リンちゃんのなかで、こんなにもなでしこが大切な存在になっているんだ――冬アニメ『ゆるキャン△ SEASON2』花守ゆみりさん、東山奈央さん 声優インタビュー
食欲を刺激する過酷な収録現場!?
――先行上映会で第3話まで公開されましたが、収録を行ったときの感想をお聞かせください。
花守:第1作目の後に『へやキャン』の収録はありましたが、『SEASON2』はやはり「懐かしい」という感情が強かったです。『ゆるキャン△』ならではの絶妙な間だったり、飾らない言い回しだったり、『ゆるキャン△』の台本はこういう感じだったなと思い出しました。会話のキャッチボールが緩やかなんです。
全体のセリフ数は他作品に比べると少ないと思いますが、台本を読み終えた後に、しっかりとした満足感を得られました。懐かしさを感じつつも、ところどころで彼女たちの関係性の小さな変化が表れていて微笑ましくなってしまいました。
そして、何よりも「帰ってきたな」と思えたのは、収録でスタジオに入ってリンちゃんの声を聞いたときです。奈央さんの演じる声を聞いた瞬間、「リンちゃんだ! 戻ってきた」と強く思いました。
東山:私はいろいろな感情がありました。物語は前作から直結しているので、季節は変わらず冬のまま。ちょうどなでしこが年賀状配達のアルバイトをしていました。1月の放送開始は『SEASON2』にもっともふさわしい時期です。私たちが生きている季節と、キャラクターたちが生きている季節がマッチしているのが心地いいなと思いました。
そして、ゆみりちゃんが言った通り、セリフ数は他のアニメよりも多くはないかもしれません。ですが、その代わりに自然の音を聞いてもらったり、音楽を聴いていただけるのが『ゆるキャン△』の魅力です。とても贅沢な余白がある作品ではあります……が! やはり、リンに関してはしゃべり始めると止まりませんね(笑)。
一同:(笑)
東山:ずっとひとりごとを喋ってるみたいな。
花守:そこもめっちゃ懐かしいと思いました(笑)。
東山:「これこれ!」みたいにね(笑)。嬉しく、懐かしく、楽しく演じさせていただいています。
――第2期の収録で注意した点はございますか?
花守:新しいキャラクター(土岐綾乃・アヤちゃん)が登場するので、頑張らなきゃいけないと気を引き締めました。その理由は、アニメでは新登場ですけど、なでしこにとってのアヤちゃんは幼馴染だからです。新たに参加してくださる役者さんに、どうやって『ゆるキャン△』の空気感を伝えたらいいのかと考えていたのですが……アヤちゃん役に決まったのが天才・黒沢ともよちゃんだったので心配は無用でした。
一同:(笑)
花守:アヤちゃんは『SEASON2』で登場するのはわかっていたので、誰になるかなとドキドキしていたのですが、ともよちゃんに決まり、すぐに連絡をいただきました。「『ゆるキャン△』におじゃまします」と(笑)。
――すぐに連絡をいただいたのですね。
花守:はい。ともよ先生なら安心だと思い、「ゆっくりしていってね!」とか会話しました。ともよ先生の声のチカラもあって、新キャラクターのはずのアヤちゃんは、スッと『ゆるキャン△』の世界に馴染んでいます。私はアヤちゃんが大好きです!
――東山さんは収録で記憶に残っているエピソードはありますか?
東山:『ゆるキャン△』はアニメーションだけでなく、台本も丁寧なんです。例えば「うん」というセリフの横に、「ちょっと照れくさそうに」とか「まんざらでもなさそうに」とか、細かい情報やキャラクターの心情がト書きで記されていて。
一般的には役者側が文脈を汲み取って演じる場合が多いのですが、『ゆるキャン△』は監督たちの中にある明確なイメージと意図が台本の中にあります。なので、演者は迷いなく収録できるんです。
――それは丁寧ですね!
東山:丁寧なのはト書きだけではありません。監督たちが事前に行ったロケハンの写真や地図なども毎回いただきます。それこそ、とても美味しそうな「うなぎ」のシーン(笑)。
花守:はぁ……。
東山:(花守さんを見て)この意気消沈ぶりを見てください(笑)。
――どうしましたか?
花守:私たちは、ちょうどお腹が空きそうな時間帯にアフレコをしていました。そんなとき、それはそれは美味しそうなお料理の写真を見せていただきました! 私たちは「あぁ、監督たちはロケハンで美味しいご飯を食べていたんだなぁ」と思いながら収録に挑んだのです!
東山:頑張っているみなさんのために、実は本日、美味しい食材をスタジオにご用意して……ませーん!
花守:うわぁぁぁぁ! 食べないとなでしこの気持ちになれないよぉ~!
東山:そうだそうだ! 美味しそうな芝居ができないっ!
花守:……という茶番を、毎回スタジオでやっております(笑)。
一同:(笑)
東山:という冗談はさておき、食べ物は写真だけじゃなく、調理法や食感まで詳細に伝えてくださるので、食事シーンはやっぱりイメージしやすいです。なので助かる部分もあれば……。
花守:ぜんぜん助からない部分もある!
東山:あははは!
花守:ウソウソ! 助かっています(笑)。詳細が美味しそうに書かれているから、お腹が鳴らないように気をつけながら収録しています。