アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』中川大志さん＆清原果耶さんインタビュー｜アニメーションだからできる表現、新たな『ジョゼ』の魅力とは？

恒夫は熱量を意識、ジョゼは小学生を演じるつもりで!?

――演じる時に意識した点や心がけたことは？

中川：最初はジョゼというキャラクターが強いので、彼女に引っ張られる、受ける感じのお芝居にしようかなと考えていましたが、「恒夫には恒夫の世界観があってほしい」ということと、「ジョゼのペースに引っ張られすぎず、かみ合わない感じを出したい」というディレクションをいただきました。そして鈍感さや天然さ、好きなことになると周りが見えなくなる熱量を意識して演じました。

清原：ジョゼは気が強いけど、臆病さもあって、1つのシーンの中でも感情の起伏がある子なので、それを声色だけでちゃんと表しながら、更に関西弁なまりがいいアクセントになるように喋らないといけないな、と意識しながらやりました。

――大阪弁はよく話されていたんですか？

清原：今でも大阪に帰って、家族や友達と話す時は関西弁です。お仕事の時、よく関西弁が出ないねと言われます（笑）。あと監督から「彼女は24歳ですが、小学生くらいの幼い子に声をあててるような気持ちでやってもらうほうがいいと思います」と言われましたが、「どう幼くしたらいいんだろう？」と悩みながら、自分なりのジョゼを演じました。

――お2人はアフレコ経験がありますが、今までと今回で感じた違いはありましたか？

中川：僕は吹き替えとアニメーションを合わせると4回目のアフレコになりますが、今回は声優ではない僕らが演じる意味と、監督から「キャラクターを作りすぎず、ナチュラルさも大事にしてほしい」というアドバイスをいただいたので、ラインを探りながら演じていきました。

清原：デビュー直後にさせて頂いた仕事だったので、「右も左もわからずどうしたらいいんだろう？」と戸惑っていた記憶があります。が、実はそれは今回も変わらなくて。でも、監督の話をちゃんと聞いて、体現できるようにしようと。　

関西弁について、私は大阪出身なので、自然に出せる部分もあり、「こちらのニュアンスのほうがいいかもしれません」と提案させていただきました。また関西出身の声優さんも指導してくださって、「こちらのほうが、関西弁がわかりやすいのでは？」など、アドバイスしていただきました。

基本的には中川さんについていって、監督のおっしゃることをよく聞いて、何とか収録を終えることができました。

中川：いえいえ（笑）。

清原：本当ですよ！

――実際に2人で掛け合いをされた感想は？

中川：ジョゼは演じるのが難しいキャラクターで、アニメとしての表現をしたほうがわかりやすいキャラクターだけど、これ以上、抜きすぎると絵と声のギャップが生じるし、いいバランスと絶妙なラインで演じているのがすごいなと。

以前、共演させていただいた時からストイックだなと思っていました。僕の方が年上ですが、清原さんはきっと負けず嫌いなんだろうなって。

清原：えっ!?　そんな部分、出てましたか？

中川：妥協しないというか。僕もそういうタイプなので、気持ちもわかります。ジョゼのウエイトが大きいシーンでも何度も自分からリテイクをお願いしていて。お芝居に対する姿勢が素晴らしいなと思います。

清原：ありがとうございます（笑）。でも中川さんこそ、ストイックなんです。今回も、別の現場でご一緒した時も思ってました。2日間、朝から夜までずっと一緒に収録していましたが、ご自身も大変なのにちゃんと周りに気を配って、「大丈夫ですか？」と声をかけてくださって。また柔軟な思考があって、それを体現する能力が高い方だなと。中川さんの後ろで収録を見ている時も「すごいな。私もこんな風にできたらいいのにな」と思っていました。中川さんに引っ張っていただいて感謝しています。

中川：いえいえ。そんなことないですよ。でもありがとうございます（笑）。

――印象的だったシーンやセリフを挙げていただけますか？

中川：恒夫がジョゼの部屋に入った時、彼女が描いた絵を見てしまって、「あんな海があったらきれいだろうな」というセリフがあって。ジョゼの感性や景色の見え方に興味を持った瞬間でもあったので印象に残っています。

清原：ジョゼが「のら猫なら甘えてたらあかん。１人で虎と戦うんや」と、決意表明のように1人でつぶやくシーンです。「ああしたい」「こうしたい」と頭の中で思っても、行動に起こせないことが多いけど、それを飛び越える心の強さをこのセリフで感じたので、いいセリフだなと思いました。

宣伝担当：最初のジョゼが車イスに乗っているシーンは、実際には車イスに乗っていないのに、息づかいなど表現するのは大変じゃないかなとスタッフ間で話していました。

清原：息づかいのシーンはのどがカラカラになって大変でした（笑）。