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『映画 ギヴン 海へ』矢野奨吾×センチミリメンタル・温詞が語る「海へ」の楽曲制作の裏側

物語の結末は『ギヴン』という作品らしい――『映画 ギヴン 海へ』佐藤真冬役・矢野奨吾さん×センチミリメンタル(温詞)さんインタビュー|syhが歌う「海へ」の楽曲制作の裏側、「海へ」を聴いた真冬を演じるにあたっての想い

TVアニメ『ギヴン』や『映画 ギヴン』、OAD『ギヴン うらがわの存在』、映画2部作前編『映画 ギヴン 柊mix』を経て、後編『映画 ギヴン 海へ』が2024年9月20日(金)より上映スタート。今作では、『ギヴン』という物語の最終章が描かれています。

本稿では、佐藤真冬役・矢野奨吾さんと『ギヴン』にまつわる数多くの楽曲を制作しているセンチミリメンタル(温詞)さんのインタビューをお届け。「syh」が歌う「海へ」の楽曲制作の裏側や「海へ」を聴いた真冬を演じるにあたっての想いなどを伺いました。

 

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佐藤真冬、上ノ山立夏、中山春樹、梶秋彦のバンド「ギヴン」は、フェス出場をかけたコンテストに落ちるも、メジャーデビューへの誘いがかかる。各メンバーがデビューに前向きな姿勢を見せる中、真冬は答えを出せずにいた。一方、メジャーデビューを決めた鹿島柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」。一時的なサポートギターとして加入していた立夏は、柊から託されたある曲を完成させようとしていた。そんな中、立夏のもとに真冬から「あいたい」と連絡がくる。ただならない雰囲気を感じた立夏は真冬のもとに駆けつけるが、真冬の音楽を拒むような態度に気づいてしまう。立夏への想い、音楽への想い。さまざまな気持ちの前で戸惑い、立ち止まってしまう真冬。そんな彼に声をかけたのは、世界的に活躍するヴァイオリニスト・村田雨月だった。作品名映画ギヴン海へ放送形態劇場版アニメシリーズギヴンスケジュール2024年9月20日(金)キャスト佐藤真冬:矢野奨吾上ノ山立夏:内田雄馬中山春樹:中澤まさとも梶秋彦:江口拓也鹿島柊:今井文也八木玄純:坂泰斗村田雨月:浅沼晋太郎スタッフ原作:『ギヴン』キヅナツキ(新書館「シェリプラス」掲載)監督:橋本能理子脚本:綾奈ゆにこキャラクターデザ...

 

「syh」が歌う「海へ」の楽曲制作の裏側、「海へ」を聴いた真冬を演じるにあたっての想い

――2019年にTVアニメが始まり約6年の月日を経て最終章の『映画 ギヴン 海へ』が公開となりましたが、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

佐藤真冬役・矢野奨吾さん(以下、矢野):原作は約11年、アニメシリーズは約6年続いている作品に携わらせていただけていること、しかも僕にとっては初主演作品で、本当に感謝しかありません。こんなにも奇跡みたいな連続が描かれている物語を動かす真冬を僕がお芝居を続けてこれたのは、応援してくださるみなさんのお陰だなと心から思いますし、振り返ってみると真冬と一緒に僕も成長してきたなと思います。

原作漫画の完結を迎えて、アニメも完結まで演じることができたということに素直に喜びを感じていますし、どこか寂しいなという気持ちもありますが、なにより「おめでとう」というお祝いの気持ちの方が強くて。ここまでアニメに携わってきてくださったスタッフさんやファンのみなさん、関係者の皆様への感謝が一番大きいですね。

 

 
温詞さん(以下、温詞):僕も『ギヴン』の主題歌がメジャーデビュー作で、デビューからずっと足並みを揃えて共にしてきました。僕としても初めて作品と一緒に歩みを進めていく中で、「これで正しいのかな?」と不安に思うこともいっぱいありました。

でも、原作はもちろんですが、ありがたいことに『ギヴン』のアニメや楽曲も世界中で愛していただいています。ライブで海外に行かせていただくことも多いんですけど、本当にたくさんの人たちが日本語の曲を覚えて、みんなで大合唱してくださって。本当にどの国に行ってもそうなので、こんなにも愛される作品と自分が一緒にタッグを組めたこと、作品の一つの力になれたということに対して喜びをすごく感じています。

そういう力のある作品の完結をアニメとして描いて残すことができたということは、いちファンとしてすごく幸せなことだなと思います。

――「ギヴン」といえば、これまで「冬のはなし」「うらがわの存在」(ほか「夜が明ける」「まるつけ」「ステージから君に捧ぐ」「へたくそ」)など、多くの楽曲がありますが、温詞さん(センチミリメンタル)と矢野さんが楽曲制作で印象的だったエピソードを改めてお聞かせください。

矢野:僕はもう「冬のはなし」ですね!たくさん時間をかけていただいて…。

実際のレコーディングの前に、レコーディング同様の環境での練習期間をめちゃめちゃ設けてくださって、アーティスティックな歌い方や僕が思っている感情をこう表現したら歌として伝えられるよという助言を温詞くんがしてくれたり。

自分では歌が下手という感覚はあまりなかったんですけど、「うわ、下手なんだな」と現実を突きつけられました。一度、忘れてここで一から吸収し直さないといけないというマインドに切り替えて臨みましたね。それくらい「冬のはなし」は大変でした(苦笑)。

 

 
温詞:僕もやっぱり「冬のはなし」を一緒に作った時の記憶が一番強く残っています。僕自身もデビューのタイミングでしたし、自分も歌う側だったので、普段はバンドのボーカルとして活動していない方に自分の曲を歌っていただくには、(バンドボーカルとしての)歌い方の表現方法をどう伝えていけばいいんだろうと、(矢野さんと)一緒に探していきました。

こう伝えれば導いてあげることができるという最短ルートが分からない状態だったので、そこを模索しながら一緒に作り上げた記憶はすごくあります。

それが故に、僕もたくさんのことに気づかせていただいて、自分自身にも還元できたことがたくさんあったので、すごく大事な時間だったなと思いますね。

矢野:(頷く)

――それでは温詞さんが歌う本作の主題歌「結言」についてお伺いできればと思います。

温詞:「結言」は書き下ろしではなく9年前に書いた曲です。9年前は当時の自分にとって本当に人生の中でもターニングポイントになった年なんです。将来への不安もたくさんありましたし、大好きな人にも出会いました。

自分自身と向き合った時に生まれた曲なので、自分を知る、そして人生を知るというか、人間というものに対して一つの解答を出すという年でもあったので、そんな想いで書いた楽曲が時を越えて『ギヴン』の主題歌に使っていただけたということは、僕の人生も許されたような認めていただけたような感じもしました。

逆に言えば『ギヴン』という音楽を取り巻く人間たちのリアルな物語に対して僕も1つの解答を出してあげられたのかな、と。そこで共鳴し合えたことの喜びがすごくあります。お互いがお互いをよりリアルなものにすることが出来たのかな?なんていう感覚ではありますね。

矢野:「結言」が書き下ろしじゃないって、嘘でしょ?!

温詞:(すかさず)嘘です。……嘘じゃないです(笑)。

一同:(笑)

 

 
矢野:ストーリーとぴったりすぎて、このために作られた歌でしょって思うぐらいばっちりハマっていますよね。本予告を何度再生したことか!

それくらいすごく好きな曲で。

あの曲を聴いて家族や友達のこと、それこそ温詞くんのことや真冬のこととかが頭に浮かんで。僕が大切にしている人たちが居て、今の僕がいるんだなと純粋に思えました。

なかでも温詞くんのことが真っ先に出てきたんです。というのも、真冬という役を演じる上で僕ひとりだけでは絶対に演じきれなかったなと本当に思っていて、温詞くんが作る楽曲、メロディ、歌詞から「真冬ってこういう気持ちでこの言葉で歌って、こういうことを伝えたいんだ」とか。抱えきれない想いを言葉にするとこうなんだ、とか。「真冬はこういう人間なんだね」みたいな部分の補完というか、足りないところを、温詞くんの楽曲でも埋めてくれて。

真冬という人物は温詞くんと一緒に作り上げていけたと本当に思っているからこそ、「結言」を聴いた時に真っ先に温詞くんのことをパッと思い浮かべました。

――(温詞さんへ)今回、新たに制作された「syh」が歌う「海へ」の楽曲はどのようなことを考え制作を進めていかれたのでしょうか?

温詞:「海へ」は原作の中でもすごく大事な曲で、由紀が遺したものを新しく紡いで一つの曲に完成させたり、そもそも真冬が歌っていた鼻歌のフレーズから作られたりと、いろいろな要素が多い曲です。

「冬のはなし」と同じように真冬の鼻歌のフレーズが出てきたり、何より、立夏が最初に聴いた時にガンッと衝撃を受ける描写があるように、とてつもない力を持った楽曲じゃなきゃいけない。この要素を全て入れて曲を表現できるのか?というのはすごく悩みましたね。一番プレッシャーだったかもしれないです。

でも、自分なりに少し噛み砕いて(作中では)どういう想いで楽曲が作られたんだろう?と考えたりもしました。タイトルも「海へ」と決まっていた曲で、主題歌「結言」とリンクする部分も多く、「結言」と共鳴できる部分から「海へ」という言葉に向かって行く道中に色々と整理して、まとめて出来た曲でした。きっとこの形で大丈夫なんじゃないかなという想いではいられているので、たくさんの方に愛していただけるといいなという想いでもあります。

(曲の方向性としては)今までの楽曲と空気感をガラッと変えないといけないので、そこが一番苦労しましたね。「ギヴン」の楽曲はソリッドなサウンドで作っていたし、「syh」の楽曲は外向きの華やかさがある表現をしていました。そのどちらでもない部分で「海へ」を作ろうと思ったので、ある種、サウンドだけでいうとセンチミリメンタルの雰囲気に一番近いのかもしれないです。いろんな要素がまざっているというか。

 

 

――ありがとうございます。矢野さんはこちらの「海へ」が作中で流れている際の真冬を演じる時に、どのようなアプローチをしたり、お芝居をしようとお考えでしたか?

矢野:真冬は、音楽の道で生きて行くことを決めたら立夏を失ってしまうかもしれない、音楽もめちゃめちゃ好きだけど、大切な人をもう一度失うかもしれないという恐怖、葛藤とずっと戦ってきていて。そんな中でライブハウスへ行き、初めて「海へ」という曲を聴くことになります。

由紀の歌だけど立夏が自分の色を完全に消して手を加えて、由紀が作ったような由紀の色を全面に押し出した曲というふうに描写されていて。だけど、温詞くんもさっきおっしゃったように、真冬が最初に口ずさんだ「冬のはなし」と同じフレーズがあります。

これは僕の想像でしかありませんが、これだけ長く立夏と一緒に音楽をやってきていて(真冬は)あの「海へ」という曲を聴いた瞬間に、音楽に由紀を感じることができたけれど、同時にきっと立夏のことも感じることができていたんじゃないかなと。

いくら立夏が自分の色を消したとはいえ、真冬にだけは「ああ、立夏がこの曲を作ったんだな」ということが直感的に分かる何かがあったんだなと僕は思っています。音楽の中に由紀を見つけて、その後に立夏がこんなプレゼントを用意していたんだと。あの曲を聴いてしっかり由紀のことを感じながらも前を向いて立夏にフォーカスを当てたあの台詞は、「海へ」という曲が由紀なんだけど立夏が作った曲ということを感じているからなんだなと僕は捉えました。真冬が涙を流す場面もありますが、僕もあの曲を聴いて「ああやっぱり真冬は本当に立夏が好きなんだな」と再確認できました。

 

 

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