【連載】TVアニメ『WAVE!!〜サーフィンやっぺ!!〜』尾崎隆晴監督インタビュー vol.1｜気になるショウの行方……第11話で登場した兄・ハヤミチの意図とは？

現在好評放送中のTVアニメ『WAVE!!〜サーフィンやっぺ!!〜』（以下、『WAVE!!』）。

本作は、主人公・陽岡マサキが転校生の秋月ショウと出会い、サーフィンにのめり込んでいく男子たちのオリジナル群像ドラマです。

アニメイトタイムズでは、メインキャラクターを演じるキャストのインタビューを連載中。第11回目は、監督の尾崎隆晴さんにお話を伺いました。

アニメ化する際のコンセプトや監督自身がアニメ制作で印象に残っていること、そして第11話で登場したショウの兄・ハヤミチの存在についても……！ ぜひ最後までご覧ください。

サーフィンは人生を物語るようなものがある

――初めに、サーフィンを題材にしたアニメ作品に対する最初の印象をお聞かせください。

尾崎隆晴監督（以下、尾崎）：僕自身、サーフィンを経験したことはありませんが、気持ちよく波に乗っている姿を見ていてカッコいいなぁと素人ながら思っていました。

疾走感や清々しい気持ちが見ているだけでも伝わってくるようで、サーフィン自体に興味はあったんです。

また、今までアニメで本格的なサーフィンを描いたものが少なかった印象があったので、アニメにできたら嬉しいな、と思っていました。

――実際に監督としてサーフィンのアニメを手がけてみていかがでしたか？

尾崎：サーファーの方々に失礼な言い方になってしまうかもしれませんが、最初は、陽に焼けて色黒で、サングラスをかけている印象が強くて怖いイメージがありました。

でも、実際にサーファーの方にも取材をさせていただいたり、大会を見せていただいたりして、皆さんすごく礼儀正しい方ばかりで。

絵に描くような好青年が気持ちよくサーフィンをしていて、サーフボードに乗っている姿がさらにカッコよく見えたんです。

ビジュアルのカッコよさだけではなく、サーフィンを通じて人生観や物事の見方、考え方を含めてしっかりしたものを持っている方に直接お会いして、“サーフィンって奥深いんだな”、“人生を物語るものがあるのかな”と思いました。

――インタビューさせていたキャストさんたち全員も、監督と同じことをおっしゃっていました。

尾崎：そうですよね。これは本当に偶然なんですけど、知り合いがサーフィンを始めたんですよ。その方がサーフィンにハマっていて、今度引っ越しして海の近くに住もうかなと言っていました。

――おぉ！それほどハマっていらっしゃるんですね！

尾崎：サーファーの方もそうなんですが、ライフスタイルや生活の拠点を変えてまでサーフィンには魅力があるんです。

サーフィンは人や人生を変えると表現されていますが、本当にその通りのような気がします。何かに夢中になって人生観を語れるのは本当に幸せなことだな、と思いました。

サーフィンはキャラクターの心情が描きやすい

――アニメ制作にあたり、テーマやコンセプトは決まっていたのでしょうか？

尾崎：そうですね。MAGES.さんが原作を担当されているということで、最初はイベントやラジオ番組で見解を広げようという中で、全体像を固めたものがなかったんです。

ドラマが展開されるアニメではテーマを考えなければならないと、まずはキャラクター全員が前向きというコンセプトにしました。

最近はそのような作品が少なくなってきているように感じるんです。キャラクターがこれだけいれば陰険な人が1人いても良いですが（笑）。

――確かに。『WAVE!!』はキャラクター全員が明るいですね。

尾崎：物語の途中でマサキの気持ちが沈んだり、それぞれ葛藤はありますが、そんなに長く引っ張って人を巻き込むというよりは、最終的にはサーフィンや仲間を通じて前に進もうというところを意識しました。

全員健全なキャラクターでいけるのかな？と思っていましたが、やってみたら意外とできて。後は夢中になれるひとときの時間を大切にしました。

広い話、サーフィンじゃなくても夢中になれるものを皆さん持っていると思うので、サーフィンに例えて夢中になれるものに真剣に向かい合える姿が描けれれば良いな、と。

あと、アニメ化する際、サーフィンはキャラクターの心情が描きやすいと思った部分がありました。

――その理由をお伺いしても？

尾崎：波は沖から陸に向かって前にしか進まない、つまり「前向き」を表しています。波は常に前に進んでいく、彼らも波と一緒に一体化しなければ前に進まないんです。

逆行することは自然の動きに反することで、波に乗れた瞬間、彼らの本気の気持ちや純粋な人としての気持ちが前に向かうというところがあります。

――なるほど……！

尾崎：そして、波って自然のものなので同じ波がないんです。ひとつひとつを人生に例えれば、二度とない一瞬一瞬を大事にしていくという意味で、波はそういう人生のテーマを物語るようなものだと思います。

これはサーフィンに触れていないと自分も気づかなかったところで、意外と自然の摂理はよくできているな、と。実は、人間の心も自然の摂理の一部で、一緒なんじゃないかなと感じました。