TVアニメ『ボボボーボ・ボーボボ』シリーズディレクター・芝田浩樹氏インタビュー|20周年を迎えて増していく作品人気は予想外!? 「ボーボボのファンは、刺激的な何かを浴びてしまっているかもしれない」
アニメ・マンガの歴史の中で燦然と輝き、現在も語り継がれる不条理なギャグ作品があった。それが澤井啓夫原作の『ボボボーボ・ボーボボ』(集英社 ジャンプコミックス刊)である!
昨年、TVアニメ放送開始から20周年となり、グッズ展開やコラボ企画などで盛り上がりを見せた『ボーボボ』が、今度は集英社の春を彩るマンガの祭典「春マン!!2024」に登場!
ボーボボやビュティ、首領パッチが「春マン!! 2024」を盛り上げるべく、本企画のCMに出演。アニメイトタイムズでは、前回インタビューさせていただいた、子安武人さんに引き続き、本CMの音響ディレクター、および作品のシリーズディレクター(監督)を務めた芝田浩樹さんにお話を伺いました!
放送当時からジワジワと支持が広がり続け、現在では沢山のファンを持つTVアニメ『ボーボボ』。今回のCMだけに留まらず、アパレルグッズや食品系の商品などがひっきりなしにリリースされる人気ぶりに、芝田さんも思わず困惑!? 放送前の制作現場の試行錯誤や、とにかく楽しかったというアフレコ現場でのエピソード、芝田さんが考える『ボーボボ』が愛される理由など、赤裸々に語っていただきました。
作品の中身も、ブームの生み出し方も、不思議だらけの本作の制作秘話を、どうしても、ハジケリストに読んでほしい……!
『ボーボボ』をアニメーションに落とし込むための試行錯誤
ーー芝田さんは放送当時の『ボーボボ』には、どのように関わっていたのでしょうか?
芝田浩樹さん(以下、芝田):当時は、シリーズディレクターという、他の会社さんで言う監督の仕事をしていました。番組を立ち上げる時に、どういう方向性にするのかプロデューサーと話したり、OP・EDの映像やアイキャッチと呼ばれるCM前のカットを考えたりだとか。あとは、ライターさんと原作を照らし合わせながらシナリオを構成していったり、アフレコダビングや各演出のチェックなどもやっていました。
ーー各セクションの確認を行いながら、同時並行でいろんなことをされていたんですね。ではどのような経緯で『ボーボボ』のシリーズディレクターに?
芝田:最初の企画ができていく過程は詳しく知らないのですが、僕のところに「『ボーボボ』のアニメを作るので、監督をやってほしい」というお話をいただいたので参加しました。そのときに、テレビ朝日の若い女性プロデューサーさんたちの間で、『ボーボボ』のアニメ化に向け盛り上がっている、と聞かされました
ーー最初に原作に触れた際はどのような印象を?
芝田:お話をいただいてから作品を初めて読みましたが、『ボーボボ』は漫画の後半の方こそある程度、決まった流れが見えたのですが、前半はかなり混沌としていて「どういう流れになるんだろう?」と読んでいて不安になりました(笑)。
まずは、この作品をアニメーションに落とし込む際に、どうやって一般受けするものにしようかなと。大変でしたけど、第1話を本作のシリーズ構成を担当してくれた浦沢義雄さんに書いてもらえたことが功を奏しましたね。彼はハチャメチャやってくれる人なので、連載になる前の読み切りとか、澤井先生の短編を読み込んで、いいとこ取りをして書いてくれました。
最初のアイデアとしては、アクションもののようなカッコいい引きを最低限作っておいて、後半のギャグに持っていこうというものです。澤井先生が『ドラゴンボール』などの東映アニメが好きと仰っていたので、東映らしさを全面に出しておいて、落差があるギャグを持ってくるとギャップで面白いかなと思って、作っていきました。
実は、初回冒頭のアクションは『ドラゴンボール』を意識していたり……。そこで引きを作ってみようとしましたが、第2話からは完全に『ボーボボ』ですね(笑)。そういう切り口を考えるのが大変でした。
ーー第1話の冒頭は「前回のあらすじ」からスタートしていましたものね(笑)。
芝田:とにかく、「変なことをやろう!」という雰囲気だったので(笑)。今やると、ヤバいかもしれないですね。『ボーボボ』のような実験的なことをもう一度令和の地上波でやるのは難しいかもしれません。
ーーアニメーションにするのが難しい作品かと思いますが、スタッフの皆さんの試行錯誤の末に出来上がった作品なんですね。
芝田:最初は、試行錯誤してアクションを多めにしたり、ヒーローものや魔法少女ものの変身シーンのように、鼻毛真拳の演出を毎回同じにして分かりやすくしたり。なんとか原作を知らない方にも食いついて貰おうとしたんですが、結局は原作に寄せたほうが面白いんじゃないかという話になっていきました。
だから、アクションに重きを置くことは少なくなっていって。エピソードによっては、アニメーターさんたちがかっこよく描いてくれていることもありますけど、軌道修正を繰り返す中で原作をアレンジしすぎないスタイルになっていったかと思います。
ーー確かに、おなじみのバンクを挟んで最後は鼻毛真拳で倒す、という展開がキャッチーで、次の話にも入りやすかったと記憶しています。
芝田:お決まりの音楽や演出を使って、できるだけとっつきやすいようにしたかったんです。
ーーたしかに、リアルタイムで見ていた世代としては、バンクなどの画や音で鼻毛真拳を思い出すくらい刷り込まれています。
芝田:狙った通りになっていたんだ! 良かった!