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『リゼロ』レムの健気さに感動した18話、声優陣が演技に込めた想い

TVアニメ『リゼロ』レムの健気さに感動した18話、小林裕介さん&水瀬いのりさんが演技に込めた想いとは

TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』(以下、リゼロ)の声優陣やテーマソング担当アーティストの特別インタビューを連続で掲載していく「Re:ゼロから始める取材生活」。アニメイトタイムズにて掲載中の本企画、第17回目ではナツキ・スバル役の小林裕介さんレム役の水瀬いのりさんが登場!

絶望感いっぱいの前半から、後半のスバルとレムの感動的な掛け合いについて、収録時のエピソードも含めて語っていただきました。そしてスバルがとったあの態度についても……。また18話終盤で流れたレムが歌う「Wishing」についても水瀬さんが想いやレコーディング秘話なども披露。ファンの皆さんからいただいた質問にもお答えいただきました。
 

目次

スバルを立ち直らせたレムの健気さに感動の18話



――まず先日オンエアされた18話の感想をお願いします。

レム役 水瀬いのりさん(以下、水瀬):作品タイトルを回収した回ですね。スタッフの皆さんから18話はすごく大事な回で、後半はレムとスバルだけのお芝居になると聞いていたし、原作も読んでいたので、「遂にあのやり取りが来るんだ!」と思っていました。収録では、2人のきりBパートはマイクの高さも合わせてもらいました。アニメのお仕事で2人だけで会話することってなかなかないし、更に特殊EDとしてレムの歌も流れて、とても印象に残った回になりました。

ナツキ・スバル役 小林裕介さん(以下、小林):今までは死に戻るたびに立ち上がってきたけど、もうあきらめるしか手段がないと思わせる状況に陥ったスバルの心境はまさにどん底。でもそんな絶望の底に落ちたところからレムの言葉で気力を取り戻して、再び立ち上がろうと決意する。レムの言葉の力や存在の大きさを目の当たりにする回でしたね。ひと口に感動と言ってしまったらチープに聞こえるかもしれないけど、言葉一つ一つに説得力や想いが詰め込まれた台本だったと感じます。

――スバルから一緒に逃げようと言われた時、そのまま逃げたほうがレムにとっては幸せだとわかっているのに、あきらめないでと言葉をかけるレムがいじらしくて。

水瀬:好きな人が本当に自分を必要としていて、一緒に逃げようとまで言われて、2人の未来を想像して語ったりしたけど、それではスバルがダメになると考えてしまうのがレムらしいですよね。

小林:あのシーンは本当に人間ドラマだけで構成されていましたね。レムが誰よりもつらくて厳しいんですよ。優しく接しているけど、逃げるスバルは許さないという。

水瀬:レムにとってスバルは自分を救ってくれた英雄ですから。スバルへの気持ちにウソがないから思っていることを言えるし、しかも感情的ではなく、落ち着いて相手の目を見て伝えるのはすごいです。きっと元のスバルに戻れるという絶対的な信頼と確信と、自分が支えるという覚悟もあったんですよね。あのシーンでは女の子じゃなく、女性の強さを感じました。


――スバルが自分はダメなんだと何度も繰り返すと、レムはスバルの良さ、好きなところを続けるシーンも素敵ですよね。

水瀬:スバルが大きな声でさえぎった時も怖さのあまりびっくりする表情はあっても決してひるまないところは好きな気持ちと覚悟をすごく感じました。そんなレムだからこそ1つひとつの言葉に説得力もあって。ある意味、戦いのようなやり取りにぐっときました。
 
――あの2人の会話の中でのスバルの心境の変化をどう感じていましたか?

小林:スバルは自分を否定することしかできなかったけど、レムがそんなことはないと言い続けてくれて。そこまで自分に言葉をかけてくれた人は、この異世界だけでなく、元々いた世界でもいなかったんじゃないかな。真摯に言葉をぶつけてくれて、涙さえも流してくれて。こんな自分でもいいのかなと思わせてくれた、そんな愛情を感じ取れるようになったのは大きな成長だと思います。


ラストでのスバルの「キミ・キミ」はアリ!?

 
――スバルがレムに「俺を選んでくれ! 選んでくれれば俺のすべてを捧げる」とかプロポーズそのものですよね。それなのに会話終盤で「エミリアが好きだ」と言ってしまうのは……。

小林:僕も台本で1つ気になったところがあって。「辛いことがあっても、お前がいればきっと頑張れる」と言った後、「誰かが笑顔で家で待ってくれるだけで、どんなに疲れてもレムが待っててくれるって思えば」と“誰か”が入っていたんです。疑問に思って尋ねてみたら「それであってます」と。ということはレムといいつつ、心のどこかにエミリアのことが残っちゃっているんですよね。それがこのプロポーズみたいなセリフでも。だから「なんてヤツだ!」って(笑)。

水瀬:でもレムはそれをわかっているんですよ。

小林:「エミリアのことが好きだ」と言った後、レムが素直に「はい」と。

水瀬:まるですべて知っていたかのように。
 
――結果的にスバルもレムも振られ合った感じになっていますよね。

小林・水瀬:そうなんです!

小林:だから大人の会話になっているのがおもしろいなと。こんなにガキっぽさが残るスバルと、相手を想い過ぎると見えなくなっちゃうレムなのに、意外に考えていることはひとつ上で。

水瀬:確かに。その後に「見ててくれ。特等席で」とレムを引き寄せて。ズルいですよね。抱き寄せられたレムが泣いていましたが、エミリアには叶わないという悔しさなのか、いろいろな感情が混ざった涙なのかな。私だったら耐えられないですよ。


――そして「キミ(エミリア)を見てる。キミ(レム)が見てる。だから、うつむかない」というセリフも……。

水瀬:なんじゃそりゃ、ですよね(笑)。結局、2人キープなのかと。

小林:そう言われたらどうしようもないですけど……。2人がいないと今のスバルは保てないということでしょうね。頑張るためのエミリアがいて、支えてくれるレムがいて。それをレムもわかってくれてる……どうまとめればいいんだ(笑)。

水瀬:でもそれさえもレムにとっては幸せなんでしょうね。その関係性で不幸せな人はいないから。レムの寛大さがあり、スバルも本心の「キミ・キミ」なので、だから平気。でも一歩間違えたらめっちゃ危ない。そんな関係性で。

――でも結論が出たというわけでもなく、レムにも希望があるような。

水瀬:レムのことを嫌いなわけじゃなく、むしろ好きなこともわかったし。あの形でよかったかなと思います。


スバルとレムの掛け合いシーンの収録秘話。まさか、あの人が!?

 
――スバルとレムの掛け合いが最後まで続きましたがお二人はどんな心境で掛け合いされていたのでしょうか? 収録の状況も教えていただけますか?

小林:テストの時は2人だけだったけど、本番でなぜか(ペテルギウス役の)松岡(禎丞)さんが横で聞いてて。

水瀬:そう! 松岡さんが入ってきて。

小林:「聞かせてもらいます」って。

水瀬:「ダメですか?」って。だから「いてください」とこたえました(笑)。

小林:でも、雑念なくやれましたね。

水瀬:私も緊張に押しつぶされそうという感覚もなく。
小林:見開きまるまる喋っているシーンもあり集中力が続くか不安でしたけど、始まってみたらそんなことも忘れてましたね。

水瀬:しかも別録りもほとんどなくて。会話のキャッチボールじゃないけど、相手の言葉や想いをキャッチして、投げ返すことで生まれるニュアンスもあるので、間を飛ばしたりすることも本編まるまるできたことはうれしかったです。テストが終わった時、「これからまたやるんだ」という気分で、やり切った感があったけど、本番も程よい緊張感の中、演じることができました。

家で練習していた時はレムの曲の仮歌も入っていて、「これはヤバイな」と思いましたね。演じる側はそれぞれのキャラに情がすごく入っているし、私も2章で彼女が抱えているものを演じた後だからこそ、セリフをひとつひとつに刺さってくるものがありました。どうにかしてレムの想いを100%、120%で声の芝居で伝えなきゃと思って臨んで……だからこそ、松岡さんの登場にはややビックリしましたけど(笑)。


――本番の収録が終わった瞬間、松岡さんは何か言ってたんですか?

水瀬:「レム、いい子ですよね」みたいなこと言ってたような(笑)。「何で振っちゃうんですかね?」とも。

小林:そう聞かれたから「なんでですかね(笑)」と答えたら「この話、どこかでもしなかった?」って。

水瀬:私が別作品で、松岡さんのキャラにアプローチするのに振り向いてもらえない役をやったことがあって。松岡さんのキャラにはあこがれの人がいる設定で。振られた男性2人と私、みたいな。「そういう声なんですかね? 私」(笑)って。

小林:「何、そういう声って?」というツッコミを入れた記憶がある(笑)。

水瀬:振られやすい声というか(笑)。そんな緊張感ほぐれたトークをしてましたね。


18話の特殊ED曲はレムが歌う「Wishing」はレムの気持ちそのままの泣けるバラード


――ここで、18話の終盤で流れた、レムが歌う「Wishing」のお話を。ストリングスがきれいなメロディを奏でる胸を打つバラード曲でしたね。

小林:しかもあのタイミングで流れるわけですから泣いちゃいますよ。

水瀬:ありがとうございます。レムで挿入歌を歌うと聞いた時、どんな曲でどんな感じに歌うのか想像つきませんでした。曲が届いたら、真っ直ぐなバラードで、キャラソンというより街で流れているJポップのようでね。だからこそレムでどう歌おうと思ったけど、歌詞がレムの思っていることすべてだったので、何の迷いもなく歌えました。


――どんなふうに歌おうというイメージは?

水瀬:本番の数週前にキーチェックした時、最初に出会った頃から変わっていった高い音を使ってウイスパー系で歌うのか、想いを伝えるために強く歌うのか、試行錯誤しました。最終的に高いキーで、歌い上げるわけではないけど、レムの想いはしっかり入れて、ウイスパーだけどその中にある強いものを、感情をいっぱい入れて歌おうと。そしてレコーディングは歌うというより、いちフレーズいちフレーズ、歌詞に合う声色を見つけながらお芝居をしているように歌っている感じでした。


――小林さんは「Wishing」を聴いてどう思いましたか?

小林:レムの言いたいことがそのまま歌詞に出ているし、レムの優しさが前面に出ていて。こういう風に思っていたんだなと改めて伝わってきました。でも曲名通り、こんな風に願っているという曲がかかりながらも会話のやりとりの内容は……と思うと更にせつなくなります。

水瀬:でも歌詞にある通り、2人で他愛もないことを話すことが彼女の幸せだとしたら、この先も壊れることはないんだろうなと思って。話しながら一緒に街を歩いたり、何気ないこともスバル君とだから楽しさやうれしさにつながって、身近な幸せが彼女にとって支えになっていたんだなと。だから、またゼロからスタートする未来を、共に歩いていくという願いが歌詞に込められていると思いました。

――スバルが逃げようと行った時、もし一緒についていったらこういう未来だったのかも、という想像も……。

水瀬:できますね。


――夏の終わりにこんな曲を聴いたら……女子には特に刺さるでしょうね。

水瀬:確かに。恋愛ドラマや映画の終盤を見ているような。難しい曲でしたが、この曲が流れることへの期待感や手応えをレコーディングから感じていて、スタッフさんたちも「これで泣かせるぞ」と言っていたので、私も「泣かせる曲、歌ってきます」とブースに入りました(笑)。皆さんがオンエアを見てこの曲を聴いた瞬間に感動したり、泣いてくれたりしたらいいなと思っています。


王選編に入ってからの収録現場の雰囲気やエピソード

――記事をご覧になった皆様から募集した質問へのご回答をお願いします。「王選編に入って新しいキャラが入ったことで、収録現場に変化はありましたか?」。

水瀬:一気にキャラが増えた分、舞台が変わって出なくなったキャラもいて、お会いできなくなったキャストさんもいるので寂しさもありますが、田村ゆかりさんと堀江由衣さんなど自分が観てきたアニメにご出演されていた方々と一緒に自分がいて、掛け合いをできているのが不思議な感覚です。ドキドキしちゃいます。

小林:僕も王選編から出演されるキャストさんはほぼ初めましての方ばかりで。スバルが今、置かれている状況は知っている人が数人とまさにアウェイなので、スバルと同じような気分でいい緊張感でやらせてもらっています。ただ「なんだ、このウザいキャラは?」と皆さん、率直に言ってきて(笑)。周りからそういう目で見られるのも一緒で、「今、スバルはこんな風に思われているんだろうな。でもひるまないのがスバルなんだ」と感じられたのはおもしろかったです。レムとラムの共感覚みたいなものかな(笑)。

――複雑なところもある作品なので説明を求めるキャストも多いのでは?

小林:皆さん、聞いてきますね。「死に戻りって何」とか「今、何でこうなっているの?」と。1話居なかっただけでもかなり状況が変わりますからね。

水瀬:ゆーりん(小林裕介)さんは『リゼロ』博士みたいなポジションですね。

小林:おもしろかったのは、初めてラッセル役の大川透さんがいらした時、急に僕の横に座られて、「『リゼロ』おもしろいね!」と仰ってくれたんです。「見てるんですか?」と聞き返したら「最近のアニメを観るようにしているけど、『リゼロ』は特におもしろいから楽しみにしてたんだよ」って。

水瀬:自分が出演するというきっかけではなくて、普通に見ていたら自分が出演することになったそうで。やや興奮状態で、「これどうなるの?」とか「スバルはあと何回死ぬの?」とか。

小林:他の方も「わかるとハマるね。このストーリー」と言ってくださったり。皆さんを動かす力がある作品なんだと改めて感じました。

水瀬:なかなか先輩方と作品のお話をするだけでも珍しいのに、隣りにわざわざ来てくださるなんて。原作がおもしろいからでしょうし、作品の話をしている時は皆さん、楽しそうで。『リゼロ』の輪が広がっていると感じるし、その中にいられることもうれしいです。


<次ページ:次回登場するのはパク山さんこと、パック役の内山夕実さん!>

(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会
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