【ネタバレあり】あなたの『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』はどうだった？編集者＆ライターが赤裸々に性癖と感想を語るだけの座談会で再燃した『エヴァ』への感謝と愛

大人になった同級生との再会は、現実のオタクたちの心を抉ったのではないか

石橋：そろそろ最後の話題行こうか。「大人になった同級生との再会は、現実のオタクたちの心を抉ったのではないか」について。

実はこれ、先に米澤とめっちゃ話したんだけど、見終わった瞬間はふたりともこんな感じだったんだよね。

ここで誰も蒸し返さないからアスカ問題についても入れるけれど、「相手がケンケンかよ」とか思わなかった？

米澤：俺は大のアスカファンだから、そりゃもうショックは受けたよ……（笑）。

太田：自分も米澤さんと同じです。

胃の上：トウジと委員長がくっついてるだろうなってのはある程度想像つきますけど、まさかのケンスケでしたものね。

石橋：トウジと委員長ですらうわぁって思ったんだよなぁ。個人的にだけど、あのトウジは地元でブイブイいわせているヤンキーみたいな印象があったんだよね。俺らみたいな奴らはシンジくんみたいに拗らせていったのに、彼らは『エヴァ』を見ても地元でクラスの可愛い女の子と結婚してたりする訳よ。

そんな状況で久しぶりに第3村って地元に帰ってみると、「おお、元気だったか？」みたいな感じでもう大人になって接してくる。「うわぁ」って思わざる得なかったよね。現実はそういう物だとは思ったけど、抉られたのは間違いない。

米澤：俺の場合はそういう知り合いが身近にあまりいないから、その感覚をケンスケのほうに感じたかな。ケンスケは、視聴者に近い立ち位置のオタク的なキャラクターだったから、TVシリーズの時は身近で、結構感情移入もしやすい存在だった。

でも『シン・エヴァ』では、そこからニアサードインパクトとかの修羅場を経験して、もう今の自分とは程遠いくらい立派な大人に成長してて。なんていうか、久々に学生の頃のオタク友だちに会ったら、向こうは結婚して家庭を持ってて、オタク趣味からもほぼ卒業しているのに、俺は相変わらず独り身でアニメ・ゲーム大好きなオタクのままっていうのを意識させられた時の感覚に近いというか……。

胃の上：でもそれって、この仕事やっているとめっちゃありません？　浦島太郎みたいな気分というか。

一同：（笑）。

米澤：俺、成長してねぇなって実感させられるよね（笑）。

太田：これに関してはストーリーとか関係なく、「ケンケン」呼びと序盤にある入浴後シーンでの一連のやり取りが本当にキツくて。ふたりの間の知らない14年間を想像させられて、脳を破壊されました。

米澤：俺も脳を破壊されたクチだから共感できるなぁ。

一同：（爆笑）。

胃の上：そこはもう自分は、14年もあれば男女の仲なんてそんなこともあるだろうって、スッと受け入れてしまってましたね。

石橋：ここに関して胃の上くんが一番大人な反応っていうのが驚きしかない。納得できない！

胃の上：あの、ちょっと……それどういう意味です？

一同：（笑）。

石橋：そういえば、アスカとマリの話は出てきたけど、綾波についてはどうだろう。綾波派の人は『シン・エヴァ』をどう思っているのかな？

胃の上：綾波は同じ顔でも別人だったりするし、『破』の時点の綾波は退場に近い形になってしまって別のレイが代わりに出てきたみたいな印象です。もうあのふたりは別のキャラクターですし。

米澤：『破』の時の綾波も出てきたけど、結構あっさりしてるんだよね。

石橋：綾波って絶対的なヒロインみたいな印象があったけど、そのあっさりした部分が逆に新鮮だったよね。

米澤：アヤナミレイ（仮称）として、第3村ではほぼ主役みたいな立ち位置だったし、シンジを立ち直らせる、ヒロインとして１番大きな役割を果たしてるから、そこでファンの溜飲が下ったところはあるのかもしれない。これは宮村さんもインタビューの時に言っていたんだけど、シンジの心の問題を解決したのは結局綾波なんだよね。

胃の上：重要アイテムに思えるS-DATにしても綾波が大きく関わっていましたしね。

米澤：あとは、とくに『破』あたりからアスカの人気が高くなっていった印象はあるなぁ。

胃の上：『Q』で『破』までの綾波は居ないってことになってましたし、アスカの方に注目が集まるのはわかるような気がします。

石橋：なんか社会の流れみたいなのも感じるよね。綾波みたいなよくわからない子を好きになるって、今だとそんなに無いようにも思えるし。

せっかくアスカ、綾波と来たからマリは？

太田：マリについては漫画版の最終巻を読んでいると少し印象が変わるかなと。ただまぁ、あれを正史と取っていいかは判断できないところではありますが。新劇場版だけでは背景がわかりづらいかもしれません。

石橋：最後にみんなに言っておきたいんだけど、坂本真綾さんが演じたキャラクターはいいキャラクターしかいないんだよね。善悪関係なくとりあえずいいんだ。

胃の上：それは同意ですね。

米澤：確かに。なんで最後の相手がマリだったかの解釈については、綾波やアスカは基本シンジが助ける側なんだけど、マリに関してはずっとシンジを助ける側の立ち位置が貫かれているからだっていういう考察を読んだことがあって、なるほどなと納得した。

胃の上：やっぱりシンジがヒロインだったと。

一同：（笑）。

石橋：マリは安野モヨコさん説みたいなのも出てたね。新劇場版以前には出ていないキャラクターだから、これまでの庵野監督の世界のキャラクターとは一線を画していて、だからこそシンジをループから連れ出せたんだと考えると、あながち嘘じゃないんじゃないかと思えたんだよね。

『エヴァ』は終わったけど終わらない

おっと、もう一時間半もしゃべっちゃってるし、そろそろまとめにいこうか。今回やってみてどうだった？

胃の上：それぞれの心の中にそれぞれの『エヴァ』という作品があると言えばいいのでしょうか。人によってキャラクターにしろ名場面にしろ色々な解釈があって、それを聞くのもまた楽しいなと。ぜひみなさんも似たようなことをやってみて欲しいです。

太田：議論が起きるっていうのはそれだけでレベルが高いっていう話があるじゃないですか。色々な見方ができても、どれも正解でも不正解でもなくて、不思議な感覚ですよね。それが『エヴァ』にはあると思っています。

そこで得たものを活かすとまた作品を楽しめる部分が増えそうです。終わった後にも議論が起きるのは楽しいですし、「さらば、すべてのエヴァンゲリオン」とはなっていますが、自分はしばらくさよならできそうもないです。

米澤：最初にこの企画の話を聞いた時、1時間半もしゃべれるかな？　と思ったんだれど、まだまだ話し足りないくらいなんだよね。それだけ語れる奥深さが『エヴァ』にあるってことでもあって、凄い作品だなと改めて感じた。

あとは俺はやっぱり『スパロボ』が好きだから、『シン・エヴァ』が『スパロボ』に出られそうな話で安心したことも思い出した（笑）。話のスケール的にも『スパロボ』に馴染みそうだし、今回で「さらば」とは言いつつも、『スパロボ』には絶対いつか参戦するだろうから、今から楽しみでしょうがない。

石橋：ヴンダーにガンバスターを乗せるとか夢があるよね。

胃の上：ヴンダー、Ν-ノーチラス号、ヱクセリヲンの共演とかみたいですね！

一同：（笑）。

石橋：やっぱり読者のみなさんも、俺たちみたいに作品について『エヴァ』の話をしてもらえたらって思うね。今回俺も話せて良かったかな。めっちゃ詳しい訳じゃないから、そういう考え方もあるのかって気づきがあったから。作品の理解度とか色々な視点のことも学べるし、自分の愛を語るのは気持ちいいので。ぜひやってみて！