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『神クズ☆アイドル』寺島拓篤インタビュー【連載 第3回】

ドタバタアイドル憑依コメディ『神クズ☆アイドル』瀬戸内ヒカル役・寺島拓篤さんインタビュー「7話のエンディングを見て自然と涙が出ました。最高の演出でした」【連載 第3回】 

三重人格であることは「気にしてない」

――今お話をうかがいながら、瀬戸内くんが前に進んだことを寺島さんが心から喜ばれていることを感じます。紆余曲折ありましたものね。

寺島:さっき声色を監督や音響監督と一緒に作っていったという話をしましたが、「仁淀ユウヤを推して良い……!?」と気づく、あのお芝居は特に難しいところだったんです。リアルに考えたらもう少し違う感じになるのかなとも思うんですけど、でも、スッと軽やかに入ってくるようにしたくて。でも奥にあるものはものすごく熱いので、結果的にグッとくるものがあるというか……とっても良いバランスになったなと思いました。ある意味、今っぽいなと思います。いろいろなものに言えることですが、腰を据えて何かをじっくり見る時代じゃなくなってきてると思うんですよね。

――確かにそうですよね。例えばですけど「もうすぐ見たいテレビがあるから!」って走って帰る時代ではないというか。

寺島:そうそう。配信もありますし。ゲームもそうですけど、そんなに構えてやるものではないというか。逆に言うと、いろいろな機会に触れやすい時代でもあると思うんですよね。

――気軽にいろいろな物事に触れられますもんね。

寺島:そうなんです。今回のお話も気軽に見られるものだと思うんです。構えて見ずともグッとくるものがあるっていうのは、監督の魅せ方がうまいんだろうなと思いました。

――監督といえば……先日インタビューさせていただいたときに、「寺島拓篤さんには話したんですが、瀬戸内の場合、三重人格というか……アイドルの瀬戸内くん、オタクの瀬戸内くん、そしてその後ろに、中学時代の素の瀬戸内くんがチラチラと見え隠れする。その全部を把握した上で別々に演出しなければいけないということに苦労しました」とおっしゃっていました。

寺島:僕はそれに関して言うと、あまり気にしてなかったんです。監督は分かりやすく「三重人格」と表現してくださったと思うんですけど、僕は「人間いろいろな面があって当たり前」と考えていて。僕自身、普段はそこまでハキハキしていないタイプですけど、好きなことになると饒舌になる自覚があるので、瀬戸内くんの気持ちがよく分かるんですよね。瀬戸内くんが仁淀くんとアサヒちゃんのことを比べて、あれやこれやとまくし立てるところも「すごいよく分かるなぁ」と。

――寺島さんは瀬戸内くんのよき理解者でもあるんですね。

寺島:そうですね。彼のことはよく理解できてると思います。一見違う人格のように見える、過去、アイドル、オタク、という面も、全部同じところから出ていて。僕もそれぞれの場面によって声質は変えていますけど、「全部瀬戸内くんである」ってところを大事にしています。

――そういう意味では、6話のエンディングの「INNOCENT STORY」(Cgrass名義)は、どんなところを大切にされたのでしょうか。

寺島:Cgrassは人気アイドルですから、他にもいろいろな曲を歌っていると思うんです。その中の表現のひとつとして、ああいうバラードといいますか。優しくて、寄り添うような楽曲があって、きっとファンのこと、聴く人のことを思って歌っているんだろうなと考えながら歌っていました。なんて言うんだろうな……。歌詞の内容で描かれていることとは別線で、ファンの方にどう聴いてもらいたいか、そして、ファンの人がどう受け取ってくれるかっていうのを瀬戸内くんは常に考えていると思うんです。曲を持っている雰囲気と、聴く人に寄り添う気持ちを意識しながら歌った記憶があります。

Cgrassの曲は「王道のイメージ」

――さきほどドラマパートの話がありましたが、それも収録されたCgrassのCD「HAPPINESS for ALL」が8月17日に発売となります。聴きどころについてもおうかがいできればと思うのですが、どうでしょうか。

寺島:「HAPPINESS for ALL」は王道のアイドルソングというイメージがありました。彼らが人気アイドルであるゆえんが歌にこめられていると思います。僕の中で、ZINGSは特殊な楽曲づくりをしている印象があって。逆にCgrassのほうが王道というイメージがあるんですよね。

――監督がZINGSの曲は1990年代のちょっと懐かしいJ-POPのイメージで、Cgrassの曲は昨今のザ・アイドルって感じの雰囲気で作っているといったお話をされていました。

寺島:ああ、やっぱりそうなんですね。これこれ!って感じで聴けるアイドルソングになっていると思うので「安心して聴いてください」という感じです。ZINGSが安心できないというわけじゃないですよ(笑)。

――(笑)。馴染み深いメロディーですよね。

寺島:そうそう! 知ってるけど知らない、知ってるけど新しいという感じ。そこに踏み込んでいくのがCgrassの作品内での役割なのかなと思っています。「ZINGSは好きだけどCgrassはあまり知らない」って人にもぜひ聴いて欲しいです。

 

――ドラマパートの「Cgrassメンバー紹介」「Cgrass無人島へ行く。」は、耳で聴いているはずなのに、アニメを見ているような感覚に陥ってしまって。

寺島:あははは。でもわかります。動きが感じられますよね。だから音声でもしっかり映像が見える。それだけキャラクターが生きているってことなんだろうなと思っています。

――「潮風に乗ったアイドル」……という自己紹介がすごく印象的でした。

寺島:「なんだよそれ!」っていうツッコミどころ満載なんですよね(笑)。一瞬そのことを忘れていて、アニメの収録の時に思い出しました。演じているときは海関係、潮風関係は全然意識してなかったです(笑)。

――ご時世柄、アフレコはグループごとにという感じだったんです?

寺島:そうですね。僕は絡みのある今井くん、堀江くんと、東山さんと一緒に録ることが多かったです。こういう情勢なので、僕だけは別ブースでしたけど、現場の雰囲気がすごく良くて。3人とも良い人ですしね。とても和気あいあいとしていました。めちゃくちゃ楽しかったです。

――プレアフレコに行かれたいそふらぼん肘樹先生が、本番のアフレコでの今井さんの覚醒っぷりに驚いたようです。

寺島:今井くんとじっくりと話したわけではないんですが、すごいポテンシャルを秘めているような感じはしていて。面白い人だなぁと思います。

(C)いそふらぼん肘樹・一迅社/「神クズ☆アイドル」製作委員会
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