声優
『ウルトラマンタイガ』主題歌・寺島拓篤インタビュー

『ウルトラマンタイガ』主題歌・寺島拓篤さんインタビュー|シングル「Buddy ,steady, go!」、令和最初のウルトラマン・タイガへの熱い想いを語る!!

タイガへの想い、リスペクトを詰め込んだ主題歌

 

――その主題歌「Buddy, steady, go!」もご自身で作詞されていますが、どんなテーマやイメージで書かれたのでしょうか?

寺島:今までの楽曲の中で一番詰め込んだ歌詞になっています。先方からのオーダーは『ウルトラマンタイガ』というタイトルと、変身のキーワードになる「バディゴー!」を入れてください、というそれだけで。

あとは僕次第で、タイガのいいところのどこを拾うか、歴史があるシリーズのどこをピックアップするか、タロウの息子であることは切っても切れないDNAがあるから入れたいとか、いろいろ考えたらてんこ盛りになってしまって。

でも入るんですよね、不思議と。それがおもしろかったですね。

――「絶対負けない」など力強さは主題歌然としつつ、「君だけの答えが待つ銀河へ」と宇宙感も入れ込んで、ウルトラマンシリーズらしい歌詞になっているなと思いました。それでいて、2Bの「猛勉強」「もう結構」など韻を踏みまくりなのはてらしーらしいなと。

寺島:楽しかったですね。サビが一番印象的だったと思うんですけど、「Get set,Go!タイガ! 君だけの答えが」がまず最初に浮かんだんですよね。

タロウの息子としてだけではなく、自分自身として成長していく中で、きっと答えがあるはずというのが最初に浮かんだキーワードで、それをサビの1番目に入れてみようと。

そして星の数ほど人はいるし、見てくれる子供達にも自分なりの答えを見つけて成長してほしいし、その答えは見上げた星空のように地上のいろいろなところに散りばめられているから自分だけの答えを見つけてほしいという願いも込めて。

――あとウルトラマンタロウの要素も散りばめられているような。

寺島:自分で調べたエピソードや、有識者である鈴村健一さんからタロウのキーワードを教えてもらったものなどちょこちょこ入れています。

一番わかりやすいのは、2サビに出てくる「Dynamite」で、タロウの必殺技、ウルトラダイナマイトからきています。

タロウの息子だよと明示化するのではなく、タイガの中に受け継がれているんだよというふうに作りたかったんです。

――またタイガ、タイタス、フーガのトライ スクワッドの絆を連想させる歌詞も。

寺島:先方からご指定いただいたキーワードの他に、こういったことも描いてほしいという軸もいただいていて。

タイガの成長や、今作ではいろいろな宇宙人が地球で暮らしていて、彼らとわかり合えるような多様性も描いてほしいと。

その多様性には3体のウルトラマンの三者三様の部分も含まれているので、みんなとわかり合えたら素敵だよねということを、「ずっと笑えあえる」など2番で特に歌っています。

――様々な要素を詰め込んでいるからこそ、フルコーラスで聴いてほしいですね。

寺島:ピンポイントでこの話数のここを表現しているということはありませんが、全体を通して、こういった気持ちや目標を持ってタイガ達は戦っているのかなとか物語は描かれているのかなとちゃんと演出できる歌詞になればいいなと思って書きました。

また1番は普遍的で全世代に通じる内容で、2番は見てくれるお子さんを意識して書いたので、作品やお子さん達にハマるといいなと思っています。

――サウンドや歌い方も特撮ソングらしい勢いや派手さとカッコよさがありますが、てらしーらしいロックチューンにもなっていると思います。

寺島:すごいパワーを使った気がしますけど(笑)、自分の個性が特撮の主題歌にハマったのならうれしいです。

あと声優が歌っているので歌詞が聴き取りやすいところはよかったかなと思います。歌う時に気を付けたのはタイガのキャラソンみたいにならないように意識しました。

――お気に入りのフレーズは?

寺島:全部です。いろいろなものが気持ちよく全部入れられたので。普段使わないようなストレートな、感情をそのまま言葉にしました、みたいな部分や、「たぎるぜ」とか、タイアップ曲じゃなければ入れられないようなテンション感も入れられたし。

あとサビに作品名を入れられたこともうれしかったんですけど、実は作・編曲の渡部チェルさんのデモの段階から同じ場所に作品名が入っていて、そのままでいいよねと。

「今よりも大きな我(じぶん)になって」も漢字を読むとタイガになっていたり、「超えていくのさ 君こそ闘士(ファイター)」も『コミックボンボン』で連載されていた『ウルトラマン超闘士激伝』にもなぞられていたり、ウルトラマン好きな方にはピンとくるようなギミックも入れられたのもうれしかったです。

あと子供のヒーローって何かなと考えたら足が速い子かなと思って、「走り」や「Dash!」を入れてみたり。ウルトラマンといえば空を飛ぶイメージがあると思うけど、それよりも子供達に近い「走る」要素を入れられたことも手応えがありました。

――他に注目してほしいポイントは?

寺島:ニュージェネレーションヒーローの先輩達のキーワードもちょこちょこ入っているので探し出してもらえたらうれしいです。

『劇場版ウルトラマンR/B』のグランドフィナーレのイベントに参加させていただいて、ウルトラマンファンの皆さんとハイタッチさせていただいたんですけど、その時に「任せました!」という言葉をたくさんいただいて。

こうやってウルトラマンの魂は受け継がれていくんだなとすごく感じたんですよね。

だからニュージェネレーションヒーローの先輩達の言葉を少しずつ散りばめて、受け継ごうと思っていた自分の考えは間違っていなかったんだなと確信できたり、そこに導かれたのはウルトラマンだからなんだなと、ウルトラの力みたいなものを感じて、ぐっときました。

――ビジュアル面でもジャケットとMVの衣装がウルトラマンカラーですね。

寺島:いつものスタイリストさんが「ウルトラマンに寄せるしかないでしょ!」とデザインから作ってくれて、着てみたら思った以上にウルトラマンで(笑)。

ジャケットのデザイナーさんもウルトラマンだから巨大なビル群でやってみましょうと、作品を意識した作りをみんなでできたのがうれしかったです。

――そしてMVでは光線が飛び交う中にてらしーがいて、随所にダブルダッチをプレーするチームが。

寺島:今回のテーマが仲間だったり、仲間と一緒に何かを成し遂げるというところに監督が注目してくれて、いろいろと考えた結果、ダブルダッチが思い浮かんだそうです。

撮影当日にダブルダッチのチーム、REG STYLEの皆さんとお会いしたんですけど、実は僕の知り合いの後輩だったんです。知り合いもダブルダッチをやっていて、撮影後に「後輩がMVに出ましたよ」と連絡があって。

こういった形で繋がったり、引き寄せ合うのも素晴らしいなと思いました。また知り合いではあったけど、ダブルダッチを生で見るのは撮影の時が初めてで、あのスピード感とチームワークはすごいなと感心しました。

最初のAメロでは3人でプレーしているけど、最終的に4人になるところはトライスクワッドと主人公のヒロユキが入ったのを表わしているようで感動しました。

飛び交う光線もすごかったですね。SF感をイメージしてくださって。リップシンクと光線のシーンくらいの出番だったけど、そこに使い切るんだと集中したら普段より疲れちゃいました(笑)。その分、エネルギッシュかつスタイリッシュな映像に仕上がったかなと思います。

「サマータイマー」はカラータイマーと夏を掛けた振り返り青春パンク!

――ではカップリングのお話も。まず「サマータイマー」ですが、以前季節感のある曲が少ないとおっしゃっていましたが今回は夏感満載のパンクロックですね。

寺島:これまでも夏っぽい曲はいくつかあるけど、思い切り「夏だぜ!」と言ってなくて。今回、夏に出るし、内容も夏らしく、タイトルも「サマータイマー」にしようと。

そもそも今回のシングルの表題曲もタイアップなので、ウルトラマンをモチーフに3曲とも書きたいなと思って、「ウルトラマンって何だろうな?」と考えたら「カラータイマーだ!」って。

カラータイマーは活動限界の3分が近づくと点滅するし、今回ウルトラマンも3体いるから「3」をキーワードにしたらおもしろいかもと。

そして夏と限定感を結びつけて考えていたら「夏休み」、そして作品のスピンオフ的な発想から中学3年生の男の子3人が受験勉強の合間に夏休みの3日間だけどこかに遊びに行くという設定にしてみようと思い浮かんで。

そして、その頃を思い出している大人になった3人という振り返り青春ソングになりました。

――明るくて元気で熱い感じなのに、歌詞からどこか晩夏っぽい郷愁漂うのもそんな意図があったんですね。

寺島:メランコリックまでいかないまでも。だから大人の人が聴いたらちょっとふわっとする内容にしているんです。

夏フェスに行くとか、友達3人でバカをやるとか、僕は今までやってきていなかったので、夏の思い出に憧れがあって。それを間接的でも書いてみようと思ったんです。

だからサウンドも夏フェスっぽい青春パンクにしたいなと思ったし、3分限定にするのもおもしろいかなと。

――そういえば収録時間もほぼ3分でした! 

寺島:そうなんです! だからこれはもうR・O・Nさんしかいないと。R・O・Nさんのサウンドって幅広いけど、今回は振り切って若いパンクスに徹してくれてすごいなと思いました。

最初は楽器とボーカルのレコーディングも一緒にやろうぜと言っていて。スケジュールの都合で実現できなかったけど、ギターとベースとドラムの3ピースバンド編成で、学園祭みたいなテンションで楽しんで演奏していたとディレクターから聴いて、コンセプト的にも合ってるなと思ったし、男の子はいくつになっても子供に戻れるんだと感じられてうれしかったです。

――8月の終わりだけど、まだ夏は終わらないぞ、楽しむぞという意気込みも感じられるし、夏フェスやレジャーに行く時に聴きたい曲です。

寺島:この夏を思い出しながら、もうひとブーストかかるような曲になると思います。

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