「NieR:Automata FAN FESTIVAL 12022 壊レタ五年間ノ声」1日目 夜公演 オフィシャルレポート!
全世界で支持されているアクションゲーム『NieR:Automata』の発売5周年を記念したリアルイベント「NieR:Automata FAN FESTIVAL 12022 壊レタ五年間ノ声」が、2022年11月25日(金)、26日(土)に東京ガーデンシアターで開催された。
『NieR』シリーズのコンサートは2020年にも開催されたが、新型コロナウィルス感染症の拡大により有観客から無観客での公演に変更された経緯があった。今回のイベントは約2年ぶりの有観客公演であり、さらに会場も史上最大規模の東京ガーデンシアターとあって大きな注目を集めての開催となった。2日間3公演にわたるイベントのうち、ここでは1日目(25日)夜公演の様子をレポートする。
1日目 夜公演 オフィシャルレポート公開
当日は、少し風があったものの心地よい秋晴れに。東京ガーデンシアターは、複合商業施設である有明ガーデン内に位置しており、開演時刻が近づくと有明ガーデン内にある大小の様々なスクリーンに「壊レタ五年間ノ声」のビジュアルが映し出された。さらに通路や店舗内などには『NieR:Automata』の楽曲がBGMとして流れ、イベントの開催前から来場者の心を沸き立たせるのに一役買っていた。グッズの物販は、開場時間よりも前から会場外の特設スペースで行われたが、この機会を待ち望んでいたファンは数多く、有明ガーデンの一角を埋め尽くすほどの大賑わいに。グッズ売り場のそばには、巨大なエミールヘッドとブラックボックスを載せたトラックが配置され、絶好の撮影スポットとなっていた。
東京ガーデンシアター内のロビーには、正面の壁に『NieR:Automata』の開発メンバーや声優といった関係者からのお祝いメッセージがずらり。さらに2Bのフィギュアや、5周年記念として描かれたイラストの背景を立体化したもの、『舞台ヨルハ』で使われた衣装など、多彩な展示が楽しめるようになっていた。これらを動画や写真に収めようとしていた人も多く、熱心な『NieR』シリーズのファンの心を釘付けにしていた。
いよいよ会場内へ。そこに流れていたのは『NieR:Automata』に登場するオペレーター6O(CV:磯部恵子さん)と、オペレーター21O(CV:初美メアリさん)による無線通信の模様。本イベントを全体ブリーフィング、観客をヨルハ部隊と位置づけての、オペレーターから全ヨルハ部隊に向けた定時連絡や伝達事項、イベント観覧に関する告知等の内容だった。スクリーンにはヨルハ部隊のエンブレムが大きく映し出されており、ときおり重厚な機械音も響く。東京ガーデンシアターの無機質な内装と相まって、会場はすっかりアンドロイドたちの宇宙基地である「バンカー」と化していた。
開演時刻が近づき、ふたりのオペレーターより着席を促す声や注意事項などの通達が流れたのちに、会場が暗転。『NieR:Automata』の開発陣や声優陣による「Talk Stage」が開始された。ステージのスクリーンに映し出されたのは、『NieR:Automata』のプロデューサー・齊藤陽介氏、ディレクター・ヨコオタロウ氏、コンポーザー・岡部啓一氏(MONACA)、シニアゲームデザイナー・田浦貴久氏(プラチナゲームズ)が、居酒屋に集っている映像。その映像内で開会宣言を行う人選をする流れとなり、事前告知もなく選ばれたのは、ポッド153の声優を務めるあきやまかおるさん! 「感動的なオープニングをお願いします」というヨコオ氏の声にうながされ、戸惑いながらもステージに登場したあきやまさんを、観客たちの温かい拍手が迎えた。「本当になにも聞いていなかった」というあきやまさんは、まだメイクも途中という状態のまま、ヨコオ氏からのメモにある司令のとおりに「人生でもっとも可愛らしい声で」開会宣言を読み上げる。こうして、鮮やかな彩りのライティングとともに「壊レタ五年間ノ声」がスタートした。
開会宣言のあと、齊藤氏、ヨコオ氏、岡部氏、田浦氏の4人が登壇。ヨコオ氏はいつものようにエミールヘッドを装着した状態で、視界不良のため岡部氏に手を引かれての移動となり、客席からは笑いの声が。4人によれば、本イベントの前半は楽しく、後半は感動多めでいきたいとのことで、ここでの仕事は「会場を温めること」としつつ、その流れで齊藤氏からのお知らせが公開。内容は、『NieR』シリーズの全世界累計出荷&ダウンロード販売本数に関するもので、なんと『NieR Replicant ver.1.22474487139...』が150万本を突破、『オートマタ』が700万本を突破したとのこと! 齊藤氏は、本イベントが開催できたのも、『NieR』シリーズのソフトを購入してくれたファンに支えられているからこそと語り、続けて「世界のOKABE」の異名を持つ岡部氏の功績を称えた。岡部氏は、前回のコンサートが無観客だったことがとても残念だったようで、ファンと顔を合わせて行える本イベントで念願が叶ったと、嬉しそうに語っていた。
本イベントでは、グッズとしてエミールの顔をあしらった「エミールペンライト」が初登場。これが付属するチケットが事前に販売されたほか、当日の物販でも購入できたため、会場で所持している観客も多かった。エミールペンライトはライト色の切り替えが可能で、さらに無線制御も行えるため、この後の「Concert Stage」などでイベント側からの点灯操作が予定されていた。ヨコオ氏はそのテストをしたいと、開発チームきってのイケメンとしてたびたび話題になる田浦氏を名指しに「田浦さんの今日の服装がホストっぽくてセクシーすぎると思う人は赤、爽やかだと思う人は白で点灯させてください」とアンケートを敢行。結果は……なんと全員が赤いライトを点灯! 白がひとりもいなかったという事実に、田浦氏はもちろん、質問をしたヨコオ氏も驚いていた。開発陣は、さらに場を盛り上げるために「北海道でイクラ弾幕を食べるぞツアー2022」を事前に開催し、その写真などもたくさん用意していたようだったが、時間の都合でこちらの紹介は手短に終了となった。
続いて、ゲストとして『NieR Replicant ver.1.22474487139...』のディレクターを務めた伊藤佐樹氏(トイロジック)が登壇。伊藤氏に対してヨコオ氏がまとめたという質問リストが公開されたが、「ゲーム業界の闇」「スクエニに言いたい文句」「他社IPで何かやるとしたら」など、答えづらそうなものばかり。それでも伊藤氏は、(スクエニではなく)ヨコオ氏への苦言や、大好きなゲーム『デュープリズム』をリメイクする夢があることなどを、笑いも交えながら語った。
この後は、齊藤氏によるプレゼントコーナーがスタート。会場にいる方々を対象としたもので、賞品はミニ額縁に入った2枚のイベントオリジナル絵画。片方には声優陣全員のサインが入っており、もう片方には開発陣4人のサインが入っているというレア度満点のアイテムだ。抽選を担当するのは、岡部さんと伊藤さん。ふたりが番号を読み上げると客席から反応があり、当選者が決定した。開発陣によると、自分たちのサインは「ハズレ」ということだったが……どちらの賞品でも、当選者にとっては最高の記念品になったことだろう。
また、イベント開催記念として、視聴者全員にチャンスがあるプレゼント企画もあわせて紹介された。これは、Twitterで「NieR公式PRアカウント」をフォローし、プレゼント用のツイートをリツイートすることで、アクリルブロックを始めとしたグッズが当たるというもの。齊藤氏からも「ぜひ参加して欲しい」とコメントがあり、プレゼントコーナーは締めくくられた。
ここまでの「Talk Stage」はニコニコ動画とYouTubeでも視聴できたが、開発スタッフパートの配信は一旦終了。会場では限定スペシャルビデオとして、お笑いタレント兼YouTuberの狩野英孝氏が登場し、客席からはどよめきが。狩野氏から5周年のお祝いと、『NieR』シリーズについての熱い思いが伝えられ、「Talk Stage」の前半が終了となった。
「Talk Stage」の後半は、『NieR:Automata』と、『NieR Replicant ver.1.22474487139...』で声優を務めた方々が主役。1日目は、石川由依さん(2B役)、諏訪彩花さん(A2役)、安元洋貴さん(ポッド042、白の書役)、あきやまかおるさん(ポッド153役)、門脇舞以さん(エミール役)、遊佐浩二さん(青年ニーア役)、野中藍さん(ヨナ役)、の7人が登場した。ここではヨコオ作品の大ファンとしても知られる安元氏が進行役となり、まずは声優さんの自己紹介からスタート。今回のイベントと会場の規模について尋ねられると、『NieR:Automata』の声優陣が初めて声をあてたときは、5年後にまさかこんな大規模なイベントができるとは誰も思っていなかったようで、「大きくなったなぁ」と感慨深げだった。また『NieR Replicant ver.1.22474487139...』の声優である遊佐さんと野中さんは、「(『NieR:Automata』には出演していないので)このイベントに出てもいいのかな?」と遠慮があるとしつつも、5周年を迎えた『NieR:Automata』と、『NieR』シリーズ全体を応援するつもりでかけつけた、と楽しそうに話した。
声優陣に話を聞いた後は、『NieR』シナリオチームがこの日のために台本を用意したという朗読劇がスタート。この劇では、ニーアは青年役、ヨナはお姫様、白の書は真実を語る「鏡」、エミールは狩人の役ということになった。意外すぎる設定に、観る者たちも興味津々。「世界一美しいのはヨナ」と鏡に言わせたい青年ニーアが、「不死鳥の槍(最強武器ともいわれる武器)を持っているから慎重に発言しろ」と脅すシーンでは、会場内がどっと沸いた。また、2Bは赤ずきん、A2は狼役となり、それぞれポッドを伴って登場。王子側と赤ずきん側は世界一の美を巡って戦うことになるが、戦闘中にポッド042と白の書の名が同時に呼ばれ、両方の声優を務める安元氏が「えっ?」と戸惑うシーンもあり、大きな笑いが広がった。その後も『NieR:Automata』と『NieR Replicant ver.1.22474487139...』、両方の声優がいるからこそできる展開で、ファンも大いに満足したようだった。
本日のイベントでは、花江夏樹さん(9S役)はビデオメッセージのみでの登場。アニメのアフレコ帰りだという花江さんは、初めて『NieR:Automata』のシナリオを呼んだときの感想や、9Sの「叫び」について思うこと、といった質問に答え、さらに「9Sがラーメン屋さんだったら」という台本を無理やり読まされる姿までも見せてくれた。また、悠木碧さん(パスカル役)は、音声メッセージのみでの参戦に。多忙な中、『NieR:Automata』が5周年を迎えたことに対し、お祝いの言葉を寄せていた。
締めとなる言葉を声優陣全員が語って、「Talk Stage」はこのまま終わるのかと思いきや、さらにもうひとつ、カットシーンをつないだ短編朗読劇が公開! タイトルは「私のチケット」で、東京ガーデンシアターで開催されるコンサートに、青年ニーアや2Bたちが来場するとしたら? というコミカルなストーリー。
『NieR:Automata』や『NieR Replicant ver.1.22474487139...』のシリアスなシーンに、まったく無関係なアテレコを入れたものだが、こちらも大ウケ。なごやかな雰囲気のまま「Talk Stage」は終了となり、15分の休憩に入った。
休憩中は、ふたたびオペレーター6Oとオペレーター21Oによる通信が流れ、バンカーに滞在しているかのような雰囲気に戻った。しかし休憩開始より15分を過ぎたあたりから、不穏な通信が混ざり始める。「ノイズ入りのデータ」「定期連絡の遅延」……観客たちも異変を感じ始めたころ、オペレーターたちの会話によりウィルス侵入による汚染が起こったことを知らされる。スクリーンには赤い文字で大きく「ERROR」と表示され、会場内もライトで真っ赤に。みんなが手にしていたエミールペンライトも、すべてが赤く光っていた。どこからか笑い声が聞こえ、その声がどんどん大きくなっていったかと思うと、音声が突然途絶える。ここで、『NieR:Automata』の楽曲である「崩壊ノ虚妄」が流れ、「Concert Stage」の始まりとなった。
「Concert Stage」の楽器編成は、ギター(後藤貴徳さん)、ベース(鈴木智さん)、ピアノ(伊賀拓郎さん)、パーカッション(野崎めぐみさん)、ストリングス(室屋光一郎さん、徳永友美さん、島岡智子さん、堀沢真己さん)。1曲めの「崩壊ノ虚妄」では、バイオリンの透き通るような旋律が響く中、スクリーンに『NieR:Automata』のバンカー崩壊シーンが映し出された。11945年に起こった、バンカーへの論理汚染攻撃やヨルハ部隊への汚染拡散、居住区内の火災、融合炉付近での爆発、2Bと9Sが脱出した後のバンカー陥落までの時系列も、テロップで表示される。会場に流れていた曲は穏やかに2曲目の「美シキ歌」へと繋がり、ふたりのヴォーカル、エミ・エヴァンスさんとジュニーク・ニコールさんもステージのセンターへ登場して、会場全体に響き渡る歌声を披露した。どうやらこの「Concert Stage」は、『NieR:Automata』で人類会議の嘘が暴かれ、バンカーが陥落した後――いわゆる「Cルート」の物語をベースとして、ゲーム本編では公開されなかった2Bたちの記録を体験していくものになるようだ。会場全体がバンカーと化していたのも、そのためだったのかもしれない。
曲が終わると場内は暗転し、スクリーンには2BがA2に刃で貫かれる場面が流れる。続けてテロップで「第一節『記憶のない都市』」と表示されると、声優陣がステージに上り、スポットライトの光を受けながら朗読劇が始まった。『NieR:Automata』の時系列で言うなら、この物語はCルートでウィルスに汚染された2Bが、A2に自分を殺すよう依頼し、2Bの命が尽きた直後のこと。2Bとポッド153は、色を失った見知らぬ都市に迷い込んだらしい。体に刃を突き立てられ、死んだはずの自分が行きていることを訝しみながらも、離れ離れになった9Sを探す2B。そして、都市の別の場所では、A2とエミールが出会って脱出口を探すことになったようだ。
A2とエミールの会話に寄り添うように、ギターが3曲目の「穏ヤカナ眠リ」を奏で始める。そこへピアノ、バイオリンが順に加わっていき、さらにエミさんの歌声が合わさると、心安らぐ穏やかな空間が会場に広がった。途中で曲調が変わり、スクリーンに2000年代に起きた奇病やゲシュタルト計画など、『NieR Replicant』から『NieR:Automata』に至るまでの出来事が年月を追って描き出される。ステージにはジュニークさんが登場し、4曲目の「遺サレタ場所」を圧倒的な声量で歌い上げた。
曲が終わると、声優陣による朗読劇「第二節『記憶にない邂逅』」が始まった。似たような景色が続く都市をさまようA2とエミールは、真っ白な服を着た少女、ヨナと出会う。これは『NieR:Automata』のCルートの延長線にありながら、『NieR Replicant』のキャラクターと邂逅するというかつてない展開。驚いたという人もきっと多かったはずだ。一方、2Bとポッド153は、ヨナの兄である青年と遭遇し、ともにヨナを探すことに。朗読劇が終わると、暗転ののち5曲目の「森ノ王国」が披露された。ハープとヴィブラフォンが奏でる幻想的なメロディにのせてヴォーカルのKOCHOさんが歌い始めると、会場内の空気が一変。エミールペンライトを含めたライティングも緑一色に染まり、まるで深い森にいるかのような雰囲気を感じさせた。歌が終わるとストリングスの音色が高らかに鳴り響き、6曲目の「取リ憑イタ業病」が流れる。ヴォーカルはジュニークさんに代わり、力強さの中にも荘厳さを感じさせる歌声が会場を満たした。
続けて、朗読劇「第三節『過去と現在 そして 未来』」がスタート。街に潜んでいた敵からの攻撃を受け、応戦していた2Bと青年は、戦いの合間の会話がきっかけでそれぞれが生きていた年代に1万年に近いズレがあることを知る。一方A2たちはポッド042を発見し、その中の情報から、都市全体を統括する制御装置が中央部にあることをつきとめるのだった。暗転直後に流れてきたのは、7曲目の「カイネ」。ヴォーカルはエミさんで、落ち着いた雰囲気の冒頭から、少しずつ力強さが加わっていく名曲を抒情的に歌い上げる。歌のパートが終わると、流れる曲はそのままにヨナと青年、エミールの朗読劇が始まり、3人の出会いやささやかな暮らし、忘れることのできない大事な想い出が語られた。8曲目の「エミール/業苦」が始まり、ピアノだけのメロディとKOCHOさんのヴォーカル、そこに「さみしい」「くるしい」「かなしい」のテロップで埋め尽くされた画面が重なる。曲も少しずつ楽器が加わって重厚なメロディになり、そのまま「エミール/絶望」に移行。胸を締め付けるような音楽と言葉、舞台効果があわさっていく。過去に『NieR Replicant』をプレイしたことがあり、青年、ヨナ、エミールの経緯を知っているファンの多くは、ここで涙を誘われたようだった。
曲が終わると、次の朗読劇「第四節『謀略と希望』」が開始。大量の機械生命体に追い詰められ、苦戦を強いられるA2とエミールを、2Bが救うシーンからスタートだ。青年とヨナもついに再会して抱擁を交わす。しかし突然ポッド153が異常な挙動をとり、ポッド153とナレーションの声優を務めていたあきやまさんの声が、感情のあるキャラクターの声に変わった。その正体は、機械生命体による新たなネットワーク様態の中で生まれた、概念的存在だという。A2がポッド153を破壊すると、その声は消えてしまう。すべてを知りたければ「祈りの場所へ来るがいい」という言葉を残して。青年によれば、「祈りの場」とは、おそらく教会のこと。そこには9Sの自我データもあるはずだという。しかし、教会は敵の数が多い危険な場所だった。このタイミングで、9曲目「双極ノ悪夢」が流れる。これは『NieR:Automata』のボス戦時の曲であり、教会へ向かおうとする2Bたちの激しい戦いを自然に連想させた。パーカッションが際立つ躍動感ある曲調と、ジュニークさんの力強い歌声で、会場が一気に戦いの場と化す。そして、まったく印象の違う10曲目「追悼」へと繋がっていった。テロップでは、教会にたどり着いた2Bたちが都市の記憶を読み取り、いまいる場所は1万年前に存在した都市の複製品であること、そして青年とヨナの兄妹もまた、模造品に過ぎないと明かされる。古めかしいパイプオルガンのような音色が響き渡る中、美しい旋律とともに、悲しい真実が突きつけられるのだった。
続いて朗読劇「第五節『造られたモノの 覚悟』」が始まり、自分たちが模造品であることを知って、衝撃を受ける青年とヨナのシーンとなった。真の姿を暴かれてしまった都市は崩壊が始まり、脱出にはデータのみを転送するしかないと判明する。ただ、本体の存在しない青年とヨナ、そして2Bのデータ転送はできない。最後の選択を迫られる2Bは、「9Sだけは、助ける」と決意するのだった……。朗読劇のセリフと重なるようにして、11曲目「終ワリノ音」が流れる。落ち着いた曲調から激しい曲調に移り変わるパートでは、崩れ去っていく巨大都市をイメージさせた。続いて、12曲目の「イニシエノウタ/贖罪」では、エミさんとジュニークさんのふたりが息の合ったデュエットを披露。スクリーンには、軌跡を描いて動く光の束など、データの転送を思わせるような映像が流れた。そしてラストを飾ったのは、エンディング曲として名高い「Weight of the World」。やはりこの曲でなくては、と感じたファンも多かったことだろう。ジュニークさんが哀切に満ちたメロディを歌い上げ、大きな拍手とともに「Consert Stage」が終了した。
興奮も冷めやらぬ中、カーテンコールを迎えたステージに岡部氏が登場。『NieR:Automata』の5周年を、素敵な観客と素敵な舞台で迎えられたことに喜びを隠せない様子で、丁寧に御礼の言葉を述べていた。盛大な拍手を受けた後は、演奏者の紹介が行われ、さらに素晴らしい歌声を披露してくれた3人のヴォーカリストと、朗読を聞かせてくれた声優が改めてステージに登場した。全員が一言ずつ御礼の言葉を告げた後、最後のお楽しみとして、ふたたび楽曲が披露される。KOCHOさんが歌う『NieR Re[in]carnation』の楽曲「祈リ」に始まり、「複製サレタ街」、エミさんが歌う「遊園施設」、「顕現シタ異物」、ジュニークさんが歌う「依存スル弱者」、「還ラナイ声」がメドレーで流れる。そして本当の最後の1曲となったのも、やはり「Weight of the World」だったが、こちらはエミさん、ジュニークさん、KOCHOさんが3人で歌う豪華版。最後は鳴り止まない拍手に会場が包まれ、1日目が終幕した。
なお、2日目の公演は、朗読劇の視点が2Bから9Sに変わり、ヨナに変わって『NieR Re[in]carnation』のママ(CV:原由実さん)が登場するなど、がらりと違った内容となる。「Talk Stage」は全公演、「Consert Stage」は2日目夜公演のみ(有料)でアーカイブを視聴することもできるので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。
イベント概要
セットリスト
1.「崩壊ノ虚妄」
2.「美シキ歌」ヴォーカル:エミ・エヴァンス/ジュニーク・ニコール
3.「穏ヤカナ眠リ」ヴォーカル:エミ・エヴァンス
4.「遺サレタ場所」ヴォーカル:ジュニーク・ニコール
5.「森ノ王国」ヴォーカル:KOCHO
6.「取リ憑イタ業病」ヴォーカル:ジュニーク・ニコール
7.「カイネ」ヴォーカル:エミ・エヴァンス
8.「エミール/業苦(絶望)」ヴォーカル:KOCHO
9.「双極ノ悪夢」ヴォーカル:ジュニーク・ニコール
10.「追悼」
11.「終ワリノ音」
12.「イニシエノウタ/贖罪」ヴォーカル:エミ・エヴァンス /ジュニーク・ニコール
13.「Weight of the World」ヴォーカル:ジュニーク・ニコール
Enc1.「祈リ」・・・ヴォーカル:KOCHO
Enc2.「複製サレタ街」
Enc3「遊園施設」・・・ヴォーカル:エミ・エヴァンス
Enc4.「顕現シタ異物」
Enc5.「依存スル弱者」…ヴォーカル:ジュニーク・ニコール
Enc6.「還ラナイ声」
Enc7.「Weight of the World/EN」
ヴォーカル:エミ・エヴァンス/ジュニーク・ニコール/KOCHO
出演者
石川由依(2B役)
諏訪彩花(A2役)
安元洋貴(ポッド042)
あきやまかおる(ポッド153役)
門脇舞以(エミール役)
遊佐浩二(青年役)
野中藍(ヨナ役)
演奏者
後藤貴徳(ギター)
鈴木智(ベース)
伊賀拓郎(ピアノ)
野崎めぐみ(パーカッション)
室屋光一郎ストリングス(弦)
室屋光一郎
徳永友美
島岡智子
堀沢真己
文・下田奈美子(東京テキスト)
Photo by MASANORI FUJIKAWA