
「夢を現実に変えてくれたスタッフ」「夢を真っ向から受け止めてくれた視聴者の皆さんがいてくださったからこそ今があります」──『プリンセッション・オーケストラ』企画原案・金子彰史さん×プロデューサー・諏訪 豊さん【最終回カウントダウンインタビュー】
なっちを「プリンセスたちの帰る場所」にしたくて、絶対にプリンセスにはさせないという私の強い想いがあったんです
──放送前にキャラクターのビジュアルが公開された際、多くの方がなっち(陽ノ下 なつ)もプリンセスになるのではと予想していました。実際のところ、なっちがプリンセスになるパターンも検討はされたのでしょうか?
金子:それは徹頭徹尾ありませんでした。逢空さんの脚本にも無かったし、自分の意志としてももちろんありません。多数決で改変されそうな事態が起きても、それを阻止するために自分は現場の脚本家ではなく、脚本を守れる立場を選びました。なっちは「帰る場所」であり、プリンセスにとって不可欠な存在なんです。思いつきでなくしていいものではありません。
諏訪:キャラクターやビジュアルを発表した時に、皆さんが誰がプリンセスになるかを予想していて、色々な考えがあるんだと気付かされましたね。なっちについては予想の範囲でしたが、髪色から「根津あいこプリンセス説」みたいな予想もあったりして。どのキャラクターもキャラクター造形に加えて、キャストの皆さんのパワーもありますので、、誰がプリンセスになってもおかしくないほどの個性の強さだったのかなと思います。
──先日、SNSでも「赤の女王」と「白の女王」のキャラソンのタイトルにシンクとハクアのプリンセスネームを仕込んでいたというお話がありました。他にも、実は仕込んでいた遊び要素や、語られていない裏設定などはありますか?
一応、おおっぴらには、
— 金子彰史@シンフォギアXV (@akanekotwitte10) February 13, 2026
しばらくの間伏せられていた先代プリンセスの名称、
シンクとハクアですが・・・
赤の女王「真紅の荊」、
白の女王「白亜の揺籃」と、
キャラソンのタイトルに
こっそりプリンセスネームが仕込まれていました。
作詞担当のこういう遊び心って嬉しい&楽しい! https://t.co/gtrsf98EwH
金子:裏設定などは、語るべき機会に語られるものであり、今語るべきではないと思います。仕込んでいた遊びの要素について、その一々を開示しろというのは中々難しいものがあります。説明されることによって台無しになりますし、何よりたくさんありすぎて覚えていないというのが真相です。ご存じかもしれませんが、自分はそういった仕込みが芸風でもありますので、当然『プリオケ』にもいくつか存在しているのですが、そういうのは本読みの場では知らんぷりしてさらりとやりすごし、逢空さんと二人きりの時に見つめ合い、密やかに語らうに留めています。じゃないと検閲されかねない(笑)。
諏訪:私の立場としては脚本を読んでリスク判断もしなければいけないんです。でも、元ネタを知らなくて、無垢に受け取ったまま世に出ているものも多々あって、そこは僕が2人に騙された部分ですね(笑)。
──そこは、あまり深掘りして聞かない方が良いですか……?
諏訪:逢空さんの作家性として、詳しい方が見ればニヤリとできる要素が随所に宿っています。あと、大沼監督もそういったタイプですので、そう考えるとクリエイター陣が「仕込みネタ」の好きなメンバーで構成されているのも特色ですよね。
金子:あ、言っちゃった(笑)。本読み帰りの電車内で逢空くんに「やる時はやれ!」と発破という名のオーダーをした記憶があります。それは『プリオケ』をパロディ作品にしろという意図ではなく、自分もそうであるように遊びを盛り込むことで、筆が乗ってセリフや展開に勢いが出るからなんです。無法者みたいな自分たちですが、それでも無法者なりのルールがあって「大好きなものを敬意をもって扱う」ことと、「元ネタが分からなくても話が通じる」ことは遵守しています。たとえ意味不明なセリフであっても、登場キャラがツッコむことでオチはつけているつもりです……このくらいで勘弁してもらえますか?(笑)
──(笑)。キャストの皆さんの演技面での成長や、ファンからの反響などを受けてプロジェクトに反映させたことなどはありますか?
金子:実はプロジェクトの発表時には、既に全話分のシナリオが完成していました。そのため、大きな枠組みにおいて変わったことはありません。ただ、初期三人のプリンセスを演じる葵さん、藤本さん、橘さんたちが歌も演技も驚くほど頼もしく成長しているのは、スタッフの誰もが理解しているところです。
そのため、当初は歌い分けを予定していた箇所を、彼女たちへの期待を込めて全員歌唱に変更したこともあります。物語が変わるような大きな部分ではないんですけど、彼女たちの成長に合わせたプラスアルファのお願いが幾つかあったかなという印象です。
諏訪:それで言うと、キャストの皆さんがアフレコでアドリブを入れたり、コンテの段階でスタッフがギャグを盛り込んだりして、さらに面白くするような変化もありましたね。
──ありがとうございます。最後に1年間『プリオケ』応援してくれたファンの皆さんへメッセージをお願いします。
諏訪:まずは1年間応援いただき、本当にありがとうございました。キングレコードにとっても1年もののアニメは数えるほどしかなくて、しかも日曜日のあさに放送するアニメというのは会社としても初めてになる大きなチャレンジでした。その中で、なんとか無事に走り切ることができてホッとしたと同時に、少し寂しさを感じています。
たくさんの方に見ていただくことができて、普段手掛けている深夜アニメでは出会えなかったご家族連れのファンの方々など、この作品だからこそ得られた経験がたくさんありました。
放送は一旦終了しますが、私たちが生み出した48本の映像と、数々の素晴らしい楽曲を、これからもより多くの方に楽しんでいただけるよう、プロデューサーとして引き続き尽力していきたいと思っています。特に音楽面では、まだまだ皆さんの前でライブとして披露できていない楽曲もたくさんありますので、それらを披露できるような場を作っていけるように頑張りたいと思います。
金子:最初に語ったように「夢を描く」のが今作における自分の仕事ですが、その夢を現実に変えてくれたスタッフとキャスト、そしてその夢を真っ向から受け止めてくれた視聴者の皆さんがいてくださったからこそ今の充実感があります。一年間お付き合いいただいたことに、まずは心から感謝したいと思います。
アニメでは深夜帯を主戦場としてきた自分ですが、あさの時間帯に1年間放送するアニメというものは全く違った世界を見せてくれて、新たな出会いや気づきも多々ありました。
これまでいろいろな開発現場に携わってきましたが、『プリオケ』に一区切り付けられたことで、また新たな挑戦ができそうな意欲がわいてきています。
自分は1年間のアニメを皆さんに送り届ける立場でしたが、逆に皆さんの方から今後1年以上戦えるパワーをいただいたように感じています。今はただ感謝の言葉しかありません。本当にありがとうございました。
──最後は私自身の願望も込めた質問で締めさせてください。年末のライブのMCではオルケリアの皆さんが「ファンの皆さんの声があれば、5人フルメンバーでのライブがあるかもしれない」という趣旨の話がありました。放送終了後にも「アニメに限らない今後の展開」を期待しても良いでしょうか?
諏訪:私自身も1人の作品ファンとして、5人が揃ったライブを見たいと思っています。こんなに多くの素敵な楽曲たちを生み出していただいたのですから、それをお披露目する場については、ぜひ調整させていただきたいと思っています。現時点では「もう少しだけお待ちください」という表現にはなりますが、温かく見守っていただけますと幸いです。
【取材・原稿:岩崎航太 編集・西澤駿太郎】





























