
元宝塚トップスター・珠城りょう×声優・千葉翔也が“朗読ミュージカル”を語る|『「Unrequited Love」〜マクベスを殺した男〜』仰々しい内容かと思えばコミカルなシーン、そして歌まで!? お二人にとっても初挑戦のことだらけ
コミカルなシーンも歌も楽しめる
——ちょうど、第1回目のお稽古が終了したばかりということですので、初日に感じたこのカンパニーの雰囲気や感想をお聞かせいただければと。
千葉:緊張していた分、皆さんが本当に優しかったので雰囲気はとても良くて助かりました(笑)。
珠城:そういえば、千葉さんはいつから宝塚ファンでいらっしゃるんですか?
千葉:今、27歳なんですけど、確か小6ぐらいからです。
珠城:お~! 初観劇は……? って私がインタビュアーさんみたいになっていますね(笑)。
一同:(笑)。
千葉:初観劇は月組の『スカーレット・ピンパーネル』(通称:スカピン)です。
珠城:えー! そうなんですね! 私にとっても『スカピン』は大事な思い出の公演です。
千葉:新公(新人公演)とか、スカイステージ(宝塚歌劇専門チャンネル)で見てました。
珠城:そうなんですか! 逆に恥ずかしいですね(笑)。
千葉:なので、僕にとっては今のこの状態が信じられません(笑)。
珠城:あはははは。男性の、しかもお若くてミュージカルや宝塚とはまた違ったフィールドで活躍されている方が「宝塚、好きです」と胸を張って公言してくださることがすごく嬉しいです。
以前よりも男性のお客さんは増えましたが、まだ宝塚が好きと言うことが恥ずかしいと思っている方も多いと思うんです。圧倒的に女性のファンの方が多いので、注目されている方がそのように言ってくださると(宝塚が)どんどん広まっていくようで嬉しい気持ちになります。
——確かに、好きなことを多くの人が好きと言ってくれるほど嬉しいことはありませんよね。では、宝塚ファンの千葉さんにとって、今日のお稽古はすごく緊張したのではありませんか?
千葉:はい。台本がコメディー要素が多かったのと、先輩方に遠慮するような役柄ではなかったので、それが逆に良かったなと思いました(笑)。
珠城:実際にキャストの皆さんとセリフを合わせていくのがとても楽しかったですし、千葉さんは声のお仕事をなさっているだけあって、1つ1つのリアクションで声色を変えていてすごかったです。
(照れながら嬉しそうに笑う千葉さん)
珠城:軽く台本を読み合わせるときでも、ニュアンスが伝わるような声音だったので「これがプロなんだな」と思いました。やっぱり声優さんってすごいですね。
——そんな珠城さんも宝塚という舞台でたくさんの人を魅了させてきましたが、声優さんとのお芝居や発声の仕方に違いを感じられたのでしょうか。
珠城:宝塚の場合は2,500の客席で劇場も大きく、声のボリュームはもちろんですが、空間を意識しているので全体的にエネルギーをかなり使います。声優さんももちろん空間も意識していらっしゃると思いますが、そんなにワァーッと出さなくても声が通る技術をお持ちだと思うので、そこは自分たちがやっているものと違うなと思いました。それが逆に新鮮です。
千葉:確かに、舞台やミュージカルはスケール感が大きいですよね。
珠城:そうなんです。どうしても空間を埋めることを意識することが多いので。今回の朗読ミュージカルは、シェイクスピアの世界を舞台にしていることもあり、劇中劇になったときに少し仰々しい感じのセリフも出てくるので、そこは宝塚らしさを活かせるかなと思っています。
ただ、現代のシーンで女性漫画家として役を演じるときは、千葉さんから吸収できるものを吸収して、ナチュラルにお芝居ができたら良いなと思っています。
珠城:個人としては、宝塚を卒業して以来、男性役を初めてやらせていただくので、宝塚のときから応援してくださっている方には喜んでいただけるんじゃないかなと。
——朗読ミュージカルの開催が発表されたときは、たくさんの反響がありましたね。
珠城:本当にたくさんの方が楽しみにしてくださっていてありがたいですし、嬉しいです。
——千葉さんは、普段お芝居をされているアニメの収録現場や朗読劇と、今回の朗読ミュージカルとの違いは何か感じられましたか?
千葉:セリフのテンポ感みたいなものが違うなと思いました。アニメだったら、20分の尺がある中で人の喋るテンポが割と一定なんです。でも、舞台はそうじゃないというか、アニメと違うテンポ感な気がします。今日のお稽古でも、皆さんそれぞれのテンポがあるので、そこに合わせたほうがいいのかなと思いながらやっていました。
珠城:確かに、テンポ感はそれぞれあるかもしれません。私自身、皆さんのお芝居のテンポ感を意識していますが、アニメだとそのテンポ感があまり変わらないんですね。
千葉:そうですね。結構共通のテンポがあるように感じます。そのテンポを外すタイミングやよりゆっくりより速くなったりすることもあります。たぶん、同じ台本を渡されてオーソドックスに読んでくださいと言われたら、割とみんな同じような秒数で読み終えられると思います。
珠城:へぇ~! 面白い!
千葉:ドラマCDとか、ある程度聴きやすいテンポ感とか間の置き方がある気がします。でも、僕はそれをやるのがめちゃくちゃ苦手で、体で感じたままリアクションしてしまうこともあるので、いつまで経ってもそれが体に染み込まない気がして(笑)。なので、今回の舞台で変わるテンポ感はすごく勉強になります。
——そんな今回の朗読ミュージカルは珠城さん演じる女性漫画家が次回作の内容を自ら演じ、構想を練るところから物語が始まります。全体的な見どころやポイントをぜひ教えてください。
珠城:全体の見どころといえば、一人のキャストが何役も演じるところです。それをひとつのステージでやっているので、変化していく様は見どころだと思います。
あとは、この「マクベス」という作品がかなりヘビーな作品かと思いきや、ちょっとコミカルな要素も込められているところでしょうか。それを我々は体を張ってやる予定なので、そこも楽しんで観ていただけたら良いなと(笑)。
千葉:僕たち、体を張ります(笑)。
——お〜!
千葉:仰々しいタイトルだったので、僕も台本を読むまでは“殺し殺され”みたいなものを想像していましたが、全然違います。華やかな演出やコミカルなシーンが自然と織り込まれているので、肩の力を抜いていらっしゃったほうが良いかもしれません。
声優の世界から今回の朗読ミュージカルに初めて触れる方方でも入りやすくなっています。僕自身ミュージカルがすごく大好きなので、いつ歌い出しても何も思いませんが、普段ミュージカルを観ない方にとっては急に歌い始めることにハードルがあると思うので(笑)。
珠城:ここで急に歌う!?と戸惑うケースですね(笑)。
——千葉さんは作中で珠城さん演じる女性漫画家の編集者を姉に持つYouTuberという役柄を担当されていますが、最初のお稽古で演じてみていかがでしたか?
千葉:三枚目なのでやっていてすごく楽しかったです(笑)。アニメではカッコいいキャラクターが多いので、今回のような三枚目ってあまり出てこないんですよね。テンションが高ければ高いほど成立する役柄なので、二次元の世界観には出てこない人物像を楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
▲槙田シンジ役・千葉翔也さん