逃げたくなるようなことがあるのにその場に留まっていても、いい方向に進むと思えなくて｜TVアニメ『逃げ上手の若君』連載第2回：北条時行役・結川あさきさんインタビュー

『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』を手掛けた人気作家・松井優征先生が描く歴史スペクタクル漫画『逃げ上手の若君』がTVアニメ化。2024年7月よりTOKYO MX・BS11ほか全国30局にて放送中です。本作の主人公は、信頼していた幕臣・足利高氏の謀反によってすべてを失った北条時行。時行は逃げ落ちてたどり着いた諏訪の地で仲間と出会い、訪れる困難を「逃げて」「生きて」乗り越えていきます。

アニメイトタイムズでは、本作の魅力を深掘りする連載インタビューを実施！　第2回目は、北条時行を演じる結川あさきさんにお話を聞きました。サプライズで出演決定を知ったという結川さん。実際のアフレコ現場では“1000本ノック”を受けたものの、学びも多く芝居の面白さを感じたと、目を輝かせながら答えてくれました。

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『逃げ若』は歴史で起きた事柄をしっかり描きつつ、松井先生の発想力でギャグに落とし込んでいる

――本作への出演が決まったときはどのようなお気持ちでしたか？

北条時行役・結川あさきさん（以下、結川）：実はサプライズで本作に出演することを聞いたんですよ！　聞いた瞬間はあまりにもビックリし過ぎて、喜びとか涙とかそういう表現をできないまま、固まってしまいました（笑）。

――なんと！　どういうサプライズだったのですか？

結川：私、当時はまだ事務所の公式サイトに宣材写真が載っていないくらいの新人でして……。それで、「新人声優にインタビュー」という企画で、ついでに宣材写真も撮ってもらえることになったと事務所の方から聞いたんです。

宣材写真を撮るのも、メイクさんにメイクしていただくのも初めてだったことに加えて、現場では10人以上の大人の方たちがいらっしゃったので、すごくドキドキしていました。そんな初めてのことばかりの中で『逃げ若』（『逃げ上手の若君』の略称）出演決定の報せを受けたんです。もう驚きの連続でキャパオーバーしていました（笑）。

――それで、固まってしまったんですね。

結川：はい（笑）。頭が真っ白になるとはこういうことかと思いました。ただ、帰り道にマネージャーさんと話をしているなかで、「私が時行を演じるんだ」と、嬉しさが徐々にこみあげてきて。同時に、「主演という責任はあるんだろうけれど、これから何をするんだろう。どんなことがあるんだろう」という疑問も浮かんできたんです。期待とちょっとした不安が入り混じった状態でした。

――主演のプレッシャーも感じていましたか？

結川：不思議とプレッシャーは感じていなくて。今思えば、当時は声優という仕事の大変さをよく分かっていなかったんだと思います。

――何が起きるかも分からないから、プレッシャーを感じるも何もなかった。

結川：そうなんです。周りから「頑張ってね」と言われても「頑張るけれど、何をどうすればいいだろう」という感じで……。プレッシャーを感じたのは、1話の収録後でした。アフレコでできないこともいっぱいあったなかで「でも、私が主役でやっていくんだ」という気持ちが大きくなっていって。すごくプレッシャーを感じましたが、それでも「やるしかない！」という気持ちで、その後のアフレコも臨みました。

――改めて、原作を読んだときの感想をお聞かせください。

結川：私は『暗殺教室』を登場キャラクターたちと同じくらいの年頃に読んでいたんです。とても面白かったですし、クラスでもすごく流行っていました。そんな『暗殺教室』を描いた松井先生の新作漫画なんだから、そりゃ当たり前に面白くって。ギャグとシリアスなシーンが出てくるのですが、両立しているというよりかは、ベースはギャグなのかなと個人的には思いました。歴史で起きた事柄をしっかりと描きつつ、松井先生の発想力でギャグに落とし込んでいる、みたいな。

――史実を元に描いている作品だけれど、ギャグテイストが強いというか。

結川：そうなんです。「歴史」と聞くと固い作品というイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれませんが、本作はそうじゃなくて。歴史を知らなくても一作品としてすごく楽しめる漫画だなと感じました。

――松井先生の描くギャグっぽいシーン、大好きです。

結川：分かります！