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『劇場版ツルネ ―はじまりの一射―』上村祐翔×浅沼晋太郎インタビュー

ついに解き放たれる『劇場版ツルネ ―はじまりの一射―』鳴宮 湊役・上村祐翔さん×滝川雅貴役・浅沼晋太郎さんインタビュー|「ものすごく繊細に、丁寧に作られた作品を隅々まで味わってほしい」

夏の終わり、あの“音”が劇場で鳴り響く――。弓道によって出会った少年たちと青年の美しくもビターな〈青春〉が京都アニメーションによって紡がれたアニメ『ツルネ ―風舞高校弓道部―』。その映画作品『劇場版ツルネ ―はじまりの一射―』が2022年8月19日(金)より公開中です。

新たなシーンも加わり、色彩豊かなストーリーをより楽しむことができる劇場版。TVシリーズに引き続き山村卓也監督が作品を手掛けており、キャスト陣もふたたび集結しました。

劇場版を心待ちにしていたという鳴宮 湊役・上村祐翔さん、滝川雅貴役・浅沼晋太郎さん。劇場版のアフレコでのエピソードやふたりが気になる関係性、タイトルにちなんで最近新しくはじめたことなどをおうかがいしました。

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劇場版ツルネ ―はじまりの一射―
鳴宮湊は、弓引きの病とも言われる「早気」にかかり、弓道から身を引くことにした。高校に進学後、親友の竹早静弥が弓道部に入ると言っても、湊の気持ちは変わらない。だが、滝川雅貴と運命的な出会いを果たし、湊は傷つきながらも再び弓を手に取る。「弓道部に戻って、いろいろなものが見えてきた気がするんだ」雅貴は湊を指導する一方で、自分の師匠に深い復讐心を抱いていた。「俺は、あいつみたいな師匠にはならない」ともに歩み始めた雅貴と湊。これまで湊を支えてきた静弥は、自分はもう必要のない存在だと思い始める。「僕は、滝川さん。あなたが嫌いです」弓への苦しみにもがき続ける、湊。師への愛憎にさいなまれる、雅貴。友への想いに追い詰められる、静弥。彼らが、たどりつく先は―――。作品名劇場版ツルネ―はじまりの一射―放送形態劇場版アニメシリーズツルネ―風舞高校弓道部―スケジュール2022年8月19日(金)キャスト鳴宮湊:上村祐翔滝川雅貴:浅沼晋太郎竹早静弥:市川蒼山之内遼平:鈴木崚汰如月七緒:矢野奨吾小野木海斗:石川界人藤原愁:小野賢章スタッフ原作:「ツルネ―風舞高校弓道部―」綾野ことこ(KAエスマ文庫/京都アニメーション)監督:山村卓也構成・脚本:山村卓也脚...

“雅貴”というひとりの人物の心の動きがよく見える

――『劇場版ツルネ ─はじまりの一射─』が決まったときの率直なお気持ちを教えて下さい。

上村祐翔さん(以下、上村):TVシリーズから4年振りということで、『ツルネ』が愛されているんだなあと感じました。また、TVシリーズのときの収録現場の雰囲気がとても好きだったので、再びみんなで集まって、弓道部のみんなと一緒に録れるということが嬉しいなと。(台本を読むと)TVシリーズにも登場したようなシーンもあったので、それぞれどんな感じで変化したのかな、でも根っこの部分は変わってないのかな……とかいろいろ考えながら収録に臨みました。

浅沼晋太郎さん(以下、浅沼):「劇場版やるらしいよ」というのは事前に耳にしていたんです。確か風舞高校と名付けられたキャストのグループLINEか、どこかの収録現場だったかと思うんですけど。その時は純粋に驚きました。その時からしばらく時間が空きましたが、ことあるごとに「そういえば、アレいつになるんだろう」って思い出してわくわくしていましたね。

――おふたりが演じられている湊、雅貴の役柄についても改めて教えて下さい。また、湊にとっての雅貴、雅貴にとっての湊、お互いの存在についてもおうかがいできたらと思います。

上村:湊は誰よりも素直でまっすぐな子なんだろうなと思っていて。彼が葛藤しながらも弓道にしっかり向き合っていく姿というのは、矢が放たれて、的にまっすぐ進んでいくかのごとく、すごくストレート。そこになんの嫌味もない感じが湊の良さだなと思っています。彼がそうやってひたむきに頑張っているからこそ、周りのみんなも惹かれたり、影響されたりする。それがひとつ風舞の指針になっているのかなと感じています。見ていて気持ちの良い主人公だなと思いますね。

そんな湊にとって、マサさんは心の拠り所であって、頼りがいの在る憧れの存在。でもマサさんも弓の道を進むにあたって、もがいているところがあって。立場は違っても、共通するシンパシーがあるんですよね。ふたりの運命的な出会いによって、物語が進んでいくんだなぁと。湊がマサさんにおちょくられているところは見ていて微笑ましいですね(笑)。ふたりだけの特別な時間という感じがします。

浅沼: TVシリーズ、劇場版の収録を経て、マサさんは自由に生きているように見せかけて、本当は「こうでなくてはならない」って人一倍考えている人なのかもしれないなと感じました。プライドが高いとかそういうことではなくて、彼らの前ではこう在るべき、こういうところは見せるべきではない、みたいなルールを、自分自身に課しちゃってる感じ。湊がまっすぐなのに対して、マサさんは「まっすぐでいることを自ら止めた人」のほうに思えて、それはそれで似ているふたりなのかなと。湊がマサさんに対して憧れを持つように、マサさんも湊のまっすぐさに羨ましさを抱いていたんじゃないかなと思っています。

――劇場版のアフレコはいかがでしたか?

浅沼:アフレコは別録りだったので、みんながどんなディレクションを受けたか詳しくは知らないんですけど、あとで聞いたら、部員たちには「年齢感を少し上げて」というディレクションがあったそうで。逆にマサさんには「年齢感を少し下げて、等身大で良いよ」というディレクションがあったんです。微かではありますけど、劇場版ではキャラクターそれぞれの関係性の見え方が変わったような気がしています。特にサービスエリアのシーンは、マサさんと湊の心の距離感が以前よりほんの少し近くなったというか。

上村:そうですね。TVシリーズだとマサさんは「かっこいい男性」というイメージで。

浅沼:カッコつけたからなぁ~(笑)。

上村:(笑)。でも今回の劇場版は“マサさん”というより、“雅貴”というひとりの人物の心の動きがよく見える気がしています。湊もマサさんが思いを吐露する場面には必ずいて。やっぱり、湊の一言がマサさんの行動を決めてるというか。そこの密接なつながりが劇場版だとよく見えるような気がします。

浅沼:あまり言ってしまうとネタバレになってしまうのでぼかしますけど……冒頭のとあるマサさんととある湊の姿のシーンが、まさにそれを表しているような気がします。ある意味では似てて、ある意味では運命的な感じ。

上村:お互いが支え合うことを示唆するような場面ですよね。このタイトル通りという感じがします。劇場版タイトルに「―はじまりの一射―」とサブタイトルがあるんですけど、タイトル通り、ふたりをより紐解くための劇場版なのかなと。TVシリーズとは少し印象が変わるかもしれませんね。TVシリーズの収録では和気あいあいとやっていたところも、ズシッと響くようなシーンになっているというか。そのメリハリがついているような気がしています。

――劇場版の新規カットでお気に入りのシーンというといかがでしょうか。

浅沼:劇場版で新規に作られているシーンというのは純粋な驚きもあるので好きですね。多くは言えないですけど、ラストは震えました。「バトル漫画かよ!」と。いい意味で『ツルネ』らしくないというか。

上村:何かが起きるなって予感がありますよね。僕も新規カットは好きで、マサさんとふたりで話している新しいシーンも良いなと。そこも湊がからかわれる形で、静弥と話しているときにもマサさんと同じことを言われて。何気ない日常のパートに、ひとつ乗り越えた先にある安らかな部分も描かれていて。いろいろなドラマがあったからこそだなと思っています。

浅沼:あのお好み焼きのシーンとか。

上村:お好み焼きのシーンは「刮目せよ!」って感じですね(笑)。和気あいあいとしているんですけど、それぞれの思惑、考えていることの奥深さが詰まっているシーンになっていると思います。TVシリーズとは少し印象が変わると思うので、その違いを楽しんでもらいたいですね。

浅沼:『ツルネ』のグッズでお好み焼きのヘラを出してほしい(笑)。

上村:「なんで?」って言われますね(笑)。

(C)綾野ことこ・京都アニメーション/ツルネII製作委員会
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