秋アニメ『魔法城でおやすみ』EDテーマ:ORESAMAインタビュー|80~90年代レトロディスコ&「どん欲」な歌詞、そしてタイトルに仕掛けた意味とは?
今作のMVは実写多め。小島さんの名演技も!? うとまるワールド爆発のジャケットも注目!
――ORESAMAのMVは毎回、うとまるさんのアートワークが注目されますが、今回はどんな映像に?
ぽん:今までのMVでは、うとまるさんの世界観が大部分を占めていたけど、「今回は実写を多くしてみませんか?」と監督から提案をいただいて。また私がやりたいことを尋ねられて、提案した中でいくつか採用されて、衣装も10着くらい着替えて、私がいろいろな世界を巡りつつ、小島君も重要な役割が与えられています。いつもは「小島君を探せ」みたいな感じですが……(笑)。
小島:大役をいただきました。演技もしています。ちょっとだけですけど(笑)。あとライブメンバーも出演していて、演奏シーンも見られます。
ぽん: パロディっぽさもあって、今までとはまた一味違う映像になったと思うのでぜひ見ていただきたいです。
小島:あとビジュアル面でいえばジャケットもすごくて。今回のうとまるさんの発想がいい意味で奇抜で。
ぽん:うとまるさんにORESAMAのアートワークを担当していただくようになって6年くらいになりますが、作品を重ねるごとにどんどん好きになっていくんですよね。チェスは魔王城のイメージなのかな? 寝るのか、探検にいくのか? という不思議な感じとか、だまし絵的な要素もあって。
小島:あと色味もいつものビビットな感じではなく、マット系のスモーキーな色使いですが、それでもかわいく、カッコよくなるのはうとまるさんならではですね。
ぽん:MVにも、うとまるさんイラストのクッキーや枕カバー、ライブセットもあって、今回もうとまるさんのスパイスがたっぷり入っていて、楽しいです。また店舗購入特典のスリーブケースは『魔王城でおやすみ』のスヤリス姫が眠っているイラストがかわいくて、好きです。
カップリング「夜行ノ雨」は、ぽんさんの大人っぽい歌声を堪能できるソウルなバラード曲
――カップリング曲「夜行ノ雨」は、雨音から始まる、しっとりしたナンバーですね。
小島:明るい表題曲との対比的な意味で、ボーカルの歌声をじっくり楽しんでもらえるスローなバラード曲を作りたくて。最初はピアノと歌メロだけのシンプルなデモトラックから始まって、スローだけどビートが効いた、ライブでも盛り上がれるようなアレンジを考えつつ、ぽんちゃんからもらった歌詞の内容から更に音を足していったりして。
ぽん:最初は雨音が入っていなかったけど、小島君が後で入れてくれて、相乗効果で進化していきました。
――ソウルフルでおしゃれ感もあるナンバーで、ぽんさんの歌声も大人っぽくて。
小島:元は僕がよく聴いているネオソウルっぽいギターを弾いてみたいなという想いもあって。
ぽん:この曲も2番からかなり変わってきて。
小島:僕は繰り返したくないんでしょうね(笑)。2番からAやBをガラッと変えることも多いです。
ぽん:2Aで歌とギターがユニゾンするのがいいんですよね。ライブでは私以外の4人が向かい合って弾いているので、孤独感があるんですけど(笑)、今回は楽器とユニゾンできました。
「Gimmme!」と同じく「眠り」をテーマにしながら180度違う曲に
――サウンド的には孤独感がないようですが、歌詞では雨降る夜に1人、ツラい想いを抱えながら孤独感たっぷりの主人公で(笑)。
ぽん:「Gimmme!」は私の歌詞では珍しくセンチメンタルなことも言っていない、明るく陽な曲だったので、カップリングではダウナーな曲を書きたかったんです。また雨って気分がふさぐから得意ではないんですけど、「雨だからネガティブな感情になってもしょうがないよね」という気持ちにもなったりするかなと。
そこから眠れない夜、行き場のない気持ちと雨について書きたいと思って。この曲も表題曲も「眠り」がテーマだけど、180度違うものにしたらおもしろいシングルになるかなと提案して、こんな歌詞になりました。
――こういう曲はボーカルとしてはニュアンスやフェイクを入れたくなるのでは?
ぽん:なっちゃうかも(笑)。でもこの曲は小島君のディレクションが厳しくて。「グルーヴを出したいから、ここはまったり歌わないで」とか。
小島:元々、ライブを意識してアレンジしていますが、メンバーがアドリブする……ジャズ的にはジャムると言いますけど、そんな感覚のライブになるかなと。ベースもギターも明確なフレーズを弾いている箇所もあれば、アドリブを考慮して構築している場所もあって。そこにボーカルもフェイク等でのっかってくると、ライブでバケる曲になるんじゃないかなと思っています。
――他に聴きどころを挙げるとすれば?
ぽん:一番もめたところでもあるんですけど(笑)、オチサビの「雨が明けていく 煌めく夜に明けていく」で、私は「明けていく絶望を歌いたいからささやきたい」、小島君は「メロディをしっかり歌ったほうが曲として映えるんじゃないか」と。両方試した結果、ささやくテイクになりました。こだわりポイントでもあるので、じっくり聴いていただけたら。
小島:頭サビ後が終わった後に入ってくるローズエレピ(エレクトニック・ピアノ)の音色ですね。すごくこだわったポイントで、ローズの高音のコロコロした音が水がハジける音にも聴こえる瞬間があって。そこをどう再現するか、かなり苦労したので、歌の次に注目してほしい音です。
ぽん:インストも収録されているのでぜひ!