マンガ・ラノベ
漫画『月夜のグルメ』奥西チエ インタビュー

『月夜のグルメ』漫画担当・奥西チエインタビュー|原案担当・舞城王太郎から届くプロットに“日付”が記されている意味とは?

みなさんは、『月夜のグルメ』という漫画をご存知でしょうか?

かの名作漫画『孤独のグルメ』を7年近く連載してきた『週刊SPA!』で2018年より連載をスタートしたグルメ漫画で、小説家の舞城王太郎さんが原案を担当。主人公・朔良(さくら)が、父が残した手帖のメモを頼りにお店におもむき、その面影をたどる物語です。

今回は、本作で漫画を担当する奥西チエさんにインタビュー。制作の裏側やこだわりなどを、じっくりと聞きました。

主人公・朔良が持つ“月”のマーク

――まずは、連載がはじまった経緯から教えてください。

奥西チエさん(以下、奥西):2017年にリアルコーヒーエンタテインメント(舞城王太郎が所属する企画制作会社)の編集さんに「ZINE(同人誌)を作りたい」とお誘いいただき、そこで『月夜のグルメ』の前身となる『始発のグルメ』という企画のイラストと漫画描いたんです。

始発までの時間を居酒屋で過ごすという話なのですが、それを舞城先生に気に入っていただけて。「この企画の続きをやってみませんか?」と声をかけていただけたのがはじまりです。

――舞城さんとご一緒するのはそれが初めてだったのですか?

奥西:そうです。それまで舞城先生といえば、高校生くらいのときに賞をとられてニュース番組に取り上げられていてちょっとした騒ぎになっていたという印象でした(笑)。

そのくらいすごい人だと思っていたので、私のところに話が来たときは現実味がないというか。「そんな人と関わりができるのか」と不思議な感覚でした。

――ともあれ、企画が動き出して話し合いの場をもたれたかと。

奥西:はい。最初は、舞城先生がある程度お話のイメージを作られていたので、そのすり合わせからはじまりました。登場するキャラクターの人物像や、話の雰囲気といったところですね。

――具体的にはどんな内容だったのでしょう?

奥西:作品については、『“月夜の”グルメ』なので深夜の雰囲気を出すのは大前提でした。

いわゆる“ガヤ”は、昼間ならガヤガヤと騒がしいですけれど、深夜はもっと澄んでいてまわりの会話のひとつひとつが聞こえてくるイメージ。なので「描き文字で会話の内容を表現しよう」といったことはこのときすでに決まっていました。

あと、料理を食べ終わった朔良が父の手帖に書き加えるくだりも、このときからですね。それと……鉛筆で仕上げようという話も。

――鉛筆で描きこむことで、独特の世界観が生まれているように感じます。

奥西:ワトソン紙厚口という種類の紙に鉛筆で描いています。そうすると、輪郭がボケてこの作品で出したい静かな雰囲気が出せるんです。

一般的な漫画雑誌の紙と印刷方法だとかすれてキレイに出ないのですが、『SPA!』の紙ならきれいに出るのでそれで行こうという話になりました。

それと、グルメ漫画ではあるけれど各回にテーマがあるので、話を盛り立てる要素としてグルメがあるという位置づけだといった話もしました。

――では、主人公の朔良のディテールについては、どんなすり合わせがありましたか?

奥西:舞城先生が、最初にキャラクターのイメージイラストを描いてくださったんです。なので外見はだいたいそのとおりですね。月の髪飾りだけは、回を追うごとに半ば無意識でだんだん大きくなっていますけれど(笑)、それくらいです。

――そのときからすでにあの髪飾りはあったんですね。“月”はタイトルにも入っていますし、象徴的で印象深いです。

**奥西:なぜ付けているのかといった詳しい話は先生から聞いていないのですが、朔良はご飯を食べに行くことでお父さんへの気持ちや自分の成長しきれていない部分を探しているのだと思うんです。

だから今は欠けているんですよね。それが、三日月の髪飾りとして表されているのだろうなと私は思っています。

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