猫との思い出がお芝居に活きた瞬間。スタッフを驚かせた“のど鳴り”演技とは? アニメ『夜は猫といっしょ』キュルガ役・高垣彩陽さんインタビュー
スタッフいわく「キュルガの予想つかない行動にドキドキするアニメ」。高垣さんが感じるキュルガのかわいさと魅力とは?
――この取材場所に待機中、「野良猫がよく鳴いてるな」と思ったら、収録中の高垣さんの声でした。もはやお芝居を超えて、声帯模写の名人級の域に達していると思います(笑)。
高垣:監督からも「芝居というより声帯模写みたいなことをお願いしているんだよな」と言われました(笑)。でも感情表現もしているので、やっぱりしているのはお芝居だと思います(笑)。
――キュルガのかわいさや魅力を感じる点を挙げるとすれば?
高垣:目をカッと見開いているところや、表情がないようであるところが伝わってくる愛らしさがかわいいなと思います。あと質感がすごいなと思っていて、キュルガは程よくぽってりしていて、柔らかそうな質感もかわいいです。そしてキュルガは甘える時は甘えるけど、猫らしいマイペースさも持っていて、一緒に遊んでいたと思ったら急に興味を失ったりするところも「あっ、わかる!」と(笑)。そこもリアルですし、猫を飼っている人が見たら「わかる~!」と共感できる部分がたくさんあるはずです。猫を飼ったことがない方には共にある生活を疑似体験していただける作品になっていると思います。
私は実際のキュルガちゃんは見せていただいてないのですが、でも絵から「キュルガってこんな子なんだろうな?」と十分伝わってくるし、キュルZ先生の愛情が端々から感じられますね。
フータくんとピーちゃんは実写感があって、お芝居もナチュラルな印象
――フータくんとピーちゃんのキャラの印象をお聞かせください。
高垣:わかりやすい特徴があるわけではないけど、フータくんもピーちゃんもすごくリアルなんですよね。実写感があるというか。お二人の演技もお芝居しているというより、自然体な感じで。
フータくんは猫を飼うのが初めてで、キュルガと過ごす時間は何もかも新鮮なはずですが、発見や驚きを誰かに伝えようとしているわけではなくて。家に帰ってきてからのひと時のまったりした、リラックスした感じもあって。
――映像やPV等をご覧になった感想は?
高垣:収録の時から音楽はついていましたが、まだ絵が動いているものではなかったので、PVを見た時、「キュルガがこうやって描かれるのか」と。キュルガだけマンガ感があるけど動く、絶妙なバランスでマッチしているなと思いました。
そして何も考えずに見られるし、癒されます。まさに猫を飼っている時の気分と一緒で。放送・配信されるのが水曜や木曜の夜というのもいいですね。そして30分アニメでなく、ショートアニメという点も。もし30分アニメだったら、私も毎回収録が大変だったと思います(笑)。
収録では猫に精通する監督と高垣さんが積極的に意見交換。
――収録時に印象に残っている出来事や裏話などあれば教えてください。
高垣:収録は毎回、楽しいです。監督とも相談しながら収録が進んでいきますが、ディレクションも変わっていて。「今くらいので、ゴロゴロっぽいのが入ると興奮してる度合が強くなるので、もう少し怒っているほうなんです」と言われて、「少しのどの鳴りをおさえて、この音と感情を強めにすればいいですか?」とか、実際に鳴き声を出して「これだとケンカしすぎですか?」など二人で時々お互い鳴き合ったり、やり取りを繰り返して、二人で「なるほど!」と納得したりして(笑)。
猫とひと言でいってもいろいろなタイプがいるし、キュルガの正解はキュルZ先生の中にあるものだと思うのですが、獣医師でもある芦名監督の存在はとても心強いです。
自分で「やりすぎだったかな?」と思っても、監督からOKをいただけたら「よし、大丈夫だ」と安心できますし、「ちょっと違ったかな?」と思ったところも一緒だったりするので、すごく信頼しています。
――よくキャストと監督が一緒にキャラを作っているというお話を聞きますが、まさにその通りなんですね。
高垣:ブース側の反応や会話の内容がいつも気になるので、いつか収録中のこちら側とスタッフさんの様子を同時に見られるメイキング映像を撮ってほしいです。
例えば、ずっと匂いを嗅いで終わった回もあって、「ハイ! ありがとうございます!」と言われた瞬間、「私は何をしていたんだろう?」ってなったり(笑)ある時は「もうちょっと息をください」というオーダーがあって、やってみたら、「もうちょっと眉間にしわを寄せる感じで、奥の方の『ふん』ください」とかいろいろ試している時もみんなで「何をやっているのだろう?」とふと冷静になって笑いが起きたりしてます。。
音に合わせるところは拍を数えながら猫の芝居をしたり、難しさがあって、集中力も必要とされるけど、その分、やりがいを感じるし、みんなで丁寧にモノを作って積み上げている感じがしています。