
春アニメ『群青のファンファーレ』風波駿役:土屋神葉さんインタビュー|競馬学校で葛藤する少年たちの姿から見えてくる大切なもの。土屋さんが自分の道を決めるときに大事にしてきたこととは?【連載2回目】
風波駿は普通の人と交わらないところにいる子
——本作は青春要素もあれば、競馬業界ならではの厳しさも描かれるとお伺いしました。
土屋:そうですね。競馬学校には10代の子たちが集まってくるので、身体的にも成長過程にあります。体の成長は止められないもので、体重制限などがある騎手にとっては成長が障壁になることも。
自分の想いと現実がどうしようもなく分離していく様を見せつけられるようで、こんなに堪え難い現実があるんだと驚きました。
競馬学校について自分で調べたりしたんですけど、毎日こんなにみっちりとトレーニングをして本当に厳しい世界なんだな、自分を律するところから教育されているんだなと感じましたし、入学してからも自分で自分を管理していかなければならない。
ダイエットしたことがある方は想像しやすいと思いますが、食事制限は人生においてとても苦痛です。なので、それを常にやられている騎手の方たちは本当にすごいなと思います。
——作品に携わる前と後では、騎手の見方が大きく変わりますね。
土屋:本当に変わりました。結構華々しいイメージがあったので、その裏で、ここに来るまでに厳しい現実を乗り越えてきたんだなと。
——ちなみに、土屋さんは乗馬経験は?
土屋:大学生の頃、一時期馬術部に入っていました。
——そうだったのですね!
土屋:本当に少しの期間だけだったので、そこまで完璧に乗りこなすことはできませんが……。基本的に馬と、その近くにいた犬と戯れていました(笑)
一同:(笑)
土屋:馬の鼻がすごく柔らかくて、馬に乗りたいというよりも馬の鼻に触りたい気持ちが大きかったです。大きくて賢い目をしているのも本当に可愛くて……1限が始まる前に癒されるために馬術部に入ったぐらいで(笑)。大学のキャンパス内に馬がいるのは本当に幸せでした。
——土屋さんが演じられる風波駿も動物好きで、馬の言葉がわかるという特徴を持っていますが……似ていますね。
土屋:自分でもこの風波駿というキャラクターがしっくりきています。オーディションに受かったときはすごく嬉しかったですし、自分が感じたフィット感をスタッフさんたちも感じてくださったんだなと。「やっぱそうだよね!」「僕もそう感じていましたよ!」と固い握手を交わしたいような気持ちでした。
——有村優役の矢野奨吾さんと一緒にやっているラジオでもオーディションのお話をされていましたね。
土屋:奨吾くんとの掛け合いのオーディションで僕が優役をやったときに、優が芸名ではなく自分の本当の名前を言って決意を宣言するシーンなのに、「俺は風波駿!」と言っちゃって。すぐに言い直したんですけど、その時点で“もしかしたら僕は風波駿なのかもしれない……”と思いました。
オーディションでは駿が壁にぶつかったときの落差を表現したかったので、自由に演じられるシーンはやりすぎと思われるくらい自由に演じました。
合格した後、監督とお話しする機会がありましたが、そのときに監督が「駿は周りと話をしているとき、会話になっているようで会話になっていない。普通の人と交わらないところにいる子」とおっしゃったので、どこか浮いているような感じにしようと心がけながら演じています。
どちらかと言うと、駿は人間よりもお馬さんに近い感性を持っている子なので、人間からも理解されにくいですし、人間のことも理解できないんです。でも、お馬さんと会話できるイメージを持ちながらお芝居しています。
——矢野さんにインタビューさせていただいたときも、駿と土屋さんは通ずるものがあるとおっしゃっていました。
矢野:そうかもしれません。よく周りから「感覚派」だと言われますが、自分でもオーディションを受けるとき、シンパシーを感じるキャラクターは受かることが多くて。そういうところに感覚派だと言われる理由を感じることもあれば、「みんなが思っているよりも考えているよ~!」と思うときもあります(笑)
一同:(笑)
矢野:「神葉は天才だから大丈夫だよ」と言われることも嬉しいんですけど、天才って何も考えていない感じがありませんか?(笑)
——確かに。そういうイメージはあります。
土屋:何も考えないで感覚でやっていると思われていることに、最近はちょっと抵抗があるというか(笑)。僕でも僕なりにすごく考えているんだよ~!と言いたいです(笑)