舞台『夢王国と眠れる100人の王子様 On Stage』榊原徹士さん×竹中凌平さんインタビュー|「お互いにとって落ち着く&楽な存在」となった2人が紡ぐ物語の見どころは?
舞台第2弾「夢王国と眠れる100人の王子様 On Stage」が、いよいよスタートします!
2018年夏に放送されたTVアニメ「夢王国と眠れる100人の王子様」のストーリーを軸に、アヴィ・キエルそれぞれの目線で紡がれる“夢世界”での物語。
<Sideキエル>は、東京・シアター1010にて、2019年1月31日(木)〜2月3日(日)の7公演、<Sideアヴィ>が東京・品川プリンス ステラボールにて、2019年2月7日(木)~2月11日(月・祝)の8公演で行われます。
本稿では、アヴィ役・榊原徹士さんとキエル役・竹中凌平さんにインタビュー。TVアニメとの違いや、共演しての互いの印象、舞台の見どころなどについて伺いました。
ツンデレ王子・アヴィ&無邪気なキエルを体で表現することで生まれる人間味
――まず、出演が決まっての感想を教えてください。
キエル役・竹中凌平さん(以降、竹中):今まで、いろいろな役を演じさせていただきましたが、「ついに王子様か!」と。舞台第1弾のことは知っていて、ビジュアルも見たことがあったので、こんなキラキラした作品を自分ができるのかなと正直思いましたね。
アヴィ役・榊原徹士さん(以降、榊原):正直、「俺でえぇの?」と(笑)。僕は、あまりアニメを元とした舞台に出たことがないので、お話をいただいた時に、このカテゴリーの中に自分も入っていいのかという思いが第一にありました。そんな中でも、オファーしていただいたという気持ちがうれしかったです。
――台本、キャラクタービジュアルなどから、お互いのキャラクターについては、どんな印象を受けましたか?
榊原:凌ちゃん(竹中さんの愛称)が演じるキエルは、TVアニメで初登場したキャラクターなので、スマホアプリからのキャラクターよりも情報が少ないんですよね。さらに、アヴィから見たキエルはつかみどころが難しくて。地に足が付くか付かないかくらいのギリギリで、宙に浮いているようなフワフワしたイメージがあります。
でも、人懐っこい部分もあって。他人のパーソナルスペースに、急にグイッと入ってきたかと思えば、自分のやりたいことを見つけたらヒュッと離れて、すぐにどこかへ行ってしまう。無邪気で子供みたいなキャラクターを演じるのは、多分凌ちゃんが意識しているポイントであり、役どころじゃないかと思います。
竹中:ベストアンサーじゃないですか! 完全にその通りです(笑)。
徹くん(榊原さんの愛称)が言ってくれたように、人懐っこくて明るいキャラクターです。一方で、繊細な一面も持ち合わせていたりするので、そういったギャップを人間が演じることで、見る人にさらに深い部分まで伝えられたらいいな、と思って意識しています。
――では、キエルから見たアヴィはどういったキャラクターでしょうか?
竹中: “ザ・王道”の主人公という感じです。すごく真面目だと思うんですけど、たまに天然で。そういったキャラクターを演じるのは、難しそうだなと思います。
榊原:そうですね。天然さは意識して演じたいですけど、かなり難しいことだと思います。一生懸命やっている中で思わずボロが出る、みたいなことが天然の1つだと思うので。まずは、みんなと良いステージ、良い関係を作り上げられれば、もしボロが出たとしても全員でフォローし合えるので、天然というキャラが生きてくるんじゃないかと。それは、舞台というナマモノだからこそできることであり、そこを受け入れられるまでにキャラクターとしての意識を持っていけたら、すごいことになるんじゃないかと思います。
また、キエルの「たぶんね!」という口癖があるように、アヴィには腰に手を当てる癖があるのですが、人間だし、ずっと腰に手を当てているわけではないじゃないですか。そういったバランスを考えながら、人間とアニメでのキャラクターの境目をどのポイントで作るかが、演じる上で大事なことかなと思います。
竹中:アヴィについて、もう1つありました。キエルはグイグイと他人のパーソナルスペースに踏み込んでいくんですけど、アヴィは全くそんなことないので、そんなキエルに徐々に心を許していく変化も、今回のアヴィの見どころですね。
榊原:アヴィはツンデレ王子ですからね。
――キエルはTVアニメで初登場したキャラですし、TVアニメからのファンの方も楽しみにしていると思いますが、TVアニメと舞台との相違点などはありますか?
竹中:演出・振付のTETSUHARUさんがおっしゃっていたのは……何だっけ(笑)。ここまで(鎖骨を指して)出てきているのに。
榊原:喉元までじゃなくて、鎖骨までなの?(笑)。
竹中:(笑)。アニメは、キラキラした夢のような世界ですが、舞台では、人間が演じることによって人間味やドラマ性、メッセージといったものが、さらに違った風にお届けできるんじゃないかと思います。すみません、本当にインタビューが苦手で、うまく言葉にできないのですが……。
――大丈夫です。なかなか答えにくい質問だと思いますし、竹中さんなりの言葉でお話いただけることが、ファンの方はうれしいと思うので。榊原さんはいかがですか?
榊原:スマホアプリがあって、アニメがあって、舞台があると、それぞれ3つのものがあると捉えて、切り分けて見ていただきたいです。もちろん、つながっている楽しみもありますが、スマホアプリ、TVアニメでの声優の方と、僕たちはまず声が違うので。
(アニメのキャラクターを人間が演じることで)できること・できないことはあるのですが、できないからこそ人間味が生まれるということにもつながると思うんです。対人間同士による空気感は、演じる者同士でしか生まれないと思うので、それを僕らは体現して伝えるということが、一番の相違点ではないでしょうか。
竹中:すごい!! 聞き入っちゃった。
気が付くと隣にいるほど、お互いにとって落ち着く&楽な存在になった2人☆
――TVアニメとは違った、目の前で繰り広げられるお芝居だからこそ伝わるモノを感じていただけると良いですね。お2人は初共演かと思いますが、共演してみての感想を教えてください。
榊原:凌ちゃんとは、ビジュアル撮影の時が「初めまして」でしたね。
竹中:そうでしたね。
榊原:初めまして“あるある”なんですけど、撮影で初めてお会いして、いきなり「2人で撮影します。近くに寄ってください」みたいなことって多いんですよね。でも、初めましてだけど距離感を詰めて写真を撮るのって、なかなか難しいことじゃないですか。
竹中:しかも、商品という形で世に出る物ですからね。
榊原:そう。でき上がった物には、初対面だからということは関係ないけど、撮影中はどれくらい触れていいか分からないし、一応気になるんですよね。ただ凌ちゃんは、そういう部分で、近くに寄っても全然大丈夫な雰囲気があって。
竹中:同じこと思いました、僕は(初対面から距離を詰めても)全然オッケーでした。
榊原:お仕事だし僕も分かるんですけど、しなきゃいけないことなのか、自分で「いいよ」と思っていることなのか。口に出して言うか言わないかは、結構大きいんです。その時に、凌ちゃんはすごくいい子なんだなと思いました。
竹中:初めての時は、僕も申し訳なさから入ります。触ってごめんなさいみたいな。
一同:(笑)。
榊原:これ、結構“あるある”だと思います。
竹中:やっぱり、相手から来てくれると、すごくうれしいですよね。
榊原:「来てくれたらうれしい」と、お互い待ちな感じで、なかなかその一歩が踏み出せないです。
竹中:これも“あるある”なんですけど、共通の共演者の方とかから、僕は徹くんの話を「すごく面白いよ」と聞いていて。実際に会ったら、すごく面白かったので、なんだかすごく安心しました。
榊原:そうなの?
竹中:だって、地球を守ってた方なので。分からないじゃないですか。
榊原:僕が守ってたのは、宇宙ね(笑)。
竹中:あ……(苦笑)。実は昨日、徹くんがセンターをやっている吉本坂46「君の唇を離さない」のPVを見たんですけど、カッコよかったです。もっと早く見ておけば良かったなと。むしろPVを見る前に、この素の徹くんを知っているので、PVの方が不思議でした。
榊原:カッコつけてますからね。
竹中:やっぱり絵になりますよ。
――稽古中など、演技してみて感じたことなどはありますか?
榊原:演技は、お互い提示しまくるタイプですね。すごいなと思ったのは、自分の動作を台本にびっしりメモ書きするところです。これまで見たことがなかったので。
竹中:忘れちゃうんですよね……そんなに動作、書いてますか?
榊原:書いてる。セリフの行間や、こういうタイミングがあったら、こうするみたいな。だから、セリフと同じくらいの量のメモが書いてあるんです。
竹中:演出家さんにもよりますが、TETSUHARUさんはミザンス(立ち位置)にすごくこだわられるので。1回言われたことをまた言われると、時間の無駄になってしまうので、忘れないよう書くようにしています。書かないと忘れちゃうので、ずっとしていることですね。
榊原:それは本当に、すごいよね。分かっていないから書くのではなく、分かった上で書いておくというのは、結構すごいなと思います。
竹中:ただの心配症なんです。
榊原:いや、すごいよ。すごい、すごい!
竹中:ありがとうございます(笑)。
――お2人とも、いろいろな舞台で、いろいろな役者さんと共演されていると思いますが、毎回いろいろなお芝居や新しい気付きがあったりするんですね。
榊原:いろいろなタイプがいると思います。実を言うと、全員がそろって、きちんとお芝居の稽古ができる時間が、これまでの舞台などと比べたら短くて……今はまだ、内容を自分の中で消化して、アウトプットしている段階です。
ただ、共演者のみんなとは過去に共演していたり、誰かを通じてつながっていたり……という土台があるので、できないものを作ろうとしているわけではないです。劇場に足を運んでいただいて、今後どのような形で全員が仕上がっていくのか。そういった新しい関係性も見ていただけたらいいのかなと思います。
――全体での稽古はまだ少ないということですが、休憩のオンオフの切り替え方や、休憩中の過ごし方などはありますか?
榊原:例えば、椅子が4脚あって2人が座るとして、1人が一番端に座るとするじゃないですか。もう1人は1つ空けるか、両端に座ろうとして、すぐ隣に座る確率は低いと思うんですけど、お互いなぜか近くに座るんですよね。もちろんそうじゃない時もありますけど、普通だったら「なんで?」という感覚になるかもしれないところを、4脚のうち真ん中に2人で並んで座っている、みたいなことがたまにあります。
竹中:今日も、まだ他のキャストがいないので、離れて座ればいいと思いますけど、徹くんが椅子を確保していたら、僕はその隣に行きますね。
榊原:今日も「おはよう」って入ったら、すぐここ(顔の真横)にいたからね。多分、お互いに落ち着く&楽な場所と認定されているんでしょうね。
竹中:そういえば、毎日一緒に帰ってますね。
榊原:ほんまや。
竹中:何か、よく分からない居心地の良さはあります(笑)。別に、しゃべらなくても気まずくないですし。
――稽古期間の短さに反して、お2人の仲が良くて、舞台上でも、先ほど話されていた人間味というところに生きてきそうですね。
榊原:今インタビューしていただいている時は、僕らも仲良くなった関係値の状態だと思うので、舞台では関係が深まる前を見ていただくといいかも。物語は、アヴィ、キエルがお互いの距離が離れている状態からスタートするので、そこが意外と楽しいかもしれないです。
竹中:そうですね、キエルはグイグイいきますけどね(笑)。
榊原:だいぶグイグイくるね。TETSUHARUさんが、「無理しなくてもいいよ」「息継ぎしな」と言うくらい。
竹中:でも、全然いけちゃうんですよね……。あ、それは見てからのお楽しみで(笑)。
榊原:(笑)。他には、休憩中はみんなでワイワイしゃべっていて、面白い人たちが多いですね。かなり若い人が多いわけでもなくて、みんな必ず場数を踏んで、それぞれキャリアを持っている人たちが集まっているので、やるときはやるし、オフる時はオフるというのが分かりやすいというか。こちらとしても、気持ちが楽で。
竹中:みんな面白くて、すごくいい雰囲気だと思います。
榊原:年上の方には助けられています。年上なのに、いじっていいタイプの方はすごくありがたくて。年下にいじられるのをよく思わない人もいると思いますけど、吉岡佑くんと上杉輝くんなんかは、笑って「口悪いぞ!」みたいに突っ込んでくれるので。
竹中:(笑)。
榊原:それが笑いになるし、そうやってみんなで笑うこと自体に意味があるというか、良い潤滑剤になっているんじゃないかなと、すごく助かっています。
男性客も“姫”? 恥ずかしがらずに一緒にライブ感を楽しんで!
――公演で楽しみにしていることや、本作の見どころなどがあれば教えてください。
榊原:お客さん全員が姫やけど、1人の姫として見てるところかな?
竹中:お客さんに“姫”として見ていただく舞台なので、一緒に冒険しているというか、作品の世界を一緒に歩いている感覚になれたらいいですよね。あと、ライブもあるのですが、国によって曲のテイストも全然違うし、飽きさせないと思います。でも、男性のお客さんがいたら……どうだろう?
榊原:男の人が来たら、その人も姫でしょ。不思議な体験をしていただいたら、いいんじゃないかな(笑)。姫というポジションは、女性にとって理想だし、誰でも一度は経験したいことだと思うので、それを男の人が経験するのは面白そうだから、楽しみ。もし、客席とやりとりをする場面があったら、真っ先に狙いますよ。あまり恥ずかしがらずに、やりとりに乗ってくれそうな気がします。
竹中:やってくれたら面白いですね。
榊原:あと、ライブ感があると思います。劇中では、姫に助けてもらわないといけないシーンがあるので、恥ずかしいと思わずに、全力で姫に助けてほしいです。来てくれている姫の皆さんがいて初めて舞台が完成するので、そのライブ感を存分に楽しんでいただくことと、ライブ(生)だからこそ1日1日が違うできあがりになることが、本作の見どころの1つだと思います。
――最後に、楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
竹中:そうですね……(熟考)。お芝居あり、殺陣あり、ライブあり、そして<Sideキエル><Sideアヴィ>と、盛りだくさんなこの作品を、皆さんと一緒に冒険できることを、楽しみにしています。
榊原:TVアニメの物語を軸に、アヴィ・キエル・姫が旅する物語なので、国ごとに異なる王子たちのテイストや、やたら個性の強いキャラクターたちとの交流はよく見ていただきたいというか。国によってワチャワチャする王子たちもいれば、していない王子たちもいるので、その緩急の差や、それを見た時に「この王子もいいけど、こっちの王子も素敵かも」と思う時もあると思うので、1人ひとり注目する中で、そのシーンごとに目を引いたキャラクターをぜひ追っていただきたいと思います。
舞台「夢王国と眠れる100人の王子様 On Stage」作品情報
全世界で1,000万DLを超える大人気スマホアプリ「夢王国と眠れる100人の王子様」。待望のTVアニメ化を経て、再び王子達がステージに集結!アニメのストーリーを軸に、アヴィ・キエルそれぞれの目線で紡がれる“夢世界”での物語をお届けします。
◆キャスト
アヴィ:榊原徹士、キエル:竹中凌平
ダグラス:小沼将太、ロッソ:古谷大和
マッドハッター:吉澤翼、キャピタ:鷹松宏一
ハーツ:小林竜之、チェシャ猫:白石康介
マーチア:上杉輝、クロノ:菊池修司
ドーマウス:佐藤友咲、フロスト:吉岡佑
グレイシア:高橋里央、シュニー:山中健太
(※チェシャ猫役・三浦海里さんが「体調不良」によりやむを得ず降板となりました。)
◆日程
<Sideキエル>
シアター1010
2019年1月31日(木)〜2月3日(日)7公演
<Sideアヴィ>
品川プリンス ステラボール
2019年2月7日(木)~2月11日(月・祝)8公演
◆チケット 価格:8,500円(税込/全席指定)
★ただいま一般発売中!