「八神は動物に喩えると“うさぎ”だなぁって思います」───『相愛系小説家とのロマンスについて』発売記念サイン会レポート&楢島さち先生インタビュー|八神&あさひのカップリング誕生の裏話とは?
2024年3月10日(日)にアニメイト池袋本店9F(animate hall WHITE)にて開催された、楢島さち先生著『相愛系小説家とのロマンスについて』発売記念サイン会。
『翻弄系小説家とのロマンスについて』の続編でもある本作は、八神爽(ギャップだらけの人気小説家)×柊あさひ(元子役リーマン)が織りなす人気ボーイズラブコミックです。
そして今回、イベントのレポートと共にサイン会終了後の楢島さち先生にインタビューを実施! メインキャラクター・柊あさひ&八神爽の誕生秘話や裏話など盛りだくさんな内容となっています。
本稿では『相愛系小説家とのロマンスについて』発売記念サイン会のフォトレポート&楢島さち先生のインタビューをお届けします!
▲柊あさひ(左)と八神爽(右)
※本稿には『相愛系小説家とのロマンスについて』のネタバレが含まれております。完全初見で楽しみたい方は本作をご覧になったあとに本記事をご覧ください。
『相愛系小説家とのロマンスについて』発売記念サイン会フォトレポート
アニメイト池袋本店9Fに到着すると、『相愛系小説家とのロマンスについて』サイン会の最中!
8階〜9階まで本作の表紙にもなっているイラストのポスターがずらりと並んでいました。サイン会までの道のりってすごくドキドキしますよね。
また会場内では、お花の贈り物も。本作のイメージカラーでもある「オレンジ」を用いたお花が多かったように思います。
楢島さち先生インタビュー:八神&あさひのカップリング誕生裏話!
――『相愛系小説家とのロマンスについて』(略称:そしょロマ)発売記念サイン会の感想をお聞かせください。
楢島さち先生(以下、楢島):すごくたくさんの方に来ていただいて、生のご感想などを聞くことができ、ありがたく思いましたし嬉しかったです。
――本作は『翻弄系小説家とのロマンスについて』の続編ですが、八神爽(ギャップだらけの人気小説家)×柊あさひ(元子役リーマン)のカップリングはどのように誕生したのでしょうか?
楢島:元々、ディアプラスさんの特集(イラスト企画)をやらせて頂いた時に、全然違うテーマでこの2人の元になるキャラクターを描いていました。
そして少しして、ディアプラスさんで連載することになった際に「このキャラデザ、いいですよね」と。このキャラから何かネタを作ってみませんか? という流れになったんです。
八神が結構、怖めのイカつい感じなので。イカつい感じの攻めだけど、見た目と中身が全然違ったら面白いんじゃないかと思って、そこから八神の中身について色々と考えました。
――デザインが先で、キャラクター的な(内面)部分が後だったんですね。
楢島:(八神は)ちょっと元ヤンチャなイメージで当初(イラスト企画の時)は描いていたのですが…。
――“ヤンキー”みたいなイメージでしょうか?
楢島:あ、そうです!(笑) “イラストだけのキャラ”という意識で描いていたので、もっと喧嘩が強そうなイメージでした。ですが、このキャラでお話を作るとなった時に「(個人的に)強めのキャラでストーリー全てを描くのは難しいな」と思って、そこでナイーブな一面をキャラ付けして出来たのが八神なんです。
あさひも同じく見た目(デザイン)は出来ていて。八神が書いた本を読んで“救われる”っていう設定を先に作ったから、それぐらい幼いあさひの心を傷つけるものってなんだろうと考えた時に、逆算して元子役という設定になりました。このお話に関してはキャラクターのデザインから全部、逆算して作っています。
――1巻は八神さんのナイーブな部分にスポットが当たっていましたね。
楢島:二面性がある攻めに受けが振り回されているのが可愛いかも? と思ったので、1巻はそういった部分が強めです!
――ライトな質問になってしまうのですが、そんなふたりを動物に喩えると?
楢島:めっちゃ考えて、八神は本当は「オオカミ」とか「ヒョウ」といったカッコいい動物にしたいのですが、皮(がわ)はそうかもしれないけれど中身は「うさぎ」だなぁって思いました(笑)。繊細なキャラなので、これしかしっくりくる動物がいないなぁ。
――「うさぎ」だったんですね?! 意外でした……ここのシーンがすごく「黒猫」みたいで、三白眼でふにゃ〜って感じのお顔されてるなと。
楢島:たしかに、ちょっと猫っぽいところはあると思います。本質はうさぎ、外から見ると猫っぽいかも。気が抜けた時はこんな顔していますよね(笑)。
楢島:逆にあさひは「トイプードル」に落ち着きました。髪の毛がふわふわだし、人懐っこい。あまり人見知りしないというか、人に好かれるキャラなので。
――フレンドリーさでいうと、この2人のキャラは対極にいる気がします。
楢島:人当たりが全然違いますよね(笑)。補い合っています。
――それでは、今作でのお気に入りのシーン・コマを教えてください。
楢島:八神があさひを迎えに行くシーンです。あさひが八神の行動に対してびっくりしているシーンが結構ありますが、それは「あさひが自覚しているよりも、八神はあさひのことが好きです」という構図を描くのが楽しくて。そういうシーンはすごくお気に入りです。
――徐々に八神さんの方が愛が大きくなっていくのを感じました。
楢島:(八神は)心を許して、抑えていたものが出てきたのかなと描きながら考えてました。あとは、八神が自分で考えて行動している部分が個人的には「成長してるなぁ」って。あさひの子役時代の友人・椎名樹生が登場して、(樹生に)ジェラシーを感じているけれど、言いたいけど言えないみたいなところが可愛いんじゃないかな。
――制作の裏話がありましたらお聞かせください。
楢島:今作の1番最後の方に、八神が家をもう1個持っているという設定が出てくるのですが、これは1巻の時に既に構想はあって、だけど使う場所がなくて1巻には入れられなかった設定だったので今回出せて良かったです。
設定としては「雪平(亮二)のお墓の近くにある家」に落ち着きましたが、実は1巻の時は雪平が住んでいた家をそのまま引き継いでいたり、もっと空気の綺麗な田舎の方に別宅があったり、何個か家の選択肢がありました。
八神があさひに別宅を初めて教えたシーンも、八神があさひをテリトリーに入れている感じで使えて良かったなと思います(笑)。
――(八神さん繋がりで)八神さんは小説家ですが、同じクリエイターとして楢島先生ご自身と共通しているなと感じる部分はありますか?
楢島:あまりないなぁ…私は結構、楽しく仕事をしていて。でも、寝る時間が日によってバラバラだったり、生活リズムがぐちゃぐちゃなのは共通しています(笑)。
あとは……ドラマCDが出るのですが、その作中に“曲”が出てくるんですけど。
――まさか…?!
一同:(笑)。
楢島:その楽曲について制作の方から「作詞が出来ませんか?」とご提案を頂いた時に、「作詞なんて管轄外だから出来ないよ…!」って思ったのが八神と共通の感情でした(笑)。自分の身に降りかかる出来事だと思っていなかったから、(八神は作詞依頼された時)こんな気持ちだったんだ、と思いましたね。
――とても縁を感じるエピソードですね。ありがとうございます。それでは最後にファンの方へメッセージをお願いいたします!
楢島:いつも応援していただいて本当にありがとうございます。サイン会もたくさんの方から直接、お声を聞くことができて嬉しかったです。八神とあさひのお話は、一旦ここで終わりのつもりでいるのですが、この2冊を長く読んで頂けたら良いなと思います。いつもありがとうございます!
[撮影・文/笹本千尋]
1998年生まれのフリーライター。アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きです。物語だと西洋ファンタジーやバトル系が好き。おすすめされたらオールジャンルなんでも見ます。
『相愛系小説家とのロマンスについて』 発売中!
著者:楢島さち
発売日:2024年3月1日(金)
価格:847円
※「楢」は「ソ」+「酉」が正しい表記となります。