構えることなく、自然体で。織田作の“不殺”を胸にーー『文豪ストレイドッグス』「黒の時代」編リバイバル上映会&トークショーに織田作之助役・諏訪部順一さん、倉兼千晶プロデューサーが登壇
矛盾している織田作を演じる楽しさと奥深さ。原作よりも人間味を感じさせる点も!?
「黒の時代」編の原作を読んでいた諏訪部さんは、ストーリーやキャラクターも落とし込んだ上で自然体で当時のアフレコに臨めたとのこと。
「織田作の“不殺”の信念みたいなものを心に置きつつ、そこに共感する部分もあれば、客観的に見た時の歯がゆさもありましたが、演じていて楽しかったです。マフィアに所属してはいるけど、彼の中には善でありたい想いもある。そういった矛盾した部分を持つがゆえに、とても奥深さを感じるキャラクターでした」
また、前日譚の登場人物である織田作の役割についても「ラスト、太宰にきちんとバトンを渡せたらいいなという思いが、演じ手として心の片隅にありました。織田作との別れ以降、太宰は彼が愛用していたような色のコートを着るんですよね。託した想いが太宰の中で生き続けていくのであれば、それは織田作にとってひとつの救いになったのではないかと」としみじみ語ります。
アニメでは、織田作が小説の地の文で自身のことを語るシーンをあえて削ぎ落としたり、セリフなど原作通りでないところも多くあるという倉兼さん。
「個人的な主観ですが、原作の織田作よりも人間味があって、友情と呼べる感情を持っていたなとアニメの織田作に感じていました。救いの連鎖を描きたいというアニメチームの想いもあったので、織田作の表現の仕方が少し原作と違ったように思います。諏訪部さんは原作を踏まえて演じられて、どう感じられましたか?」と尋ねます。
「生きている人間というフィルターを通しているので、文章や絵だけの表現よりも、人間味というか、生っぽさみたいなものは少なからず加味されてくるところはあるかもしれません。映像と噛み合う感じで、彼の温度を観る方に伝えられたのであれば幸いです。演出サイドの解釈をもとに生み出された本エピソードは、映像作品化した意味のあるモノになっていると個人的には思っています」と諏訪部さん。