祝・7周年! アプリゲーム『アイドリッシュセブン』「TRIGGER(トリガー)」のアイドル活動の7年間の歴史を振り返ろう! 儚さや高揚感が溢れ出す新曲「SUISAI」をレビュー!【連載第3回】
儚さや高揚感が溢れ出す新曲「SUISAI」をレビュー
ゲームプレイ中に「SUISAI」を最初に聞いた時から、ブワッといろいろな感情が溢れ出しました。儚さや危うさ、うつろう心、漂動感、高揚感……本楽曲は複雑な心模様を引き出す不思議な力があると思います。
ミュージカル「ゼロ」にてゼロのデビュー前日の様子から流れる「SUISAI」。演出家・九条鷹匡はフワフワとした軽やかなステップから始まり、サビでしっかりと踊る構成を考えています。1番はまるでゼロがデビューからトップまで駆け上がっていく飛翔を感じました。「光の渦」、「波打つような鼓動」と歌詞から、伝説になるほど早い速度でアイドル界のトップへ登りつめたゼロの目まぐるしさと喜びなどが伝わります。
サビの歌詞で気がついたのは、タイトルの「SUISAI」が「水際」と「水彩」で2種類あること。「水彩」のように淡く、馴染んで溶けていくイメージを私は曲調から想像していました。「水際」には曲を聞いた時の水面から湧き出るように溢れ出る心が表されているのではないかと思います。
また、注目したいのは何度も静かに繰り返される「fragile gleam」です。意味は「壊れやすい輝き」。繊細な曲調との相性が良い言葉であり、ゼロやアイドルを象徴する言葉だと思いました。第5章のテーマでもある「永遠」、輝いているアイドルが永遠を求めて脆く、揺れ動く様が曲に詰め込まれているように感じます。
そして2番はゼロと周囲の温度差が歌われています。九条役の楽が「暗闇に虹をかけよう」、桜役の龍之介が「壮大な深海で共鳴しあい」と歌う中、ゼロ役の天が歌う歌詞は「偽善者のような気がするんだろう?」。ゼロはアイドルの姿と本来の自身をチグハグに思い、周りの人との温度の違いを感じていたのではないでしょうか。サビも不確かで不安げ、寂しさを感じさせる歌詞が並べられており、もうハーメルンの笛吹き男の話をしていた面影が感じられなくなりました。
夢に迷い込むような間奏を経て再びサビに戻りますが、サビの後半は天だけが主旋律を歌っています。「誰も抗えない夢の中」、「永遠にも似た喜びと」を心の叫びを表すように天が力強く歌唱している箇所が印象的でした。
今まで天が九条に感情をぶつける機会はあまりありませんでしたが、第5章にて天の本心が徐々に垣間見えています。天が何を考えているのか、ミュージカル「ゼロ」とTRIGGERの今後をもっと知りたくて、本楽曲から読み解きたいと考えていましたが……「SUISAI」からいろいろな心情を感じすぎて、正直ますますわからなくなってしまいました。TRIGGERの更なる新境地を感じさせてくれる「SUISAI」。感情が絡み合う魅惑的な楽曲だと思います。
TRIGGERのミュージカル「ゼロ」を見届けよう!
成功と挫折を味わい成長してきたTRIGGERも7周年。デビューから現在までの歴史を振り返り、新曲をレビューしました。舞台のイメージも強くなったTRIGGERは伝説のアイドル・ゼロに挑み、時代を切り開こうとしています。劇中歌の「SUISAI」はゼロが感じたであろう心がこみ上げるように伝わる1曲です。
ゼロと天、九条鷹匡は何を思っているのか……天を見守る楽と龍之介、ゼロと似ているIDOLiSH7の七瀬陸は周囲で何を感じるのでしょうか。ミュージカル「ゼロ」の成功を祈りつつ、TRIGGERの成長も見守りたいです。
来週は連載最終回、Re:valeの軌跡をたどり新曲をプロモーションさせていただきます。7周年の続報に期待しつつ、これからも『アイドリッシュセブン』のマネージメントを楽しみましょう!
【文/杉村美奈】