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『アサシンズプライド』監督が声優陣に語ったキャスティングへのこだわり【連載Vol.11】

【連載】TVアニメ『アサシンズプライド』監督が小野友樹さん、楠木ともりさんら声優陣に語ったキャスティングへのこだわり/インタビュー

2019年10月より放送中のTVアニメ『アサシンズプライド』(著:天城ケイ イラスト:ニノモトニノ/富士見ファンタジア文庫 刊)。アニメイトタイムズでは、声優陣に自身が演じるキャラクターや物語についてお話を伺ったインタビューを連載形式で掲載中です。

第11話「死神の使いたち」の放送後となる今回は、クーファ=ヴァンピール役の小野友樹さん、メリダ=アンジェル役の楠木ともりさん、エリーゼ=アンジェル役の石川由依さん、ロゼッティ=プリケット役の薮内満里奈さん、そして相浦和也監督が登場。10月20日の『ファンタジア文庫大感謝祭2019』のステージ登壇後に行われたスペシャル座談会です。

《連載バックナンバー》
連載Vol.1:小野友樹
連載Vol.2:小野友樹
連載Vol.3:楠木ともり
連載Vol.4:楠木ともり
連載Vol.5:石川由依
連載Vol.6:石川由依
連載Vol.7:薮内満里奈
連載Vol.8:薮内満里奈
連載Vol.9:相浦和也
連載Vol.10:相浦和也

みんな一緒に、いい作品を作っていこうという雰囲気がある現場

――相浦監督と皆さんが揃って取材でお話する機会もあまりないと思いますので、監督の印象を伺ってもいいですか?

小野友樹さん(以下、小野):僕は機会がなければ自分からは話に行けないタイプで、打ち上げで初めて監督と話すということもあるんです。でもこの現場は不思議なもので休憩ゾーンにスタッフが結構いるんですね。

僕は新人の頃からブースの中にいなきゃいけないものだと思っていたところがあるんですけど、ジン役の鈴木達央さんが、こういうところでも話していいんだぜって改めて教えてくれたこともあって、外に出てみたんです。

そしたら結構いろいろなお話ができて、「このシーンはこういう意図でこうなっているんです」とか、理解しながら進めることができたんですね。だから何より、話しやすい監督だなぁと思いました(笑)。

薮内満里奈さん(以下、薮内):私は「初のレギュラー作品なんです」とお話したら、自分も初監督作品だから、初めて同士一緒に頑張りましょう!って声をかけてくださって、すごく優しい方というのが第一印象です。小野さんがおっしゃる通り、ロビーでお話することもできましたし、一緒に作品を作っていこう、みたいな雰囲気を率先して作ってくださっている印象でした。

石川由依さん(以下、石川):とても誠実な方だなと……。

小野:お見合いかっ!

石川: (笑) 私も小野さんのように、監督とはアフレコが全部終わってからやっとお話する機会ができるということが今まで多かったんですけど、今回は打ち入りがあり、その中で1話の上映会もしたんです。

その会を設けることで、こういうメンバーで作っているんだぞっていうのもわかるし、1話を見たことで、作品に対するスタッフさん側の熱意も感じましたし、残りの話数も頑張っていこう!という気持ちがさらに生まれました。監督ともお話しできるいい機会だったのですが、その会はどうやら監督発進だったそうで。そういうところも含め、周りのことをよく見てくださっている印象があります。

楠木ともりさん(以下、楠木):私もアフレコ序盤から監督とはお話させてもらっていて、今後こういう雰囲気にしていきたいとか、直接聞くことができたので演技もしやすかったですし、チームとして引っ張ってくださっている安心感がありました。こうやってアフレコ自体をいい雰囲気で進められたのは監督のおかげだなと思います。

――上映会は監督発信だったんですね。

相浦和也さん(以下、相浦):そうですね。それも作品を良くするためというか。アニメっていろんな人が関わっている中で、僕も打ち上げで初めて会う人とか、僕がやりたい演出をやってくださった方はこの人だったんだと思うことがあって。

だったらそれがもっと近い存在になれば、もっと出し合えるかもしれないし、もったいないと思ったんですよね。だから1話も出来ているし、みんなで集まって見よう!と思ったんです。その後は少しずつキャストの皆さんも作品の傾向をわかってやってくださったので、僕はすごくラクをさせてもらったかなと思ってます。

 

台本の文字が見えないようにしゃべれる『アサシンズプライド』のキャスティングのこだわり

――この作品ならではのディレクションとかはありましたか?

楠木:1話が結構シリアスで、2話でネルヴァに挑発される前に「私、自信ないな」って言うところがあるんですけど、急にギャグだったので全然切り替えられなくて、ディレクションもたくさん頂いたんです。もっとボソッとしていいとか、ギャグに寄っていいよとか。それが印象に残ってます。

小野:たしかに急だったもんなぁ(笑)。

相浦:そこは僕もまだ迷ってて、小説やマンガの砕けた良さも出したかったんですけど、1話ではクーファとメリダちゃんの出会いだけを描きたかったので、空気を崩さずにやってしまったんです。

2話以降そういうコミカルなところも描きたいなと思っていたんですけど、どこまでギャグに振っていいんだろうって思いながらやっていたので、こちらも答えを出してもらった感じでした。ただ、見てくれた方もかわいいと言ってくださっていたので、良かったのかなと。

薮内:かわいかったですもん! 私は2話でロゼッティが笑いながら立ち去るシーンで、「ホホホホホホ」って書いてあったので、高笑いなのかな?と思って「オーホッホッホ」みたいなコテコテの感じで用意していたら、ディレクションで文字の通りに言ってほしいということだったので、その理由を知りたいです。

相浦:まず最初に聞いたとき、「これか~」ってみんなで言いました(笑)。

小野:あははは(笑)。

薮内:えーー(笑)!!

小野:こう来ちゃったかーってことですね(笑)?

相浦:これはどう伝えようかなと……。

小野:薮内、大丈夫か? 心持つか(笑)?

相浦:いやいや、全然大丈夫です(笑)。これには理由があるんですけど、まずこのキャスティングをさせていただくときに、台本の文字が見えないようにしゃべれる方を選びたいと僕が言ったんです。でもギャグのシーンに関しては、それが見えててほしかったんだけど、ここはちょっと作ってしまったので、もっと素でギャグをやってもらえればいいなと思って、逆に文字を読んでみてくださいとお願いしたんです。

薮内:そうなんですね。

石川:でも、今いろいろと腑に落ちた感があります。悲鳴とか泣きとかも、エリーゼは最初台本に書いてある文字の感じで演じていたんですけど、もっと悲鳴とか泣きで大丈夫ですとディレクションで言われて。それはきっと監督がおっしゃっていた、文字が見えないようにしゃべるということだったんだなって。

楠木:私も、エリーゼと戦って言い合うシーンでは、台本をしっかり読みながら泣いていたんですけど、「何をしゃべっているかわからないくらい泣いちゃっていいです」というディレクションがあって、意外だなと思いつつも、腑に落ちました。


――小野さんは何かありましたか?

小野:僕はもう「レイディー」ですね。あそこは文字上では「レディー」だけど、原作上は「レイディー」になってたりして、どっちで行くのかな?と思っていたんです。でもこだわりがあったようで、「レイディー」になりました。

相浦:ちなみにキャスティングしたとき、「マイ リトルレイディー」が一番上手かった人です(笑)。

小野:まさかの「レイディー」キャスティングですか!

一同: (笑)

楠木:でも、キャスティングしたときポイントになったところ、聞いてみたいです!

――それぞれの役の決め手みたいなものはあったんですか?

相浦:そうですね……。まずオーディションを受けた人数が一番多かったのがロゼッティなんですけど、音響監督の本山(哲)さんに「この人は器用だ」と言われたんです。ロゼッティはメリダちゃんたち基準だと大人だけど、子供っぽい声を出せる人が良かったので、そういう意味でハマりました。あとオーディションで「あんただったのね!」って何度もやり直したんですけど、そこが一番グッと来たので。

薮内:ありがとうございます!

相浦:エリーゼに関しては、オーディションの候補の中に入れてくださいと僕からお願いした方なんです。理由はエリーゼってあまりしゃべらないので、どこか照りがある人がいいなと思っていて……。照りって、大人の品格とか品位のあるという意味で使ってるんですけど、ただボソボソしゃべる人ではない人が良かったんです。でも、本当にあまりしゃべるところがなかった……。

――1話でほぼセリフがなくて、2話だともう少ししゃべるかなと思ったら、ひと言くらいで……。

薮内・楠木:「ロゼせんせーー」

相浦:僕もその台詞を聞いて、エリーゼってこんななんだなぁと思ったんですよ。

石川:あのときちょっと会議していましたよね? なかなかOKが出なかったから。

相浦:「エリーゼはこれで行きますか?」と聞かれてたんです(笑)。

――メリダとクーファはどうですか?

相浦:一番決まらなかったのがこの2人だったんです。メリダちゃんのオーディションでは「ヤァー」とか「ハァー」とかをずっと言ってもらってて、そこで「文字を読まないでほしい」というオーダーを出したとき、一番感情だけで動いてくれる人を探していたんです。これは言っていいかわからないですが、原作の天城ケイ先生もバッチリ合っていると言っていました。

楠木:嬉しいです。小説あと3冊買います(笑)!

小野:みんないろいろな理由がある中、まさか「レイディー」だけってことはないですよね(笑)?

相浦:まず「マイ リトルレイディー」で選んで、本山さんから言われたのは大人っぽい感じでいくのか、年齢と17歳くらいでいくのかというところで、この話はメリダちゃんが軸で、メリダちゃんから見たらクーファは立派な大人なので、大人の人がいいとお願いしました。

ただ大人過ぎても今度は絵と合わなくなるので、そこの塩梅は考えつつ。低い声だけど柔らかくしゃべれる人がいいなというのと、二面性が出せる人、という感じですかね。

小野: (眼鏡をくいと上げて)なるほど。

相浦:普通にしゃべっている優しいところから、急に冷静なモノローグに入れる方が良かったんです。あとは説明的になり過ぎず聞こえるところも重要でした。

(C)️2019 天城ケイ・ニノモトニノ/株式会社KADOKAWA/アサシンズプライド 製作委員会
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