TVアニメ『異世界食堂２』ファルダニア役 日笠陽子さん×アリス役 戸田めぐみさん インタビュー｜6話ではファルとアリスが出会い、お互いにどう変化するのかが見どころ！2人がライスバーガーを頬張るシーンのかわいさにも注目【連載05】

アリスを演じる時に求められたのは「●●を出さない」？

――では戸田さんがアリスを演じる時に意識した点や共感できるところは？

戸田：アリスは、新人時代の私と似ているなと思って。私は何日も同じ料理を食べ続けることができる人で、それは料理に関して知識がないことが大きくて。声優業界に入ると、先輩の方々から「そんなことも知らないの!?」と驚かれることが多くて。「ブリュレ知らないなんて信じられない！」とか(笑)。

そしていろいろなお店に連れて行っていただいて、そのたびにアリスのように「何、これ!?　おいしい！」と驚いたり、感動していました。
なので今回アリスを演じていて、その頃の自分を思い出しました(笑)。

私自身は割と感情を表に出し過ぎるタイプなので、土屋さんから「もっと繊細な感じで、ほわっとさせて」と軌道修正していただきながらアリスを作っていきました。おうちで練習している時は、天真爛漫なイメージでやっていましたが、ひよさんと掛け合いして、お母さんみたいに怒られると、自然と娘のような気持ちになって……実の娘ではないんですけど……。

日笠：当たり前だよ！（笑）

戸田：私がひよさんの娘ということではなく、アリスがファルの娘のようだということですから！（笑）　練習していた時とは違う、プラスされた感情が生まれて、2人の関係性の重要さを収録で改めて感じました。

――アリスは過酷な状況の中で生きてきたのに、そのツラさを表には出さないので、演じる時に難しかったのでは？

戸田：自分が生まれた境遇や幼くして両親を失ったりと決して幸せとは言えない状態で育ってきたため、愛されることに慣れていなかったり、感情も欠けている部分もあるのかなと。
その欠けは決して後ろ向きな訳な欠けではなく、知らない為に生まれた欠けで。無垢というか。
収録でもファルと出会った時に「喜びや元気さを出さない」で欲しいというディレクションもいただいたのも、きっとそう言う事なのかなと…。

日笠さんのアリス評は「赤ちゃん」、戸田さんのファル評は「実はいい人」

――お互いのキャラクターについての印象をお聞かせください。

日笠：アリスは無垢な赤ちゃんのようで、ツライ経験をしているはずなのに、ツライという感情すらまだわかっていないんです。ただ周りの人がツライだろうなと思いながら接すると本当にツラく思えてしまうので、ファルは対等に接しているのではないかなと思います。アリスは物事を知らず、1人でどこかに行ってしまって、あわてさせられることも多いですし、危険な時は注意しなくてはいけないけれど、ファルもどこか楽しんでいるのでは？と思っています。　ファルもずっと1人で旅をしているので、家族や友人とは少し違うけれど、パートナーを得られてよかったなと思います。

戸田：最初に原作を読んだ時、ファルが店主に食べられないものを告げた後に料理を要求するシーンに、怖い人なのかなと思いました。エルフの一族の中で料理もできるし、頼りにされていたので、強い印象を感じてドキドキしましたが、アリスと接する時のファルは優しくて。怒る時でさえもアリスの身を思いやった上でのことで。店主においしい料理を出された時の悔しそうな表情も高みを目指しているからで、実はすごくいい人なんだなと感じました。

日笠さんが音響監督から秘密裡に託されたミッションとは？

――一緒に掛け合いされて感じたお互いのお芝居については？

日笠：戸田ちゃんのお芝居については……緊張しているなと。

戸田：緊張してました！

日笠：そうだよね。私は戸田ちゃんと共演したことがあるし、一緒に食事に行ったこともあるけど、諏訪部さんとは「初めまして」だったわけだし。ブースに他の人もいれば違ったのかもしれないけど、3人だけだもんね。その緊張感がマイクを通しても伝わったようで、土屋さんからは「もし余裕があったら戸田さんをよろしくね」と言われて、「はい」と。

戸田：そうだったんですね!?

日笠：まさにお父さんとお母さんの心境で。私の戸田ちゃんのイメージは、以前、共演した作品のキャラクターの元気な印象が強かったけど、「ふわふわした感じに」というディレクションにも器用に応えていて、いろいろなことができる役者さんなんだなと思いました。

戸田：ありがとうございます。皆さんが私の6話での心境をご存じでビックリしました。そんなに出ていたのかと(笑)。私はひよさんのお芝居は元々好きなので、今回の香盤表を見て、ひよさんの名前を見た瞬間から嬉しくて。それと同時に尊敬している役者さんでもあるので、ひよさんのラインに自分が行けるのかなというドキドキ感もありました。収録では、私の至らないところを引っ張り上げてくださいましたし、陰で土屋さんと親のように思いやってくださったことを今日知って、相手役がひよさんで本当によかったと思いました。

日笠：(照れ)

――もう日笠さんは現場のお母さん的な存在なんですね。

日笠：そこはお姉ちゃんくらいにしてもらえませんか？(笑)