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『サクラ大戦』OVAシリーズBD BOX発売記念!横山智佐インタビュー

『サクラ大戦 OVAシリーズ Blu-ray BOX』発売記念インタビュー|真宮寺さくら役 横山智佐さんからOVA発売当時の秘話が続出!

第3話はアフレコ現場で悲鳴が上がったんですよ

――この『桜華絢爛』は当時のOVA作品の中でも人気が高いシリーズになりましたが、どんな印象でしたか?

横山:兎にも角にも、『サクラ大戦』のゲームがものすごい数のヒットになってCESA大賞をいただいたりして、メディアミックスでは歌謡ショウを含めそれぞれクオリテイの高いものを出していると実感していましたね。もちろんOVAもハイクオリティでした。

私たちは企画を立てる側ではないので、「次はこういうのがあるらしい」「こういうことをやるみたいだ」とか、「サクラプロジェクト2000」に到っては「桂由美先生のドレスを着るらしいよ」とか、次々降って湧いてくる、ただ声優だけやっていたら巡りあわないような現場の連続で、日々刺激的でした。

――桁外れの制作発表会だった「サクラプロジェクト2000」では、ゲーム『サクラ大戦3』、TVアニメ化、映画化、ブライダルショーほか、数え切れないほどの企画が発表されましたね。

横山:私はラッピングバスが嬉しかったですね。

――ああ、映画の。

横山:はい、映画『活動写真』の。

――しかも全部がちゃんとリンクするんですよね。ブライダルショーのウェディングドレスも、さくらの想像上の結婚式シーンで使われていますし。

横山:根っこが太いというか。バラバラじゃないところが、みんなが長く応援してくれる秘訣なのかな。

――そして「サクラプロジェクト2000」の後にまず登場したのがOVA第2期シリーズ『サクラ大戦 ~轟華絢爛~』で、毎回2名の隊員を取り上げて、キャラクターの心のひだを描きました。一番端的だったのは第2話のアイリスとレニの話で、特別なことは何も起こらない日常話なのに、ちゃんとドラマとして面白いという。

横山:淡々とした感じですよね。あれは確か広井さんが、隅田川の水辺の町を見せたかったんですよ。水辺の町の人の生活、水辺の景色。それぞれの話数に何かテーマや描きたい風景があって作られている『轟華絢爛』でした。

アイリスが暴走させてしまった船に、レニが橋から飛び移るところも、ルパン三世みたいでかっこ良かったですね(笑)。えっレニ、そんなことできちゃうの!? アニメだなぁ、いやいや、レニならできるか、天才だから……って。

▲公演直前、舞台から逃げ出してしまうアイリス。それを相手役のレニが追いかけ、アイリスがごめんなさいするまでを描く
 

――第1話に戻って、こちらはさくらとマリアのお話でした。

横山:私、第1話が大好きなんです。『轟華絢爛』になってアニメらしいドタバタの表現が増えた印象でした。放り投げた竹をチャチャチャって斬って、杯がそれぞれの手元に落ちて乾杯するっていう神業を冒頭のパーティーシーンで披露したりして。

それがバレンチーノフとの最後の対決のときの伏線になっていて……。さくらがマリアさんに「乾杯しましょう」って呟くだけで、具体的な作戦を練ったわけじゃないのにコンビネーションを決めるっていう。2人の絆とかスキルの高さがアニメ的に描かれていて面白いなと思いました。

▲マリアのモスクワ時代から因縁があるバレンチーノフが、復讐のためにマリアを罠にかける。そこへ助太刀に入ったさくらが、マリアと協力して人型蒸気を相手に大立ち回り!

▲どれだけ強くお互いを信頼しているかが、これだけで伝わる
 

――第3話の「キネマの驚天動地」は、さらにドタバタ感が増していましたね。

横山:アフレコ現場で悲鳴が上がったんですよ。玉梓さんの目玉が怖くて。

――ああ、幽霊がいきなり映り込むんですよね。

横山:ブワッて目のアップが出たのがめっちゃ怖くて、みんなで「ギャー!!」って叫んで。「自分たちが今いるのもスタジオなんだよな。ここも出るんじゃないか」みたいな話で盛り上がったことを強烈に憶えています。

▲劇中でも花組メンバーが幽霊話で盛り上がっており、キャスト陣とやっていることが同じ
 

横山:愛河里花子さん演じる玉梓つわ子が、無声映画の時代からトーキーになったときに悪声だから人気がなくなった女優で、恨みを残して死んでおばけになったというお話じゃないですか。それが最後にすみれさんにお化粧してもらって、「ありがとう……」って成仏して消えていく「ありがとう」の声が意外とかわいいんですよ(笑)。

ここでヒキガエルみたいな声を聴かせて笑いをとるかと思ったら、最後は綺麗に昇天していくというのが、女優への愛情だなと思いました。

――無声映画とかトーキーという当時の文化が、観れば自然に身に着くのが『サクラ大戦』らしいですよね。

横山:そうですね。ほんとほんと。

――これは歌謡ショウでやった「紅蜥蜴」を活動写真で撮るお話でしたが、この頃になるとキャストのみなさんも公演のひと月前から稽古漬けになっていて、リアルに歌劇女優の生活を送ることでキャラクターとの一体感がより増したそうですね。

横山:ファンの方たちが持つイメージを壊さないように必死でした。さくらちゃんはドジっ娘だけれども、芯が強かったり、破邪の血が流れていて北辰一刀流免許皆伝であったり、立派な部分をたくさん持っている……。

私が演じたがためにさくらのかっこよさが無くなっちゃったら申し訳ないと思って、ダンスのスタジオに通い、アクションも西村さん(ダンディ団の西村ヤン太郎役/西村陽一さん)に習いはじめました。「いい真宮寺さくらを作りたい」と覚悟を決めた頃ですね。

――西村さんが仰ったのが、「まさかバク転までやるとは思わなかった」と。

横山:すごく言われます(笑)。舞台でアクションの人やダンサーさんと知り合って、みなさんいろんな技術を持っていらっしゃるのに、私はマイクの前で喋るしかできず……もっといろいろ、さくららしく出来るようになりたいなぁと思ったんです。こうして毎年機会をいただけているわけですし。
 
私の保育園児の頃の夢が体操の選手だったので、身体を使うことは大好きで、アクロバットをやってみたいなぁと思って。
 

――西村さんも、提案したらどんどんやるから自分のほうが心配になったと。

 
横山:手乗り宙返りとか壁の宙返りとか。「今度これやってみようか」って西やんが決めてくれて、3か月ほどかけて練習するという。でも、やっちゃいけなかったんだなって後になって思いました。大きな役をいただいているのに、万が一にも怪我して舞台に穴をあけたらどうするんだって。

▲織姫のお父さんの絵を観に来た花組。そんな静かなスタートから、次第にてんやわんやの大騒ぎになる第4話

▲支配人室でナイショ話があったら扉の向こうで聴き耳を立て、扉を開けられてこうなるのもお約束
 

――そして第4話が一番のドタバタ話になる、少年レッド回ですね。

横山:もっと織姫のお父さんとのいい話になるのかなと思ったら、それだけではなかったですね。歌謡ショウとリンクして千葉繁さんの千葉助が出てきたり、山口勝平さんが少年の役で出てきたり。

――ネタ満載のコスプレも面白かったです。すみれの下っぱ戦闘員とか。

横山:悪の手下その1ですね(笑)。新春公演のときに、みんなで七福神の格好をして七福神めぐりをするという約束をしたのに、カンナさんがコスプレ大会と間違えて熊殺しのゴウリキを着てしまい、すみれが全身タイツの悪の手下で出てくる回があったんですよ。美智恵さんはスタイル抜群でした。

――その後がサクラのOVAの中で一番の名作だと思うんですけど、さくらが仙台に帰る第5話、第6話です。最初のさくらが手紙を書いているシーンだけで、そのクオリティに慄きました。

横山:私は不安でしたよー。風景を見せ、心情を表情で表現して映画的に作りたかったんだと思うんですけど、アニメとしてこんなにセリフが少なくて退屈じゃないだろうかと思いました。

さくらのメイン回ですが、とても地味な印象があるんです。最後は翔鯨丸が出てきて「えー、こんなことに使っていいのか!?」と、そこはアニメの世界ならではで冗談めいていて楽しかったのですが。全体を通して淡々としていて……。まったく秘密を守れない、秘密部隊の乙女たち、というのはお茶目で面白かったです。

――当時はTVシリーズのほうで若干モヤモヤしたものをファンが感じていたところに、やっぱりサクラはこれだよなという正統にして圧倒的な作品が来た印象でした。仙台の風習や真宮寺家のしきたりなども、唸るような描写で。

横山:切り結びの儀もかっこいいですよね、さくらちゃん。

▲親戚の結婚式にて、花嫁の家の縁を断ち切り、迎え入れる真宮寺家との縁を結ぶ「切り結びの儀」を行うさくら。旧家の古風な風習の描き方が圧巻!
 

――あそこもしっかり手を返す北辰一刀流の納刀をしているんですよ。細部のこだわりが本当にすごい。

横山:そういう意味では大人向けというか。『サクラ大戦』って往々にしてそうですものね。

▲さくらが仙台に帰る汽車の中、隣には父・一馬の姿が。ずっと見守り続けているようだ
 

――その一方で、汽車の中で米田がみかんを剥いてさくらに渡すみたいな、何気ない描写の中に米田がさくらを慈しむ心がしっかり描かれていたりして、ある意味見どころ満点だと思います。

横山:おにぎりが塩むすびであるとかね。決して贅沢なものじゃなくて。OVAシリーズは、観た方によって見どころに感じる部分が様々だと思うんです。このBlu-rayを観たお客様から「どのお話が楽しかったですか?」と聞きたいです。どれが正解、不正解じゃなくて、それぞれファンの方が思う『サクラ大戦』の面白さを教えていただきたいです。

私には「5話、6話は退屈じゃないですか?」という不安があるんですけれど、最初の手紙のシーンから感動される方もいるという奥深さ。スタッフの叡智と愛情とが詰まったBlu-ray BOXなので味付けが濃いです。みなさん少しずつ、お水など飲みながら、しっかり観ていただけたら嬉しいです。

▲降魔戦争に向かう父・一馬と、幼いさくらとの永遠の別れ。重要なシーンがいくつもある

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