音楽
羽多野 渉×西山宏太朗 対談インタビュー|コンセプトミニアルバム「Dawn」発売記念

羽多野 渉さん コンセプトミニアルバム「Dawn」発売記念インタビュー|「朗読×音楽」で3つの物語を作り上げる! 収録曲「星と旅人」に参加した西山宏太朗さんとの対談をお届け

2023年11月15日(水)に発売となる、羽多野 渉さんがセルフプロデュースする初のコンセプトミニアルバム「Dawn(ドーン)」。

本作はタイトルの「黎明・夜明け」をテーマに、朗読と楽曲で1つの物語を作るというコンセプトとなっており、全3組6トラックを収録。その中の1つ、朗読の「ミチシルベ~星と旅人~」と楽曲「星と旅人」に、事務所の後輩の西山宏太朗さんが参加しています。

羽多野さんの3rdシングルのMV撮影で初めて出会ったというお二人。運命的に実現した今回のコラボを記念し、お二人の対談が実現! 出会いからお互いが抱いている想い、今回のコラボの感想などを語っていただきました。

出会いは羽多野さんのMV撮影。初めてのランチでは西山さんが羽多野さんを質問攻め!?

――まずはお二人が初めて出会った時のエピソードや印象などをお聞かせください。

西山宏太朗さん(以下、西山):初めてお会いしたのは、羽多野さんのMV撮影に参加させていただいた時になります。

羽多野 渉さん(以下、羽多野):僕の3rdシングル「君はぼくが帰る場所」のMVに出演してもらいました。1st(「はじまりの日に」)と2nd(「流星飛行」)のMVでは、僕以外の出演者の方は監督さんが連れてきてくださったんですが、事務所のマネージャーと「同じ事務所の人にも出てもらえるものでしょうか?」というお話をしていて。それが実現した第一弾が宏太朗や、彼と同世代の斉藤壮馬と……。

西山:田中あいみちゃんとか。

羽多野:そうそう! その撮影日に、宏太朗が自分の私服のスーツを着てきてくれて。みんなには雑踏の通行人役をお願いしていたので、機転を利かせてくれて助かりました。

西山:そうであったのなら良かったです。その後、僕ら後輩たちの間では「羽多野さんのMVに出演すると売れる」というジンクス、パワースポット的な存在になりつつあって。

羽多野:何でそんな都市伝説が生まれたかというと、宏太朗をはじめ、出演してくれたみんなが爆裂売れたからです。

西山:いやいや!

羽多野:それからは所属して間もない人たちや養成所などで、「羽多野さんのMVに出たら売れるらしいぞ」というウワサが広まって。いわば宏太朗が生きる都市伝説になってくれたわけです。

西山:それはちょっと言い過ぎでは……(笑)。でも今、僕らがいろいろお仕事させていただいているのは、羽多野さんに面倒をみてもらったおかげです。

羽多野:そんなことないよ。

そして、「その時、助けてもらった人たちに今、声をかけて一緒にやれたらおもしろいかも」と思い浮かんで、まず斉藤壮馬に、昨年11月にリリースした『TORUS』というアルバムで作詞してもらって(「No Man Is an Island」)。そして今回は宏太朗に、「忙しいと思うけど、どうかな?」とLINEしたら快諾してくれました。最初の出発点から考えるとエモいですね。

西山:エモいです。僕もお話をいただいて嬉しかったですから。

――初対面となったMV撮影の時は、何かお話しをされたんですか?

西山:撮影現場では羽多野さんが分刻みのスケジュールで動かれていたので……。

羽多野:同じシーンを何度も撮影したりしていたから。

西山:お互いに集中している状態だったので、その時はゆっくりお話しする機会はありませんでした。その後、現場で何度かご一緒するようになってからランチをご一緒させていただいて。代官山で。

羽多野:行った! 

西山:ランチをごちそうになって、その時の悩みを相談させていただいて。

羽多野:その時に音楽の話もしたんだよね。

西山:「アーティスト活動をどうやって始められたんですか?」とか、歌や仕事への向き合い方とか。あと羽多野さんの現場での立ち振る舞いを拝見することで、背中で語ってくれるタイプだなと感じました。

「ああしたほうがいいよ」と言葉にしてアドバイスをくれる方もいますが、羽多野さんは現場の空気感を大切にして、お芝居をされていて。その姿を見ることで学ばせていただきました。それに加えて、こちらからの質問を何でも聞いて、教えてくださって。いっぱい聞きたいことがありすぎて、そのランチの時は僕がインタビュアーみたいになっていました(笑)。

羽多野:あの時はすごく楽しかった記憶があります。宏太朗が「藤井 隆さん(お笑い芸人、アーティストとして活躍中)も藤井さんの音楽が好きなんです」と話してくれて、お互いに好きな音楽の話で盛り上がって。まだ宏太朗がアーティスト活動を始める前で、いざ宏太朗がアーティスト活動を始めると報告を受けた時は感慨深かったし。2020年に『おれサマー』(『ORE!!SUMMER 2020』)で一緒になった時も舞台裏で話していたら、ランチでおしゃべりしたことを思い出したり、宏太朗の音楽のルーツを感じたりして。懐かしいね。

「面声優」の羽多野さんと「点声優」の西山さんがコラボすることで生まれるメリット

――声優アーティストという面でのお互いの印象をお聞かせください。

西山:今回のレコーディングでも感じましたが、「羽多野さんの声の圧ってすごく包容力があるな」って。僕の声が三角形の頂点の部分だとしたら、羽多野さんは逆で、面であててくるというか。声の出し方という意味では、僕はどちらかというとトガッた表現の仕方だと思っていますが、羽多野さんは面で包み込んでくれるような、深さをすごく感じます。

羽多野:そう言ってもらえて嬉しい。

西山:TD(トラックダウン=ボーカルや演奏などを1つにまとめ、音質などを調整して最終的な完成音源に仕上げる作業)前の音源からでも深みみたいなものを感じました。

あとは、僕の印象では今回の楽曲は今まで歌われていた楽曲の声のイメージと違って、ウィスパーボイスっぽいなと。「ウィスパーボイス」×「羽多野 渉」はこんなにおいしいんだって。

(全員爆笑)

西山:なので、もっともっと聴きたいなと思いました。

羽多野:ありがとう。確かに声質の違いは、コラボをする上で重要なことで。TDにも立ち合わせていただいていますが、声質が違うほうがユニゾンした時、どちらの良いところも聴こえてくるんです。同じメロディ、同じリズムで歌っても、しっかりと個性が残るのでその点でも良かったです。宏太朗のように、点でスパンとマイクの芯を突ける声質の持ち主は、面で声を出している僕ら、「面声優」からすると……。

西山:「面声優」、初めて聞きました(笑)。

羽多野:幼い頃からの憧れなんですよね。大まかに分類すると、低音から中音を武器にしている人たちは面で押すのが得意な人が多くて。今のテレビは違うけど、昔のテレビの出力は今ほど精密じゃなかったから、自分の一番おいしい音が圧縮されてしまって出力されなかったんです。なのでテレビで聴いた時、声が細く聴こえてしまうという悩みがあって。

先日公開された、僕と宏太朗が共演している『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』は、音の編集を劇場仕様にしてくれていたので、みんなの声の良いところがめちゃめちゃ劇場で出ていて。なので歌の中でもユニゾンすると消えてしまっていた個性が劇場ではしっかり出ていて、声の低い人も高い人も良いところが出ていたみたいで、ファンの皆さんがすごく喜んでくださっていたのが印象的で。

西山:すごいお話ですね。

羽多野:それくらい、宏太朗みたいな声質に憧れがあったんです。なので今回、一緒にやれて楽しかったし、今まで自分がやってきた音楽の中に足りなかったピースを、宏太朗が埋めてくれました。

西山:そんな風に思っていただいて、こちらこそ嬉しいです。

 

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