音楽
『事情を知らない転校生がグイグイくる。』OPテーマで見せる近藤玲奈の新しい表情

春アニメ『事情を知らない転校生がグイグイくる。』OPテーマ「アルコルとポラリス」は「この1年半のお芝居での経験が生かされたものに」│近藤玲奈さんインタビュー

『事情を知らない転校生がグイグイくる。』は道徳の教科書のよう

──引き続きhisakuniさんの曲を歌えるというのは近藤さんとしても嬉しいことですよね。

近藤:やっぱり嬉しかったです。hisakuniさんが作られる楽曲が大好きなので、仮歌を聴いた瞬間に「ああ、もう好き!」となりました(笑)。

──タイトルには星座のお名前が。タイトルを見たときにはどんな印象を受けましたか?

近藤:星座なので、しっとり系の曲なのかなと思ったんです。でも聴いてみたらアップテンポで爽やかで。西村さんと高田くんの関係性が歌詞からも、そしてこのタイトルからも伝わるものがあるなと思っていました。

──アルコルは西村さん、ポラリスは高田くん、ということですよね。

近藤:そうですね。アルコルはおおぐま座の恒星で4等星。ポラリスはこぐま座で最も明るい恒星で2等星。控えめな光の西村さんと輝く高田くん。そしてその高田くんの光に照らされて、より輝いていく西村さん……そういった関係性も表れていて素敵だなと。

──近藤さんは本作に安達海美役としても出演されますが、原作を読まれたときはどのような印象がありましたか?

近藤:出演させていただくアニメの原作は必ず読むようにしているのですが、これまで出演させてもらった作品は、暗いお話だったり、バトル作品だったりとヘビーなものが多かったので癒やされました(笑)。もちろんそういった作品も好きなのですが、純粋に「かわいい〜!」「小学生、イイ!」と(笑)。

登場人物たちが小学生ということもあって、みんな悪気もなく正直に物事を口にしてしまうところもあるんですけど、悪気がないからこそ、衝突はせずにその空気が保たれている。大人にはないものがあるなと感じていました。特に高田くんは無邪気に無自覚に思ったことを言うけれど、人を傷つけない。それってものすごい才能だなと。全国に高田くんを……!と思いました(笑)。

──本当に! 私は西村さんタイプなので、高田くんのような存在がいてくれたら平和が保たれていたのかなと考えてしまいますね……。

近藤:私もです。だから西村さんにものすごく感情移入してしまいます。そうやって深く考えさせられるところもありつつ、西村さんと高田くん、正反対のふたりによるツッコミとボケのようなやりとりも楽しいですし、キュンとするような恋愛要素もあって。どなたでも楽しめる作品ですが、特に子どもたちにもぜひ見てもらいたい作品だなと思いました。自分が無意識に言ってる言葉が、人を傷つけているかもしれない、って考える機会にもなるのかなと。まるで道徳の教科書のようだなとも思いました。

──『アキバ冥途戦争』のことも「ハードな道徳の教科書」といったことをおっしゃっていましたよね。

近藤:そうだ、私『アキバ冥途戦争』の時も言ってましたね!(笑)

──『事情を知らない転校生がグイグイくる。』はハートフルな道徳の教科書というか。正反対な作品ではありますけど、つながるところがあるのかもしれない。

近藤:そうですね。純粋にまっすぐ頑張る、真っ直ぐな姿勢の尊さが周りに与えていく影響の大きさ。全然違う作品ではあるのですが、根本的なところは変わっていないような気がします。

「一見かわいらしい曲ではあるのですが……」

──「アルコルとポラリス」の近藤さんの声色がとてもかわいかったのが印象的で。これまでとは違った雰囲気ですよね。

近藤:そうですね。作品自体がほわほわしている、温かな作品なので声色も寄せてみようかなと思い、ささやきウィスパーボイスを入れています。また新たな歌い方になったかもしれません。

──セリフ的なところもあって。爽やかな曲なので気負わず聴けるんですけど、しみじみ考察できるところもあり、『事情を知らない転校生がグイグイくる。』の作品そのものを表した曲だなと思いました。

近藤:そうですね。一見かわいらしい曲なのですが、よくよく歌詞を読むと西村さんの気持ちに寄り添ったものになっていて。どれだけ高田くんが西村さんに光を与えているのか……高田くんに言ってあげたい!(笑)「キミの無自覚な発言で、西村さんはこんなに喜んでるんだ!」と。

──そうした西村さんの思い、近藤さんの感じた思いが<「ありがとう」って言葉に想いをのせた><世界がこんなにもまぶしいって教えてくれた>というところに特に乗っているようにも感じました。

近藤:ありがとうございます。1番は高田くんと出会って日々が過ぎて……「このひとといると楽しい」という気持ちが中心なんですけど、2番のサビのあたりから相手のことが好きだからこその寂しさのようなものも入ってくるので、そこもリアルだなと思っていました。

──実はこの音程、ものすごく難しくないですか?

近藤:確かに音程もリズムも独特で。するっと歌ってしまうと平坦になってしまうんです。そうならないように、感情を込めながら、セリフを言うようなイメージで歌っていきました。

──ところで本作のかわいい声色は、近藤さんが決めていったものだったんですか? それともディレクションをいただいて作っていったのでしょうか。

近藤:私が決めていました。『11次元のLena』のお話し会の時にファンの方から「かわいい系の曲も聴いてみたい」っていう声をいただいていたんです。また、曲にも合うなと思っていたので、今回はそういうふうにしてみようと。

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