このみらしさ全開の第2話！　彼女は天然なのかそれとも……視聴者の想像の域を残せる絶妙な演技とは？　冬アニメ『のんのんびより のんすとっぷ』新谷良子さん×田中あいみさんインタビュー（後編）【インタビュー連載 第4回】

このみが何を考えているのか……皆さんに投げてしまえと（笑）

――第2話ではあかねが越谷家のみんなと初めて会うシーンがあり、後半はこのみと蛍とのやり取りも面白かったです。

新谷：このみがこのみらしさを出しまくっていましたね。

田中：小鞠ちゃんに対するあしらい方というか、からかい方みたいなのもすごいなって。

新谷：蛍に小鞠のエピソードを話しているところとか、アフレコの合間に「このみはどこまで分かって言っているんだろう？」って、ことさん（小岩井ことりさん）と3人で話していて。蛍に小鞠の哺乳瓶の話をしたのは、絶対に蛍が食いついてくるとわかってやっているのか、天然でやっているのか。もしわかってやっているとしたら相当悪どいなと思うんですけど、それを悪どくないようにするのが難しい、みたいな話もしていたんですよ。

――蛍が親に甘えている姿を目撃した瞬間から、このみは何を考えていたんだろうと思いますよね。

新谷：そうなんです。一応年上なので、フォローしたいんだろうなとは思いつつ。でも、そこまで考える子なのか、そのバランスは結構悩みました。

田中：すごくいい塩梅なので、私もどっちなんだろうって。

新谷：明確にどっちだというエピソードがあったわけではないので、見てくださる方の想像の域を残せる絶妙なところを狙っていきたいなと、いつも思っているんです。第2話では特に考えました。ほんとに1ワード1ワード全部がフックになっていそうなことを言うんですよ、このみって。

――謎解きではないですし、そこは見る人次第ってことですね。

新谷：皆さんに投げてしまえと（笑）。あかねちゃんに対しても、引っ張っていくというか背中を押しまくっているんですけど、あまりやりすぎると人見知りの人は「怖い！」って心を閉ざしちゃうかな……とか。そういうバランスは考えていたので、第2話を演じるのは結構難しかったです。

――あかねの方は、やっぱり初めて会う人に緊張していましたね。

田中：そうですね。でも、初めてのメンバーに会う緊張感はありつつ、このみ先輩とれんげちゃんには心を開きつつあるなと思いました。

このみ先輩も、あかねに対する接し方とほかのキャラクターに対する接し方は結構違いますし。人見知りで年齢も近いから、（ほかのメンバーのように）からかわれることは少なくて、本当に純粋に応援してくれている先輩なんだなって。なので、このみ先輩には自分の弱みを言えるし、緊張していたり無理だと思ったらすぐに言葉にできるんですよね。

――蛍に対しては、年上だと勘違いしていましたよね。改めて思ったのは、蛍はどれだけ大人びているんだと（笑）。

田中：あかねちゃんより年上って言われても納得できるものがありますよね（笑）。

新谷：そう思うよね。そこからの後半だったので、蛍の株が上がったり下がったりみたいな感じが、ちょっと面白かったです。

――あかねが加わったことで、もう一個フックができて面白さが増した感もありました。

田中：そうですね。空回っちゃうところや大きな声で喋るシーンも多くて、第2話であかねちゃんのいろんな面が見えてきたんじゃないかなって思います。

ひかげを演じる福圓美里さんの斜め上の演技!?

――第1期、第2期の中で好きなエピソードや、この2人の関係が好きといったものを挙げるならどこでしょうか？

田中：れんげちゃんが自転車の練習をする回（『のんのんびより りぴーと』第10話）はすごく好きですね。駄菓子屋とれんげちゃんの関係とか、お姉ちゃん（宮内一穂）とれんげちゃんの関係とか、れんげちゃんと年上の人が絡んでいるのを見るとすごくほっこりします。私も大人の立場になって見ているから、れんげちゃんみたいな子がいたら見守ってあげたくなるんですよね。

新谷：私は、干し柿を作ってヘタレンジャイをやる話数（『のんのんびより』第8話）がすごく好きです。実家で干し柿を作っていたから、個人的にジーンときました。作品的にジーンとくるところはたくさんあるんですけど、この話数は見ていて香りが伝わってきたのがすごいなって。田舎出身で良かったなと思ったりもしましたね。

――田舎といっても、出身は金沢でしたよね？

新谷：金沢ではあるんですけど、実家の目の前は田んぼだし、コンビニができたのは最近だし、スーパーは隣町だし……『のんのんびより』ほどではないですけどね。信号はあったし（笑）。

――そうすると、出てくる風景や草とか生き物とかも実体験として分かるのですね。

新谷：そうですね。どのシーンを見ても、へぇ〜となるのではなく、そうだよね！みたいなになります。小さい頃は、家の敷地内で普通に蛍が見られたりしたので。

田中：すごい！

新谷：（第2話での）トマトのビニールハウスもそうですけど、懐かしいなって思いました。祖母が畑作業、祖父がハウス作りをやっていて、私はそこで一緒に遊んでいたんですよ。実家に帰って、川の堤防で昼寝とかしたいなって思っちゃいます。

田中：確かに、すぐ近くに川があったらいいなって私も思いました。

――田中さんは東京生まれの神奈川育ちとのことで。

田中：そうですね。でも、山が比較的近くにあったので、遊びに行ったりしました。田植えや稲刈りを学校の授業でやったりもしていて、田植えはまっすぐ植えるのとか懐かしいと思いましたね。

――では、物語の内容以外で、共演者とのエピソードなど思い出深いことはありますか？

新谷：ひかげちゃん（宮内ひかげ）を演じている福圓ちゃん（福圓美里さん）のアフレコがめちゃくちゃすごくて、毎回楽しみなんです。本当に楽しそうに演じるし、家でVチェックをしてなんとなくこう来るだろうなって考えても、福圓ちゃんはいつも斜め上から来て。想定できないのが悔しいというか、またやられた！って感じになります。劇場版のときは特に思いました。めちゃめちゃ面白くてツボに入ってしまうので、絡んでいるシーンは結構大変です（笑）。

田中：（笑）。

新谷：『のんのんびより』の世界で、ひかげちゃんってともすれば浮きがちになっちゃうと思うんですよ。あのテンションで来られると。でも、それが全然ないのに、すごく面白い尖り方をするのはさすがだなと思います。