人気ラノベ『薔薇のマリア』のタッグ再び! 十文字 青×BUNBUN 新作『恋は暗黒。』発売記念インタビュー
新作『恋は暗黒。』のイラストは水面化で決定!? 作品は学園ラブコメと好きな映画をモチーフに!?
――『恋は暗黒。』でこのタッグが実現した経緯と感想をお聞かせください。
十文字:まず僕はBUNBUNさんにイラストをお願いしたことを知らなくて。いきなり担当編集さんから「BUNBUNさんにお願いしてみました」と聞かされたんですよね。
担当編集:お忙しい方ですし、受けてもらうのは難しいかなと思ったのと、ご依頼するのを決めたのが深夜だったので、伝えるのは決まった時にしようと。
十文字:その頃、BUNBUNさんが手掛ける『DEVIL+CALIBUR』のプロジェクトに、小説をお願いされていて、ちょうどその執筆が終わったあたりで、BUNBUNさんにお話が届いたそうです。
BUNBUN:僕の中で、同時進行できるラノベのお仕事は3シリーズまでと決めていて、ちょうど1つお仕事が終わったばかりだったし、『DEVIL+CALIBUR』からの流れもあったので、「じゃあ、やります」とお返事させていただきました。
十文字:以前、BUNBUNさんに別のシリーズでお願いしたこともあったけど、他のお仕事が立て込んでいたり、なかなかご一緒できなくて。今回はたまたまタイミングが合ったんですよね。
――十文字先生が『恋は暗黒。』を着想・執筆したきっかけ、コンセプトやテーマをお聞かせください。
十文字:前の方から担当編集の方が変わって、「一緒に何かやりませんか?」とお話をいただいて。ラブコメみたいな話にしようかという案があったけど、僕の中でラブ(恋愛)はコメディにならない気がしちゃって、自分が書くとなかなかラブコメになってくれないんですよね。でも、僕は『ジョン・ウィック』という映画がとても好きで、こういうのをやってみたいなと思っていたんですが、「ひょっとしたら、これとラブコメと合わせてみたらおもしろいかも?」と考えたのが着想のきっかけでした。
「MF文庫J」自体が主に中高生向けのライトノベルレーベルなので、主人公は高校生にして、ラブコメパートは学園もので、それ以外に『ジョン・ウィック』みたいな暗殺するパートがあるという構成を考えて。あとは僕の好みですね(笑)。僕は記号的なキャラクターを書けるタイプではないので、自分が好きなタイプの男の子と女の子を中心に置いて、二人を主軸に展開しようと考えました。
BUNBUNさんが普通のラブコメ感が出ないように描いたイラストはリアルっぽいテイストに!?
――BUNBUNさんには、どんなオーダーがあったのでしょうか?
BUNBUN:最初にニュアンスやイメージを聞いたくらいで、あとは本文を読んで、自分なりに考えて描かせていただきました。
担当編集:お任せすればきっといい絵が上がってくるだろうと(笑)。こちら側からは「銃口を向けたい」というオーダーをしたくらいでした。
十文字:絵のタッチや雰囲気がいつもと違いませんか? 質感やディテールもリアルっぽいというか。BUNBUNさんの最近の塗りは透明感があって、キラキラしている印象があったけど、それとは違うような。
BUNBUN:タイトルに「恋」と入っている段階で、ラブコメというニュアンスは通じるかなと思って。でも普通のラブコメではない感を出したくて。
十文字:物語のテイストをくみ取って、絵として表現してくれているんだなと。上がってきたら「なるほど!」と納得できたし、作品の顔として、この絵があると伝わるだろうなと思いました。
BUNBUN:僕は良くも悪くも流されるタイプなので、狙って描いているのではなく、本文を読んで僕の中にあるイメージと合わせて描いていったら、段々こうなっていった感じです。いったん描いてみて「違うな」と思ったら、しっくりくるまでいじっていくうちに、密度が上がっていき、色も微調整していったらこうなりました。
担当編集:カバーは紆余曲折ありましたよね。ラノベとしてはありえないくらい時間もかけていただいて。仕上げの時に彩度を下げたものをいただいた時、ただただ「すごい!」と。
十文字:何て言っていいのかわからないけど、愛おしくなる絵なんですよね。いい意味であまり商業的じゃないというか。
BUNBUN:ありがとうございます。
――主人公の想星やメインキャラの明日美、くちなを描く上で意識された点はありますか?
BUNBUN:読んで感じたイメージで描いて、そこから髪型や服のデザインなどを変えて、ズレないように、少しずつパラメーターをいじりながらデザインしていく感じです。ファンタジーであれば、わかりやすい武器や装備品でキャラ付けできますが、今回のような現代ものだと難しさもあって。
また今回は制服が一番見られる服なので、キャラの次くらいに大切だと思っています。私服もそのキャラのパーソナリティが一番出てくるので、二次元映えを意識しつつも、「メインキャラは露出が多いのはおかしい」とか考えながらデザインしました。
十文字:今回はヒロインのくちなが一番難しそうだと予想していて。「どんな子に描かれるんだろう?」と思っていたら、こちらのイメージ通りというか、むしろ彼女のイメージを固めてくれる絵が上がってきたので。細かいニュアンスまでくみ取って描いてくれたんだなと感じて嬉しかったです。