現実を突きつけられたアシトのコンバート。エネルギッシュなキャラクターたちに感動！　アニメ『アオアシ』金田晃教役・江口拓也さん＆中野淳之介役・西山宏太朗さんインタビュー

愛媛で暮らす弱小サッカー部のエース・青井葦人が東京の強豪ユースチームに入り、自身の弱点や壁を克服しながらプロのサッカー選手を目指す、青春スポーツアニメ『アオアシ』が放送中。

エスペリオンユースのセレクションで不合格となった金田晃教と中野淳之介は、東京武蔵野蹴球団ユースへと進み、成長をし続けていた。まだまとまりきれていないエスペリオンユースBチーム。サイドバックに転向した青井葦人も、その才能を発揮しきれずにいた。そして武蔵野蹴球団ジュニアユースに所属し、エスペリオンユースへ入団した橘総一朗も大きな壁にぶち当たっていた。

波乱の東京武蔵野蹴球団ユース戦について、金田晃教役の江口拓也さんと中野淳之介役の西山宏太朗さんに話を聞いた。

FWからサイドバックへのコンバート！　アシトの状況は誰にでもあること

――TVアニメ『アオアシ』の魅力を教えてください。

金田晃教役・江口拓也さん（以下、江口）：スポーツをやるのは苦手だけど見るのは好きなので、スポーツ漫画は好きなんです。

オーディションの話をいただいたときに原作を読んだんですけど、めちゃめちゃハマって、1日でほぼ全巻読んでしまって（笑）。そのくらい勢いがあるんですよね。反骨精神とか泥臭い感じがいいし、そこが好きなところでもあります。

中野淳之介役・西山宏太朗さん（以下、西山）：僕もオーディションを受けるに当たって原作を読みましたが、同じく勢いがすごいと感じて、止まらなくなってしまいました。

それと同時に、この熱量をどうアニメにするんだろうと思ったんです。サッカーって人数も多いし、ただでさえ描写が難しいのに、その上でキャラクターのイキイキとした表情を出すわけですから。だからアニメを見たときはすごく感動しました。本当に絵がきれいだし、キャラクターが生きていることが画面から感じられたので、素晴らしいアニメだなと思いました。

――お二人が演じているキャラクターは、序盤のエスペリオンユースのセレクションで不合格になった2人で、そこから努力をして、別のチームでアシトたちと対決することになります。どのようなキャラクターですか？

江口：金田は怒りのエネルギーで前へ進む人です……逆恨みではあるんですけど（笑）。だからメンタル的には弱い人だと思っているんです。受け止めきれなくて弱くなる部分を他者のせいにしてエネルギーにしていくから。

でもそれをサッカーにぶつけてくれて良かったなと思います。危ういキャラクターではあるけど、自分のダメさ具合もわかっているから、人に言っているようで自分に言っているんですよね。だからストイックにトレーニングをこなせたんだなと。

――江口さんにも、怒りのエネルギーはありますか？

江口：僕はあまり怒りの感情がなくて、彼の気持ちがわからなかったんです。だからアフレコの前に、自分がよくやっているアプリゲームでわざと負けるようにして、怒りの感情を溜めてから行くようにしていました（笑）。弱いキャラを使って挑んでも勝てないからイライラするんですよね。これが怒りの感情か？っていう。

西山：そんなことをしていたんですね（笑）。

江口：じゃないと、金田ってずっと怒ってるから、演じているときに何でそんなに怒るの？って思っちゃうんですよ。なので新鮮な怒りを現場に持っていこうかなって（笑）。

――中野はどうですか？

西山：僕、中野くんを最初に見たとき、1人だけ書いている先生が違うのかな？って思ったんです。

（一同笑）

西山：つぶらな瞳が印象的で、1人だけ違うぞ？って（笑）。僕は学生時代バスケットボールをやっていたので、自分に似ているところもあるのかな？と思ったんです。でも、ここまでやるんだ彼は！っていうのが見えてくると、似ているなんて言えないなと思うようになりました。

バスケでも、周りと自分の熱量の違いに絶望したりしていたんですよね。自分はここまではできないな、みたいな。だから中野くんが熱量を持ってやり続けられることは、本当にすごいことなんです。その結果、「僕らは本当に努力した」というセリフに繋がったと思うんです。彼からその言葉が出たことで、本当にサッカーだけに打ち込んできたことが伝わってきたので、すごくリスペクトしています。

――演じてみていかがでしたか？

江口：金田を演じているときは、戦国ものだったっけ？って思うくらい、サッカーの気合いじゃないんですよね。朝帯収録だったんですけど、夕方収録にしたいなと思うくらいハードでした（笑）。

西山：中野くんは最初に出たときから比べて、髪型をセットするようになっていたんですよ。ツンツンヘアになって、変わったんだなと思ったし、眼力が強くなっていて、相手の目を見てしっかり物事を伝えることができるようになっていたから、そこをお芝居でも見せられたらいいなと思いました。

――2クール目の序盤、アシトが、FWからサイドバックにコンバートされるという衝撃的な展開がありました。それについて、どんなことを思いましたか？

江口：あそこは一番の衝撃でしたよね。だいたいこういうスポーツものって、得意なところを伸ばす、やりたいところを伸ばすじゃないですか。それが自分のやりたいところと持っている才能にズレがあるって、結構現実を突きつけているなって思いました。

社会に出ると、好きとか興味を持っているだけではどうにもならない、ギャップに打ちのめされることがあると思うんです。そういうことを主人公にやらせることによって、見ている人も共感するだろうし、なおかつそれが、結果的に自分の得意なところも伸ばすことになるという、未来への投資になっているんですよね。

――それにはきっと、いい指導者とか、導いてくれる存在との出会いが重要なんでしょうね。西山さんはいかがですか？

西山：今、僕の言いたいことは全部言ってくれました（笑）。

江口：じゃあ、アシトの好きなところを言ってみて？

西山：よく食べるところ（笑）。これは冗談じゃなくて、食べるシーン、好きなんですよ。わんぱくでよく食べて、練習に打ち込むあの姿！　そして気づいたら朝だったみたいな。

でもそれって、我々声優に置き換えるとしたら、例えば海外ドラマを朝まで見ちゃうとかですよね。それは僕にとってインプットの時間だから集中して見てしまう。それに近いところがあるのかなと思います。

――ちなみにお二人は、アシトみたいな経験はあります？　やりたいことではないところで評価されて、それがその先につながるような。

江口：声優になったらなるべくストレスなく生きていけると思っていました。でもいざ始めてみると、やっぱりお仕事なので、苦手でもやらなくてはいけないことがいっぱいあるんですよ（笑）！　ただ、ストレスはあるけど、その分得られるものがたくさんあります。

――西山さんはいかがですか？

西山：これはライトに聞いてほしいんですけど、僕がデビューをしたときって、新人声優がラジオをやることが多い時期だったと思っているんです。僕もお芝居をするよりもラジオだったり、ニコ生に出演をする時間のほうが多かったんですね。なので「お芝居をしていないのに、声優と名乗ってラジオをしているのって、どういうことなんだろう？」とそれに少し苦しんでいた時期もあったんです。

でも後々、ラジオのフリートークを聞いて好きになりましたとか、それがきっかけで出ている作品を見ましたって言っていただくことが増えてきて。あの時ラジオとかを頑張ってきたのは無駄ではなかったんだなと感じました。

――そこで経験したことって、きっと芝居にも何かしらで生かされているでしょうしね。無駄なことはないんですよね。自分の気の持ち方次第でどうにでもなる。それはサイドバックのことを知ろうとするアシトを見ていても思います。

西山：そうですね。そこからお芝居をする機会も増え、お芝居と顔出しの仕事やラジオの仕事のバランスが取れてきていているので、今はすごくスッキリして、楽しくできていますからね。