音楽
東山奈央 コンセプトミニアルバム『off』発売記念インタビュー

東山奈央さんの初のコンセプトミニアルバム『off』発売記念インタビュー|「休みと癒し」をテーマにした全6曲を収録! あなたの休日がゆったりと充実したものになるように願いをこめて!

東山奈央さんの初のコンセプトミニアルバム『off』が5月12日リリース! 「休みと癒し」をテーマに制作された全6曲、東山さん自身も「あした会えたら」の作詞作曲も手掛けています。

日常の音に癒されるoff、恋愛にときめくoff、ストレス発散で理性をoff、お風呂で1日の疲れをoff、感傷に浸るoff、おふとんで心のスイッチをoffといった6つの「off」をテーマにし、6曲6様の歌い方や表現でお届けします。

楽曲のほか、ジャケット、初回限定おふとん盤のBDや、アニメイト限定セットのなおぼうもちもちぬいぐるみなど癒し成分いっぱいです!

リリースを控えた東山さんに、『off』の全曲紹介や聴きどころなど語っていただきました!

 

初のコンセプトミニアルバムは「休みと癒し」をテーマに

東山奈央さん(以下、東山):昨年は声優デビュー10周年ということで、キャラクターソングベストアルバムのリリースやアニバーサリーライブをさせていただきましたが、ソロ名義のリリースとしてとしては昨年2月リリースのシングル「歩いていこう!」以来です。

今回は初めてのコンセプトミニアルバムに挑戦しようと。いろいろなテーマ案が出た中で、「休みと癒し」をテーマに決めたのは自分には縁遠いことだったということもあって(笑)。私は仕事大好き人間で、お休みの日でも台本をチェックしたり、原作を読んだり、ダンスレッスンに通ったりとオフを休まないタイプなんです。

そんな私が「休みと癒し」に初めて向き合った時にどうなるのか、挑戦してみたかったということもありますし、皆さんも自由に活動することが難しい中で、鬱屈とした気持ちをやわらげる何かをお届けできないかなと思っていたこともあって。私と皆さんにとって一番いいテーマではないかなと思って決めました。

――では曲順に合わせて全収録曲のご紹介をお願いします。まず1曲目であり、タイトルチューンでもある「off」は、東山さんのお休みの日の過ごし方を歌っているようなほっこりする曲ですね。

東山:「いつも君に夢中」とか「いつだって君の方へ」と歌って、恋愛の曲かなと思わせつつ、「君」が指しているのは「仕事」という、まるで私のキャラソンみたいで(笑)。ゆったりとしたオーガニックな曲調なのに、歌い手はただのワーカホリックという(笑)。

――歌い方もモノローグっぽいですね。

東山:一人ごとっぽく、口からポロっと言葉が出てくる感じで。レコーディングもゆったりした雰囲気で、この曲を作ってくださった三浦(康嗣)さんからも「家だと思って歌っていいよ」と言ってくださって。

かわいらしい感じだけどオーガニックな曲調なので、あまりかわいさを付けてしまうと自然に聞けなくなってしまうし、息のニュアンスが変わるだけで聞こえ方も違ってくるようなタイプの楽曲でした。なので、繊細なところには気を配りつつも、全体的にはリラックスした気持ちで歌わせていただきました。

――「あ、これブログに書こうっと」のセリフっぽい部分は特にかわいくて。あのニュアンスは意識されたんですか?

東山:「ここはかわいくやるぞ!」って? そんなことはないです(笑)。でもそう感じてもらえたのならよかったです。三浦さんが仮で別の言葉を入れてくださったんですけど、「オフの日に、ふと仕事に気持ちが向くような1シーンがあれば、自分で換えて歌っていいよ」と言ってくださって。

私から「ブログに書こうっと」というセリフを提案したら、「オフとオンの間をゆく、いいワードチョイスだね」とほめていただいて採用になりました。私らしいなと思うし、「君に夢中」と歌っているのが実は仕事のことなんだと分かってくるとより面白いですよね。

――あと朝に目覚まし時計が鳴る音からカーテンを開く音など、1曲の中にこれほど生活音のSEが入っている曲は初めて聞きました。

東山:実は、この曲で使われている生活音は、私の自宅で収録したものなんです。私がボイスレコーダーを持って、家の中を歩きながらコップを鳴らしたり、おふとんを叩いたり、引き出しの開け閉め、スイッチをカチカチしたりして録った音をそのままパーカッションに活かしていただいて。

「メイド・イン・東山家」です(笑)。奇しくもいい音が録れていたらしく、三浦さんも音を足す必要がなかったとおっしゃっていました。いくつの音があって、何の音なのか、探してみるのもおもしろいかも。ポップソングでありながら実験的な楽曲になったと思います。

――他に聞きどころや注目ポイントは?

東山:リラックスして聞いていただきたいと思ったので、ウィスパーボイスで優しく歌っています。またリズムもおもしろく、メロディもキャッチーで一度聞いたら忘れられない曲になっていると思うので、ぜひ皆さんの日常のお供に。

 

「プロローグ」は「恋愛にときめくoff」。

――「プロローグ」では、恋する乙女心をハツラツと歌っています。

東山:この曲のテーマは「恋愛にときめくoff」です。人はどんなことに癒されるのかなと考えたとき、好きな人の存在からエネルギーをもらえることもあるんじゃないかと思って、恋愛をテーマにした楽曲をお願いしました。

初めて聞いた時、ひと聞きぼれしてしまったほど、キラキラとした胸が高鳴るサウンドが印象的な楽曲です。まるでアニメのオープニングテーマみたい!って思いましたし、ライブでも盛り上がるだろうなと。

『off』というアルバムタイトルを聞いて、アコースティックに染め上げた1枚になると想像されていた方には意表をつく元気な曲かもしれませんが、アルバムの中にこういう正統派かつヒロイックな曲が欲しくて。

――女の子が恋した気持ちを歌った歌詞ですが、苦しさやもやもや感はなく、前向きで。

東山:そうですね。付き合ったばかりの距離感で、恋した相手のことを考えている時間が楽しくて、ウキウキして活力が湧いてくる方向にしたくて。

この曲で描かれている2人は、たぶん距離が縮め切れていないところもあると思うんですけど、「つらく思うのではなく、悩むことさえも楽しんでいる曲にしたい、苦しくない恋愛ソングにしたいです」と歌詞のやり取りの中でもお願いして、乙女心いっぱいのキュンキュン歌詞にしていただきました。やっぱりテーマが「休みと癒し」ですからね。

――2人並んで歩きながら「かたまる指も ぎこちない手も」など初々しくていいですね。

東山:タイトル通り、恋の始まりを描いているのでワクワクしちゃいますよね。今、恋している方はこの曲を聞いてと重ね合わせてみたり、恋していない方は「ああ、恋したい!」とウズウズしていただけたら(笑)。

――レコーディングで意識されたことは?

東山:「初恋みたいな感じで”若く”歌ってほしい」とディレクターさんから言われまして。つい「若くってなんですか? アラサーだって初恋みたいな恋したっていいでしょう!」と(笑)。

そこで歌声を若くしたらキャラソンみたいになってしまうので、等身大の私が歌う恋愛の曲でいいじゃないですか! 初恋っぽい瑞々しい感じは出しますから!と軽くバトルしてから歌いました(笑)。

さわやかに、のびやかに、高原の真ん中で両手を広げながら「好きな人がいるって素敵! 幸せ!」というイメージで歌えたかなと思います。

――「グー」は、音色がにぎやかで、歌い方も基本はカッコよく、でもかわいい合いの手が入ったり、とにかく楽しい曲ですね。

東山:飛び道具的な曲ですよね。私も初めて聞いた時、ビックリしました。今、YouTubeなどでも大人気なコンポーザーかいりきベアさんに作詞作曲していただきましたが、とにかく衝撃的でした。歌詞のハマり具合やメロディのテンポ感などが小気味よくて、気持ちがハイになれるし、自然と体が動いてくる曲です。

――テンポの速さに加え、文字量も多くて、本線以外のコーラスや合いの手など要素も多い、情報過多な曲だなと(笑)。

東山:合いの手も高速餅つきみたいな感じで、わずかな隙間を縫っていくような。もしライブで声が出せるようになった時には皆さんにも参加していただきたいので、今からじっくり練習して反射神経を鍛えておいてください(笑)。

――歌詞のテーマは?

東山:「ストレス発散で理性をoff」です。人はどうやって休むんだろう、と考えたときに、ぼんやりして心身ともにリラックスするオフもあれば、こうやって思い切り騒いで頭をカラッポにするもオフあるんじゃないかなと。今までにもパワフルな曲を歌わせていただく機会はありましたが、ここまで乱痴気騒ぎしている曲は初めてなので、とことん騒ぎ倒したいなと思って、挑戦させていただきました。

――「クラクラ」とか「そんじょそこらで失神」まで来たら、過労なので休むべきです(笑)。

東山:確かに(笑)。こんなに激しい曲なのに、タイトルは睡眠を表わす「グー」というのも対照的で。「休み最高だぜ!」と騒ぎ倒して、最後は「ソッコー飛び込め ゴロゴロGOベッド!」と。

アゲ曲なので若者向けなのかなと思われるかもしれませんが、私のライブでも年上の方が跳びながら曲にノッてくださったりするのを見てきているので、「やっぱりみんな、発散したいのかな?」と。なので。年齢性別問わず、盛り上がっていただけたら。無理がない程度に(笑)。

――レコーディングも大変だったのでは?

東山:舌が回らないんじゃないかと心配でしたが、声優をやっていて良かったです(笑)。速度に振り落とされずに表現することが大事なので、かなり体力を使って。短期決戦のつもりで臨みました。

3分ちょっとしかない曲なのに、いい意味で長く感じるんですよね。言葉がたくさん並んでいるし、合いの手もあるし、間奏にはバンド紹介みたいなセッションもあったり、やることがたくさんあってすごい楽曲だなと。ただライブで歌う時は、いったん間違えたら戻ってこられなくなるんじゃないかという怖さもあります。でもここまで速いと頭で考える余裕もなくなるし、口が覚えてくれることに期待します(笑)。

――「シャンプーリンス」ですが、今までもお風呂をテーマにした曲はあったと思いますが、シャンプーやリンスにフォーカスした曲は珍しいですよね。

東山:テーマは「お風呂で1日の疲れをoff」です。とてもキャッチーで聞いていると踊りたくなるような、ノリのいい楽曲です。

――「もっとうるおいちゃんとキープして」や「ツヤ感だけでもイヤなの」と洗髪へのこだわりも力説して。

東山:乙女のみならず、大切なことですから。髪の毛がツヤっとしていると元気に見えるし、パサパサしていると「今、忙しいのかな」みたいな。髪の毛の手入れの具合でその人の生活が見えてくるというか。

私も以前、長く伸ばしていた時、周りの方に髪をほめていただくことが多くて。今はショートヘアになりましたが、きれいに保ちたいので日々のトリートメントは欠かせません。私の場合は「シャンプーリンストリートメント」ですね(笑)。歌詞に乙女心やおしゃれ心も見えてきて、キュンキュンする曲になったかなと。

――安らげるバスタイムは女子には大切な時間なんですね。

東山:そうみたいですね。私はバスタイムがそれほど好きではなくて。入っていると暇だし、長くつかっていると疲れちゃうので、カラスの行水タイプなんです(笑)。早くリビングに戻って、仕事がしたくて。でも皆さんにとっては安らげる至福の時間だと思うので、そんなリラックス気分をイメージしながら、私も大切にしている髪の毛のケアを楽しく歌わせていただきました。

――バスタイムを歌った曲は比較的ゆったりめの曲が多い気がしますが、この曲はクラップしやすいリズム感とおしゃれさとポップさもあって。

東山:シャンプーとリンスのCMソングになった松浦亜弥さんの「♡桃色片想い♡」みたいな感じでしょうか! ルンルンしながらシャボン玉と戯れているような。ちなみに私の中でこの曲は、アルバムの中の「あざとい」担当だと思っていて。

しかもずっと聞いていたい「あざとさ」で、そういうかわいらしさを表現できたらいいなと思って歌いました。それに、ライブで振りがつくと更に「あざとさ」が増すのではないかと楽しみです。やるのは自分なんですけど(笑)。

あと裏話になりますが、実はこの曲、唯一アルバムのために作られた曲ではなく、ストックされて温められていた曲です。

私のテレビアニメデビュー作『神のみぞ知るセカイ』の頃から、中川かのんちゃんのキャラソンなどでお世話になったり、ソロでも楽曲を作ってくださっている川崎里実さんの曲です。

以前コンペで制作していただいた曲ですが、その時は曲数の都合で収録することができなかったんです。でもすごくお気に入りの楽曲だったので、いつか絶対に歌いたいと思ってストックをお願いしていました。今回の「お風呂で1日の疲れをoff」というテーマにも合っていたので、満を持して収録しました。

 

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