『Fate/GrandOrder(FGO)』の華はサーヴァントだけじゃない! 実は奥深い、“概念礼装”の秘密に迫る!【連載第2回】
虚淵玄さんといえば……
ゲーム内では、素材及びQPの絶好の稼ぎ時である2018年のクリスマスイベントも無事終了し、多くのマスターが周回に勤しんでいたことかと思います。
先日行われた「FGO冬祭り 2018-2019 ~トラベリング大サーカス!」の宮城会場のゲストトークステージでは、次回のイベントについて、第2部第3章『人智統合真国“シン”』が参加条件となることが判明。
3章は12月に配信がスタートしたばかりということもあり、まだクリアしていないというマスターの方も少なくないのではないかと思います。
2019年1月12日までは、メインクエストのAP消費が4分の1になるキャンペーンも実施されているので、この間に第2部第3章までをクリアしておくことをオススメします。
そんな『人智統合真国“シン”』ですが、実はそのシナリオを担当しているのは『魔法少女まどか☆マギカ』、『仮面ライダー鎧武』、『楽園追放』など、アニメでもヒット作を次々と生み出すシナリオライター・虚淵玄さん。
アニメファンも虚淵さんの作品を一切見ていないという方は少ないかと思いますが、虚淵さんは『Fate/stay night』の前日譚にあたる、第4次聖杯戦争の戦いを描いた『Fate/Zero』の原作者でもあります。
シリーズ屈指の人気作でもあり『Fate/Zero』をきっかけに『Fate』シリーズを知り、『FGO』を始めた……という読者も多いのではないでしょうか。
そこで連載第2回では、『Fate/Zero』に関連した概念礼装を一部ピックアップして紹介。
先程も触れたように『Zero』は知名度の高い作品なので、「とっくに知っているよ!」という方も多いかとは思いますが、原作やアニメを視聴した当時や、コラボイベント「Fate/Accel Zero Order」の思い出を振り返りながら、ご一読いただければ幸いです。
少年は偉大なる大王の背中を追い続ける――「至るべき場所」
「Fate/Accel Zero Order」で入手できたイベント配布星5礼装。
「自身に毎ターンスター3個獲得状態を付与&NPを30%チャージ」(最大限凸でスター4個&NPを50%チャージ)と、礼装に求められることの多い、NPチャージとスター獲得をあわせ持つ効果がとにかく優秀。イベント終了後も愛用しているマスターも多いのではないでしょうか。
しかしなんといっても、「至るべき場所」を語る上で欠かせないはそのイラストの素晴らしさでしょう。
描かれているのは、『Zero』におけるもう一つの主人公勢と言っても過言ではない、聖杯戦争に参加したマスターの一人であるウェイバー・ベルベットと、そのサーヴァント・ライダー(イスカンダル)。
当初はまだ未熟で情けない面の強かったウェイバーが、ライダーとの交流を通じて成長していく姿、第22話で初めて令呪を使う名シーンは、今思い出しても胸が熱くなります。
本礼装のイラストを担当しているのは、奈須きのこ先生と並ぶ、『Fate』シリーズの生みの親である武内崇さん。
実はこのイラストは、元々はイスカンダルの最終再臨として描かれていた候補の一つで、最終再臨絵に別のイラストが採用されたため、礼装に使われたという経緯もあったのだとか。
なお、『Zero』の戦いを経たウェイバーは、後に「ロード・エルメロイⅡ世」として数多くの魔術師を送り出し、異例の大出世を遂げることになりますが、イスカンダルとの出会いと彼への憧れが、ウェイバーの大きな励みになっていたでことは想像に難くありません。
礼装のテキストも素晴らしく、いろいろな妄想を掻き立ててくれます。
攻防一体のケイネスの切り札!「月霊髄液」
自身に無敵状態を3回付与&与ダメージプラス200状態を付与(最大限凸で与ダメージプラス500状態に)する星5礼装。「至るべき場所」のような汎用性こそないですが、敵の攻撃一発一発が重くなる高難易度のクエストで重宝する性能になっています。
描かれているのは、「ケイネス先生」ことケイネス・エルメロイ・アーチボルト。
魔術師の名門・アーチボルト家の頭首であり、魔術師として最高クラスの階梯である「色位」にまで上り詰めた、天才の中の天才。「水」と「風」の2重属性に加えて、様々な魔術を使いこなす、時計塔きってのエリートで、第4次聖杯戦争を勝ち残る筆頭候補とされていたほどのハイスペックな人物です。
上記で紹介したウェイバー・ベルベットは彼の教え子なのですが、平凡な家柄の出身である彼を軽んじたことで、本来召喚するはずだったイスカンダルの触媒を盗まれてしまい、代わりにランサー(ディルムッド・オディナ)のマスターとして、聖杯戦争に参加することになります。
しかし、そんな彼の最大の不運は、第4次聖杯戦争には“魔術師殺し”である『Zero』の主人公・衛宮切嗣が参加していたこと。魔術師として高いプライドをもち、現代科学を軽んじている典型的な魔術師であるケイネスにとって、現代兵器を用いて魔術師を殺すことを生業としてきた切嗣はまさに天敵。
聖杯戦争を勝ち残るために切嗣がケイネスに対してとった戦術はとにかく容赦なし(魔術師としてまともに戦えば、切嗣にとって万に一つの勝ち目もない相手なので当然の話ですが)。ケイネスは作中では決して善人として描かれている人物ではないのですが、思わず同情したくなるほど散々な目に合わされてしまいます……。
礼装のモチーフとなっているのは、そんなケイネス先生の切り札の魔術礼装である「月霊髄液」(ヴォールメン・ハイドラグラム)。約140キロの水銀を自在に操り、用途に応じた形に変形させることで、攻撃・防御・さらには索敵と幅広い使い方が可能。その攻防一体の性質が「FGO」での概念礼装の性能にも反映されていると考えられます。
なお「月霊髄液」は、第4次聖杯戦争の際に失われたわけではないらしく、『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』などでは、姪であるライネス・エルメロイ・アーチゾルテとロード・エルメロイ2世によって改良され、使用人兼ボディガードのメイドゴーレムとして使われるなど、しっかり活用されている様子。水銀状態ではスライムのような見た目をしており、妙な愛嬌がありますよね。
『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』はすでにアニメ化もあるのかも? と噂されていますので、そうしたつながりにも注目するとより作品を楽しめると思います。
師弟コンビは噛み合いそうで噛み合わない?「フリーランサー」
自身のQuickカードのクリティカル威力を25%(最大限凸で30%)アップする星3礼装。
実装されたばかりの頃は、それほど評価の高くなかった礼装ではありますが、スカサハ=スカディの登場によってクイックカード中心のサーヴァントを使いやすくなった現在では、星3礼装としてはなかなか悪くない性能と言えます。
コストの関係で高レアの概念礼装をつけれない場合などに、クイックカード3枚構成のサーヴァントに装備させるといい仕事をしてくれます。加えてスター集中ももつ水着牛川丸との相性は◎。
そんなフリーランサーに描かれている女性は、とある事件によって身寄りを失った、衛宮切嗣の育ての親、ナタリア・カミンスキー。封印指定の執行者や、外道に堕ちた魔術師を狩り生計を立てているフリーの魔術師で、魔術師でありながら銃器や爆発物といった近代兵器を積極的に使用する異端の存在。
後に「魔術師殺し」として知られることになる切嗣に生きるための術を教え込んだ人物でもあります。(アニメ版では、切嗣の切り札である「起源弾」を制作したのもナタリアとされています)
『Zero』本編では、彼女と幼い頃の切嗣の物語が回想として描かれるのですが、彼女と切嗣を待ち受けている運命はあまりにも壮絶。容赦がないストーリー展開を描くことで知られる、“虚淵節”が存分に発揮されており、『Zero』の中でも一際強烈な印象を残すシーンとなっています。
そんな原作での関係性を考えると、やはりここはエミヤ[アサシン]と組ませたくなるところですが、エミヤ[アサシン]はアーツ中心のカード・スキル構成となっているため、こちらも相性が良いとは言い難いのがやや残念。
とはいえスター発生に優れるアサシンクラスの補正+スター獲得スキルも持っているため、十分恩恵を受けることは可能です。この噛み合いそうで噛み合わないもどかしさは、ある意味この二人の関係らしいと言えるのかもしれません。
『Fate/Zero』に関連した礼装の紹介、いかかでしたでしょうか。
『Zero』は数ある『Fate』シリーズの中でも、聖杯戦争のバトルロイヤルとしての面が強く描かれているため、誰でも楽しみやすいのも特徴。個人的にも、『FGO』からシリーズに触れられたという方々が、最初に観る作品のチョイスとしてとくにオススメできます。
まだ第2部第3章を終えていないという方は、次回のイベントに備えて、『Fate/Zero』を視聴しながら、第2部第3章をプレイするという、虚淵さん尽くしの『Fate』を堪能するのも良いのではないでしょうか。
本連載では、引き続き様々な概念礼装をピックアップして紹介していく予定ですので、お楽しみに!
[文/米澤崇史]
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『Fate/Grand Order(フェイト/グランドオーダー)』作品情報
・ジャンル:FateRPG(フェイトRPG)iOS/Androidにて好評配信中
・企画・開発・運営:DELiGHTWORKSInc.(ディライトワークス株式会社)
・製作:TYPE-MOON/FGOPROJECT
・価格:基本無料(ゲーム内課金あり)
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