「回レ!雪月花」は自身の転機となる一曲――ヒゲドライバーさんのアニソンベストアルバム『ひげこれ!』発売記念インタビュー! 小澤亜李さんとの出会いの曲は……?
13、14曲目と続く鈴木このみさんの曲はまったく雰囲気は違う。「THERE IS A REASON」の宮崎誠さんのアレンジはさすが
――13曲目と14曲目と鈴木このみさん歌唱の曲が続きますが、まったくタイプが違って。13曲目の『ロクでなし魔術講師と禁忌経典』のOP曲「Blow out」は鈴木さんらしいロックチューンで、14曲目の映画『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』のテーマソング「THERE IS A REASON」はバトルが繰り広げられる作品の雰囲気と違うのもおもしろいなと。
ヒゲドライバー:「Blow out」は鈴木さん得意のロックをガッツリ歌ってもらおうと。「THERE IS A REASON」は編曲の宮崎誠(※)さんの力が大きいと思うんです。
僕はコードとメロディだけ作って、宮崎さんにお任せする流れでしたが、最初はもうちょっとロックな、鈴木さんテイストのイメージで僕は作っていました。でも映画ということもあり、壮大にまとめていただいた感じです。
※作曲家、編曲家、作詞家として知られるクリエイター
――「THERE IS A REASON」は曲の入りとラストの印象がまったく違って、最初はクロスオーバーな雰囲気があるのに、どんどん激しさを増していくので、サウンド感を説明するのが難しくて。
ヒゲドライバー:確かに。一口で言い表せないサウンドアレンジをする宮崎さんはさすがですよね。
最後の「ここから、ここから」は自分も励まされる曲。ずっと一貫しているのは歌重視
――15曲目とラストの16曲目の流れとサウンド感はED感がすごいですね。アルバムのバランスを考えて作られた楽曲じゃないかと思うくらいで。15曲目の「今この身が果てようとも」は『刀使ノ巫女』は第1クールの締めくくりに流れる曲らしく、劇場版みたいに壮大で。16曲目の『宇宙よりも遠い場所』のED曲「ここから、ここから」は作品に寄り添いつつも、「止まるときまで止まるな」はご自身の想い、「その日までどうか幸あれ」はリスナーへのメッセージにも思えて。
ヒゲドライバー:『宇宙よりも遠い場所』はストーリー的にも一歩踏み出して、頑張っていこうというテーマもありつつ。
作っている時は作品のためだけを考えて作っていたので、自分を投影しようとは思ってもいなかったんです。でも完成した後に聴いていたら、自分自身が励まされる曲になっていました。
――16曲通して聴いてみるとジャンルが多岐に渡って、ヒゲドライバーさんの音楽世界の広さを感じました。
ヒゲドライバー:いろいろなジャンルの曲を作らせていただいているのは聴いてもらえばわかると思いますが、全曲に通じることは歌を重要視していることです。
音楽を始めるきっかけになったミスチルやスピッツと出会った頃から歌が好きで、メロディを聴くのが好きというのは変わっていなくて。この16曲もジャンルはバラバラだけど、そこは一貫している気がします。
ポップでかわいいジャケットは『NEW GAME!』の得能正太郎先生描き下ろし!
――かなり挑戦的な楽曲も多いのに、それがテーマ曲として採用されているということはアニメの制作サイドの懐の広さやチャレンジスピリッツもあるのかもしれませんね。
ヒゲドライバー:ありがたいです。本当に。
――ここまで関わってきたKADOKAWAアニメの魅力とは?
ヒゲドライバー:純粋に作品がおもしろいなと思います。ジャンルは数あれど、どれも楽しめる作品ばかりだし、それに関われていることが嬉しいです。
――今回のジャケットのコンセプトを教えてください。
ヒゲドライバー:KADOKAWAさんから「ヒゲの女の子がいい」という案が最初に出てきて。歌っている方々はすべて女性だし、女性のイラストがいいだろうと。でもヒゲドライバーだからヒゲの要素は入れたほうがいいかなと思い付けヒゲにして、あと僕が普段身につけているハットとメガネ、金髪に。一応、僕とは別人です(笑)。
『NEW GAME!』の原作者の得能正太郎先生に描いていただきましたが、実は各アニメのキャラクターをドット絵化しているのはこちらからの発注ではなくて。得能先生が作ってくださった、本当にかわいらしいイラストなんです。あとブックレットに僕の全曲解説もあるので、聴きながら楽しんでもらえたら嬉しいです。