音楽
堀江由衣『文学少女の歌集II-月とカエルと文学少女-』発売記念インタビュー

堀江由衣さん11thアルバム『文学少女の歌集II-月とカエルと文学少女-』発売記念・堀江由衣さんインタビュー「アルバムは短編小説を読むような感覚で気軽に楽しんでください」

堀江由衣さんの11thアルバム『文学少女の歌集II-月とカエルと文学少女-』が2022年3月23日発売!

前作の『文学少女の歌集』は、青春時代や学生時代の原体験や景色が思い浮かぶ楽曲たちを集めたアルバムでしたが、そのコンセプトはそのままに、夏のシーンを切り取った前作から今回は秋から早春までの季節感で描かれています。

また各楽曲にはテーマやイメージとなった写真があり、楽曲とビジュアルを合わせることでより深く楽しめるアルバムになっていることも前作同様です。

新曲9曲と配信シングル「Adieu」と「虹が架かるまでの話」の全11曲を収録。作家陣は清 竜人さんや大川茂伸さん、あさのますみさんなどこれまで堀江さんの楽曲を多く手掛けている方に加え、『かげきしょうじょ!!』や『怪病医ラムネ』などのテーマ曲を担当し、注目を集めているバンド・sajiのヨシダタクミさんとの初のタッグも実現!

そしてリリース後の4月から東名阪ツアー『堀江由衣 LIVE TOUR 2022文学少女倶楽部II』も決定。更に6月25日、26日開催の『KING SUPER LIVE 2022』にも出演!

堀江さんに今作についてのご紹介とツアーへの意気込みなどうかがいました!

 
 

前作『文学少女の歌集』のパート2。青春や学生時代というテーマは同様で、季節感は秋から早春へ

――今作のコンセプトやご自身が関わられたり、オーダーされたことはありますか?

堀江由衣さん(以下、堀江):2年半前に『文学少女の歌集』というアルバムをリリースしましたが、これがビジュアルの世界観から制作したアルバムで、学生時代を連想させたり、誰もが経験したことがあるようなそんな原体験を、夏をイメージして制作しました。今回はその流れで、秋から早春くらいの季節感で作りました。

今回もビジュアルのイメージが先にあって、「こういう雰囲気がいいな」というイメージで撮影して、その世界観に合う曲をたくさんのデモから選んだり、楽曲制作していただくアーティストさんには撮影した写真をお見せしたり、ジャケットなどのイメージをお伝えして、私が憧れる世界観やインスピレーションを受けた写真を見ていただいて、曲を作っていただきました。

 

――卒業や旅立ちを歌った曲、失恋や別れの曲があり、まさに早春の季節感にピッタリですね。

堀江:イメージをお伝えしてからは作家さんにほぼお任せしましたが、卒業や旅立ちなどをテーマに書いてくださっている方もいて、「なるほど」と思いました。

また、今回約200曲近くあるデモ曲の中から選ばせていただいたのですが、3曲が偶然同じ作家さんだったことを後で知ってビックリしました。

――疾走感のある曲やせつないバラード、エモーショナルなセミロックなどバラエティに富んだジャンルや描かれている感情もバラバラなのに、どの曲にもさわやかさが感じられて。きっと由衣さん特有の透明感があって、耳心地のいい歌声なのも大きいと思います。

堀江:ありがとうございます。『文学少女の歌集』の時から出来るだけ素直に歌おうと心がけています。このアルバムの曲の主人公のイメージは女子高生くらいの年代にしたいけど、そのような役を演じる時はちょっと若めにしたり、キーを高めのキャラクターを作ってしまいがちで。

でもリアルな女子高生を演じようとしたら、声もトーンも意外と低めなんですよね。意識的に変なクセをつけたりせず、ただ真っすぐ歌おうと思ってレコーディングしました。

 
 
 

リード曲「月とカエル」はsajiのヨシダタクミさんと初タッグ。バンドサウンドなのにメロディは美しくエモいのはまさにヨシダ節!

――では新録曲のご紹介をお願いします。まずアルバムのリード曲である「月とカエル」は、前アルバムのリード曲「朝顔」同様に疾走感と青春感のあふれる曲ですね。

堀江:テンポ感がよくて、明るいけど、ちょっとせつなさが残る曲で、sajiのヨシダタクミさんに作っていただきました。以前、私のラジオ番組(『堀江由衣の天使のたまご』)にヨシダさんがゲストで来てくださって、それがきっかけで「曲を作ってくれませんか?」とお願いしたら、今回実現しました。

sajiさんのPVを拝見した時、私が今回やりたいことと、sajiさんが表現したいことが近い気がして、お願いしたら快く引き受けてくださって。しかも3曲も。この曲は一番最初にお願いした曲になります。

ちなみにライブグッズやカレンダー撮影のロケの時に、ちょうどカエルの話題で盛り上がったんですけど、その直後にこのタイトルの歌詞が届いて。「ヨシダさんもあの時に一緒にいたっけ?」と思ったくらいのタイムリーさとシンクロ具合にビックリしました(笑)。

収録曲を選ぶのに苦労していたのですが、この曲は一度聴いた瞬間にしっくりきました!

――「あした 君と離ればなれ 僕らは卒業するよ」や「冒険の旅に出よう」などの歌詞から連想される卒業ソングですね。

堀江:お別れは寂しいけど、笑顔でサヨナラしようと明るさや前向きさも感じました。

――「夕焼けが教室の窓を照らして」や「赤く染まる坂の向こうは」など風景が浮かんできて、地方から上京してきた私にとっては故郷で学生時代に過ごした時間や目にした景色が思い出されました。

堀江:ヨシダさんは北海道出身ということで、重なる部分があるみたいです。ただサビに「雨降り カエルが鳴いたら」とありますが、北海道にはカエルがあまりいないとおっしゃって、「いないんですか!? 青森にはいるのに」と驚いた記憶があります(笑)

またこの歌詞にはありませんが「蝉時雨」という言葉を見ても、北海道にはセミがいないから見ていないものは書けないので、しばらく歌詞に使えなかったということもおっしゃっていて、おもしろいなと思いました。

私自身は東京生まれ東京育ちですが、おばあちゃんの家が青森で、夏休みになると長期間滞在していたので、その時の景色を思い出しました。

 

――各サビも感情が揺さぶられたり、ぐっとくるようなエモさがあります。

堀江:あと歌詞の中に「カエル」が出てくる曲を歌うのは初めてですが、「カエル」が入っていても違和感がなくて、むしろ素敵にさえ感じられるワードセンスや世界観がすごいなと思いました。

またバンドサウンドなのに激しさよりもさわやかさがあるし、メロディラインが美しくて。しかも譜割も変わっていて、おしゃれ感もある。私の曲としては珍しいタイプですし、歌っていて難しかったですが、とても新鮮でした。

――「瑠璃色の傘を差して」は、数多く堀江さんの曲を作られてきた清 竜人さん作詞・作曲のバラードナンバーです。

堀江:清さんには前作でも「春夏秋冬」を作っていただきましたが、「前作のパート2みたいなアルバムを作ります」ということと、ベースになるビジュアルイメージだけお伝えして、曲の雰囲気や世界観はお任せしました。でもまさか本格的なバラードナンバーが届いて驚きました。

――「助手席から眺める夜景は白く滲んでいて」や「ドアを開けたら貴方はいない」など、失恋の歌でありつつ、収録曲の中で一番大人っぽいかなと。

堀江:そうですね。「助手席」や「アイドリング」など、車の中のお話というところに難しさを感じましたが、「5分後に世界中の雨がここへ降り注いだら」や「幾千億の雨粒に映る私の目」など雨が降る情景が浮かんできて、美しい曲だなと思いました。

新録曲の中では一番最初にレコーディングした曲で、その時は多くのデモ曲の中から選びきれていない状態でしたが、清さんからこの曲が届いたことで、どんな曲を選び、歌ったらいいのかという道を示してくれた気がします。

――今回の収録曲はどれも「色」のイメージも浮かびますが、この曲はタイトルの「瑠璃色」や「夜景」、「雨粒」など「深い青」のイメージかなと。

堀江:「青」とか「グレー」とかアンニュイなイメージですよね。清さんの曲でこういうタイプの曲を歌ったことがなかったので新鮮でした。予想ではありますが、「このジャンルの曲は今までないな」と作ってくださったのかなと思いました。

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