冬アニメ『REVENGER』放送直前! 繰馬雷蔵役・笠間淳さん×碓水幽烟役・梅原裕一郎さんインタビュー|私たちが知っているようで知らない江戸時代の長崎。第1話から虚淵玄節が炸裂している!?
“示現流”、“金箔”を使うアクションシーン
——ダークヒーローアクション劇ということで、アクションシーンも映像の迫力が凄まじいのですが、特に雷蔵のアクションにおける“声”に度肝を抜かれました……。
笠間:示現流(じげんりゅう)の使い手ならではの声ですよね。示現流というのは猿叫(えんきょう)という「キエエエェェー!」と叫びながら一刀両断で戦いを終わらせる剣法のことです。もしこの作品がヒーロー然としていれば、おそらくこういう声は出ないと思います。
薩摩の示現流の使い手として、それを本当にリアルに描き出しているからこそ、あの叫びを伴ったアクションは決して欠けることのできない要素ですし、いろんな資料を見ても、示現流の使い手の皆さんは本当に同じ叫び方をしているんです。
ちなみに、演出指示としては「人の耳にも聞こえない領域まで声が高くなる」というト書きが書いてあったんですけど、最初は「どういうことなの!?」って思いました(笑)。
梅原:(笑)。
笠間:あの猿叫を使うシーンは割と限られていますが、僕自身の目標としては「もっと高く、もっと息を長く」を意識してやっているので、後半にかけてお楽しみにしていただければと思います。
——今まで聞いたことのない笠間さんの声での猿叫は、皆さんびっくりされると思いますよ。
笠間:本当にリアルな猿叫になっていると思います。普通に飛びかかるような叫びでも良いですが、示現流の使い手しかできない叫びを出しているので、そこもまたニクい演出だなと思いました。
——ニクい演出と言えば、幽烟のアクションシーンは蒔絵師ならではですよね。金箔を使って華麗に標的を始末するところが……。
梅原:随分とお金をかけて始末しています(笑)。
笠間:あはははは。幽烟の技は、キャストの中でもかなり人気があるんですよ。金箔を相手の顔に貼って窒息させるんだ!と(笑)。
梅原:そういうところを含めて、幽烟はオシャレですよね。
笠間:うんうん。暗殺の依頼を引き受ける「利便事屋(リベンジャー)」ですが、死を迎える瞬間や死んでしまえば皆すべて同じ仏・神になるというところは、5人のメンバーの中でも幽烟に1番強く感じます。
梅原:そうですね。
笠間:人相もすべて隠したシルエットのみでのアクションシーンからでも、どこか金箔を貼られた仏様みたいだなと。やり方がスタイリッシュかつ面白いので結構キャストの間でも話題になりました。
——ちょっと実践してみたくなるようなアクションですよね。
笠間:他にも話題になったのは、徹破(CV:武内駿輔)かな。徹破は男心をくすぐるキャラクターですね。あとは、雷蔵が履いているスパイクシューズも欲しいよね~と話しています(笑)。
梅原:あのシューズ良いですよね(笑)。
——加速するスパイクシューズですね!
笠間:アクションシーンでの武器や小物にも、僕たちが知っている江戸ではないように感じるので、もしかしたら黒船も来航していない独自の日本文化が形成されていった2022年かもしれないと思うこともあります。それほど時代設定も道具もカッコいいです。
——独特な世界観が生み出されているわけですが、収録時に何かディレクションはあったのでしょうか?
梅原:第1話に関しては、結局幽烟の手のひらの上で雷蔵が転がされていることもあり、2人の会話のシーンではほだすようにというか、彼の心の隙間につけこむように演じてくださいとディレクションをいただきました。
——幽烟はどこか掴めないミステリアスな雰囲気がありますね。
梅原:そうですね。雷蔵が泥臭い武士だとしたら、どちらかと言うと幽烟は公家のような雰囲気を漂わせているので“上品に”というディレクションもありました。
とは言え、ずっと一辺倒に上品なわけでもなく、実は幽烟の中に許せないことがちゃんとある。第1話ではまだ感じられないかもしれませんが、幽烟は本心がどこにあるのか掴めない部分がありつつも、意外と意思が強いところや頑固な部分、彼の中にある哲学が少しずつ感じ取れるようになると思います。
——それぞれのキャラクターが抱えているものにも注目したいところです。お二人が気になるキャラクターはいらっしゃいますか?
笠間:僕は惣二(CV:葉山翔太)と幽烟です。雷蔵からすると、二人とも別の意味で気になりますね。
惣二の場合は自分が思いもよらなかった人間性の形をしていて、それがある意味、雷蔵にとっては救いになる部分もあります。雷蔵はそれを表に出すことはありませんが、最終的には惣二は雷蔵を救う役回りになるんじゃないかなと思うんです。
逆に幽烟は、根っこの部分は一緒なんだなと思うところがたくさんあって……結構幽烟も熱血だよね!?と。
梅原:確かに、熱血な部分はあると思います。
笠間:そうそう。彼のように、いろんな仮面を駆使して世の中を生きていくことは、人間にとってとても大事なこと。雷蔵は表に出さないし言葉にしないですけど、もしかしたら彼に憧れていて、幽烟のようになりたいんじゃないかなと思うんです。そういう意味でも、雷蔵のマインドとして1番色濃く映るのは、惣二と幽烟のような気がします。
——幽烟と惣二、それぞれとのやり取りで違う雰囲気になったり、雷蔵のイメージが変わったりするのも面白いですよね。
笠間:たぶん、惣二は1番視聴者目線に近いと思います。普通に考えてこうすればいいのにと赤子でもわかるようなことを平然と言ってのけますし、行動力もある。だからこそ、拝金主義の博打打ちという人間らしさが出ているわけですが(笑)。それが雷蔵はできないんですよね。もしかしたら幽烟にとっても同じことが言えるかもしれません。
惣二のように、単純に世界を映すことができれば、きっともっとうまく生きていけるのになって。視聴者にとっても惣二は、親近感が湧きやすい立ち位置なんじゃないかなと思います。
——梅原さんはいかがでしょうか?
梅原:僕は鳰(CV:金元寿子)が気になります。
笠間:出ました!(笑)。
一同:(笑)。
——“倫理観ゼロの両性具有の美少年”ですね。
梅原:鳰は、虚淵先生らしさが詰まっているキャラクターだと感じます。出自や性質そのものにファンタジー要素が含まれていて、無邪気さの中に邪気があったり、その絶妙なバランスが面白いキャラクターです。
きっと鳰みたいな人間は実在していないと思いますが、どこかリアリティーがあるというか、いそうだなと感じる部分もあって。また、金元さんのお芝居にも良い塩梅の無邪気さと怖さがあるんです。
梅原:あと、個人的には雷蔵も気になります。実はテープオーディションのとき、雷蔵を受けたんです。
——そうなのですか!?
笠間:ちなみに僕は幽烟も受けました(笑)。
一同:(笑)。
梅原:雷蔵としてテープオーディションを受けた後、雷蔵ではなく幽烟でスタジオオーディションのお話をいただいたので、そこで初めて幽烟を演じたんです。
そういう経緯で一度雷蔵を演じたこともあり、どんな感じで演じられるのかなぁと気になっていました。実際に、アフレコ現場で笠間さんのお芝居を見たときには「あぁ雷蔵だ」「これだ!」と。
笠間:それはこちらのセリフですよ! それこそ、幽烟の品の良さとオシャレさは僕には出せませんっ!
梅原:あはははは。長崎という日本の中でもちょっと異国を感じられるような土地を舞台にしているからこそ、幽烟のオシャレさが顕著に出ているのかもしれませんね。