うことになる、という立ち位置だったため、連載第1回の座談会では、自身のキャラクターについてあまり深く語ることができなかった山崎さん。クライマックス直前に、作品やキャラクターにかける思いをじっくりと語って頂きました。

 

ようやく、さりなも良いやつなんだってことが見せられた
──最初に、第11話までを振り返っての感想をお願いします。

山崎はるかさん(以下、山崎):あとは最終回で終わりか~という寂しい気持ちもありつつ。ようやく、さりなの誤解が解けた……というか(彩たちの)仲間として認められて、さりなも良いやつなんだってことが見せられたと思うので、良かったなって思います。ずっと観てくれているみんなに、「ほらね」って気持ちでいっぱいです(笑)。

──では、改めて、雫芽さりなというキャラクターの第一印象を教えて下さい。

山崎:最初にオーディションを受けたのは、彩と露乃で、さりなは後からオーディションがあったんです。だから、最初に原作を読ませて頂いた時は彩や露乃の目線だったので、さりなのことは、「すごい子だな。この子に共感するのは難しいかもしれないな」と思っていました。でも、さりな役を受けることになってから、さりなの気持ちになって改めて読んだ時には、この子はこの子で、しっかりとした芯はある子なんだなって思ったんです。

人間って、気持ちの表現の仕方は一人一人が違いますよね。さりなは、自分にとって虫酸が走るほど嫌なことに対しては、「無理なんだよ」みたいにはっきりと言ってしまう子。彩に対する行動も、例えば、「むしゃくしゃしてたから」みたいな理由ではなくて、さりなには、さりななりのちゃんとした理由があったんです。それに気づいてからは、嫌いにはなれなかったというか。全然別のことに置き換えて考えてみれば、私も理解できることがあるかもしれないと思えて、愛着も湧いていきました。

──さりなの気持ちや考え方を理解できたことで、演技の方向性もすぐにイメージできたのでしょうか?

山崎:オーディションの時は、さりなの気持ちが分かったと思ったので、そのままバッとやったんです。でも、アフレコが始まって、しっかりとキャラを作っていくにあたっては、けっこう難しかったですね。

「ヤンキーだから、得体の知れない魔法少女サイト管理人が出てきても、ビビらないんだよ」というディレクションを頂いたのですが、自分が想像すると、あんな状況は、やっぱりビビっちゃうし(笑)。しかも、親友を殺されたばかりの精神状態で、こんなにも冷静でいられるのかなって思ってしまって。

でも、監督たちから「さりなは、根っからのヤンキーだから、元々、強い子なんだ」と伺って、「なるほど! 私とは違って、さりなは、そのくらい強い子なんだ」と納得できたんです。共感できるからといって、私に置き換えてそのまま演技をしていたから、何か違う感じになっていたんだなって。

1話の頃は、彩を苛めているだけだったし、そこまでは理解できていなかったのですが。さりなが彩と露乃に自分の気持ちをぶつける頃(第5話)までには、監督とそういうお話もできていたので、さりなのことをより深く理解できていたし、それをお芝居として表現することもできていたんじゃないかなと思っています。

──今、お話を聞いて思い出しましたが、さりなも親友を殺されて、悲しい思いをしているんですよね。そこを忘れている視聴者の人は、けっこう多い気がします(笑)。

山崎:そうなんですよ~。「自業自得だろ?」「怒りすぎ」って言われることが多いんです(笑)。たしかに、苛めは世の中にあってはいけないことだと思います。でも、親友を殺されるというのは、ちょっと代償が大き過ぎると思うんですよね。だから、親友を殺されたと怒っていることを「怒りすぎ」って言われるのは、ちょっと納得がいかないというか……。「親友を殺されているんだから、不幸な少女の仲間に入れてもらっても良いはず!」って、すごく言いたいです(笑)。


彩への気持ちと、怒りの矛先が変わっていったのが大きい
──さりなは、心境だけでなく、作中での立場の変化も大きいキャラクターだと思います。演じる上で、どのようなことを意識されていましたか?

山崎:5話で彩ちゃんと対峙して、初めて本気で喧嘩しあった時、たぶん、さりなの中での彩ちゃんに対する気持ちが変わったんですよね。ウジウジしていて、虫唾が走って、単に嫌いだったのが、「こいつもこいつなりに……」ということが分かってきて。自分も助けてもらったということもありますし。親友を殺された原因の大本は、魔法少女サイトだということも分かってきたので。

「きっかけはお前じゃないか」みたいな気持ちもあるから、彩のことを全部は許せてないのですが、共闘してサイトに立ち向かおうって、彩の背中を押すような感じにもなりました。押し方はすごく下手なんですけれど(笑)。そういう風に、彩への気持ちと、怒りの矛先が変わっていったのが大きいかなと思います。

──敵が分かったから戦うぞってなるところも、さりなの強さですよね。

山崎:一番頼もしく見えましたからね。本当は、露乃ちゃんがチートな能力を持っているんですけれど、寿命が尽きかけた状態で、あまり使えなかったですし。(魔法少女サイトの)管理人と戦う時には、さりながヒーローっぽく見えましたね。敵だったキャラが仲間になったら、すごく頼もしいぞっていう王道の展開というか(笑)。

──さりなは、今まであまり演じる機会の無かったタイプのキャラクターだと思うのですが、演じる際、特に難しかったり、新たな楽しさなどを感じたシーンはありますか?

山崎:難しかったのは、怒っているシーンですね。叫びたいくらいむちゃくちゃに怒っている時も、それを表には出さず、低いトーンで静かに怒って、というディレクションをいただいたシーンがあったのですが、私は静かに怒るタイプじゃないんですよ。「うわー!」と怒って、落ち着く感じ。さりなとは、怒り方が真逆なんです。だから、演じる上で、それが本当に難しかったです。

──さりなも、クールなわけでもないですよね。

山崎:そうなんです。クールとは、また違うんですよね。静かだけれど、怒りが(内側で)沸々としているのは分かる、みたいな感じが本当に難しくて……。「静かに怒る」「かつクールではなく」「ヤンキー魂で」みたいなところを表現するのが本当に難しくて。監督や音響監督さんと試行錯誤をしながら、何回もやらせて頂きました。

声優人生において、演技とはいえこんなにも悪口というか、汚い言葉を入ったのも初めてでした(笑)。彩と露乃と戦う5話では、「ブス」「クソ」「クズ」とか、ただの悪口でしかない言葉を何回言ったかなって。伝えたい言葉の半分くらいが、「ブス」「クズ」で埋め尽くされているんです。それを楽しいと言ってはいけないのかもしれませんが、普段、そんなことを人に思い切り大声で言う機会なんて無いので、演じる面白さは感じました。


「討つぞ、魔法少女サイトを!」という台詞が一番印象的
──そういった乱暴な台詞を言うにあたって、他の作品などを観てイメージを深めたりはしたのでしょうか?

山崎:私、元々、洋画をよく観るんですけれど。洋画って、「クソ!」とか「この野郎!」みたいな暴言が、日本のアニメより比較的多いんですよね。しかも、強く言っていて格好良いんです。だから、自分の中にそういう台詞のイメージは自然と拾ってあったと思います。ヤンキーということに関しては、私は『湘南爆走族』が大好きなので。そのイメージをさりなに置き換えてみたりもしました(笑)。

あと、さりなの声は、私が今までに演じてきた女の子のキャラクターの中では一番低い声なんです。男の子の声とは、また違うところを使う感じの低い声というか……。感覚的なことなので、説明は難しいんですけれど。

──今までに使ったことの無いタイプの声だったのですね。

山崎:このあたりの声を使ったお芝居もできるんだってことは、自分の中での発見でした。さりなには感謝ですね。今後のお仕事の幅も広がる気がします(笑)。

──特に印象的だった台詞はありますか?

山崎:「ブス」「クソ」「クズ」もそうなんですけれど(笑)。声優を目指した頃、私の台詞でアニメが終わるってことに憧れていたんですよね。最後の台詞って、次の回を楽しみにさせる台詞ですし、自分の役に回ってくると嬉しいんですよ。

それが、さりなにもあったんです。(第10話の)「討つぞ、魔法少女サイトを!」という台詞なのですが。「魔法少女サイト」というタイトルの名前が入っている上に、「敵はあいつらだ」ということをはっきりと言葉にしていて、なおかつ、その話数の最後の台詞だったんです。

──格好良い要素がつまった台詞ですね。

山崎:実は、オーディションの時の4個か5個くらいしかない台詞の中に、この台詞も入っていたんです。だから、オーディションを受ける時にも練習した台詞だったし、すごく思い入れもあって。監督たちも、この台詞は大事にして下さって、ディレクションもしていただきましたし、一番印象に残っています。

──これから最終決戦だという期待感を盛り上げる、すごく良い台詞ですが、他の作品だと、主人公やチームの隊長が言いそうな台詞です(笑)。

山崎:そうなんですよね(笑)。それをさりなが言えて嬉しかったです。

──さりな以外で、特にお気に入りのキャラクターを教えて下さい。

山崎:原作を読んだ時から、ファン目線では、奴村露乃ちゃんが大好きでした。女性キャラに関しては、私「ショートカット」と「金髪」のキャラが大好きなので。お話を読む前から「この子が好き」な予感がしていたんです。さらに、中を読んだら、うるさくないし、クールなだけじゃなくてすごく可愛いいところもあるし。「この子が一番!」って。

さらに、アニメになって、茜屋(日海夏)さんの声を聴いたら、なおさら露乃ちゃんが好きになりました。茜屋さんの声は本当にぴったりで、アニメでさらに魅力的なキャラクターになったと思います。

──エンディングテーマ『ゼンゼントモダチ』は、山崎さんのソロデビュー曲でもあります。レコーディングをした時と、実際にエンディングテーマとして放送されている今とでは、曲に対する思いに変化などはあるのでしょうか? 

山崎:そんなに変わってはいないですね。最初から『魔法少女サイト』に寄り添って作った曲というか。私の成分を無くそうとしたわけではないですが、「『魔法少女サイト』のエンディングなんだ」という気持ちで歌わせていただきました。

実際に、エンディングとして放送されたのを観た時にも、自分としてはイメージどおりというか、ちゃんとエンディングとして作品に似合うものになっていると感じられたんですよね。だから、自分が曲に込めた思いが間違っていなくて良かったなという気持ちです。

──第1話が放送され、エンディングが流れるのを初めて観た時には、特別な思いはあったのでしょうか?

山崎:これまでも、キャラソンがエンディングとして流れたことはあったのですが、エンディングのクレジットで、キャラ名の横以外の場所に「山崎はるか」と入っているのは不思議な感覚でした。

最初はボーッと観ちゃって、「この曲、聴いたことあるな~」くらいのレベルで聞き流してましたが、最後の「生きたい」という歌詞で、彩と露乃の口元が出て来た時に「二人が歌ってくれてる!」って驚いて。彩と露乃の思いを歌った曲だったので、そこが一番テンションの上がった瞬間でした(笑)。



──11月25日には、メインキャスト出演によるイベント「Magical festa. ~私たちは不幸じゃない~」が開催されます。山崎さんが楽しみにしていることを教えて下さい。

山崎:3月にやったイベント(「Magical festa.~きっと来たら不幸になる~」)は、1話の先行上映だったので、ネタバレができず、何も話せなかったんです。ステッキについても、彩と露乃のステッキのことしか話せていないですし。

「さりなはどういうキャラなんですか?」という質問にも、「彩をいじめるんです」くらいしか答えられませんでした(笑)。だから、次のイベントでは、最終回まで観てもらったからこそのお話をしたいですね。

あと、朗読劇とか、お客さんの前で生で演じたりもしたいですね。きっと皆さんも、アフレコ現場って、どんな雰囲気なんだろうって、気になっていると思うんですよ。こういう作品なので、仲良さげには見えないでしょうし(笑)。

だから、ステージ上でわちゃわちゃとした感じのところを楽しんでてもらった後、ビシッと「お芝居もやれるんです!」「スタジオではこんな雰囲気だったんです!」みたいな姿も見せられたら良いなと思います。

──楽しみですね。では、アニメ本編の話に戻るのですが、最終回の見どころをネタバレにならない範囲でお願いします。

山崎:難しいなあ。最終回って、何を話しても、全部がネタバレになるんですよね(笑)。11話までを観てラストの予想をつけている方も、最終回はぜひ見届けて欲しいです。たぶん、みんなの予想のつかないことが起こりますし、予想のつかない終わりを迎えると思うので。最後まで一筋縄ではいかないアニメになっています。私としては、第11話で倒れたさりながどうなったのかも観て欲しいですね。

──最後に、『魔法少女サイト』ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

山崎:今、お話ししたとおり12話は、皆さんの想像がつかないことも起きていくので、それを最後まで見届けて欲しいなと思います。あとは、もう先月になるのですが、エンディングの『ゼンゼントモダチ』も発売されていますので、もし気に入っていただけたら、手に取っていただけら嬉しいです(笑)。アニメは次の12話で最終回ですが、原作はまだまだ続いていますし、これからも『魔法少女サイト』をよろしくお願いいたします。11月のイベントもぜひ来て下さい!

[取材・文/丸本大輔]

作遺品情報
TVアニメ「魔法少女サイト」

<放送情報>
4月6日よりMBS/TBS/BS-TBS
“アニメイズム”枠 他にて放送中!
・MBS:4月6日より毎週金曜26:25~(最終話は26:30~)
・TBS:4月6日より毎週金曜25:55~(最終話は26:02~)
・BS-TBS:4月7日より毎週土曜24:30~
・SBS:4月17日より毎週火曜25:58~
・ATV:4月23日より毎週月曜25:28~
・AT-X:4月11日より毎週水曜22:30~
(※リピート放送:毎週金曜14:30~/毎週火曜6:30~)
Amazonプライム・ビデオにて日本・海外見放題独占配信!
※放送日時は変更になる可能性がございます。

抗わず生きるか、抗って死ぬか

<INTRODUCTION>
どうやらそのサイトは不幸な人間しか出会えないらしい。だから彼女たちは選ばれた——。

どこにも居場所のない彼女は、いつも死ぬことばかり、考えている。学校ではクラスメイトからのいじめを受け、家では実の兄からの虐待に耐える日々。朝霧 彩。中学2年生。14歳。

ある日、彼女は不気味なWEBサイト「魔法少女サイト」と出会い、魔法の力を秘めた”ステッキ”を手に入れる。

彩は魔法の力を手に入れたことで、同じくステッキを持つクラスメイトの奴村露乃、そしてほかの“魔法少女”とともに、苛烈な運命に巻き込まれてしまう。

これは、魔法の力を手に入れた不幸な少女たちの、友情と青春、そして運命を変える戦いの記録。

<STAFF>
原作:佐藤健太郎(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
監督:松林唯人
シリーズ構成:伊神貴世
キャラクターデザイン:渋谷 秀
サイト管理人デザイン:岩永悦宜
サブキャラクターデザイン:久留米 東
プロップデザイン:小澤 円
美術監督:秋葉みのる(スタジオじゃっく)
色彩設計:のぼりはるこ(緋和)
撮影監督:山根裕二郎(いなほ)
特殊効果:松本乃吾、松尾幸奈(いなほ)
3DCG:山本祐希江、塩野修平、山根裕二郎(いなほ)
編集:岡 祐司
音響監督:納谷僚介
音響制作:スタジオマウス
音楽:井内啓二
音楽制作:エイベックス・ピクチャーズ
アニメーション制作:production dóA
製作:「魔法少女サイト」製作委員会

<CAST>
朝霧 彩:大野柚布子
奴村露乃:茜屋日海夏
潮井梨ナ:鈴木愛奈
穴沢虹海:芹澤 優
雫芽さりな:山崎はるか
雨谷小雨:原 由実
燐賀紗雪:M・A・O
泉ヶ峰みかり:本渡 楓
水蓮寺清春:松井恵理子
滝口あさひ:Lynn
朝霧要:岡本信彦
美炭貴一郎:鈴木達央
サイト管理人 漆:中尾隆聖
サイト管理人 弐(ひょっとこ):悠木 碧
サイト管理人 捌(おかめ):キズナアイ
直戸圭介:安里勇哉

TVアニメ「魔法少女サイト」公式サイト
TVアニメ「魔法少女サイト」公式ツイッター(@mgsanime)

(C)佐藤健太郎(秋田書店)/「魔法少女サイト」製作委員会
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