音楽
LiSA 全国ツアー「LiVE is Smile Always~LADYBUG~」追加公演レポート

新時代の幕開け──10周年を迎えたLiSA「LiVE is Smile Always~LADYBUG~」日本武道館公演2日目レポート|「今日がどんな世界でも、2021年12月7日、8日、本当に最高でした!生きててよかったって本気で思ってます」

2021年7月からはじまった久々の全国ツアー「LiVE is Smile Always~LADYBUG~」の追加公演が、12月7日、8日に東京・日本武道館で開催された。

日本武道館は彼女にとって原点であり、特別な場所である。武道館ライブ初日、武道館に対する率直な思いを吐露する場面があった。

「本当はね、今日すっごく怖くて。ここには最高の思い出も最低な思い出もたくさんあって……最高の時間に変えてきてくれたのは、みんなでした。『Letters to U』でデビューしてから10年。いろいろな思い出をつないで、今日も歌を歌っています。この『LADYBUG』ツアーの中でも楽しいことも悔しいこともあって。みんな初日の大阪から不安だったと思うけど、たくさんの方が来てくれて、つないでくれた今日ここに立てていること、幸せに思います。今日は本当に来てくれてありがと!」

涙を流したあとに笑顔を見せ「なんだかんだLADYBUGツアー、全公演泣いてる。明日こそ泣かないぞ!」とつぶやいていたLiSA。筆者のすぐそばの席にいたLiSAッ子が、彼女と同じく泣き笑いをしながら「無理でしょ〜」と小さな声でツッコミを入れていたことが、なんだか微笑ましかった。そのLiSAッ子の予感は見事的中することになるのだが──<愛される覚悟を決めた>その日から、LiSAとLiSAッ子たちの絆はさらに深まっているような気がする。本稿ではその翌日、7回目の武道館ライブのレポートをお届けする。

メカテントウ、武道館で羽ばたく

武道館に入るといつもの風景とは違う特殊ステージに圧倒される。今回の公演では、日本武道館の中央にLADYBUG(てんとう虫)型のステージ「メカテントウ」を設置し客席を360°見渡せる形にした。どの場所にいてもステージとの距離が近くに感じられるようさまざまな仕掛けがなされていた。

メカテントウからスチームが吹き出す中、北東の扉からバンドメンバーたちと黒いベールをまとったLiSAが入場。「10年後のわたしへ」というLiSA直筆の手紙の一部がモニターに映し出される中、アリーナを通って自らの足でステージへ。そしてベールを脱ぎ……生本直毅(Gt)、PABLO(Gt)、柳野裕孝(Ba)、石井悠也(Dr)、白井アキト(Key)、岩村乃菜(Cho)に続き……「迎えにきたよ、武道館!」とTVアニメ『バック・アロウ』のオープニングテーマ「dawn」、『テレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編』 エンディングテーマ「白銀」と、全方位に最新モードのLiSAを届ける。

「全部楽しむ準備は良い? ピース!」

黒いスカートを脱ぎ、赤のドレス姿と早変わり。

「ADAMAS」でフロアタム(ドラムセットの一つ)を使って客席を煽りまくると「ぶどーーかーーん! いい子にしてた? 今日は全部置いていくからね。みんなも全部見せてよ、オッケー!?」とアジテートし、10周年ミニアルバム『LADYBUG』より2曲連続で披露。まずはSiMの MAHが楽曲制作に参加した「ViVA LA MiDARA」の後、アヴちゃんが楽曲プロデュース(作詞・作曲・編曲)をした「GL」では、スリットが大胆に入ったチャイナ服姿で、王座に座ったまま歌唱する。おなじみのダンサーのyUkA、YUUKA、NOSUKE、Pecoとの息のあったパフォーマンスも素晴らしい。

さらに、「わがままケット・シー」ではラグジュアリーな雰囲気で、椅子に座りながらセクシーにパフォーム(椅子が設置された外周がゆっくりと回転!)すると、今度は「KEEPOUT」が目印のカラフルなワンピースで北川悠仁(ゆず)が手掛けたポップな「ノンノン」、を披露とめまぐるしい展開へ。ヘアメイク、衣装だけでなく、指先ひとつに使って、バンドメンバー、ダンサーと共に、三者三様の楽曲の世界を繊細に見せていくのだった。

コールアンドレスポンスができない今だからこそ

サンプラーを使ってステージ上で思いっきり遊んだのが「妄想コントローラー」。いたずらっこのような表情で放つ「まぁいっかっ」がとても可愛らしい。LiSAッ子たちはファミコン風の映像に合わせてハンズクラップやツアーグッズであるペンライト(『音声付きペンライトゥ(10)~LADYBUG Ver.』)を使った巨大ウェーブで盛り上げた。ここでこの日初めての、長めのMC。

「こんばんは、LiSAです! 改めて日本武道館に遊びに来てくれてありがとうございます! 大切な10周年のライブを日本武道館につれてこれて、とてもとても嬉しいです! 今回10周年ライブということもあって、みんなと会えなかった長い時間の分思いっきり楽しもうと思って。どこにいても近く感じてもらえるようなセンターステージを作りました! ここまで11公演、たくさんの気持ちを集めて、このメカテントウが日本武道館にやってきました。LADYBUGツアー、いろいろあったね」

しみじみとツアーを振り返りながら「リハーサルでいろいろなことが生まれて。7月から始まったアリーナーツアーですが、セットリストもどんどん進化していって。新しい曲を増やしながら、いろいろな思い出を増やしながら、追加公演の日本武道館にやってきました!」と万感の思いを伝えた。

前日と同様緊張しているようで「私、すごく緊張してます! 私、すごく緊張してない……?」とバンドメンバーに話しかける場面も。その緊張は口にせずともバンドメンバーにも伝わっていたようで全員が頷いていた。「こういう緊張をいくつも味あわせてもらいながら10周年を迎えました! みんながいろいろな思いをたくさん重ねてきてくれた10年だったと思います。不安定な世界で、不安になったり、臆病になったり……特にこの2年、3年は、いろいろなことに期待したり、それがなくなったり。それでもいつかこうやってみんなと会って楽しめる日がくるんだと信じながらやってきました。いつも私をこのステージに立たせてくれたのは、この瞳に映るみんながいてくれたからです──」

その言葉からアカペラで「シルシ」の一節を歌い始めたLiSA。

< じっと見つめた キミの瞳に映ったボクが生きたシルシ何度も途切れそうな鼓動 強く強く鳴らした 今日を越えてみたいんだ>

「一緒に今日を過ごしてくれるみんなに、シルシ」と、穏やかな演奏をバックに、<今日を忘れない>ことを誓うように、時に噛みしめるように歌唱したのだった。胸に手を当てて「ありがとう」と伝えたLiSA。

「幸せを数えながら、悲しみを振り払いながら、その先にこんな最高な未来があるって信じながら、ずっと走り続けてきました。おまじないの歌」

ツアー中に発表した新曲のひとつ、YOASOBIのコンポーザーとしても活動するAyaseが作曲した「往け」(映画『劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』主題歌)を力強く歌う。<誰も追いつけない場所まで 加速していけ><「いま、わたしの今!」ってそう、あの日の涙からの未来 辿り着いたわアスヘ>──伸びやかな歌声からLiSAの決意・覚悟が伝わってきた。

 

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