『魍魎の匣』京極夏彦氏アフレコ後インタビュー

アニメ『魍魎の匣』に原作の京極夏彦さんが出演! 気になるアフレコ現場を直撃取材!! テレビシリーズのDVDは12月よりリリース開始

 京極夏彦さんの人気長編小説『百鬼夜行シリーズ』の第二弾『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』がキャラクターデザイン原案・CLAMP、制作・マッドハウスでアニメ化し、10月より好評放送中だが、原作者の京極さんがアニメに出演することが決定し、先日、都内スタジオにてアフレコに参加した。第12話の『脳髄の事』で黒衣の男役を演じる。
 黒衣の男は作品の中で関口巽が書いた、『月刊近代文藝』に掲載された「目眩(めまい)」の中に登場する人物。黒い手甲をした黒尽くめの男で、主人公の京極堂をモデルにしている。実際にどんなキャラクターなのか、そして自身の作品以外でも何度もアフレコ経験がある京極さんがどう演じたのかはぜひアニメで確認してほしい。
 なお12月21日にDVD第一巻がリリースされ、以降毎月発売。また2009年4月にはブルーレイBOXが発売予定。魅力的なストーリーと映像美で表現された京極ワールドをじっくり堪能しよう!


●自身の作品に出演!アフレコ後にインタビュー!

――アフレコを終えての感想をお聞かせください

京極さん:皆さん、セリフが長いんですよ。僕のせいなんですけど(笑)。それに、監督はとても細やかな演出をされる方で、「ここはもうちょっとやわらかく」とか「少し間をあけましょう」とか、みなさんテイクを何度も録り直してらっしゃるのに……僕は何も言われませんでした。
短いセリフなので最初は別録りの案もあったんですが、別録りだったら、たぶん5分くらいで終わっちゃったんじゃないかしら。あえて皆さんに混ぜていただいたんで、それなりに時間はかかりましたが……。本番前から何も言われず、そのまま皆さんに混じって二言、三言しゃべったら終わりだったという。声優の方々にはとても申し訳なくて。


――すぐにOKが出たんですか?

京極さん:OKもなにも、何も言われなかったんですよ。「OKくらい言ってよ」みたいな(笑)。


――アフレコに臨まれる前に、事前に考えたことや心構えみたいなものはありましたか?

京極さん:不思議なことに初めて手にする脚本なのに、読んだ覚えがある。よく考えたら僕が書いた話じゃないかと(笑)。特に今回のセリフは短くて、覚えていたので、台本を見るまでもなく、(アフレコ現場に)来て、入って、しゃべって、出たという。心構えもなく、緊張する間もなく、何か銭湯にでも行くような感じで(笑)。平田さんたちが「これ、言えない」とか「かむ」とか、一生懸命演じている横でボーッと感心してただけです。ただただキャストの皆さんに申し訳ないような気持ちでいっぱいでした。


――今回、演じた黒衣の男というキャラについてご説明ください

京極さん:関口という作中人物が書いた小説の中の一説です。作中作の記述なのであって、キャラクターではありません。作中でも生きた人間じゃないわけで。ただ、この黒衣の男は同じく作中人物の中禅寺(京極堂)をモデルに書かれた記述で、その中禅寺を演じていらっしゃる平田(広明)さんが、「京極さんを参考にします」とか意地悪をいうし、モデルを演ずる僕を参考にしたキャラをモデルにした記述を演ずるとかなるともうややこしいので(笑)、何も考えないで素でやりました。役づくり以前の問題ですね。役じゃないですし。監督に何か言われたら考えようと思ったのに、何も言われないし(笑)。
 今回もどっかに出てくださいと言われたんで、やるのはいいけど、カメオなんだから普通の役にしてくださいねとお願いしたんです。通行人とかチョイ役とか、そういう人間の役がいいなあ、と。でも、全然普通じゃないですよね(笑)。


――ここまでアニメをご覧になった感想は?

京極さん:僕はアニメをよく見るほうだと思うんですけど、この作品はまず、きれいですよね。それから細かい感じがいいですね。とても手をかけて作ってくれている感じがする。
 一方で、僕は筋をよーく知っているので(笑)、大体先がわかるはずなんですが、それなのに「次回はどうなるの」と思っちゃうようなシリーズ構成になっている。脚本の切り口も、演出も、ちゃんと次回に繋げるように練られているんですね。何度も映像化はしていただきましたが、長編の連続ものというのは初めてで、まあ僕の作品はあんまり動かないんですが、細切れにすると座敷から一歩も出ずに終わる回があるんじゃないかと思っていたら……ありまして(笑)、それでもちゃんと見せる演出がなされていたので、感心しましたね。


――今までアフレコを何度か体験されているそうですが、ご自身の作品では他にどんな作品に出演されているんですか?

京極さん:映画の『魍魎の匣』以外はどっかに出てるんですね。最初の『京極夏彦「怪」』に出てしまったのが間違いでした。『姑獲鳥の夏』の時も実相寺(昭雄)監督に「前の出てたそうじゃない」とか言われちゃうと、断わりにくいでしょ。『巻説百物語』の時も堤(幸彦)さんに「前のも出てましたよね」とか言われて……つい「ハイ」と言ってしまう気弱な僕です(笑)。
 アニメーションのアフレコは、僕が脚本を書いた『ゲゲゲの鬼太郎』が最初でした。それはもうイジメのようにセリフが長くて、誰が脚本書いたんだと(笑)。あ、だから責任とってやらされてるのか、と。それ以降は「あれやったんならいいだろう」的な感じです。『金田一少年の事件簿』とか、何故僕が? という(笑)。『ブレイブストーリー』なんかは戦闘シーンがあったんですが、「お上手です」なんて言われて。いや、出しておいてそんなこと言わないでよという(笑)。
 自分の作品だと『京極夏彦 巻説百物語』になるんですが、これは中尾隆聖さんや野沢雅子さんと絡む凖レギュラーだというから、困ったなあと思ってたら、「ワハハハハ、どうだね、諸君!」みたいな、ショッカーの首領的な役でして、モヤモヤの画で口をあわせることもなかったという。「アフレコじゃなくていいじゃん」と(笑)。先日、この冬に公開される『ゲゲゲの鬼太郎』の劇場版でやっと普通の人間の役が来て、良かったなあと思ってたら電気屋の店長とか名古屋ドームの支配人とか6役もあって(笑)。で、今回、また黒衣の男でしょう。普通のカメオ出演をやらせてよと。


――出演以外でアフレコを見学されたりするんでしょうか?

京極さん:見学だけで来ることはありませんが、取材と重なる時なんかは見せてもらいます。今日はレギュラーの8割がいらっしゃっていて、総勢14人の大混雑でしたが、この間の『ゲゲゲの鬼太郎』では僕一人。ところが、高山みなみさんはじめ声優さんがズラっと並んで見学されていて……これって拷問ですよね(笑)。とても恥ずかしかったので、もう見ないようにします。


――最後にアニメをご覧になっているファンの方にメッセージをお願いします

京極さん:間もなくDVDが発売されますのでぜひお買い上げください。一度しか見ないというのはもったいないです。「僕はHDDに録ったからいいや」などと言わず、たぶん美麗なジャケットに入り、BOXも付くんでしょうからぜひお買い求めいただきたいです。アニメしか見てない方は原作本も売っていますので、そちらのほうもお試しください。

(C)京極夏彦/VAP・マッドハウス・NTV/D.N.ドリームパートナーズ<BR>キャラクター原案:CLAMP(C)2008 CLAMP

(C)京極夏彦/VAP・マッドハウス・NTV/D.N.ドリームパートナーズ
キャラクター原案:CLAMP(C)2008 CLAMP

<B>DVD『魍魎の匣 第一巻』</B><BR><B>★全巻収納特製“匣”付き</B><BR>08年12月21日発売<BR>3150円(税込)<BR>発売:バップ

DVD『魍魎の匣 第一巻』
★全巻収納特製“匣”付き
08年12月21日発売
3150円(税込)
発売:バップ

(C)京極夏彦/VAP・マッドハウス・NTV/D.N.ドリームパートナーズ
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