夏アニメ『7SEEDS』岩清水ナツ役・東山奈央さんインタビュー│極限のサバイバルに身を置く“なにもできない”ナツ。「やっぱり主人公なんだなと思わされました」
田村由美先生による累計600万部(デジタル含む)を超える大ヒット作『7SEEDS』がついにアニメ化! 2019年6月28日からNETFLIXにて全世界独占配信がスタートしました!
「7SEEDS計画」に選ばれた若者たちのサバイバル生活が生々しく描かれる本作。キャストには岩清水ナツ役・東山奈央さん、青田嵐役・福山潤さん、麻井蟬丸役・小西克幸さん、早乙女牡丹役・沢海陽子さんをはじめとした30人以上が名を連ね、それぞれ生き延びようと必死に足掻くキャラクターたちを演じています。
この度、アニメイトタイムズでは『7SEEDS』のメールインタビューを実施! 第1回は岩清水ナツ役・東山奈央さんです。
作品の魅力や担当するキャラクターについて。さらに、キャラクター同士の関係性が鍵となる本作にちなんで、サバイバル生活において“相棒にしたいキャラクター”もお伺いしました!
何も出来ない故に伸びしろのあるナツ。「やっぱり主人公なんだなと思わされました」
――公式サイトのコメントでは、“私自身も真っ青になりながら原作を一気に読みました”と綴られています。東山さんが感じた本作の魅力について教えてください。
東山奈央さん(以下、東山):とにかくリアルでした。自分にまったく無関係な世界のこととは思えませんでした。原作を読み切って、ナツと一緒にあの世界を生きた気持ちになって、私自身が本当に成長できたところもあるんじゃないかなと思います。
自分が生きていたい理由はなんだろう、とか、自分の頭で考えているつもりで考えられていなかったな、とか、気づかされることが多かったです。あとは……私、小さいころから虫が苦手なのですが、今はちょっとした虫を見つけても大丈夫になりましたね(笑)。
他にも、田村先生の生み出されたたくさんの言葉が私の人生観を変えてくれました。そのくらい特別で、出会えてよかった、そして多くの方に出会ってほしい原作ですね。
――演じられるナツは、厳しいサバイバル生活には似合わない普通の女の子ですが、東山さんからご覧になった印象についてお聞かせください。
東山:みんなが主人公、といえる物語のなかでも、特に作品の中心に据えられているナツですが……この子は本当に何もできませんでした。だからこそ伸びしろが多いとも言えるのですが、主人公としての目覚めがとても遅くて、なかなか動き出さないんですね。
みんなが自分のために生きて、自分で考えて行動しているのに、ナツだけはいつもどうしたらいいのか分からない。この極限のサバイバル状態になって初めて、ナツはようやく目が開いたんだと思います。
人から見れば、今更だと思われてしまうような“気付き”も、一つひとつがナツにとっては革命的で、そんな風に成長していく彼女を見ているとだんだん頼もしく思えてきます。元の現実ではきっと得るはずのなかった自信をつけて、この世界をポジティブに受け入れられるようになっていくナツは、やっぱり主人公なんだなと思わされました。
――ナツは周りに助けられながらも、厳しい生活を生き残ろうとする姿が印象的ですが、演じられる上でのポイントを教えてください。また、現場でスタッフの方から役に対しての事前説明やディレクションはありましたか?
東山:アフレコのことを振り返っても、実は……あんまりキャラに関するディレクションはなかったように思います。今作品はキャラクタービジュアルが大人っぽかったり、テーマが重たかったりするので、10代のキャラクターであっても全体的に大人っぽい役作りになっています。
ただ、ナツは治外法権だと言われていて(笑)。ひとりだけ小動物のように、いつもおどおどビクビクしている。周りのキャラクターとは雰囲気が違ってOKと言われて、ちょっと不安になるくらいでした。
ナツを演じる前は、もしかしたらすごく神経質になるかもしれないと覚悟していたのですが、実際に演じてみると自然でいられたような気がしています。ナツと私はよく似ていて……というと、あまり信じてもらえないかもしれませんが(笑)。
元々の私はそんなに陽気なタイプでもなくて、気を抜くとナツのように塞ぎこんでしまうような気質もあると思っています。だからナツの言葉は、私にとてもフィットしていて、演じていてもひとつも無理がなかったと感じています。そんな役に出会えて幸せです。
――サバイバルを生き抜く上でナツは、肉体的にはもちろん、精神的にも強くなることが欠かせないと思います。演技において“成長過程”はどのように意識されましたか?
東山:原作では原作の、アニメではアニメのターニングポイントがあると思っています。最終的にナツがここまで成長するとしたら、その成長の階段をどういう風につけていこうかな?ということは考えましたが……でも、人間って1つのことを1回クリアしたら、ゲームみたいにずっとレベルが上がったままかというとそういうわけではなくて、寝て起きたらまたちょっと出来なくなってた、みたいなこともあると思います。なので、成長過程はあまり理屈で考えず、目の前で起きたことに対して、素直に反応していこうと思いました。
――演じるにあたって、チームの結束力、もしくは仲の良くないキャラクターとの距離感などを意識されたりしているのでしょうか?
東山:嵐と蟬丸は、序盤のナツにとってキーになるキャラクターですね。初めて優しくしてくれた嵐を好きになりますが、果たしてそれは本当に「好き」なのか、蟬丸の言葉で立ち止まるきっかけをもらえました。でも、そうは言われても……優しくない人を好きになることってあまりないような気がしますが(笑)。
ただ、確かに、優しくしてくれたことが好きになる一番の理由になるのは違う気がします。私も、とても勉強になりました(笑)。そんな蟬丸ですが、蟬丸と同じチームになってしまったら嘆いてしまいそうなくらい第一印象は最悪でしたが、ただの柄の悪い男の子ではなくて、周りをよく見ている意外と賢いキャラクターなんですよね。ナツとの距離感の近づき方は意外でしたが、今となってはなくてはならない存在だと思います。
――登場キャラクターが非常に多い作品だと思います。アフレコ現場の雰囲気はいかがでしょうか? また、収録や休憩中などで印象的なエピソードがありましたらお聞かせください。
東山:夏のBチームは、本当にそのままで、とても愉快な雰囲気でした(笑)。こんなにストーリーが重たいのに、本番が始まるギリギリまで笑わせられてしまうので、ある意味修行でしたね(笑)。
あとは、他の皆さんもおっしゃるかもしれませんが、作品のなかでは恋人役である福山潤さんと日笠陽子さんが、いつでもケンカをしている(笑)。もちろん本気のケンカではないですよ! あのままイベントなどでお見せしたいくらい、おふたりともすごいテンポ感でやり取りされていて、それがとても面白くて(笑)。
福山さんが淡々とツッコみ、日笠さんがキレ芸で返し、それを上回る理論武装で福山さんが返す。おふたりとも頭の回転が速すぎて、思わず聞き入ってしまうほどでした。いつも現場の明るいムードを作ってくださっていました。
――本作では、人を見抜く力、キャラクター同士の信頼感が重要なポイントだと思います。東山さんご自身が過酷なサバイバル生活に身を置くこととなった場合、相棒となるキャラクターをひとり選べるとしたら誰にしますか?
東山:夏のBチームは友だちにはなりたいのですが、ひとり選ぶとしたらちょっと難しいですね。あのチームは総合力なので(笑)。秋からは絶対選べないし……やっぱり新巻さんですね!
壮絶な経験をしたからこその優しさや行動力は尊敬しかないです。新巻さんの一言がすごく沁みます……。新巻さんを選ぶと、もれなく犬たちが一緒なのも魅力的ですね(笑)。あんないい子たちとともに、みんなで旅をしていけたら心強いです。
――最後に、原作ファンやアニメから本作に触れる方へ向けてメッセージをお願いします。
東山:『7SEEDS』12話が一挙配信となっています。原作に初めて触れたとき、とにかく先が気になって仕方がなくて、私は全35巻を4日間で読破してしまったのですが、最後まで読み終えて改めて素晴らしいお話でした。
苦しくて、悲しくて、絶望して、どうなってしまうんだろうと手に汗握ったぶん、小さな希望が見つかったときは本当に嬉しくて、心が大きく動かされました。
アニメになって、キャラクターの一声を聴いただけで、その先の悲劇を思って涙が出てきてしまったりしたこともあって……とても思い入れのある作品になりました。ひとりでも多くの方に、この作品に触れていただきたいです。
[構成・MoA]
作品情報
配信情報
NETFLIXオリジナルアニメシリーズ『7SEEDS』
2019年6月28日(金)よりNetflixにて全世界独占配信
イントロダクション
少女ナツが目を覚ますと、辺りは海。
突然荒れ狂う海に放り出された彼女は、嵐と蟬丸、牡丹と共に島へと辿り着く。その島には未開のジャングルが広がり、巨大化した植物や、凶暴化した動物や昆虫に次々と襲われ、死と隣り合わせのサバイバル生活へと放り込まれる。
そんな中、ガイドだと名乗る人物より信じられない計画の話を聞かされる。それは、人類絶滅を回避するため、若く健康な人間を冷凍保存し、災厄が過ぎ去った後の世界に人類の種を残そうという壮大な計画「7SEEDS計画」の話だった。
彼女らはその計画に選ばれた人間なのだと初めて知り愕然とするのであった。
「7SEEDS計画」に選ばれた若者たちは変わり果てた世界で、過酷な環境にさらされながらも懸命に生きてゆく。
原作
原作:田村由美「7SEEDS」(小学館「flowersフラワーコミックスα」刊)
スタッフ
監督:高橋幸雄
助監督:相浦和也
シリーズ構成:待田堂子
脚本:待田堂子、森田繁、朱白あおい
キャラクターデザイン:佐藤陽子
総作画監督:佐藤陽子、齊藤佳子、芝田千紗
プロップ・サブキャラクターデザイン:齊藤佳子
クリーチャーデザイン・クリーチャー監修:乙幡忠志
アクション・エフェクト監修:SNIPES
美術デザイン:杉本あゆみ(千住工房)
美術ボード:小林雅代(千住工房)
美術監督:池田裕輔
色彩設計:大西峰代
特殊効果:入佐芽詠美
撮影監督:浅川茂輝
編集:齋藤朱里
3DCG制作:OKINAWA GONZO
3DCG制作協力:Type ZERO
2Dデザイン・モニターワークス:荒木宏文
音響監督:鶴岡陽太/音響制作:楽音舎
音楽:未知瑠
音楽制作:ユニバーサル ミュージック
アニメーション制作:GONZO
キャスト
岩清水ナツ:東山奈央
青田嵐:福山潤
麻井蟬丸:小西克幸
早乙女牡丹:沢海陽子
天道まつり:阿澄佳奈
守宮ちまき:石田彰
草刈螢:悠木碧
百舌:井上和彦
末黒野花:日笠陽子
雪間ハル:野島裕史
角又万作:置鮎龍太郎
新草ひばり:喜多村英梨
鯛網ちさ:能登麻美子
野火桃太郎:広橋涼
甘茶藤子:伊藤静
柳踏青:江川央生
猪垣蘭:浅野まゆみ
稲架秋ヲ:三宅健太
鹿野くるみ:加隈亜衣
荻原流星:石川界人
梨本茜:小松未可子
八巻朔也:阪口大助
刈田葉月:星野貴紀
十六夜良夜:津田健次郎
新巻鷹弘:佐々木望
鮫島吹雪:野島健児
神楽坂美鶴:桑島法子
安居:小野賢章
涼:櫻井孝宏
小瑠璃:千菅春香
あゆ:嶋村侑
鷭:寺島拓篤
源五郎:佐藤拓也
虹子:皆川純子
卯浪:菅原正志
貴士:速水奨
茨木真亜久:興津和幸
神酒マリア:寿美菜子
音楽
オープニングテーマ:天月-あまつき-『Ark』
エンディングテーマ:majiko「WISH」