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映画『がんばれいわ!!ロボコン』汁なしタンタンメン役・鈴村健一インタビュー

映画『がんばれいわ!!ロボコン』汁なしタンタンメン役・鈴村健一さんインタビュー|特撮を愛する鈴村さんならではの見解は必見!

石ノ森章太郎さん原作&昭和の東映特撮の歴史を彩った人気作の1つといえば『ロボコン』シリーズ。『がんばれ!!ロボコン』は、特撮作品としては2年半118話に渡る長期シリーズになり、平成版の『燃えろ!!ロボコン』も制作されるなど、今も多くの人に愛されている作品です。

そのシリーズ最新作『がんばれいわ!!ロボコン』が映画として7月31日より全国公開中です。人助けのために中華料理店にやってきたロボコンが居候先の伊東家の人々を巻き込みながらトラブル解決のために奮闘する実写コメディ作品です。

今作には、声優界でも大の特撮フリークとして知られる鈴村健一さんも参加。なんと汁なしタンタンメンを演じるということで話題になっています。鈴村さんに『ロボコン』シリーズについて、そして今作の魅力などレクチャーしていただきました!

子供の頃から観ていた『ロボコン』シリーズは特撮史のエポックメイキング的な作品!

――過去に放送された『がんばれ!!ロボコン』、『燃えろ!!ロボコン』はご覧になったことはありますか? 

汁なしタンタンメン役 鈴村健一さん(以下、鈴村):もちろん両方共、観たことはあります。子供の頃から大好きで、いつも見ていました。

今作ではロボコン以外のロボットはガンツ先生とロビンちゃんしか登場しませんが、過去の2シリーズでは2人以外にもたくさんのロボットがいたことも好きな理由でした。

――『ロボコン』シリーズの印象は?

鈴村:僕は特撮大好きっ子なので、『ロボコン』は特撮史におけるエポックメイキング的な作品だと思っていて。

特撮といえば、ヒーローものが人気を博す中で、コメディラインの特撮キャラが出てくるようになったのは、『ロボコン』が元祖であり、後の『ロボット8ちゃん』から始まる不思議コメディシリーズにもつながっていきました。

そして『ロボコン』のおかげで、特撮の幅が広がったと思っています。

――登場するロボットたちのデザインも独特かつ個性的で、ポップさもありますね。

鈴村:デザイン的にもエポックですよね。石ノ森章太郎先生が原作ですが、あれだけ個性豊かなキャラたちが出てくるのもすごいし、毎回、最後にロボコンをはじめ、ロボットたちが人間にどれだけ奉仕したのかをガンツ先生が「ロビンちゃん100点」とか評価するのもおもしろくて。

そのシーンでロボット全員が集合する瞬間は当時、胸が熱くなったのを覚えています。

あと印象深いのは、『がんばれ!!ロボコン』のEDで、東京の駒沢公園でロボットがずらっと並んで階段を歩くんですけど、昔、ロケで駒沢公園に行く機会があって、「やべえ! これ『ロボコン』を撮ったところだ!」ってすごく興奮したし、想い出深いです(笑)。

――ちなみに好きなキャラを挙げるとすれば?

鈴村:『がんばれ!!ロボコン』のロボパーです。すごくバカで、でもどこか憎めなくて。驚くとバラバラになってしまうという、放送コードにひっかかりそうなキャラですが(笑)、コミカルに描かれているのが好きでした。

――『がんばれいわ!!ロボコン』に参加することが決まった感想は?

鈴村:まず事務所から今回のオーディションの話を聞いて、「汁なしタンタンメン役です」と説明された時、特撮好きの僕はすべてを悟りました。「これは浦沢(義雄)さんの脚本だ」と。

マネージャーから「資料があまりないんですけど大丈夫でしょうか?」と言われましたが、「大丈夫! 俺に任せておけ。だいだいわかったから」と即座に返答しました。

――今作は『燃えろ!!ロボコン』や東映不思議コメディシリーズなどの特撮作品、『ルパンⅢ世』や『デジモンアドベンチャー』などのアニメ作品など数多くの脚本を担当されてきた浦沢さんの脚本ですが、まさかそこまで理解されてしまうとは!?

鈴村:オーディションは自粛期間中の時だったので自宅でオーディションテープを作成しました。「これは浦沢さんの中華がしゃべるシリーズの不条理なやつだ」とわかったので、いかに不条理を活かすことが大事であるかを考えました。普段はあまりやらない、タブーとされている、一発芸みたいなセリフをたくさん収録して送ったら好評で、マネージャーからも「あのオーディションテープすごくおもしろいです。

コロナ疲れの時に元気が出ました」とほめられて。後日、東映のスタッフさんからも「鈴村さんのテープが本当におもしろかったので、決まったんです」と言われた時、『ロボコン』シリーズをずっと知っていたし、浦沢さんのシナリオを読んで、汁なしタンタンメンという役名を見て、すぐに理解できた自分をほめてあげようと心の底から思いました(笑)。

――では『がんばれいわ!!ロボコン』という作品全体の印象をお聞かせください。

鈴村:役が決まって、脚本を読ませていただいたら「やはりな」と思った不条理さでした。もう、めちゃめちゃなんです(笑)。

「さすがだな」と感動したし、浦沢さんは変わらずこんな脚本が書けるのかと感心しました。

浦沢さんが初めて中華の脚本を書いたと思われるのは、僕が小学生の時に見ていた『ペットントン』(東映不思議シリーズ3作目。1983年)の「横浜チャーハン物語」の回で、そこから浦沢さんは中華が出てくるお話が多くなって。チャーハンが急にしゃべり出すけど、誰も疑問に思わないという(笑)。

今回も同様で、中華がしゃべっても誰も突っ込まないまま物語が進行する、まさに不条理の極致で。

だから理解しないほうがいいだろうと。作品の世界観をいかに理解するか、キャラがどういうバックボーンを持っているのかを考え、「だからこういうセリフが出てくるのか」と徹底的に読解するのが僕らの仕事ですが、今回はあえて読解をしない、一切何も読み込まないで行って、不条理をしっかり体現しようと思いました。

――実際の収録はどのように行われたのでしょうか?

鈴村:現場に行って収録が始まる前、石田秀範監督から「まずは映像をご覧ください」と言われラッシュの映像を観ました。

1回、自分の声が入っていない映像を最初から最後まで全編観て。「つかんでください」と言われたけど、ますますワケがわからなくなって(笑)。

難解だったので、あきらめというより覚悟を決めた時、監督から「こんな感じになっています」と言われて、僕も「ですね」と言った以外、言葉を交わすことなく収録が始まりました(笑)。

いかにこのシーンやセリフがおもしろくなるか、だけにウエイトを置いてやるという、僕のこれまでの仕事の中でも珍しいアプローチをした作品になったと思います。

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